日本陸連は12月15日、2022年に著しい活躍をみせた競技者を称える「日本陸連アスレティックス・アワード2022」を東京都内のホテルで開催。年間最優秀競技者に贈る「アスリート・オブ・ザ・イヤー」をはじめとして、各賞の受賞者を発表し、表彰を行いました。
日本陸連アスレティックス・アワードの開催は、今年で16回目。当該年に活躍した競技者や競技を通じて社会に貢献した方々を称えるとともに、陸上界を支えてくださる方々に感謝の思いをお伝えする機会として、世界選手権が大阪で行われた2007年から始まりましたが、今では、すっかり日本陸上界における年末の風物詩として定着しています。
新型コロナウイルス感染症(COVID‑19)の再拡大が懸念されているため、本年もレセプションは併催せず、表彰式のみを行う形での実施となりました。華やかにドレスアップした姿で登壇した各受賞者たちは、チーム関係者、オフィシャルスポンサーや主催大会共催社などの関係者が見守るなか、表彰を受けたあと、それぞれにスピーチ。会場は、その都度、温かな拍手に包まれました。式典の模様は、本連盟公式YouTubeチャンネルにおいてライブで配信。視聴した多くの陸上ファンからも祝福のコメントが寄せられました。また、アワードの前後では、ゲストやキャンペーンに当選したファンを招いてのトークイベントや選手控室の様子をお届けするインスタライブも実施。これらもライブで配信することによって、競技場面とは異なる選手たちの姿をお届けする機会となりました。
2022年の年間最優秀競技者に贈られる「アスリート・オブ・ザ・イヤー」に選出されたのは、男子競歩の山西利和選手(愛知製鋼)です。山西選手は、オレゴン2022世界選手権男子20km競歩で、日本選手団唯一となる金メダルを獲得するとともに、2019年ドーハ大会に続く2連覇を達成。これらの快挙が高く評価されての受賞となりました。山西選手には、記念のトロフィーと副賞が授与。さらに、ワールドアスレティックス(WA:世界陸上競技連盟)のセバスチャン・コー会長から届いた祝福メッセージの盾も贈られました。
優秀な成績を収めた競技者に贈られる優秀選手賞は、男子35km競歩の川野将虎選手(旭化成)、女子やり投の北口榛花選手(JAL、ダイヤモンドアスリート修了生)、、男子100mのサニブラウンアブデルハキーム選手(Tumbleweed TC、ダイヤモンドアスリート修了生)、の3名が受賞。アワードに出席した北口選手が表彰を受けて挨拶したほか、出席できなかった川野選手とサニブラウン選手からのメッセージが紹介されました。
顕著な活躍を見せ、将来が期待される競技者に贈られる新人賞には、年齢基準を問わず東京運動記者クラブから選出される者と、U20年代(2022年12月31日時点で20歳未満)競技者を対象として日本陸連が選出する者の2種があります。東京運動記者クラブ選出の新人賞には、男子100mの坂井隆一郎選手(大阪ガス)と女子100mハードルの福部真子選手(日本建設工業)が、日本陸連選出の新人賞には、男子短距離の栁田大輝選手(19歳、東洋大学、ダイヤモンドアスリート)と女子競歩の大山藍選手(17歳、鹿児島女子高校・鹿児島)がそれぞれ受賞しました。
また、陸上競技を通じた活動が広く社会に対して貢献した個人や団体を対象とする特別賞には、1997年から世界選手権の国内中継番組において、25年にわたり13大会連続でメインキャスターを務め、陸上競技の認知度向上に大きく貢献した織田裕二さんと中井美穂さんの2人が受賞。日程の都合により、出席はかないませんでしたが、会場ではビデオメッセージが披露。番組中継時を彷彿とさせる2人の軽妙な掛け合いによるトークが繰り広げられ、感謝と思いと今後の陸上界へのエールが寄せられました。
アスレティックス・アワード各賞の受賞理由の詳細は、アスレティックス・アワード特設サイト(https://www.jaaf.or.jp/award/2022/)において紹介していますので、ご参照ください。
また、例年同様に、2022年日本グランプリシリーズの表彰式も行われました。今年、シリーズチャンピオンに輝いたのは、村竹ラシッド選手(順天堂大学)と田中希実選手(豊田自動織機)。村竹選手は、110mハードルで男女全種目を通じて最高となる3569.0ポイントを獲得。また、複数種目でポイントを獲得している田中選手は、3492.0ポイントを得た5000mでランキングトップの座に着いています。
また、今年、日本陸連では、陸上を通じた社会貢献を目指してJAAF×SDGsプロジェクト(日本陸連SDGsプロジェクト)「#LETSTHINK_(レッツシンク)」を7月にスタートし、社会・地域の課題解決のための「陸上」を通じた取り組みを募集しました。そして、10月に多くの応募のなかから、「BEST THINK賞」2団体と、「GOOD THINK_賞」4団体の計6団体を選出しています( https://www.jaaf.or.jp/news/article/17218/ )。今回のアスレティックス・アワードでは、BEST THINK賞に選ばれた関西外国語大学女子駅伝部と奈良マラソン実行委員会を招き、同賞の表彰も行いました。
