日本陸連は、著しい活躍をみせた競技者を称える「日本陸連アスレティックス・アワード2023」を12月20日、東京都内のホテルで開催。年間最優秀競技者に贈られる「アスリート・オブ・ザ・イヤー」をはじめ、各賞の受賞者を表彰しました。
日本陸連アスレティックス・アワードは、当該年に活躍した競技者や陸上界に貢献した方々を称えるとともに、陸上界を支えてくださる方々への感謝をお伝えする機会として、さらには日本陸上界の今後の発展を期することを目的として、2007年から行われています。
今回のテーマは「絆」。2023年は、「する人」「見る人」「ささえる人」がそれぞれに、さまざまな形で紡いだ絆が、アスリートたちの素晴らしい活躍や挑戦への架け橋となりました。オリンピックイヤーとして迎えることになる2024年も、アスリート、アスレティックファミリーが一つとなって、挑戦の先にある夢や目標という未来へ「絆」をつなげていきたいという願いが込められています。
まず、主催者を代表して、尾縣貢日本陸連会長が挨拶。「2023年はスポーツ界、陸上界がいっそうの飛躍を遂げた年だった。ブダペスト世界陸上はじめ多くの舞台で、限界に挑戦をするアスリートの姿には、希望、そして夢さえ感じた」と述べた尾縣会長は、「この大きな飛躍は、多くの絆に支えられた」と深い感謝の念を伝えたうえで、「本日、ご出席の皆さま方には、このアワードの舞台で輝くアスリートに祝福を送っていただくとともに、来年のパリオリンピック、2025年東京世界陸上へと苦しい道を歩み続けているその背中を、そっと押してやっていただきたい」という言葉で、17回目となるアワードを開幕させました。
2023年において、その活躍が最も顕著であった競技者に贈られる「アスリート・オブ・ザ・イヤー」に選出されたのは、女子やり投の北口榛花選手(JAL)です。北口選手は、8月に開催されたブダペスト世界選手権において、フィールド種目の日本女子選手として初の金メダルを獲得。また、WA(ワールドアスレティックス:世界陸上競技連盟)ダイヤモンドリーグで3勝を挙げ、ファイナルにおいても日本選手初の優勝を果たしたほか、自身のもつ日本記録を2回更新し、2023年世界リスト1位の記録をマークしたうえに、パフォーマンスリストでは世界トップ3を占める圧巻のレベルを残しました。さらに、拠点としているチェコの言語や英語を使いこなし、コーチや海外メディアともコミュニケーションを取るなど、競技成績以外の努力や言動にも注目が集まり、日本の陸上選手に対する社会的評価も高めたと評価され、初の受賞となりました。
北口選手には、記念のトロフィーと副賞が授与。さらに、WAのセバスチャン・コー会長から届いた祝福メッセージが刻まれた盾も贈呈されました。表彰を受けたあとには、同じダイヤモンドアスリート修了生として一緒に国際経験を積み、現在はアメリカでトレーニングを行っているサニブラウン アブデル ハキーム選手(東レ、男子100m)、橋岡優輝選手(富士通、男子走幅跳)からサプライズでの祝福動画メッセージも披露。北口選手の笑顔をいっそう輝かせました。
優秀な成績を収めた競技者に贈られる優秀選手賞は、男子競歩の川野将虎(旭化成)、男子110mハードルの泉谷駿介(住友電工)、男子100mのサニブラウン、男子3000m障害物の三浦龍司(順天堂大学)、女子中長距離の田中希実(New Balance)の5選手が受賞。出席した川野・泉谷・三浦・田中の4選手は、表彰を受けて挨拶を行ったほか、アメリカ滞在中のため来場できなかったサニブラウン選手からのビデオメッセージが紹介されました。
顕著な活躍を見せ、将来が期待される競技者に贈られる新人賞には、東京運動記者が年齢を問わずに選出する部門と、日本陸連がU20年代(2023年12月31日時点で20歳未満)競技者を対象として選出する部門の2種があります。東京運動記者クラブ選出の新人賞には、男子110mハードルの村竹ラシッド選手(順天堂大学)と女子マラソンの鈴木優花選手(第一生命グループ)が、日本陸連選出の新人賞には、男子三段跳の宮尾真仁選手(東洋大学、19歳)と女子400mハードルの瀧野未来選手(京都橘高校・京都、18歳)が、それぞれ受賞しました。
