Day2:8月20日(日)モーニングセッション
8月20日は、ハンガリーの建国記念日。朝から祝祭日らしい華やいだ空気がブダペストの街に漂うなか、ブダペスト2023世界選手権の大会2日目が行われました。全9種目が実施されたモーニングセッションでは、日本チームは7種目に17名が出場。期間中の各セッションのなかで最も忙しいセッションとなりました。この日は、朝から強い日射しが照りつけ、最高気温が34℃を超える猛暑となりましたが、長く止まっていた時計の針を動かす歴史的なパフォーマンスが現地午前10時26分、早くも30℃に上がった暑さのなかで飛び出しました。男子400m予選の第1組に登場した男子主将の佐藤拳太郎選手(富士通)が快走して44秒77(2着)でフィニッシュ。1991年から更新されていなかった日本記録(44秒78、髙野進)を32年ぶりに塗り替えて、全体2位の成績で準決勝への進出を決めたのです。さらに予選第4組で2着となった佐藤風雅選手(ミズノ)も好走して44秒97をマーク。日本人3人目の44秒台スプリンターとなりました。予選第5組では、中島佑気ジョセフ選手(東洋大学)が45秒15で3着となり、やはり着順で予選を突破。男子400mは3人全員が、中1日空けて行われる準決勝へと駒を進める好スタートを切りました。
同じくフルエントリーした3選手全員が、揃ってラウンド突破を果たしたのが、モーニングセッション最後のトラック種目として行われた男子110mハードルです。5組上位4着+4の進出条件で行われた予選で、まず泉谷駿介選手(住友電工、2組:13秒33、+0.5)と高山峻野選手(ゼンリン、5組:13秒35、-0.9)がともに2着で通過。今回初出場だった横地大雅選手(Team SSP)は、隣のレーンを走っていたRasheed BROADBELL選手(ジャマイカ)が最終ハードルで転倒して横地選手の走路を塞ぐというトラブルに見舞われ、幸いケガはなかったものの14秒39(±0)・8着に終わっていましたが、その後、救済措置がとられることが発表されました。この種目で3選手が揃って準決勝に進出するのは初めて。準決勝・決勝は、8月21日のイブニングセッションで行われます。
モーニングセッション唯一の決勝として行われたのは女子20km競歩。前日の男子と同様に、英雄広場を発着点とする周回コースで、午前7時15分に号砲が鳴りました。レースは、早朝スタートにもかかわらず、刺すような日射しが照りつけるなかハイペースで上位争いが進む展開となりました。日本勢は、藤井菜々子選手(エディオン、ダイヤモンドアスリート修了生)が14位(1時間30分10秒)でのフィニッシュとなり2019年ドーハ大会から続いていた3大会連続入賞は叶わず。ワールドユニバーシティゲームズ(6位)に続くレースとなった柳井綾音選手(立命館大学)は30位(1時間34分59秒)。アジア選手権で銅メダルを獲得した梅野倖子選手(順天堂大学)は35位(1時間36分52秒)という成績でした。
男子400mハードルと男子走高跳もフルエントリーが実現。法政大学のOB・現役トリオで挑んだ男子400mハードルでは、今季、なかなか調子が上がらず苦しい戦いが続いていた黒川和樹選手(法政大学)が快走。シーズンベストで、東京オリンピック参加標準記録に0.01秒まで迫る48秒71をマークして準決勝進出を決めました。今回が5回目の世界選手権となる岸本鷹幸選手(富士通)、初出場の児玉悠作選手(ノジマT&FC)はどちらも50秒台に留まり、悔しい予選敗退となりました。また、男子走高跳では、今季好調の赤松諒一選手(アワーズ)が2m28までに挑んだすべての試技を1回で成功。この種目の予選通過記録は2m30に設定されていましたが、2m28の段階で12選手に絞られたことで、赤松選手は予選トップの成績で決勝に進む結果となりました。長谷川直人選手(新潟アルビレックスRC)は2m28を成功することができず2m25で競技終了。前回のオレゴン大会で8位に入賞した真野友博選手(九電工)は2m18にとどまりました。
このほか、どちらもWAからのインビテーションにより、大会直前に初出場が決まった女子100mの君嶋愛梨沙選手(土木管理総合)と女子円盤投の齋藤真希選手(東海大学大学院)も、ともに予選に臨みました。君嶋選手は11秒73(+0.2)、齋藤選手は53m20で競技を終えています。
