2023.07.18(火)その他

【陸ジョブナビVol.20】世界で活躍する日本代表選手を支える!国際大会渉外担当のお仕事をご紹介!



陸上の大会はたくさんの「縁の下の力持ち」によって支えられています。2023年は「バンコク2023アジア選手権(タイ・バンコク)」、「ブダペスト2023世界選手権(ハンガリー)」「杭州2022アジア大会(中国)」を筆頭に多くの国際大会が開催される予定です。
今回は、国際大会で活躍する日本代表選手のみなさんをサポートする「渉外」のお話です。日本陸連事務局強化部強化育成課の大野果穂さんに話を聞きました。

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>>バンコク2023アジア選手権
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■渉外ってどんなお仕事?

国際大会の「渉外」とはどんなお仕事なのでしょうか?大野さんが次のように説明してくれました。「メインは海外で開催される国際大会に行くとき、選手団に同行する総務のような担当を務めることです。国際大会以外では、ジュニア世代の選手が国内で合宿をする時に、サポートをさせていただくこともあります」実は、海外での大会で渉外を担当したのは昨年が初めてだったそうです。「これまでは国内で開催した国際大会などの渉外はしていましたが、昨年8月のU20世界選手権(コロンビア・カリ)が本格的な〝渉外デビュー〟でした」と大野さん。
同じ場所で、2015年に世界ユース選手権を開催していたこともあり、当時の渉外担当者から話を聞いて準備万端で臨んだそうです。しかし、「開催地の組織委員会によって大会の準備状況は大きく変わるんですよ。実際は当時とは全然違っていました」と大野さんは笑って振り返ります。「現地に行っても大会の予定が何も出ていませんでした。バスのスケジュールもわからず、翌日の計画も立てられません。どの国際大会でもホテルや選手村に選手団用の窓口が必ずあって、そこに毎日駆け込んでいました。まだ?まだ?という感じでしたね」。
海外ならではのハプニングだそうですが、その後、どうやって情報を得ていったのでしょうか。「大野さん的コミュニケーション術」を教えていただきました。「英語でのコミュニケーションが基本なのですが、国によって話せる言葉が違うので、翻訳機を使っていました。いつも、私たちをサポートしてくれるのは現地のボランティアさんなのですが、英語を話せない人もいます。私も英語が話せません。それでも、身振り手振りで、そして誠意を持ってやれば相手も聞いてくれて『大丈夫か?大丈夫か?』と最後まで気にかけてくれるところもあります。やはり、情熱、ハートが大事ですね(笑)」伝えたい、という熱意が大事なんですね。


カリ2022U20世界選手権での渉外

▼6月に同行したU20アジア選手権


U20世界選手権を例に、渉外のお仕事の詳細を聞きました。「大会前の事務手続きを除くと、まずは出発前の集合場所にちゃんと集合するところから始まります。選手と一緒に空港でチェックインをし、飛行機に乗って出発。現地の空港は基本的に大会のオフィシャル空港なので、到着すると必ず大会関係者が迎え入れてくださいます。そこで挨拶をして、荷物がちゃんと全員分あるのか、棒高跳のポールや、やり投のやりがちゃんとあるかまで確認をして、ホテルへ行く。これがまず第一関門です。荷物の輸送については、特に乗り継ぎがあると余計に心配です」大切なチームの荷物や試合で必要な道具が無事に届いているか、それを確認する大事な役割があるんですね。
ホテル到着後も、慌ただしく準備が続きます。「まずはアクレディテーション(AD)カードを作成します。これが大会期間中の身分証明になります。到着時間にもよりますが、時間があれば選手たちは周辺を散歩したり、身体を動かしたり、種目やブロックごとの活動が始まります。その間に、私たち渉外担当や派遣スタッフはトレーナーさんのケアルームの準備をしたり、翌日のシャトルバスの時間や場所を確認したり、食事の時間を確認したりします。どの大会でも事前に大会のチームマニュアルが送られてくるのですが、基本的にそのとおりに進む大会はほとんどないんですよ。そのため、必ずホテルに行ったらCID(Competition Information Desk)にある掲示物や情報などをこまめに確認しています。そういった掲示物がなければ、現地のボランティアさんなどに聞くようにしていますね」わからないことがあれば、細かく確認をしながら準備していきます。
また、選手の食事や身の回りのことも確認が必要です。「食事は各国で文化や宗教も違うので、どの国の選手でも食べられるようにさまざまな食事が提供されています。生野菜や生魚もある場合がありますので、トレーナーさんやスタッフが先に食事をとって、選手が安心して食べられるか事前に確認もしています。

▼食事内容も入念にチェック


食事以外にも現地の治安などの情報も確認しますし、実際に現地に着いて選手村などの環境を見た上で、現地で選手にも『これはやめましょう』『これをするなら何時までにしましょう』などを伝えていました」例えば、U20世界選手権が開催されたカリの場合は、ホテルの地下がショッピングモールのようになっていて、その外に出ると治安が良くなかったそうです。日本でいうアウトレットのような広大なショッピングモールで、長距離・競歩選手の朝練習はそこの歩道を使ってやっていたそうです。