また、今回、陸上競技を通じた活動が広く社会に対して貢献した個人や団体に贈られる特別賞は、国際競歩審判員(IRWJ)のFUNG, WANG TAK氏(フン・ワンタク)が受賞しました。フン氏は、長年にわたって日本国内で開催する数多くの競歩競技会においてIRWJとして活躍してきましたが、特に、海外からのIRWJ招聘が困難となり、WAが記録を公認する要件を満たせない状況に陥ってしまったコロナ禍において、渡航に伴う待機や行動制限など数多くの困難にもかかわらず来日し、公認条件を満たす競技会開催に尽力をいただきました。東京オリンピックにおける日本競歩勢の活躍の影の立役者と言える人物です。表彰にあたってはプレゼンターとなった尾縣会長が固い握手とともに強い感謝の思いを伝え、トロフィーと副賞を贈りました。
アスレティックス・アワード各賞の受賞理由は、日本陸連公式サイト(https://www.jaaf.or.jp/news/article/19233/)において紹介しています。ご参照ください。
このほか、2023年日本グランプリシリーズの表彰式も行われました。日本グランプリシリーズは、トラック&フィールド種目のさらなる発展を目指して、従来の形態を再構築して2018年にリスタートしました。6年目となった今年は、過去最多となる18大会がシリーズに参画する盛り上がりを見せています。また、今年度からはポイントの集計方法が刷新され、種目の垣根を越えてランキングを競う形がとられることとなりました。
この新方式で、「陸上界で最も強いアスリート」となる男女シリーズチャンピオンに輝いたのは、野本周成選手(愛媛陸協)と寺田明日香選手(ジャパンクリエイト)です。野本選手は、男子110mハードルで3686.2ポイントを獲得、寺田選手は女子100mハードルで3547.4ポイントを挙げ、男女ともにスプリントハードル勢が席巻する形となりました。2選手には、シリーズチャンピオンのトロフィーとともに、強化費が贈られています。
また、陸上を通じた社会貢献を目指して全国のアスレティックファミリーから、社会・地域の課題解決のための「陸上」を通じた取り組みを募集する日本陸連SDGsプロジェクト「#LETSTHINK_(レッツシンク)」は今年も行われ、12月初旬に「BEST THINK賞」1団体、「GOOD THINK賞」3団体の計4団体を選出されました(https://www.jaaf.or.jp/sdgs/)。今回のアスレティックス・アワードでは、BEST THINK賞に輝いた「あけとみ陸上クラブ」への表彰が行われました。
アスレティックス・アワードの表彰に先立ち、今年8月に行われたブダペスト世界選手権において入賞を果たした競技者、および9月に行われた杭州アジア大会において金メダルを獲得した競技者への報奨金授与も行われました。対象となったのは、ブダペスト世界選手権においてメダル獲得および入賞を果たした北口選手(女子やり投優勝)、川野選手(男子35km競歩銅メダル)、泉谷選手(男子110mハードル5位)、5位に入賞した男子4×100mリレーの坂井隆一郎(大阪ガス)、栁田大輝(東洋大学)、小池祐貴(住友電工)、サニブラウンの4選手、サニブラウン選手(男子100m6位)、三浦選手(男子3000m障害物6位)、野田明宏(自衛隊体育学校、男子35km競歩6位)、廣中璃梨佳(JP日本郵政G、女子10000m7位)、園田世玲奈(NTN、女子35km競歩7位)、赤松諒一(アワーズ、男子走高跳8位)、田中選手(女子5000m8位)の13名と、アジア大会優勝を果たした上山紘輝(住友電工、男子200m)、高山峻野(ゼンリン、男子110mハードル)の2名からなる計15名です。
このうち、海外滞在のため出席できなかった小池選手とサニブラウン選手を除く13名が登壇。世界選手権入賞者を代表して北口選手が、アジア大会優勝者を代表して上山選手が、それぞれ風間明日本陸連副会長から報奨金のパネルを受け取りました。
受賞各氏のコメントは、以下の通りです。
【アスリート・オブ・ザ・イヤー】
■北口榛花(JAL)
「アスリートオブザイヤーを受賞できて、すごく嬉しいです。(アスリートオブザイヤーは)おそらく2015年に、サニブラウンアブデルハキーム選手と一緒に新人賞を受賞してからずっと憧れていたそんな賞でした。去年、とれると思っていたのですがとれなかった(注:2022年は世界選手権20km競歩で2連覇を果たした山西利和選手が受賞)ので(笑)、今回とれて、「これ以上(の成績を)どうにかしろ」と言われてもちょっと難しいところもあったので(笑)、今回とれて、すごく嬉しいです。