<8月20日:モーニングセッション競技後コメント>
◎藤井菜々子(エディオン) ※ダイヤモンドアスリート修了生
女子20km競歩 決勝14位 1時間30分10秒
戦えていなかったのですごく悔しいのと、こんなに力が出せなかったのは久しぶりなので、感情が思いつかないというのが今の心境である。レースは「第2集団で、日本記録ペースの4分22~23秒くらいで進めて、後半で順位を上げていき入賞を」と思っていた。そこは今まで練習してきたので余裕をもってついていけると思っていたのだが、10km過ぎたあたりから脚が重くなりだして、急にピタッと止まってしまった。脚が止まってからは、とにかく腕を振って「前に、前に」と思いながら歩いた。3人前に私が離れた第2集団の選手がいたので、そこから離されないようにすることを意識した。しかし、一人で歩くのはけっこうきつくて、今までは集団で流れに乗って入賞してきていたこともあり、一人のレースというのがなかなか難しかった。どんどん離されて、後ろの選手にも抜かれていって…という形になったので、やはり一人で歩くという練習も必要なのかなと思った。
ここまで、スピード練習を中心に強化をしていて、オレゴン(世界選手権)の状態のときよりも、5~10秒くらい速いペースでトレーニングしてきた おで、スピードには自身があったのだが、逆にスピードをやっていたことで、持久力がおろそかになっていたのかなとも思った。
今回で連続入賞が止まってしまった。3大会連続というのは今までになかったと思うので、そこは成し遂げたかったのだが、ここで一回負けることでパリに向けて厳しい状況を突きつけられたほうが、自分は強くなれるタイプだし、もっと上を目指してやっていかないといけないことはたくさんある。逆に良かったかなと思って、今はすごくすがすがしい気持ちでいる。
◎柳井綾音(立命館大学)
女子20km競歩 決勝30位 1時間34分59秒
「悔しい」という思いはあるのだが、今日は、こういう大きな舞台で歩けたという楽しさのほうを強く感じた。この大会の前に出場したユニバ(ワールドユニバーシティゲームズ、6位)よりは気候もよくて歩きやすい環境だったので、結構最初から2つめの集団についていった。しかし、今の自分の練習量では、まだ足りなくて、その練習量の足りないところを痛感した。平均4分30秒ペース、トータルで1時間30分というところを目標にしていたのだが、やはりまだユニバの疲れであったり、夏場の練習がうまくいかなかったりと、そういうところが響いたと思う。来年はパリオリンピック。ブダペスト(世界選手権に)出られたというのは、大学生のなかで数少ないと思うので、パリに向けて、しっかり準備できるようにしていきたい。
◎梅野倖子(順天堂大学)
女子20km競歩 決勝35位 1時間36分52秒
(銅メダルを獲得した7月の)アジア選手権と違って、自分よりも持ちタイムの速い世界各国の選手たちと歩くことができて、すごく嬉しかったというのがまず一番にある。しかし、やはり出場させていただいたのに全然歩けなかったし、今日のタイムもアジア選手権よりも30~40秒遅いだけなのに、舞台が世界になると順位が下のほうになってしまうことを痛感した。まだまだ強化しなければいけないところがたくさんあること、人一倍努力しなければいけないなということを感じた。今日は、森岡紘一朗コーチから「楽しむことを一番に」と言われていたが、自分は負けず嫌いな正確なので、少しでも前(の順位)で帰ってきたいと考えていた。しかし、(実際には)後ろから抜いてくる選手についていけず、ずるずると順位を落としてしまった。そこでもっとついていくべきだったと悔しく思う。ペースとしては、(1km)4分50(秒)くらいで回していきたいなと思っていて、5分はかかりたくないと思っていたのだが、最後の5kmは脚が全く動かなくて、ずっと5分05(秒)くらいかかってしまった。筋力が足りなさすぎるということを今回の試合で感じた。
◎齋藤真希(東海大学大学院)
女子円盤投 予選A組19位 53m20
すごく楽しむことができた。いつもなら「優勝しなければいけない」とかいうようなものがあるのだが、今回はそういった背負うものがないので、楽しもうと思っていた。ピットでは、周りのことをどうこうというよりは、「スタートをしっかり入ろう」とか、まず自分の動きのことを意識した。(今日の記録となった)最後の3投目はわりと自分の動きができたのかなと思うけれど、1投目(ファウル)からその形できちんと投げることができたらよかったのに…、という気持ちはある。
