2022.03.22(火)その他

【陸ジョブナビVol.4】競歩の歩形をジャッジする競歩審判員「JRWJ」のお仕事をご紹介!



選手のみなさんが安心して競技会に出場できるのも、審判の皆様の存在があってこそですよね!今回は審判の中でもより専門性が求められる「競歩審判」について、日本陸連が認証するJRWJ(Japan Race Walking Judges /日本陸連競歩審判員)の宇井菜那さんにお話を伺いました。

>>インタビューVol.4(PDF版)はこちら


Vol.4「JRWJ(Japan Race Walking Judges /日本陸連競歩審判員)」宇井菜那さん



写真提供:フォート・キシモト



奥が深い競歩のルール!

競歩審判員のお話をする上で、まずは競歩の基本的なルールについて確認していきましょう。
競歩には「両足が同時に地面から離れることなく歩くこと(ロス・オブ・コンタクトにならない)」「前脚は接地の瞬間から垂直の位置になるまで、まっすぐに伸びていなければならない(ベント・ニーにならない)」というルールがあります。

>>競歩のルールはこちら

そして、競歩審判員はそれらを「いずれも目視で判定する」ことになります。選手の歩型をチェックし、違反かどうかをイエローパドルとレッドカードを使い分けて選手に伝えます。宇井さんによると「イエローパドルは注意です。ちょっと『歩型違反しているように見える』時に教えてあげるのがイエローパドルです。それでも直らない時や(歩型)違反していると判断されればレッドカードが出されて、レッドカード3枚で失格となります」というルールになっているそうです。サッカーのレッドカード(一発勝負退場)とは意味合いが全然違うんですね。

レッドカードは理由も含めて(ロス・オブ・コンタクトまたはベント・ニー)掲示されますが、「主任が出したレッドカードは、その1枚だけで失格になります。例えばフィニッシュ直前まで先頭でも、一瞬でも歩型を崩せば失格になる競技です。最後の最後まで気を抜かずきちんとした歩型で歩かなければいけません」と宇井さん。競り合っているとついついラストスパートしたくなりそうですが、そこが競歩の難しさでもあり奥の深さ、おもしろさでもありますね!

また、近年はレッドカード3枚が出されても失格にならず、ペナルティゾーンで一定時間待機し、再び競技を続行できる大会もあります。宇井さんは東京五輪でそのペナルティゾーンを担当されたそうで、「元々U20やU16のために作られたルールですが、五輪や世界選手権でも導入され、国内のロードの大会でも取り入れられています」。距離に応じてペナルティの時間は変わり、10kmで1分、20kmで2分、35kmで3分30秒、50kmで5分といったかたちです。
ペナルティゾーンには1人1回までしか入れず、その後に4枚目のレッドカードが出された場合は失格となります。国際レースでは英語で指示が飛んでくるため、語学力も求められますね。さらに、競歩審判員に求められる役割について「正確さと公平さ」と宇井さんは言います。「 1人の選手に同じ種類のイエローパドルを2度出さない、レッドカードの発行時も重複や記載ミスや漏れがないかの確認をしますし、イエローパドルを出す時も威圧的にならないように気をつけています」 注意や失格を選手に伝える際にも、細かな気配りや工夫をされているんですね。



競歩審判の1日の流れ

競歩といっても、道路競技とトラック競技の場合で1日の流れは異なります。
「トラック競技は全体の流れに合わせます。道路競技の場合は、スタート1時間半前に全体で打ち合わせをします。事前に配置図が用意されていることが多いですが、持ち場を最終確認します。判定を担当する場合はレッドカードや競歩審判記入用紙に署名をするなどの準備をして、所定の位置につきます。運営、競歩審判主任、競歩審判主任補佐、記録、ペナルティゾーンを担当する場合は部署でさらに打ち合わせ。備品の確認、各担当の役割を把握して運営に支障がないかなど、地元の審判の方々とも間際まで打ち合わせを行うことが多いですね」役割や担当ごとの細かな打ち合わせ、準備の大切さを、宇井さんは教えてくださいました。

競歩審判員の1日は長時間に及ぶので体力勝負!審判目線から見た競歩の魅力について、ご自身も競歩選手だった宇井さんは次のように熱く語っていました。
「奥が深いことですね。始めたきっかけはさまざまでも、いざやってみると自分の身体の使い方や鍛え方などを追い求めていくことが多いです。競技年齢も長いですし、選手たちが『美しく速く歩くこと』を追求する美学が伝わってほしいです。走れないから競歩に転向した選手もいれば、競歩をやることによって逆に走れるようになった選手もたくさんいます。身体の使い方を覚えて補えるようになってくるんですよ。」