私は、選手として、トップを目指すことが当たり前であると思っていますし、そのために犠牲を払うことや海外に出ていくことは当たり前だと思って、これまでやってきました。しかし、日々生活するなかで、それを当たり前だというふうに思えていることが私の強さであり、それを当たり前だと思えていない人もたくさんいるということが、最近になってわかってきました。今まで出会った人のなかには、私が(自分の)価値観を押しつけて(笑)、苦しんでいた人もおそらくいたと思うのですが、ようやくその違いに気づけるようになってきたことが、自分の成長の一つであるかなというふうに思っています。
(今、動画で)仲のいい2人(サニブラウン、橋岡優輝)から、なんかオフィシャル的な?(笑)、いつもの感じじゃないビデオが届きました。サプライズだったし、2人とも何も言ってこなかったので(笑)、すごくびっくりしました。2人は今、アメリカにいて(年齢は)、一応私のほうが一つ上なのですが、まあ、だいたい友達みたいな感じ(笑)なので、2人の行動とか試合とかはチェックしていますし、(その存在は)すごく力になっています。(アスリートオブザイヤーの座を懸けては)来年も負けないように(笑)、自分がまたここに戻ってこられるように頑張れたらいいなと思っています。
来年はパリオリンピックがありますが、世界陸上で金メダルを取った以上、(オリンピックでも)金メダルという目標しか言えないというのが事実で、それは言うのは簡単ですが、やるのは本当に難しいことだと自分のなかではわかっています。今年、日本記録も2回更新できましたが、それで満足することなく、私が目指しているのはもっと上なので、これからもずっと上を…、下を見ることなく上を見続けて、自分を成長させていきたいなと思っています。
来年はパリ、そして2025年は東京の世界陸上と続きますので、日本の陸上ファンの皆さんを含めて、日本の陸上関係者の皆さんの力が一番必要になる2年間だと思っています。これからもご声援、ご支援、よろしくお願いします。」
【優秀選手賞】
■川野将虎(旭化成)
「このたびは、優秀選手賞という大変名誉ある賞をいただき、誠にありがとうございます。今年は、多くの方々の支えにより、8月に開催されましたブダペスト世界陸上で、昨年のオレゴン大会に続いてメダルを獲得することができました。4月に行われた日本選手権では、コンディションが整わずに惨敗に終わってしまい、世界陸上でメダル獲得への課題はあったのですが、練習拠点の東洋大学、そして、所属の旭化成が身近で支えてくださいました。また、日本陸上競技連盟やスポンサーの方々の支えにより、世界陸上に向けてメダルを獲得できるような状態まで、コンディションを挙げていくことができました。心より御礼申し上げます。
来年にはパリオリンピック、再来年には東京世界陸上と、大切な大会が続いていきます。この賞に甘んじずに、また世界の舞台にチャレンジできるよう精いっぱい励んでいきたいと思います。引き続き、ご支援、ご声援のほど、よろしくお願いいたします。このたびは、ありがとうございました。」
■泉谷駿介(住友電工)
「2021年にも、この場所で新人賞を受賞しました。そのときよりも成長して、ここで優秀選手賞をいただけたことを、とても嬉しく思います。ありがとうございます。
今シーズンは、ブダペスト世界選手権で入賞できて、とても充実したシーズンだったので、来年もこの調子で頑張っていきたいと思います。ありがとうございました。」
■サニブラウン アブデルハキーム(東レ) ※欠席
「アメリカで練習していて、会場に向かうことができないため、ビデオメッセージで失礼します。
今シーズンは、なんとか2年連続で世界選手権の決勝に進出することができたのですが、また悔しい結果(6位)になってしまいました。来年は、アスリートオブザイヤー受賞を目標に頑張りたいのと、オリンピックでしっかり結果を残したいと思っています。今後とも、応援よろしくお願いいたします。(ビデオメッセージによるコメント)」
■三浦龍司(順天堂大学)
「このたびは、このような栄誉ある賞に選出いただきまして、ありがとうございます。今年、個人としては、好調な滑りだしとは言えませんでしたが、3000m障害物での自己記録の更新、また、世界陸上では念願の決勝に進出して入賞というところまで結果を残せたことは、非常に手応えがありましたし、「良かったな」「自分の今年の収穫かな」と思っています。