1投目は、入りは良かったのだが、(円盤が)右に抜けてしまった。2・3回目は、それを修正して、(円盤を)前に飛ばすことはできたものの記録を伸ばすことはできなかった。8月上旬のユニバーシティゲームズに続いての試合だったので、筋力面などを十分に整えることができていなかったところはあると思う。
世界選手権は初めて。今までに経験して国際大会とは全然違うなと思った。ずっとテレビなどで見てきたトップ選手がいて、その舞台に、今、自分も出ているんだと思うと、成長できたなと感じた。そのなかで、自分がこれからやらなきゃならないと思うのはパワートレーニング。体格自体や技術の面はそんなに変わらないと思ったのだが、それだけにパワーの部分が不可欠で、自分には全然足りていないなと痛感した。この冬、死ぬ気でそういう部分を強化していかなければいけないなと思った。今回は(WAからの)インビテーションでの参加だったので、次は絶対にターゲットナンバーに入って、この舞台に戻ってきたい。
◎佐藤拳太郎(富士通)
男子400m 予選1組2着 44秒77
=日本新記録、パリオリンピック参加標準記録再突破、準決勝進出
日本記録を出すことはできたが、しかし、それはまだ目標の一つというか、今大会では(個人種目の400mで)決勝に進出して、マイル(4×400mリレー)ではメダル獲得という目標を掲げているので、ここで日本記録が出たからといって両手放しで喜んで、気持ちを切らせてしまってはいけないなと思っている。ひとまずは日本記録を達成したということを喜ぶが、次の準決勝でタイムを上げられるように頑張りたい。
(タイムは)予選から狙っていった。外のレーンに、ガーディナー選手(バハマ)がいたので、しっかりついていった。最後は少し離されたところにいたものの追いかけて食らいつくことができ、概ね想定通りのレース運びができたと思う。ただ、最後の100mで動きが崩れてしまったのと、最初のもうちょっと行けたかなというのもある。まだまだ改善点のある日本記録というか、ここがベストではないというか。準決勝ではもっとタイムを上げられると自分では感じている。
自分としては入りの100mを11秒2くらいで通過したいなと思っていたのだが(※実際には11秒45)、速度よりフォームを意識して走ったことで少し遅くなってしまった。ここで少し離されてしまったところが、一つ反省点ではある。一方で、200mから300mのところでは、しっかりと速度を上げることができ、概ねやりたかったことはできた。なので200~300mのところがよかったというだけで出た日本記録というのが、自分としての感想である。
今回、(2015年・2017年・2019年と)4×400mリレーで代表選出されていた世界選手権の舞台に、戻ってくることができたわけだが、私のなかでは「代表になる」というよりも、「代表にならなければいけない」という思いが強く、また、自分はマイルチームを引っ張っていかなければいけない存在だと自負しているので、ここに戻ってこられてよかったと思う。
現時点でも44秒50以内は出せると思っているので、(8月22日に行われる)準決勝では、最初の100mと最後の100mをしっかり修正して、タイムを上げたい。44秒50を切ってくると、着順での決勝進出(※条件は3組2着+2)も見えてくる。着順を狙って、着順で決勝に進められるように準備をしていきたい。
◎佐藤風雅(ミズノ)
男子400m 予選4組2着 44秒97
=自己新記録、パリオリンピック参加標準記録突破、準決勝進出
(1組目での佐藤拳太郎選手の)日本記録更新は見ていなくて、実はあとから知った。
というのも、前回大会の予選・準決勝とキラニ・ジェームズ選手(グレナダ)と同じ組だったのだが、今回の予選も一緒だったので、「予選くらいは勝ってやろう」と思い、走る前はそのことに集中していたから。実際にはキラニ選手に続いて2着だったが、スクリーンに出た44秒97の記録を見て、「うわー、やった。誰よりも早く(44秒台に)入ったな。よっしゃー!」と思った。しかし、トラックから戻ってきたところで、(佐藤拳太郎)先輩が日本記録を出していたと聞いて…(笑)。やっぱり偉大な先輩だなと思いつつ、ちょっと素直に喜べない気持ち(笑)になった。
