2022.08.23(火)その他

【陸ジョブナビVol.9】トレーナー~選手のパフォーマンス発揮を支える!トレーナーのお仕事を紹介~



陸上競技の大会は、たくさんの「縁の下の力持ち」によって支えられています。今回は、選手たちのパフォーマンス発揮を支える「トレーナー」のお話です。日本陸連医事委員会トレーナー部の岩本広明さんにお話をうかがいました。


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2種類に分かれるトレーナーの役割

「トレーナー」と一言で言っても、実は役割によってお仕事内容が異なります。「競技会において競技のサポートをするトレーナー」「選手のコンディショニングやピーキングをするトレーナー」と大きく2種類に分かれるそうです。

競技会で「競技をサポートするトレーナー」は緊急性が高く、競技場はもちろん、ロード種目ではコースの途中、フィニッシュ地点などで選手を搬送し、いち早くドクターに診てもらう必要があります。
「例えば、東京2020オリンピックではレース中に熱中症で意識を失う選手もいたため、医務室にできるだけ早く搬送し、すぐに対応できるよう医師、看護師と連携をとる必要がありました。五輪では涼しいはずの札幌が暑かったので、特に競歩と女子マラソンでは、フィニッシュ後に氷水の中に身体をつけないといけないような高体温の選手が数名出ました。過酷な状況なので、コースの途中で倒れることもあります。そういった場合は、頭部や頚椎の外傷があるかもすぐに確認します。とっさの判断が必要ですし、1人ではできないので、チームで対応していました」 五輪レベルの国際的な競技会になると、7名前後のトレーナーが配置されます。札幌で開催された五輪の競歩とマラソンでは、理学療法士も合わせて40名ほど。日本選手権レベルの大会になると約20名。大会の規模によって変わってきます。

 「選手のコンディショニングやピーキングに携わるトレーナー」は、トレーナーステーションでの活動が主です。選手がレース前に最終のコンディショニングを行ったり、レース後に身体のケアを行ったりします。インターハイなどでは救護ステーション(救護班)とトレーナーステーション(コンディショニング)と分かれて活動をしています。


トレーナーの1日

トレーナーの1日の流れは、競技会の規模によって違ってくるのです。例えばインターハイの場合、競技開始が9時半だったとしたら、約2時間前には会場入りします。
「2時間前というのは、選手のウォーミングアップが始まる時間ですね。トレーナーステーション(選手のコンディショニング)は8時にはオープンするので、そのための準備をします。救護ステーション(不調の選手を救護する)を兼ねながらの場合は、もう少し早く入ってシミュレーションを実施。前日にシミュレーションしないと当日の朝に間に合いません」

競技が始まってからは、トレーナーステーション、医務室の2班に分かれて競技を観察しながら選手の安全確保を目指します。何かあれば相互に対応できるようローテーションを組み、競技が終わるまで運営するそうです。
「緊張の連続ですね。天候によってリスクも変わってきます。雨の場合、棒高跳などは滑りやすいです。そういった危険がある種目は、できるだけ近いところで観察をします」
トラックとフィールドで競技が同時進行している中で、さまざまな状況に対応できるよう救護の体系を変えていきます。もちろん、選手自身が安全に、より高いパフォーマンスができるようにすることが第一。でも、競技運営をよりスムーズにできるよう、次の種目がスケジュール通りにスタートできるように。できるだけ早く選手を搬送するという役割もあります。


▲2022年インターハイ トレーナーステーションでの活動の様子

こんなに違うトレーナーの専門職

トレーナーの役割が大きく異なるため、それぞれのバックグラウンドも異なるようです。
「例えば、日本スポーツ協会公認アスレチックトレーナーの資格を持つ人、医療関係の国家資格では鍼灸師、柔道整復師、あん摩マッサージ師、理学療法士、作業療法士、看護師、救急救命士という資格もあります。
トレーナーといっても専門領域がさまざまで、バックグラウンドも違ってきます」岩本さん自身も、学生時代は陸上部で混成競技などに取り組んでいたそうです。ケガで競技力を上げられなかった時にトレーナーという活動を知り、鍼灸師の資格を取得したのだとか。

