2023.08.16(水)その他

【陸ジョブナビVol.21】競技会を支えるマーシャルのお仕事をご紹介!選手も観客も安心・安全に競技に集中してもらうために



陸上の大会はたくさんの「縁の下の力持ち」によって支えられています。今回は選手のみなさん、観客のみなさんが安心・安全にそして競技に集中できるために競技会を支える審判の一つ「マーシャル」のお仕事についてご紹介します。今回は6月に開催された「第107回日本陸上競技選手権大会」でマーシャル主任を担当したスペシャリスト、陸上の審判歴35年という松本富夫さんにお話を聞きました。

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■マーシャルってどんなお仕事?



「マーシャル」。あまり聞き慣れない言葉だと思いますが、どんなことをされているのでしょうか?競技会を無事に進行するために、選手が何の心配もなく競技ができるように全体を見渡す役目です。トラックやフィールドに石ころ1つも落ちていないように、選手がケガなく競技を進められるように、競技が始まる前から念入りに競技場の見回りや点検をしています。また、近年では観客席での迷惑撮影や盗難などの迷惑行為にも注意をしています。どんなこともできるだけ事前に防止することですね」と松本さん。アスリートはもちろん、スタジアム全体の安心安全を見守ることが、マーシャルのお仕事なのです。
「日本選手権のように審判、補助員がたくさんいる大会もありますし、小さな競技会では審判しかいない時もあります」と大会の規模や人数に応じて、割り当てが変わってくるそうです。日本選手権では20人ほどの陣容になるとか。主任である松本さんが一番先に会場入りし、全員にその日の役割分担を伝えて、松本さん自身は全体を見渡す役目に就くそうです。
「例えばフィールド種目、特にやり投や走高跳のようにトラック内から助走をする選手がいる場合は、トラック種目の選手とぶつかるなどお互いの競技の妨げになってはいけないので、選手の動向を常に確認しています。長距離の場合などは、トラックの角に立って選手を見守っています。途中で倒れたり、棄権者が出た時はすぐに駆けつけて対応しますし、常駐しているドクターや看護師との連携も必須。フィニッシュで倒れ込む選手に対しても、トラックの外に誘導しなければなりません。競技場全体との連携や観察力が求められます」選手のみなさんが安全な環境で、思い切り挑戦するのを陰ながらサポートしてくださっているんですね。


■選手、観客が安心、安全に競技に集中するために


▲6月の日本選手権男子3000mSC(写真:フォート・キシモト)

6月に大阪で開催された日本選手権では、選手が転倒するアクシデントがありました。こういったいつ起こるかわからないアクシデントに備えて、マーシャルのみなさんは待機しています。「例えば3000m障害では疲れてくると水濠を跳び越えにくくなりますし、脚にケイレンを起こすこともあります。今年の日本選手権では男3000m障害が土砂降りのタイミングで行われたので、ものすごく気になっていました。レース中は監察の担当者と複数の目で見ています。棄権しそうな場合はすぐに選手の下へ近づき、本人が途中棄権の意思表示をした時にはすぐに対応できるようにしています」
1日の中で役割分担をし、交代をしながら進めるそうですが、休憩中でも常に競技場へ目を配っているそうです。打ち合わせの時から連絡を取り合い、何かあればすぐに駆けつける体制をとっているそうで、マーシャルの中でも連携して円滑に進めていくことが大切です」と松本さんは言います。

選手のみなさんももちろんですが、観客のみなさんにとっても安心・安全に競技に集中でき、応援できる環境を守ることもマーシャルの役目の1つ。「盗撮や迷惑撮影を防ぐために、日本選手権をはじめ多くの大会で、報道関係者には一般観客と見分けるためビブスやIDをつけてもらっています。今年の日本選手権では選手、関係者や保護者に対しては、撮影エリアが決められていました。観客席で問題があった場合は複数人で対応し、最終的には警察対応になることもあります。また、盗難防止についても普段から巡回をしながら、口が開いているカバンがあったら『閉めてくださいね』と声をかけて回っています。競技に興奮したり、自分の子供の世話などで、つい目を離してしまいますので」場内が盛り上がっている中でも、冷静に競技場を見渡しながら役目を全うしています。
「マーシャルが巡視の時には腕章をつけているので、観客の方々には何か感じることがあれば、何でもいいので言ってほしいです。そういうところから僕らの仕事も広がっていきます。選手のみなさんにも同じことを伝えたいですね。不安なことがあれば、どんな些細なことでもいいから言ってほしい。できる範囲で、できる限りのことをやりますので。私のように元々競技者であれば、選手の不安や、ちょっとした気になることもわかると思うので、お手伝いができると思います」