でも、44秒台を出して満足している気持ちよりも、あの記録(44秒77)を更新したいという気持ちのほうが今はすごく強い。準決勝では、しっかり追い越して、「拳太郎さん、オレの勝ちだ!」と言えるにしたい。
予選の走りについては、300mまでしっかり自分のレースをしようと考えて臨んだ。最初の100mがあまりスムーズに加速できず、80mあたりからバックストレートにかけて、やっと自分のレースプランに戻った。そこから300mまでの走りをいつも通りにスムーズにつなげようと思って走っていたのだが、トップで入ることができたことで「あ、調子いい。このまま行こう」と考え、力まずにテンポを合わせることを意識した。キラニ選手に並ばれたとき、少し硬くなって失速してしまったが、あの部分がもう少しうまく行けば、もっとタイムは狙えると感じている。
400mは3人全員が準決勝に進出した。3人のなかで44秒台一番乗りは、拳太郎さんに持っていかれてしまったが、「じゃあ、3人のなかで誰よりも早く決勝へ行ってやろう」という気持ちで、準決勝に臨みたい。おそらくほかの2人も同じことを言うと思うので、そこだけは譲らないように頑張りたい。
<パリオリンピックの参加標準記録を突破したが…との問いかけに>ああ、そうか! 全然考えていなかった(笑)。来年(のオリンピック)のこともあるが、今は準決勝突破のことしか考えていない。パリの標準を切ったことは、世陸が終わってから改めて喜びたい。
◎中島佑気ジョセフ(東洋大学)
400m 予選5組3着 45秒15 =準決勝進出
本当は2着以上を目指していたのだが3着。でも、タイムも悪くない感じで準決勝に進めたし、まだまだ(タイムを)上げられる感じはある。準決勝では、もう一段階上げてしっかり勝負し、決勝に進めるようにしたい。
<前回は、アジア新記録を4位となった4×400mリレーでの出場で、個人種目では今回が初めてとなるが、の問いに>
ここまでに海外でもいろいろと経験を積んで、レースに勝ったりもしているので、個人種目でも世界陸上で戦える自信はある。決勝進出に向けては、準決勝が本当の意味での勝負だと思っている。予選からしっかり(気持ちを)切り替えて臨みたい。2着以内に入れば、タイムは間違いなくついてくる。まずは勝負。しっかり2着以内に入ることを目指して頑張りたい。
◎岸本鷹幸(富士通)
男子400mハードル 予選2組8着 50秒90
悔しい。もうそれだけである。(インビテーションにより直前の参加決定となったが)代表が決まってからは、できず限りのことはしてきた。ただ、1年間を通して戦う身体が準備できていなかったと思う。それらも含めて、もう一度、見直さなければならない。
実は、日本選手権後に、右の坐骨神経に痛みが出てしまっていた。もちろんその時点ではワールドランキングで(出場の)可能性があったわけだが、練習を積める状況ではなかったので、治せるところまで治して、限界が来たら痛くても走ろうという準備になってしまった。今も、良いか悪いかで言ったら悪い状態。でも、ここに来たからには、気にせずに走ろうと思って臨んだのだが、年齢も年齢ということもあり、やはり身体は正直だなと思った。
現状はタイムが物語っているので、今後は、まずはしっかり治したい。来年はオリンピック(イヤー)。(2012年ロンドン大会以来となる)2回目の出場を目指して頑張りたい。
◎児玉悠作(ノジマT&FC)
男子400mハードル 予選4組8着 50秒18
初めての世界選手権。雰囲気とかは、日本の大会とは違う観客の方の声援とかがあり、すごくワクワクしたのだが、その気持ちと身体が一致しなかったというか、コンディションを合わせきれなかったという感じである。7月のアジア選手権(セカンドベストで銀メダル)まではけっこういい感じでくることができていたのだが、その後は練習でも(力を)発揮できない状態になっていた。なんとかこの大会に合わせようと取り組んできたが、まだ足りなかったという感じである。
具体的には、何か大きなケガとかではなく、走りのタイミングが狂ったりハードリングが浮いたりといったところでの少しずつのずれが、タイムでいうと1秒くらいの差になったのかなと思う。
