陸上の大会はたくさんの「縁の下の力持ち」によって支えられています。今回は陸上選手のかっこいい姿を撮影されているフォトグラファーの長瀬友哉さん(株式会社フォート・キシモト)に、 陸上競技の写真撮影について聞きました。
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■フォトグラファーを目指したきっかけと 陸上との出合い
現在、スポーツフォトグラファーとしてアスリートの勇姿を写真に収め続けている長瀬さん。小学校では剣道、中学・高校では軟式野球をしていましたが、大学のスポーツ新聞を作るサークルに入ってから写真を撮り始めました。「スポーツの記事が好きで、大学に入った時はスポーツライターになりたかったのですが、自分でも写真を撮るようになっているうちに、写真のほうが選手の魅力がダイレクトに伝わるかなと思い、就職活動の時にス ポーツフォトグラファーを目指そうと思いました」と今の道に進んだきっかけを話します。陸上を好きになったのは、2013年に入社して今の仕事を始めてから。最初は「種目がこんなにあると思いませんでした」と驚いたとか。でも、同年のインターハイで初めて陸上を撮影した時に衝撃を受けたそうです。
「桐生祥秀選手(当時・洛南高/現・日本 生命)や小池祐貴選手(当時・立命館慶祥 高/現・住友電工)たちが出場していた大会です。目の前をあっという間に駆け抜けていって、すごかったですね!跳躍や投てきも生で観るのが初めてで、人間の身体一つで挑戦していく人たちってすごいなと感じました。観ていておもしろい競技だな、と。年々、選手のことを知っていくうちに陸上競技も好きになっていきました」
2013年インターハイ(長瀬さん撮影)
■年間の撮影スケジュール
トラック&フィールド種目から、マラソン、駅伝、競歩のロードレースまで、年間を通してさまざまな陸上の大会を撮影しています。「トラックは春の日本グランプリシリーズの撮影から徐々にスタートしていき、織田記念や木南記念、静岡国際、セイコーゴールデングランプリ、混成の日本選手権、日本選手権と続いていきます。その後は、夏場の国際大会へ。秋になると全日本実業団対抗選手権や国体などを撮影し、そこから駅伝やマラソンシーズンに入っていきます。」 会社としては、オリンピックで行われている競技はすべて撮影しているため、長瀬さんも陸上以外にもフィギュアスケート、スピードスケート、体操、水泳などさまざまな スポーツ現場に向かいます。そのため、競技によって屋外、室内など撮影する環境が異なります。「外の競技だと太陽の光で明るいので、シャッタースピードを上げられて動きをピタリと止めやすいのですが、暗いとシャッタースピードを上げられないのでどうしても動きがぶれやすく難しさもあります。競技のルール、基本的なことも知っていないといけないですね」■感動の瞬間を逃さず伝えるために
好記録の瞬間、好勝負の瞬間など、大事な一瞬を逃さないためには、事前の準備も大切です。入社当初は「オリンピック、世界選手権の日本代表選手や、前年度優勝選手などをまずチェックしていました」と長瀬さん。キャリアを重ねるうちにチェックすべき選手の幅がどんどん広がっていったそうです。取材当日までには、「出場選手リストやタイムテーブルを見て、どう回るか、どの選手を重点的に撮るかなどを準備します」。陸上は競技時間が長いため、「実施種目が多い大会では1日の移動歩数が2万歩を超える時もあります(笑)」と長瀬さん。 基本的にはカメラを2つ持ち歩くそうで、「多くは望遠レンズで撮って、選手が近くを通って表情を撮る時に中望遠レンズを使います」。ただ、大きなレンズをつけたカメラはとても重たいんです。カメラを持って撮影ポイントを何度も行き来するので、特に普段から体力作りなどをしているわけではないそうですが、仕事をしているだけで体力がつきそうですね! 大会の規模や種目によって、撮影体制が変わってくるそうです。「日本選手権の100mなどでは、多い時には3人体制で協力して撮影します。1人はスタート付近。もう1人はインフィールド(トラックの内側)の中間から80m付近。さらにもう1人はフィニッシュの先の、選手の真正面から。さまざまな場所で手分けをして、アスリートのさまざまな表情を撮影します」。セイコーゴールデングランプリ陸上2022東京(長瀬さん撮影)
マラソンや駅伝の場合は、トラックのように周回コースでないことがほとんど。そのため、「自分の目の前を1回しか通らない、もし撮り逃したら任務失敗と思うと緊張しますね。レースの駆け引きもあって撮りたい選手が集団の後ろや真ん中にいたらどうしようという緊張感があります」とトラックとは違った難しさがあるとか。トラックの長距離種目では何度もチャンスがあるようですが、 ロードの〝一発勝負〟の緊張感はすごそうです!
■フォトグラファーの醍醐味とは?