■マーシャルのやりがいとこれから

松本さんが長年経験を積み重ねてきたマーシャル。近年は年齢層も幅広くなってきたそうです。「昔は60代が多かったですが、中学・高校の教員を中心に若い人も増えてきました。 今は20歳くらいの人もいますよ。女性も増えてきて、大阪陸協のマーシャルには女性が6名います。女子選手の更衣室に行く場合や、競技中に女子選手が倒れた場合は、女性審判に対応してもらうようにしています。これからは陸上の審判も増やしていきたいです。日本陸連で発行しているルールブック審判ハンドブックもあり、審判講習会も開催しているので勉強する場はあります。また、競技経験がある人はぜひ興味をもってもらいたいですね」
これからの陸上界のために、現状打破し続けている松本さんに、マーシャルのお仕事のやりがいについて聞きました。「まず、日本選手権4日間が終わった時は本当にホッとします。今年は日本記録も2つ出たのでうれしかったですね!素晴らしい記録が出たり、名勝負が生まれたりするというのは我々審判も感動します。あとは、競技会が無事に終わることが何よりも大切。6月は日本選手権、マスターズの大会、実業団の大会、大阪選手権があって、6月だけで10日間くらい稼動していますが、どの大会も無事に終わるとホッとします。それが一番のやりがいかもしれないですね」
今後の目標について、「陸上の審判の退職年齢は現在75歳です。審判全体としては高齢の人が多いので、中学、高校の先生をはじめ若い方にも審判をしてほしいなぁと思いますし、次世代に向けた取り組みができればうれしいです。選手としての競技を終えたら審判をして、今度は自分の子供、孫の世代の競技を見ることができます」と話す松本さんからは、陸上競技への情熱、愛情が伝わってきました。選手のみなさんが安心・安全にそして集中して競技に取り組むことでき、観客のみなさんが熱く応援に集中できる裏では、マーシャルのみなさんがしっかりと大会を見守ってくださっていたんですね!競技場に足を運んだ時には、ぜひ注目してみてください!


>>インタビューVol.21(PDF版)はこちら


■松本富夫さん
日本陸上競技連盟S級審判員審判歴35年のベテランマーシャル。自身も学生時代か らスプリンターとして競技を続け、日本パラスポーツ上級指導員、スペシャルオリ ンピックス兵庫県代表ヘッドコーチも歴任。大阪市生涯スポーツインストラクターの資格も持つ。令和4年度文部科学省大臣表彰生涯スポーツ功労者表彰を受けた。


■M高史(えむたかし)さん
1984年生まれ。中学、高校と陸上部で長距離。駒澤大学では1年の冬にマネージャーに転向し、3、4年次は主務を務める。
大学卒業後、福祉のお仕事(知的障がい者施設の生活支援員)を経て、2011年12月より「ものまねアスリート芸人」に転身。
川内優輝選手のモノマネで話題となり、マラソン大会のゲストランナーやMC、部活訪問など全国各地で現状打破している。
海外メディア出演、メディア競技会の実況、執筆活動、ラジオ配信、講演など、活動は多岐にわたる。


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■【応援メッセージ大募集】声援をちからに、挑戦のその先へ
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■【結団式を実施】選手たちが初集結、本大会への士気を高める
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■【日本代表選手が決定】76名の日本代表選手が世界の舞台へ挑む
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【Vol.17 スポーツカメラマン編】感動の瞬間を世界に届ける
【Vol.18 セイコーGGP・日本選手権直前スペシャル】大会担当のお仕事を紹介
【Vol.19 レースマネージャー】ホクレン・ディスタンスチャレンジを盛り上げる
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