▼長距離や競歩ブロックの朝練習はショッピングモールで


「どの大会でも日本チームは他の国よりも少し早めに現地入りするので、練習期間中に選手たちはスタジアムなどを視察するようにしていました。大会の前日になると、必ずテクニカルミーティングが行われます。そこでは、走高跳や棒高跳のバーの上げ方などのような競技に関する最終的な連絡事項が伝わるので、それをコーチや選手たちに伝えます。カリではサブトラックの改修が間に合わず、オールウェザー走路でのウォーミングアップが難しい状況でした。それでも、そこにある環境や設備の中でがんばるしかありません」

▼整備が間に合わなかったサブトラックで練習する選手たち


U20世代の大会ということや、コロナ禍だったこともあり、飛行機に初めて乗る選手もいたそうです。「飛行機の乗り方から機内での過ごし方まで事前にオンラインミーティングで説明もしました。ドーピング検査も受けたことのない選手が多いため、検査についての説明などもありました」と大野さん。カリまでは、アメリカを経由して宿泊も挟み、丸一日かけての長旅。そして、約2週間ほど滞在して、再び長時間をかけて帰国します。「大会が終了して翌日に帰るので、『忘れ物をしないように』と『必ず寝坊しないように』とお願いをしていました。無事に日本まで帰ってきた時は、ホッとしましたね」お話からも大野さんの安堵感が伝わってきますね(笑)。


■渉外のやりがい

6月に韓国・醴泉で開催されたU20アジア選手権でも担当され、7月12日より開催されている「バンコク2023アジア選手権」、9月から開催される「杭州2022アジア競技大会」でも選手団に同行する予定。そんな大野さんに、渉外のやりがいについて聞きました。「シニアの場合は海外での試合に慣れている選手も多いのですが、もちろん手厚くサポートしたいと思っています。選手がしっかりと試合までの計画を立てられるようにしたいですし、必要な情報をちゃんと提供できるようにと思っています。今まで渉外をされてきた方々がそういう姿勢だったのもありますし、自分がもし選手の立場だったら何を考えるかという時に、『明日、どうしよう』と考えるのは普通だと思うので」ご自身も大学まで競技をしていたという大野さん。選手時代の経験も生かされていますね。
「競技が終わり、すごく満足した顔や悔しそうな顔を見ると、この先が楽しみだなと感じます。無事に終わると安心します。やりがいというよりも、ホッとする気持ちですね。一緒に参加した選手のその後の活躍はうれしいですし、シニアになってからも活躍していると本当にうれしいですね」。選手たちの生活から競技までサポートするからこそ、いろいろと感じるものがあるのですね。最後に、「『大野さんが同行してくれてよかった』と思ってもらえる渉外を果たせるように自分をアップデートしていきたいです!」と笑顔で締めくくった大野さん。日本代表選手団が世界の舞台で安心して自分の競技に集中し、世界に挑戦するために、大野さんも現状打破し続けます!

▼7月12日(水)から16日(日)まで開催された「アジア選手権」



>>インタビューVol.20(PDF版)はこちら


■大野果穂さん
新潟医療福祉大卒、新潟医療福祉大大学院修了後、2018年に日本陸連へ入局。
日本スポーツ振興センターの次世代ターゲットスポーツの育成支援事業に男女競歩が選定され、当初はそのサポートを担当していた。
現在は強化部強化育成課に在籍し、強化育成に関する業務を担当している。


■M高史(えむたかし)さん
1984年生まれ。中学、高校と陸上部で長距離。駒澤大学では1年の冬にマネージャーに転向し、3、4年次は主務を務める。
大学卒業後、福祉のお仕事(知的障がい者施設の生活支援員)を経て、2011年12月より「ものまねアスリート芸人」に転身。
川内優輝選手のモノマネで話題となり、マラソン大会のゲストランナーやMC、部活訪問など全国各地で現状打破している。
海外メディア出演、メディア競技会の実況、執筆活動、ラジオ配信、講演など、活動は多岐にわたる。


~月刊陸上競技8月号(7月14日発売)掲載~


【バンコク2023アジア選手権】

>>https://www.jaaf.or.jp/competition/detail/1760/


◆日本代表選手紹介男子編
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◆日本代表選手紹介女子編
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【Vol.13 タイム計測編】徹底した準備でランナーの努力を刻む
【Vol.14 通訳編】来日した外国人選手をサポート
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【Vol.16 競技場検定員編】安心・安全、正確な競技会を目指して
【Vol.17 スポーツカメラマン編】感動の瞬間を世界に届ける
【Vol.18 セイコーGGP・日本選手権直前スペシャル】大会担当のお仕事を紹介
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Vol.1~Vol.12(2022年1月~12月)

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