予選は、準決勝に残ることと、来年のオリンピックの参加標準記録(48秒70)を目指して臨んだのだが思ったようにいかなかった。(世界大会ということを)特別視してはダメというのはわかっているのだが、どうしても特別視してしまい、場の雰囲気に呑まれてしまっていた面があると思う。
海外の選手は前半がすごく速くて、僕も(スピードを)出しているつもりだが、それでも置いていかれてしまった。そこで平常心を保てなかったところが敗因なのかなと思う。
今後の展開としては、前半をもう少し行けるようにして、4台目まで13歩だったところを、5台目で行けるようにすれば、もうちょっとのびのびと走れて、15歩の区間も一つ減る。そこは伸びしろと考えてよいと思う。
◎黒川和樹(法政大学)
男子400mハードル 予選5組3着 48秒71=シーズンベスト、準決勝進出
※レース後、医務室へ向かったため、ミックスゾーン対応は行わず。
◎君嶋愛梨沙(土木管理総合)
女子100m 予選7組7着 11秒73(+0.2)
アジア選手権のケガがあって、ベストコンディションで挑めないというところで、ここに来るべきか、スタートラインに立つべきかということをすごく悩んだのだが、世界陸連からインビテーションという形で出場権をいただいたなかで、「チャンスを大切にできる人でありたいという思い」で出場を決めた。今回、シェリーアン・フレイザープライス選手(ジャマイカ)の隣で走ることになり、ここに出るだけも大変なのにインビテーションで出場できて、また、たとえ準決勝や決勝であってもそうはない(フレイザープライス選手の)隣で走る機会を予選でいただいた。本当に素敵な、今後の糧とか肥やしになる経験をさせていただいたなと思っている。
ケガは、右足の足底筋膜炎と、ハムストリングの筋膜炎。現地に来てから走るという形になったので、戦うのは難しい状況であったが、ここでしかわからないこと、感じられないこと、勉強できないことはあるなと思い、出場を決意したが、ここへ来て本当によかったなと感じている。この経験は、自分自身にもプラスになる。帰ってから自分の走りで体現したいし、ほかの女の子たちにも伝え、世界で戦える選手がたくさん増えていくといいなと思った。
◎赤松諒一(アワーズ)
男子走高跳 予選A組1位 2m28 =決勝進出
去年のオレゴンは予選落ち。今年は「絶対に予選を通るぞ」と思って、この大会に臨んできた。(すべての試技を)一発でクリアできたのはよかったと思う。今回、スパイク(シューズ)を新しくした。(2m)18あたりでクリアできたものの(踏み切り時に)足が潰れてしまう跳躍があり、ちょっとひやりとしたのだが、あとはうまく適応することができ、それ以降は、いい踏み切りができた。
2m28は、そこが勝負のポイントになると思っていた高さ。去年も、2m28をクリアしていれば予選通過という感じだったので、一発勝負という感じで思いきり行った。
まだバーを上げていく高さが発表されていないが、決勝も順番に全部跳んでいこうと考えている。確実に一発ずつ(1回目で成功)決めて、自己ベスト(自己記録2m30)を出せればいいなと思う。
自分では、去年よりは成長できているなと思っている。予選を通過できたこともそうだが、決勝では入賞を確実に狙っていきたい。
◎長谷川直人(新潟アルビレックスRC)
男子走高跳 予選B組9位 2m25
初めての世界陸上ではあったが、決勝を目標に来ていたので、(進出のボーダーとなった)2m28を跳べなかったというところで、けっこう悔いの残る試合となった。理想としては、全部の試技を1回目で跳ぶことが目標だったので、そういう意味では、2m22と2m25がともに3回目のクリアとなったことには満足がいかない。焦りだったり緊張だったりが出てしまったのかなと思う。
まず2m28を跳ぶことが、世界大会の決勝に進むためには必要なことだと思う。パリ(オリンピック)や東京世界陸上に向けて、2m28はクリアできるように仕上げていきたい。
実際に戦ってみて、世界レベルの選手では、助走スピードやパワーが日本に比べて段違いに強いと思った。自分も学べるところ、つけていけるところをつけていこうと思った。
◎真野友博(九電工)
男子走高跳 予選B組16位 2m18
記録もさんざんだったので、情けないのひと言に尽きる。状態としては、日本の最後の試合でも上がってきていただけに、それを試合にしっかりとつなげられなかったことが良くなかった。