来年は(大学を卒業して)実業団の所属で、パリオリンピックを迎えます。新たな環境へのステップアップがある変化の年だと思います。今回いただいた賞を励みに、さらなる競技力の向上、そして、世界としっかりと戦っていけるよう、これまで以上に精進していきたいと思います。これからも応援、よろしくお願いいたします。本日はありがとうございました。」
■田中希実(New Balance)
「本日は、優秀選手賞という栄えある賞をいただき、誠にありがとうございます。また、今日、観覧に来てくださった皆さま、誠にありがとうございます。
思い起こせば、私は今回で、日本陸連のアワードでは5回連続…ありがたいことに、偶然もあって、受賞を続けてくることができています。特に昨年度は、(800m・1500m・5000mの)3種目で出場したオレゴン世界陸上が「何かを残すことはできなかったな」という悔しさのほうだけが残ってしまう結果となり、そのまま終わるかなと思っていたのですが、(アワードには)日本グランプリシリーズチャンピオンとして、お招きいただく形となりました。それが「次に進む力」になったことを、鮮明に覚えています。
オレゴンのときは、「結果が大事なのか、過程が大事なのか」という考えても仕方のないようなことを悶々と考えていたのですが、今年は、「ひたむきに自分の信念のようなものに向かって進むことで、振り返れば、結果や過程があるものなのだな」というのを、改めて今、感じているところです。ただ、その信念に向かっていくに当たっては、自分の感情が揺れてしまったり、自分と向き合ったり苦しさと向き合ったりすることが苦しすぎて、他者や特に身近な人をすごく傷つけてしまいました。それがブダペスト世界陸上のタイミングで、やっとその他者の存在を意識することが大事だというのを気づくことができ、いったん、そこで自分の揺れる感情を抑えることができるようになって、逆に自分よりは他者の存在を意識することで、信念にまっすぐ、気持ちを揺らすことなく向かっていけるのではないかなといった発見もありました。そういった意味で、世界陸上が今年もまた、自分のなかでの大きな転換点になったのではないかなと感じています。
ただ、そこで終わらないのが私の悪いクセで、他者の存在を意識することを考えたときに、自分を抑えようとすればするほど、自分というものがまた牙を剥いてきて、苦しさが逆に襲ってきたりします。一方で、このような慣れない服装(笑)で、この場に立てたことがすごく楽しくて楽しくて、また先日は、レースを兼ねてホノルル(ハワイ)に行かせていただけて、それも楽しくて楽しくて、そういった苦楽の間で揺れ動くことになってしまっていて、それでまた自分というものを見失うことにつながったりとか、また、他者を傷つけることにつながったりしつつあります。
来年こそは本当に、「ありのままの自分で、あるがままを受け止めて、まっすぐ進んでいきたいな」と、この機会に改めて感じることになりました。そうすることでまた他者とのつながりが生まれて、それをパリオリンピックで表現できたら、本当に幸せなことだなと感じています。私もまだパリオリンピックの参加資格を持っていないので、だからこそ、まっさらな、真っ白な自分のままで、これからまた苦しい日々も待っていると思いますが、それを受け止めながら進んでいきたいなと思います。
こんな私ですが、これからも皆さま、どうぞよろしくお願いいたします。」
【新人賞 ※東京運動記者クラブ選出】
■村竹ラシッド(順天堂大学)
「本日、このような場にお招きいただいたこと、さらにこのような賞を受賞できたことを、本当に光栄に思っています。
今年は、4月の末にケガをしてしまいました。結果、今年走ったのはたった5回ということで、なかなか思うようにいかなったシーズンではあったのですが、最後の試合で日本タイ記録を樹立することができて、いい形で終われたかなと思っています。
来年は、パリオリンピックが控えています。参加標準記録は突破しているものの、まだ内定という形にはなっていないので、気持ちを切らさずに来年に向けて頑張っていきたいと思います。本日は、ありがとうございました。」
■鈴木優花(第一生命グループ)