このほか、オレゴン世界選手権入賞者への報奨金授与も行われています。同大会においてメダル獲得および入賞を果たした山西選手(男子20km競歩優勝)、池田向希選手(旭化成、男子20km競歩2位)、川野選手(男子35km競歩2位)、北口選手(女子やり投3位)、4位に入賞した男子4×400mリレーの佐藤風雅選手(那須環境)、川端魁人選手(中京大クラブ)、ウォルシュジュリアン選手(富士通)、中島佑気ジョセフ選手(東洋大学)、藤井菜々子選手(エディオン、ダイヤモンドアスリート修了生、女子20km競歩6位)サニブラウン選手(男子100m7位)、真野友博選手(九電工、男子走高跳7位)、住所大翔選手(順天堂大学、男子20km競歩8位)の12名が紹介され、このうち出席した9名が登壇。選手を代表して山西選手に、風間明日本陸連専務理事より報奨金のパネルが渡されました。
受賞者のコメントは以下の通りです。
【アスリートオブザイヤー】
■山西利和(愛知製鋼)
「本年のアスリートオブザイヤーに選出をいただきまして、ありがとうございます。大変に光栄に思っております。昨年の東京オリンピックを終えて、3位・銅メダルだったことが、すごく悔しかったので、その足りなかった部分、課題としている部分、周りから要求されている水準に到達していない自分と向き合ってきた1年だったと思います。その成果を、今回のオレゴンの世界陸上で示せたということは、自分のなかでもすごく自信であり、また、来年以降に繋がっていく、一つの誇りだと思います。
今回、こうして選んでいただいて、すごい強いスポットを当てていただいていますが、ここに来るまでに、こうして、このような場で胸を張って立っていられるような選手に育てていただいた、ご指導いただいたすべての方々に、この場を借りて御礼を申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。
2連覇と言っていただいていますが、やはり去年のオリンピックの悔しさというのがまだありますし、去年負けたマッシモ・スタノ選手(イタリア)にリベンジをしたいなという気持ちもあります。来年のブダペスト世界陸上、再来年のパリオリンピックで勝ち続けられるような選手になっていきたいと思います。そのためにもっと…、もちろん勝ち負けも大切なのですが、白黒の基準だけにとらわれずに、自分の枠を広げながら、そこにいろいろな色を散りばめながら、もっと自由に自分の陸上競技を表現できるような、そういう1年間にしていくことで、また、来年、新しいものお見せできると思いますので、また精進してまいります。本日は、ありがとうございました。来年以降もよろしくお願いいたします。」
【優秀選手賞】
■北口榛花(JAL)
「本日は、このような賞をいただき、ありがとうございました。今年は、オレゴン世界陸上での銅メダルもそうですし、ダイヤモンドリーグを転戦することができて、自分の陸上以外の夢である“世界旅行”という夢も少し叶えることができました。今まで、どうしても成績が一番…もちろん、今も大事ですが、そのほかに自分が成し遂げたいことが世界旅行だったので、それに少し近づけた、そんな1年でした。
自分の力だけではなくて、支えてくださる所属の方々、トレーナーの方々、そして今日は、会場に来てくれているディヴィッド・シェケラック コーチ、そして、何よりも一番そばで支えてくれている家族に感謝しています。Děkuji moc trenér.(コーチ、ありがとうございました)
まだまだ自分の夢は世界一であり、本当の世界一は金メダルだけじゃなくて、世界記録も出すことだと思っているので、その夢に向かって、たくさんの人に支えられながらではありますが、ずっと進み続けたいなと思います。本日は、このような賞をいただき、ありがとうございました。これからもよろしくお願いします。」
■川野将虎(旭化成)
「このたびは、優秀選手賞をいただき、誠にありがとうございます。本日は、残念ながら欠席いたしますことをお詫び申し上げます。今年の7月に開催されたオレゴン世界陸上35km競歩で、自身初めての銀メダルを獲得することができました。実は、その道は、とても険しいものでした。今年1月に発症した極度の貧血により、一時は全く歩けなくなってしまい、世界陸上の出場を諦めたときもありました。しかし、所属である旭化成や練習拠点の東洋大学のコーチ、スタッフの方々をはじめ、皆さまが諦めない気持ちで支えてくださったことで目標と覚悟を決め、努力をすることができました。さらに、トレーニングや食事の改善など、日々の取り組みが世界の舞台で想像以上の力を引き出すことに繋がり、銀メダルという結果を残すことができたのだと思います。
改めて私たち選手は、常に多くの皆さまに支えられ、競技に取り組むことができるのだと実感できた貴重な1年となりました。世界に挑戦するための競技生活を支えていただいていることに、心より感謝申し上げます。来年のブダペスト世界陸上や2年後のパリオリンピック、3年後は東京世界陸上と、世界大会が続きます。よりいっそうの成長と、成熟したアスリートの姿で挑戦していけるように、精一杯励んでまいります。今後とも温かいご声援、ご支援のほど、どうぞよろしくお願いいたします。」(文面によるコメント)
