2022.01.21(金)その他

【陸ジョブナビ Vol.2 】トラック競技の着順判定や正式タイムの計測を行う「写真判定」のお仕事をご紹介!



「陸上競技」は多くの人たちによって支えられています。ここでは、みなさんが目にしたことのあるお仕事から裏側のお仕事まで、多種多様のプロフェッショナルたちを紹介します。第2回は、フィニッシュラインで着順判定や記録の計測を行う「写真判定」を担当してこられた大阪陸上競技協会の奥田二三夫さんへ、ものまねアスリート芸人のM高史さんがお話を伺いました。

>>インタビューVol.2(PDF版)はこちら


Vol.2「写真判定」奥田二三夫さん


奥田さんと陸上

奥田さんは高校、大学と陸上競技部に所属し、110mハードルに取り組んでいました。
大学を卒業して教員に。陸上競技部の顧問となって生徒の指導をするとともに、競技会では審判に従事。1951年生まれの奥田さんは、70歳を迎えた現在も審判を続けていて、選手時代を含めるともう50年以上も陸上に携わっています。

写真判定のお仕事

日本陸連が主催、共催する競技会、および日本陸連が特に指定する競技会では、必ず写真判定システムを使用しなければならないと規定されています。写真判定は、各選手の正式な記録を計測するために必要な業務です。

奥田さんにお仕事の詳細をうかがいました。
「写真判定は、写真判定装置を操作して、着順やタイムを判定することが中心になります。それだけではなくスタート信号が写真判定装置に入っているか、インカムやトランシーバーで連絡を取り合います」

着順判定や記録計測は、フィニッシュライン上の映像をスリットカメラという器械によって1000分の1秒単位で撮影することで行われます。そのため、写真判定装置が正確に作動しているかを確認することが非常に重要。「競技会が始まる前にゼロコントロールテスト(※1)で1000分の1秒以内に作動しているかを確認します」。ミスがないように、きめ細かい準備が必要になってくるんですね。

写真判定を担当する人数やカメラの台数については、大会の規模によって変わります。
「大きな大会であれば8〜 10人くらいで担当します。カメラも通常はアウトレーン側から映すのですが、大きな大会であればインレーン側からも含めて2台で映すことになります。さらに万が一を考えて予備のカメラを設置することもあります」

そうしてフィニッシュの撮影ができた後は、「ただちに判定作業を行い、結果を情報処理係に送ります。電光掲示板がある競技場では、判定中のライブリザルトが表示されていきます。最終結果を、発表よりも前に判定室で知ることができるのは特権ですね」。

もし100分の1秒まで並んでいた場合でも、「現在の判定装置では画像を拡大して1000分の1秒まで判定できます」と奥田さん。それでも着差がつかない場合は、同着となります。
写真判定の方の緊張やプレッシャーについてうかがうと、「正しい判定をしているという自負があるので、大会の大小にかかわらず特段緊張するということはありません。高校の大会でも日本選手権でも、国際大会であっても同じ気持ちでやってきました。
(トップアスリートを目の前にして)レース前は『おお!』と思うことがあっても、判定中は浮かれることはないですね」。

興奮しても仕事中はあくまでも冷静に淡々とこなしていく姿は、まさに〝職人〟ですね!



写真判定の1日の流れ

まずは写真判定室に入って、判定機の準備からスタート(例えば雷が落ちて写真判定機が壊れるなどといったというアクシデントを防ぐため、試合がない時はすべてのケーブルを外しているそうです)。ケーブルを接続してから判定機を立ち上げて、その日のレースの種目や組数などを登録します。次に1レーンと9レーンのタイムに差がないようにカメラの角度を調整。そして、結果を情報処理係に送るパソコンを立ち上げます。

また、判定室内の作業と並行して、フィニッシュライン横に1着の速報タイムを表示するフィニッシュタイマーとビームストップを設置します。最後に、ゼロコントロールテストを実施。競技が始まると、スタート位置が変わるたびに信号が届くかどうかのピストルテストを行います。カメラの機材関係を試合前にきちんと確認し、微調整。細かい準備と確認が大切なのです。いざ競技が始まると、写真判定室でお互いに声をかけ合い、ミスを防ぐチームプレーが発揮されています。