「本日は、このような場を設けていただき、本当にありがとうございます。先日ありましたMGC(マラソングランドチャンピオンシップ)で、パリオリンピック日本代表に内定しました。そこまでの道のりは簡単ではなくて、スタートラインに立ったときには、自信があまりない状態でした。ですが、実力がないなりに吹っきれた部分もあって、気持ちの部分で「最後まで諦めないぞ」と挑めたことが、結果につながったのではないかと思っています。本当にいい経験ができました。
次はパリオリンピックになります。世界との差がどんどん広がるなかで、私たちは日本代表として戦わなければならないという意識を常に持ち、また、さらなるタイムを狙っていきながら、世界と対等に戦えるように精いっぱい頑張っていきます。今後もどうぞ応援よろしくお願いいたします。」
【新人賞 ※日本陸連選出】
■宮尾真仁(東洋大学)
「このたびは、このような素晴らしい賞をいただき、誠に嬉しく思います。
今シーズンは、初の海外試合を経験し、そこでU20日本記録を更新することができ、非常に収穫のある1年となりました。来年にはパリオリンピックが、2025年には東京世界陸上が開催されます。そこに向けて日々精進してまいりますので、ご支援とご声援のほど、よろしくお願いします。本日は、誠にありがとうございました。」
■瀧野未来(京都橘高校3年・京都)
「本日は、このような栄誉ある賞をいただき、本当にありがとうございます。
今シーズンは、(連覇を達成した)インターハイをはじめ、U20アジア選手権に出場させていただくなど、私にとって、すごくたくさんの経験が積めた1年でした。私を支えてくださっているすべての方々に感謝したいです。この賞に恥じないような努力を今後も重ね、新たなステージにチャレンジしていきたいと思います。本日は本当にありがとうございました。」
【特別賞】
■FUNG, WANG TAK(フン・ワンタク、IRWJ:国際競歩審判員)
「陸上競技の発展を世界規模で尽力されてきた日本陸連から特別賞をいただく、このたびの受賞を、とても光栄に思い、深く感謝申し上げます。また、長年にわたって私を競歩審判として任命いただき、ありがとうございます。特に、コロナ禍においても、不便なく審判活動を行ってくることができました。あのころを振り返ると、私は「できること」「やるべきこと」をやったまでです。その後、多くの日本の選手がオリンピックや世界選手権で活躍するのを拝見し、選手の皆さんの素晴らしいパフォーマンスに感動しました。
これまでの数多くの日本の大会で、私は、審判として貴重な体験をし、たくさんのことを学びました。そして、日本にいる大切な陸上仲間と、再会する機会をいただいてきました。
この賞は、世界中のアスリート全員に捧げたいと思います。なぜなら、この賞は、努力、決意、情熱があれば不可能はないという証であるからです。
素晴らしい賞をいただきましたことを、改めて感謝申し上げます。皆さまのご健康とご多幸をお祈りいたします。(英語で行われた挨拶の要旨を翻訳)」
日本グランプリシリーズチャンピオン
男子:野本周成(愛媛陸協、男子110mハードル)
「このような場に招待していただき、大変光栄に思っています。この賞を受賞するにあたっては、今年は主要な国際大会もあり、主要な選手がそちらへ行っていたという背景もあります。しかし、日本選手権後から、来年に向けてタイムをしっかりと安定させていくことに切り替えていけたことが、この結果につながっていると思います。
来年はパリオリンピックを目標にしていますが、現在、参加している110mハードルのなかで勝ち抜いて、代表権を勝ちとれるように精進してまいります。本日はありがとうございました。」
女子:寺田明日香(ジャパンクリエイト、女子100mハードル)
「本日は、このような素晴らしい会にお招きいただき、ありがとうございます。日本グランプリシリーズ年間チャンピオンということで、男子110mハードル、女子100mハードルと、男女ともにスプリントハードルがチャンピオンになったことを、とても嬉しく思っております。
ただ、まだまだ…今年は泉谷(駿介)選手が(世界選手権で)入賞したりしましたけれど、いろいろな種目で若い選手が世界で活躍しているなか、私たちはメダルラインには届いておらず、特に女子は入賞ラインにも届いていないというところで、まだまだ世界との壁を感じています。来年に至ってはパリオリンピックがあるので、なんとか全員で力を合わせて、世界に向けてレベルアップして戦っていきたいと思いますので、引き続きご支援、ご声援のほど、どうぞよろしくお願いいたします。本日は、ありがとうございました。」