日本陸連では共通理解ができるようにセミナーを開催し、セミナーを受講した人が日本陸連医事委員会トレーナー部に登録しているという状況です。現在は700名前後が登録していて、登録後も年間2回研修を継続しています。
インターハイや国体での活動は、ケガをしそうな選手、痛みが少し残っている選手のフォローアップです。
「ケガをしそうな選手、以前ケガをして十分に回復をしていない選手は、ストレッチやテーピングを施します。本来は年間を通じてのサポートが理想ですが、より安全に競技ができるようにと思って活動していますね。『無事に走れました』と笑顔で挨拶された時が、一番やりがいを感じる瞬間ですね」

さらに、高校生のケアの際には心掛けていることがあるそうです。
「『選手にとって何がプラスなのか』をいかに伝えるかですね。もともと定期的に治療を受けている人もいるので、そのトレーナーの方を尊重しながら、正しい情報をきちんと伝えるようにしています。伝え方で気をつけていることは、特に高校生はそこで終わりではないので、『競技を長く続けるために無理をしないこと』です。明らかにケガを悪化させる可能性が高い時は、『無理をしてはいけない』ということを伝えないといけません。走らないほうがいい状況の場合は、指導者に来てもらって状況をお伝えします。全国大会が最初で最後かもしれないですし、選手が『どうしても走りたい』と言った時に、『無理すると後々にこういう影響がある』という情報を伝えています」
岩本さんは、そんな思いを持って活動をしているのです。


トレーナーを目指すみなさんへ

最後に、トレーナーを目指している人や、陸上競技に取り組む選手たちへ、岩本さんからのアドバイスです。
「治療で選手を治すトレーナー、競技をサポートするトレーナーといろんなかたちで陸上競技をサポートする役割があるので、興味を持ってもらえたらと思います。自分が目指すトレーナーに、ぜひなっていただきたいです。
現役の選手にお伝えしたいことは、中学、高校生のみなさんは、第一にケガをしない身体作りをしてほしいということ。また、ケガをした時にどういう対処をするかも大切です。自分の身体の構造を知り、ケガがなぜ起きるのかをぜひ学んでください。対処方法や、バランスの良い栄養を摂ることも含めて、自分のパフォーマンスを上げるための土台作りを継続していける環境を整えていってほしいです」

★日本陸連医事委員会トレーナー部について★
トレーナー部への登録やトレーナーセミナーのご案内はこちらから。
https://www.jaaf.or.jp/about/resist/trainer/



>>インタビューVol.9(PDF版)はこちら



■岩本広明さん

1967年生まれ、54歳。兵庫・稲美中→東播磨高→大体大、大阪鍼灸専門学校(現森ノ宮医療学園)。大学在学中から学生トレーナーとしての活動を始め、夜間で鍼灸資格取得を目指し、卒業後はミズノ株式会社販売促進部でトレーナーとして契約し、2020年までミズノトラッククラブ等の選手のサポート。
日本陸連医事委員会トレーナー部としては発足時(97年)より委員として活動し、五輪は00年シドニー大会に、世界選手権は93年シュツットガルト大会をはじめとして4度帯同をした。06年より陸連トレーナー部長の委嘱を受けた。07年大阪世界選手権の医事衛生のトレーナーの統括を担当、東京2020オリンピックでもトレーナー関連の統括として、東京・札幌両会場で活動した。


■M高史(えむたかし)さん
1984年生まれ。中学、高校と陸上部で長距離。駒澤大学では1年の冬にマネージャーに転向し、3、4年次は主務を務める。
大学卒業後、福祉のお仕事(知的障がい者施設の生活支援員)を経て、2011年12月より「ものまねアスリート芸人」に転身。
川内優輝選手のモノマネで話題となり、マラソン大会のゲストランナーやMC、部活訪問など全国各地で現状打破している。
海外メディア出演、メディア競技会の実況、執筆活動、ラジオ配信、講演など、活動は多岐にわたる。



~月刊陸上競技9月号(8月12日発売)掲載~


「陸ジョブナビ」アーカイブ

~Vol.1 競技場アナウンサー編~
https://www.jaaf.or.jp/news/article/15737/

~Vol.2 写真判定編~
https://www.jaaf.or.jp/news/article/15773/

~Vol.3 大会運営編~
https://www.jaaf.or.jp/news/article/15841/

~Vol.4 競歩審判員(JRWJ)編~
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~Vol.5 イベントプレゼンテーション編~
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