この競技場の走路がスーパーXで進みやすいので、助走は(進みすぎないように)「抑えて抑えて」という意識になった。そのことによって、中間マークから(スピードを)上げるところにうまくつながらず、全体的にまとまらない助走になってしまった。「抑えて抑えて」を引きずってしまい、最後でしっかりスピードを上げるところの部分が上がりきらない状態となり、自分の跳躍ができなかったという感じである。
今季は、安定感が欠けていることが課題。助走前半の入りなどが安定してきていない。入りのバウンディングの部分にバラつきがあったので、そういったところの改善が今後に課題になってくると考えている。
◎泉谷駿介(住友電工)
男子110mハードル 予選2組2着 13秒33(+0.5) =準決勝進出
ちょっとバランスの悪いレースで、(ハードリングで身体が)浮いたりしたし、(ハードルに)ぶつけてバランスも崩したりもしたのだが、無事にゴールできて、(準決勝に進める)着順に入れたので、準決勝で修正して頑張りたい。スタートは良かったと思うが、そのぶん踏み切り位置が近くなり、ぶつけたりして安定しなかった。そこを修正していきたい。
今季は、ダイヤモンドリーグを経験したことで、トップの選手と競っても焦らなくなった。今の予選も(他選手が)横に見えても、焦らずに行くことができた。そのあたりはオレゴン(前回世界選手権)のときとは全然違う。(メンタル的には)安定していると思う。
準決勝では、まず、組や顔ぶれをみてレースプランを考えていく。さっきもランキング1位のブロードベル選手(ジャマイカ)が転んでしまったと思うのだが、そうならないように落ち着いて臨むことができたらいいなと思う。
◎横地大雅(Team SSP)
男子110mハードル 予選3組8着 14秒49(±0)
※隣レーンの競技者が転倒したことにより走路に影響が出たため救済措置がとられ準決勝に進出(ウォーミング)アップのときの調子はすごく良くて、(指導を受けている)苅部俊二監督からも、「いいよー」と背中を押してもらえる形でレースに臨んでいた。しかし、スタジアムに入ってみると、うまく自分の動きができなかったかなというのは感じた。スタートリストとかを見ても、自分が持ち記録の低い立場で戦うことになる。格上と相手にすることになるので、ものすごく圧力というか、ほかの選手から強いオーラを感じながら戦ったことが、自分の動きに影響したかなと思う。
死にものぐるいで(代表の座を)掴んでやっと経験できた場所。もう少し行けるかなと思っていたし、世界を実際に肌で感じられたことはよかったのが、もうちょっと世界の雰囲気を味わいたかったなという気持ち。
来年(のパリオリンピック)に向けては、まだ標準記録(13秒27)を切れていないので、このあとの国内の大会で標準記録の突破を目指していく。国内にはすでに切った選手、これから切っていきそうな選手はたくさんいて、今のままでは勝てない。もう一回しっかりつくり直して参加標準記録を突破し、この場に戻ってきて、今後はしっかり勝負ができればいいかなと思う。
<その後、救済措置により準決勝進出が決定して>せっかくいただいただいた機会なので、泉谷さん、高山さんと一緒に、決勝を目指して頑張りたい。
◎高山峻野(ゼンリン)
男子110mハードル 予選5組2着 13秒35(-0.9) =準決勝進出
スタートからしっかり出ることができ、いつも落ちてくる中盤から後半が思ったより落ちなかった。僕のなかではかなり良いレースができたと思う。いつもなら、1台目をしっかり入って、そこから2台、3台と刻んでいくのだが、今回は「3台(第1~3ハードル)まとめて1台目」というイメージで行った。それがたぶん良かったのかなと思う。
身体はあまり動いている感じはしなかったのだが、思ったよりもタイムは出ている印象。実は、3週間くらい前に腓腹筋の軽い肉離れを起こし、そこから2週間練習していなかった。しかし、バネはかなりたまっている感じで、疲れがとれているのかもしれない。
しかし、このタイムだと、(決勝進出は)まだまだ厳しい。まあ、準決勝で落ちても、決勝で泉谷くんの手伝いができる(笑)。いつものことではあるが、そのくらいの心持ちでレースに臨みたい。
文:児玉育美(JAAFメディアチーム)
写真:フォート・キシモト
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