JAAF×SDGsプロジェクト『#LETSTHINK』BEST THINK賞
あけとみ陸上クラブ「誰でも楽しめる運動・スポーツ」
「素晴らしい賞をいただきまして、大変嬉しく思っています。(当クラブは)立ち上げの当初から、子どもたちの体力あるいは運動動作、いろいろな課題が見えましたので、他と違う陸上クラブを運営していこうかなということで7年ほど前にスタートしました。子どもたちの体力向上は、昔で言うきついトレーニングをして身につけるのではなく、楽しいスポーツ、楽しい運動、そういったものをメニューに組み込みました。他のクラブから「あれ、陸上クラブなのかあ」と言われたこともありますけれど、後半は正規の陸上競技の練習をしていただき、各大会でびっくりするような記録で優勝する子、入賞する子がたくさん出ております。
いろいろと工夫したメニューを考えるのは、ときどきつらいときもありますが、いろいろな運動・スポーツをやらせることで、子どもたちは夢中になってやってくれます。私は「夢中になる」ことが大好きでして、教える側もやはり夢中にならないと、いい指導はできないんだという気がしています。指導者が夢中になって、子どもたちも夢中になる運動・スポーツを、これからも続けていきたいと思います。
地域の方、保護者の方といったたくさんの大人の方も、運動・スポーツを楽しんでくれております。もっとたくさんの方に運動・スポーツ、そして陸上競技の面白さ、楽しさ、こういったものを伝えていきたいと思います。
今日は、素晴らしい賞をいただきました。忘れずに、琵琶湖まで持ち帰りたいと思います。本日はどうもありがとうございました。(あけとみ陸上クラブ代表・ 金子敏雄氏)」
【ブダペスト世界選手権入賞報奨金授与者 コメント】
■栁田大輝(東洋大学):4×100mリレー 5位入賞
文・写真:明大スポーツ新聞部
「今年は、個人種目で代表になれて、準決勝に進出できて、そこはある程度自分の中で評価できると思う。リレーに関しても、オレゴン世界選手権で悔しい思いをした分、最低限入賞するという部分はクリアできたと思うので、個人種目もリレーもある程度納得のいくシーズンだった。オレゴンではリレーでしか出られなかったのが、今年は個人でも出られたのは、成長できたから個人でも代表になれたと思うので、そこは一番成長できた部分だと思う。(アワードに)去年も呼んで頂き、去年は入賞した方やアスリートオブザイヤーの方を見て、来年はもっと結果を残したいと決意を固めたことを覚えている。今年も世界選手権のメダルを個人でもリレーでも取りたいと、映像や表彰されている選手の方を見て思ったので、来年もまたレベルアップできるように頑張りたいと今、感じている。オリンピックは4年に1回しかないので、まずは個人で代表の切符を自分の手でしっかりつかみたいと思うし、あとはファイナルだけを目指して、それのためにやれることをすべてやっていきたい。」
■坂井隆一郎(大阪ガス):4×100mリレー 5位入賞
文・写真:明大スポーツ新聞部
「2023年はうれしいことも悔しいことも本当にいろいろなことがあったシーズンだった。日本選手権優勝というのはひとつ目標にしていたところなので、そこが達成できたことは本当に良かった。その次の世界選手権では、去年の準決勝進出以上というところを目指していたので、リレーでは5位入賞ができたが、やはりメダルを狙っていたというところもあるので世界選手権は悔いが残るような大会だった。僕自身、日本代表のリレーが2021年の世界リレーと去年のオレゴン(世界選手権)のリレーだった中、世界リレーは3位になることができたが記録的には全然で、オレゴンは失格で、あまりリレーについて良い思い出がなかった。(今年は)ロンドンのダイヤモンドリーグでしっかり結果を出せたし、ブダペストも結果としては5位入賞という結果を残せたので、リレーに対する自信というのがついたようなシーズンだった。去年もアワードにお呼びして頂き、今年も呼ばれることができて良かった。来年は最優秀選手賞(アスリートオブザイヤー)で呼ばれたい気持ちが改めて高まった。オリンピックは僕が目標にしていたところなので、出場することも大事ですし、結果を残すということが目指すところだと思っている。100mと4×100mリレーでどちらも代表を決められるように、頑張りたい。」