~競歩審判員の活躍をライブ配信でチェック!~
https://youtu.be/xpKmlPsqOXA


世界で戦う! 日本競歩界の取り組み

先に述べた通り、JRWJは日本陸連が認証する資格で、日本陸連の主催、共催競技会では必ず任命しなければならないとされています。日本選手権・国体・インターハイなどの大会では、審判の多くがJRWJで構成されているのです。「今までの取り組みがさらに盤石となること、さらに国内でのJRWJの女性審判員は3人しかいないので、女性JRWJを増やすことも目標です。そして、日本にはすでに2人のIRWJ(国際競歩審判員)がいますが、世界で活躍するためには、国内の競歩審判員の判定技術向上は必要不可欠になります」。JRWJの女性審判員3人のうちの1人が宇井さんです。これまでも海外のIRWJを国内大会に招
聘し、選手、審判ともに学ぶ機会を数多く得てきました(※IRWJが3人以上いないと世界記録はもちろん、ワールドランキングに反映される記録として認定されないといった国際ルールもあります)。

特に世界基準で歩型を見直すきっかけとなったのは、2003年のパリ世界選手権でした。日本代表5人のうち3人が失格という衝撃的な結果に。フォームの世界の流れ、国際審判への対策ができていなかったのが原因ということで、それをきっかけに、世界の動きを取り入れるため国際大会の傾向を選手だけでなく競歩界全体で学び直しました。

「常に意識しているのは国際大会の審判の〝目〟です。競歩審判員が出すイエローパドルもレッドカードも、選手への愛情です。『失格=悪』じゃないんです。『失格=次へのステップ』なので、選手がきちんと次のステップにいけるようにしてほしいですね。速かったかどうかよりも、美しいフォーム、きちんとしたフォームということを考えています。世界で戦っていくために情報を公開して、共有することが大事です!」 競歩という種目の特性上、選手、指導者、審判が一緒になって現状打破し続けていくことが求められるんですね!


IRWJ:国際競歩審判員(International Race WalkingJudges)でWAが育成認証する競歩審判員資格。
JRWJ:日本陸連が認証する資格で,日本陸連の主催,共催競技会では必ず任命しなければならない。JRWJは全国各地でその判定技能や競歩競技の運営方法について普及する役目も担っており、競歩競技会でのJRWJの活用を進めている。
『JRWJ取得へのステップ』

【B級審判員】満18歳以上が取得可能
【A級審判員】B級審判員取得後満10年が経過し、高い審判技術と知識を身につけた者。
【JRWJ】(各地域,都道府県陸協から推薦された)A級審判員以上で55歳以下の審判員が
日本陸連実施の認定試験に臨むことができる。

※日本選手権等陸連主催の競歩競技ではJRWJが判定しますが、一般の競歩審判員も競歩審判員主任補佐やペナルティゾーン役員等競歩関係の競技役員を務めることは可能。


■宇井菜那さん
千葉・横芝中→成田高→千葉大出身。現在は「中核地域支援センターさんネット」で障がい者のグループホームに関わる仕事をしている。小学校中学年から陸上を始め、高2秋に中距離から競歩に転向。大学卒業後は福祉業界で働きながら競技を続け、34歳の元旦競歩で引退。2007年にJRWJ取得。東京五輪ではペナルティーゾーン主任を担当した。


■M高史(えむたかし)さん
1984年生まれ。中学、高校と陸上部で長距離。駒澤大学では1年の冬にマネージャーに転向し、3、4年次は主務を務める。
大学卒業後、福祉のお仕事(知的障がい者施設の生活支援員)を経て、2011年12月より「ものまねアスリート芸人」に転身。
川内優輝選手のモノマネで話題となり、マラソン大会のゲストランナーやMC、部活訪問など全国各地で現状打破している。
海外メディア出演、メディア競技会の実況、執筆活動、ラジオ配信、講演など、活動は多岐にわたる。



~月刊陸上競技4月号(3月14日発売)掲載~



▼Race Walking Navi~競歩ナビ~
https://www.jaaf.or.jp/racewalking/

▼東京オリンピックメダリスト&入賞者インタビュー

池田向希選手(旭化成)


山西利和選手



川野将虎選手




アーカイブ

【陸ジョブナビ】~Vol.1 競技場アナウンサー編~
https://www.jaaf.or.jp/news/article/15737/

【陸ジョブナビ】~Vol.2 写真判定編~
https://www.jaaf.or.jp/news/article/15773/

【陸ジョブナビ】~Vol.3 大会運営編~
https://www.jaaf.or.jp/news/article/15841/


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