長瀬さんには、撮影時に心掛けていることがあります。 「レースの走っているところ、例えば100mの全力疾走をしているところも撮りますが、 レース前のウォーミングアップ、その間の 表情やレース後などもしっかりと押さえることをテーマにしています。投てき種目では、 選手の投げる前の集中している様子を撮るのが好きです」 リザルトだけでは伝わらない、選手のみなさんの世界観が写真を通して伝わってきます。「(撮影する枚数は)1つの大会で少なくて2000枚、だいたい3000〜5000枚くらいですね。カッコよく撮れたものが日本陸連さんやメディアで使われた時はうれしいですね」。2021年日本選手権/長瀬さん撮影
フォトグラファーの醍醐味について聞くと、次のように答えてくれました。「日本陸上界も魅力のある選手が増えてきていますし、国際大会で結果を残している選手も増えています。スター性のある選手 のみなさんの魅力を、すぐそばで撮影できることが醍醐味ですね。プレスエリアからのカメラのレンズからじゃないと見えない表情もありますし、写真だからこそ伝えられる魅力があります。写真は〝その瞬間〟を捕らえることができるもの。例えば、走幅跳で着地した時に砂がダイナミックに巻き上がる感じは、写真でしか残せません。あとは、選手が写真を見て、喜んでくれたらうれしいですね。
■未来のカメラマンへメッセージ
近年では多くの陸上ファンのみなさんも、カメラを構えて選手の写真を撮影しています。長瀬さんに写真の上達方法を聞きました。 「どういう写真がカッコイイか、空いている時間にいろいろな写真を見て勉強していま す。そして、何より大切なことは撮影の場数。 『この選手の、こういうところを撮りたい』と 自分でイメージできていれば、いい写真が撮れると思います」 これから写真を撮っていきたいという人に 向けても、メッセージをもらいました。「漠然とスポーツ写真を撮るより、『この選手を撮りたい』という気持ちが大切。そのほうが写真も上達しますし、情熱を持ってできるのかなと思います。なかなか特殊な職業ではありますが、好きなことを仕事にするのは、 踏み出す覚悟と勇気、そして情熱があればできると思います」 選手のみなさんが自分の限界に挑戦する姿を、カッコイイ1枚に仕上げてファンのみ なさんにお届けするために、フォトグラファー の長瀬さんも現状打破されています。東京2020オリンピック 感動の瞬間を届ける長瀬さん
>>インタビューVol.17(PDF版)はこちら
■長瀬友哉さん
1986年11月10日生まれ。2013年に株式会社フォート・キシモトに入社。夏季、冬季さ まざまなスポーツを撮影。主要な国際大会にも現地まで行き、これまで2016年リオ五 輪、2017年ロンドン世界選手権、2018年平昌冬季五輪、2019年ドーハ世界陸上、2021 年東京五輪、2022年北京冬季五輪、2022年オレゴン世界選手権などを撮影してきた。
■M高史(えむたかし)さん
1984年生まれ。中学、高校と陸上部で長距離。駒澤大学では1年の冬にマネージャーに転向し、3、4年次は主務を務める。
大学卒業後、福祉のお仕事(知的障がい者施設の生活支援員)を経て、2011年12月より「ものまねアスリート芸人」に転身。
川内優輝選手のモノマネで話題となり、マラソン大会のゲストランナーやMC、部活訪問など全国各地で現状打破している。
海外メディア出演、メディア競技会の実況、執筆活動、ラジオ配信、講演など、活動は多岐にわたる。
~月刊陸上競技5月号(4月14日発売)掲載~
写真:フォート・キシモト
【セイコーGGP】5月21日(日)横浜で開催!
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「セイコーゴールデングランプリ陸上」は、2011年から始まり今年で12回目を迎えます。今大会は、初開催となる「日産スタジアム」を舞台に世界のトップアスリートが集結し、熱い戦いを繰り広げます。スポーツカメラマンの皆さんのご活躍にもご注目です!!
【日本選手権】6月1日(木)~4日(日)大阪で開催!
>>チケット先行販売開始!
日本の王者が決まる日本選手権。本大会は「オレゴン2023世界陸上競技選手権大会」「バンコク2023アジア陸上競技選手権大会」「杭州2022アジア競技大会」の日本代表選手選考競技会を兼ねており、王者誕生と同時に頂点の先にある「世界」への挑戦が始まります。王者誕生の瞬間に是非ご注目ください!「陸ジョブナビ」アーカイブ
Vol.13~(2023年1月~)
【Vol.13 タイム計測編】徹底した準備でランナーの努力を刻む【Vol.14 通訳編】来日した外国人選手をサポート
【Vol.15 高校生審判編】大会運営を支える高校生たち
【Vol.16 競技場検定員編】安心・安全、正確な競技会を目指して
Vol.1~Vol.12(2022年1月~12月)
>>アーカイブ
【掲載内容】・競技場アナウンサー編
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・世界陸連公認代理人(AR)編
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