■野田明宏(自衛隊体育学校):35km競歩 6位入賞
文・写真:明大スポーツ新聞部
「シーズン始めから調子は良くて、4月の日本選手権・35kmで日本記録を出して優勝することができたので、序盤としては調子が良かったが、その調子を維持できないままブダペストに入ってしまった。メダルを狙える持ちタイムだったが、結果としては入賞に落ち着いてしまったので、結果的に入賞できたことは良かったが、自分が求めていたところよりは少し残念な結果だったかなと思っている。(日本記録更新は)私が出さなくても、今の日本の競歩界のレベルだと誰かが出すと思っていたので、それが今回私だっただけなので、ここからもっとレベルが上がっていくと思う。(日本記録を更新した)良い流れをブダペストに繋げたかったんですけど、やはり結果を大一番で出すのは難しいんだなと思った。選考会が20kmの日本選手権が2月にあるので、そこでしっかり代表権を獲得して、まずは日本代表になることが非常に難しいことなので、しっかり代表になることを今は目指して、トレーニングを積んでいって、そこからパリ五輪に向けてやっていきたいと考えている。ただ、日本で勝つのは非常に難しい状況なので、2月の神戸に向けて今やっていることをやっていきたい。(アワードは)すごい選手ばかりなので、もっと自分も今の結果に満足せずに頑張りたいなと思えた。」
■廣中璃梨佳(JP日本郵政G):10000m 7位入賞
文・写真:明大スポーツ新聞部
「冬季にアキレス腱を痛め、そこから走ったり痛みが出たりを繰り返してしまって、春先なかなか結果が出ないところで、自分の中でもモヤモヤした。自分として5000m、10000mでまた世界で戦いたいと思いつつも、うまくいかない現状との戦いだった。たくさんの方に支えて頂きながら、また世界選手権で5000m、10000mの2種目で戦えたことは自分の中で今後に繋がるレースだった。今年の世界選手権は昨年とはまた違ったレースプランで走って入賞できて、すごくうれしいし、また引き出しがひとつ増えたという気持ちでありながら、世界選手権で学んだ5000m、10000mの戦い方をアジア大会に繋げることができ、2種目とも金メダルを目標にして銀メダルという結果に終わったが、それを次のパリ五輪に繋げられるように2種目で戦える選手になりたい。(アワードの)VTRで他の選手の活躍を振り返って見て、鳥肌が立つくらい自分もこういうふうにアスリートオブザイヤーなどの名誉ある賞に選ばれたいなと感じた。パリ五輪でも今年の自分を超える走り、そして世界でも2種目で戦っている姿に向けてまた険しい道のりになると思うが、そこに立ち向かっていきたいと思った。」
■園田世玲奈(NTN):35km競歩 7位入賞
文・写真:明大スポーツ新聞部
「昨年のオレゴン世界選手権で9位という順位が何よりも悔しくて、私はやはりブダペストの世界選手権で絶対に入賞するという思いで積み重ねてきたので、それを達成することができたのは非常にうれしかった。自分以上に周りの会社の人だったり、普段からサポートしてくれている方や関係者のいろいろな方が力になってくださって、成し遂げられた結果だと思うので、自分だけじゃなく、みんなで戦って出せた結果だと思った。(パリ五輪の種目で)35kmがなくなったのはすごく残念だが、オレゴン大会とブダペスト大会と出場させてもらって積み重ねてきた部分は大きいと思うので、悔いなく今度は20kmに向けて積み重ねてきたことを力として発揮できれば良いなと思う。(アワードは)あまり普段関わらない選手がたくさんいて、その中で自分も誰もが憧れるアワードという表彰式の場でこうやって呼んでいただけたことがとても嬉しく思う。」
■赤松諒一(アワーズ):走高跳 8位入賞
文・写真:明大スポーツ新聞部
「今年はブダペスト世界選手権で目標にしていた入賞を達成することができて、去年はオレゴン世界選手権で悔しい思いをして、予選落ちという形で終わってしまったので、今年は決勝への進出と入賞を目指して無事に達成することができた。2m30の自己ベストを更新することができたので、飛躍の年になった。6月、7月あたりに、上がり調子で良い記録を連発し、2連続で自己ベストを更新することができたので、それはかなり自信になった。アワードにお招き頂き、大変うれしく思っているのと、受賞された方の中には優秀賞をとられていた方もいたので、来年はそういうところを目指して、僕もやっていければいいかなと思う。パリ五輪の出場権はまだ獲得していないので、まずは出場権の獲得を目指したい。ランキングと標準記録の突破で、標準は2m33で走高跳の室外の日本タイ記録になるので、来年は大きな大会が続いていくのでどこかで2m33を達成できるところまで仕上げていきたい。」