「トラブルがないように集中して臨みます。競技時間も長いですし、大会によっては数日間にも及びますので、レースの合間はリラックスしながら、そしてスタート前には全員が集中してスタンバイしています。また、あまりに大接戦だとレースに見入ってしまうこともありがちですので、ミスをなくすように『ラスト50m』など声をかけ合っています」

~1日のスケジュール(日本選手権の場合)~
時間業務内容
9:30会場入り
9:45主任会議(※2)
10:15写真判定審判打ち合わせ
10:30判定室内機器準備及び外部機器(インカメラ、フィニッシュタイマー等)設置
11:30昼食
12:00ゼロコントロールテスト
13:10トラック種目競技開始
19:50競技終了
20:00当日の反省および機器の片付け


写真判定のやりがい、今後の挑戦

選手が輝く舞台を支えるため、奥田さんも現状打破を続けています!

「選手が判定記録を見て喜んでいる姿が一番うれしいですね。日本記録が誕生した時など、達成に関係できた時はうれしいですし、喜びを感じます。長く経験してきたので写真判定そのものは後進に譲り、最近は競技会全体を見る立場で審判をしています。トラブルが起こらないように、安全にみなさんから評価をいただける競技会を続けていきたいですね」

写真判定に興味のある中学生・高校生のみなさんに対しては、「どのように判定するのか知ってもらうことと、判定に関するルールも勉強してほしいです。そして、陸上競技はたくさんの審判の尽力で成り立ちます。将来はぜひ、審判員として陸上競技を支えていってほしいです」というメッセージもいただきました!

※1 フィニッシュライン上にスターターピストルを置き、引き金(スイッチ)を引いて信号器を発報(ストロボを発光)させ、それを写真判定装置で撮影し時間を計測。読み取った時間が1/1000秒以内であれば写真判定装置が正確に作業したことが確認できる。(ルールブックTR.19
※2 審判すべての部署(総務、スターター、写真判定、出発、用器具、跳躍、投てきなど)の主任が集まっての打ち合わせ

<写真判定のお仕事について>
陸上競技審判ハンドブック2021-2022(P257~P263)
https://www.jaaf.or.jp/pdf/about/rule/handbook/2105.pdf 

陸上競技ルールブック2021(P181~P188)
https://www.jaaf.or.jp/pdf/about/rule/2021/all.pdf 

<参考>
 写真判定により記録が確定するシーン(U18U16陸上競技大会 ライブ配信より)
 https://youtu.be/wfxNBpyDeGI 
 ▼参考シーン 6:55:59~6:57:00


■奥田二三夫さん
1951年生まれ、70歳。大阪・交野中→寝屋川高→大阪教育大出身。大学卒業後、大阪府内の高校教諭として勤めながら、大阪高体連陸上競技専門部常任委員、大阪陸上競技協会理事を歴任しながら競技運営に尽力。96年日本選手権、97年国体、01年東アジア大会では写真判定主任、07年世界選手権ではトラック進行総務員、その後はトラック審判長を務めるなど、数々の大会運営に携わっている。





■M高史(えむたかし)さん
1984年生まれ。中学、高校と陸上部で長距離。駒澤大学では1年の冬にマネージャーに転向し、3、4年次は主務を務める。
大学卒業後、福祉のお仕事(知的障がい者施設の生活支援員)を経て、2011年12月より「ものまねアスリート芸人」に転身。
川内優輝選手のモノマネで話題となり、マラソン大会のゲストランナーやMC、部活訪問など全国各地で現状打破している。
海外メディア出演、メディア競技会の実況、執筆活動、ラジオ配信、講演など、活動は多岐にわたる。




~月刊陸上競技2月号(1月14日発売)掲載~


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【陸ジョブナビ】~Vol.1 競技場アナウンサー編~
 https://www.jaaf.or.jp/news/article/15737/

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