【杭州アジア大会金メダル報奨金授与者 コメント】
■上山紘輝(住友電工):200m
文・写真:明大スポーツ新聞部
「前半シーズンは本当に苦しいシーズンを過ごして、アジア選手権と世界選手権に出場させて頂き、徐々に調子を戻すことができて、最後にアジア大会でしっかり結果を残すことができた。(アジア大会は)優勝を目指して出場して、最後の接戦を制して勝てたのがうれしい。本当に望んでいた結果を最後に残せてシーズンを締めくくれたので良かった。(ダイヤモンドリーグ・ロンドンは)急きょ招集されて、ロンドンに向かい短い時間の中で最大限の調整をしてレースに臨み、それが世界選手権に繋がったので、そういうレースに呼んでもらえたうれしさがあり、結果を残したという自信に繋がった。でも世界選手権(のリレー)は走れなかった悔しい思いもしたので、来年以降のパリ五輪、東京世界選手権に向けて代表になってまたリレーを走らせてもらえるように頑張りたい。初めてアワードに来させて頂き、良い経験になり楽しかった。東京五輪に出場できなかったので、目標にしているオリンピックに出たいですし、来年そのチャンスは遠くなく近くもないところかもしれないが、手に届くところにあると思うので、出場を目指して頑張りたい。」
■高山峻野(ゼンリン):110mハードル
文・写真:明大スポーツ新聞部
「全体的な出来としては自己ベストも出せなかったですし、満足のいくシーズンではなかったが、アジア選手権とアジア大会で金メダルを取ることができて、最低限の自分の中で目標にしていたところはクリアできたかなと思う。世界選手権の前に肉離れをしてしまってその影響で、本当はもっと順位を上げて決勝に行けたら良かったが、全体で13位だったので、そこは悔しい。来年はしっかりと走れるように準備したい。(アワードは)今回で3回目だったが、慣れなくて緊張して固まってしまった。栄誉あることなので、強い選手とたくさん交流できたし、貴重な経験だった。来年は、日頃サポートして頂いているスポンサー様だったり、日本陸連の方にしっかりとお返しできるように、パリ五輪に出場して結果を残せるように頑張っていきたい。」
※各受賞コメントは、出席者は日本陸連アスレティックス・アワード2023におけるスピーチを、欠席者については会場で披露された動画メッセージをまとめたものです。また、ブダペスト世界選手権入賞および杭州アジア大会優勝報奨金授与者として掲載した8選手については、当日、明大スポーツ新聞部が行った個別取材におけるコメントを掲載しています。
文:児玉育美(JAAFメディアチーム)
写真:フォート・キシモト
【JAAFファン投票2023 結果発表ライブ配信!】
2023年12月26日(火)18時00分 配信スタート(予定)▼スペシャルゲスト決定!山本有真x北口榛花x横田真人
https://www.jaaf.or.jp/news/article/19312/
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https://www.jaaf.or.jp/news/article/19223/
▼ファン投票結果発表 宇佐美菜穂×たむじょーが3年連続でMCに決定
https://www.jaaf.or.jp/news/article/19299/
【日本陸連アスレティックス・アワード】特設サイト
>>https://www.jaaf.or.jp/award/2023/
▼【日本陸連アスレティックス・アワード2023】アスリート・オブ・ザ・イヤーはブダペスト世界選手権金メダリスト 北口榛花に決定!
https://www.jaaf.or.jp/news/article/19233/
▼アスレティックス・アワード 過去の受賞者
2022 2021 2020 2019 2018 2017 2016 2015 2014 2013 2012 2011