■サニブラウン アブデルハキーム(Tumbleweed TC)
「このたび、優秀選手賞をいただき、ありがとうございました。日ごろからサポートしてくれている方々がいなかったら、この賞を受賞することはできなかったと思います。ありがとうございます。今シーズンは、世界陸上で決勝に出場し、ダイヤモンドリーグでも走ることができたので、とても収穫のある、いいシーズンにできたと思います。来年は世界陸上が、2024年はパリ五輪があるので、来年も再来年もしっかり練習に励んで、いい結果を残して、オリンピックに繋げていければと思います。今後ともよろしくお願いします。」(VTRによるコメント)
【新人賞 ※東京運動記者クラブ選出】
■坂井隆一郎(大阪ガス)
「このたびは、このような賞をいただき、本当に光栄に思っています。2022年は、本当に自分にとって飛躍の年になりました。挑んだオレゴンの世界陸上では、100mは準決勝で敗退、4×100mリレーでは予選で敗退という、悔しい結果に終わってしまいましたが、得たものはたくさんありました。この得たものを来年のブダペスト世界陸上、再来年のパリオリンピック、その次の東京世界陸上に繋げていけるように、今後も頑張っていこうと思います。本日は本当にありがとうございました。」
■福部真子(日本建設工業)
本日は、このような賞をいただき、とても光栄に思っています。初めて世界と戦って、すごく差を感じて、悔しい気持ちでいっぱいのシーズンとなったことが、2度の日本新記録更新に繋がったと思っています。来年、再来年と世界大会が続くので、どんどん世界との差を縮められるように、日々精進してまいります。今後ともよろしくお願いいたします。本日はありがとうございました。
【新人賞 ※日本陸連選出】
■栁田大輝(東洋大学)
「今回、このような賞をいただけて、非常に嬉しく思っています。また、自分と同世代の選手たちが結果を残しているなかで、こうして新人賞に選ばれたことで、来シーズンに向けても身が引き締まる思いです。来年以降も世界大会が続くので、来年こそは個人でも世界の舞台で戦って、入賞して、アスリートオブザイヤーに選んでもらえるような選手になって、また、この場に立ちたいと思っています。今後とも、ご支援ご声援のほど、よろしくお願いします。ありがとうございました。」
■大山藍(鹿児島女子高校・鹿児島)
「このたびは、このような名誉ある賞をありがとうございます。 今、この場に立っていることが、自分には信じられなくて、とても感動しています。今まで残してきた成果のなかで、なかなか結果が出ず悔しい思いをし、ときには心が折れそうなこともありましたが、今まで努力をしてきて本当によかったと思います。これからも目標に向かって頑張っていきたいと思います。本日は、誠にありがとうございました。」
【日本グランプリシリーズチャンピオン】
■村竹ラシッド(順天堂大学)
「このような賞を受け取ることができ、本当に光栄に思っています。ありがとうございます。自分が今シーズン、競技をしていくなかで、まさか、このグランプリシリーズのチャンピオンを取れるとは想像もしていなかったですが、今回、チャンピオンになれて、本当に嬉しく思っています。来年にはまたさまざまなグランプリが開催されるので、それにまた挑戦して、世界陸上を目指して頑張りたいと思います。応援よろしくお願いします。ありがとうございました。」
■田中希実(豊田自動織機)
「皆さま、いつも温かい応援を、ありがとうございます。今年度は、世界陸上や来年度の世界陸上のことまで見据えたうえで、たくさんのグランプリシリーズのレースに出場したり、また、参加標準記録や、世界で戦っていける標準あたりを意識して、勝負できることや上のほうのタイムを目指して多くのレースに出ました。背伸びが多くて、自分のなかではあまり納得がいかなかったのですが、1つ1つのレースには一切妥協せずに取り組めた自負はあります。たくさん出た1つ1つに真剣に向き合って取り組んだ結果、蓋を開けたらグランプリンチャンピオンという評価をいただくことができたので、頑張ってきてよかったなと思っています。来年度も世界陸上がありますし、再来年にはオリンピックがありますので、それに向けて頑張っていきたいと思います。今後ともよろしくお願いします。本日は、ありがとうございました。」
【『#LETSTHINK_』BEST THINK賞】
■関西外国語大学女子駅伝部
「知ろう、話そう、つながろう ~陸上競技を楽しく続けるために〜」「このたびは、このような賞をいただくことができ、大変嬉しく思っています。私たちは、陸上競技を継続する女子選手が少ないことに問題意識を持ち、今回の取り組みを行いました。今後の陸上界、そして社会に貢献できるような活動を行っていきたいと思います。本日は、本当にありがとうございました。」(関西外国語大学女子駅伝部・橋本萌氏コメント)
■奈良マラソン実行委員会
「紙コップからトイレットペーパー ~資源を循環、思いも循環~」「BEST THINK賞、ありがとうございます。4日前に、13回目の奈良マラソンを終えることができまして、そこでも、この取り組みをさせていただきました。THINK…考えているだけでは、実行しなければ、この賞をいただく資格はないと思っています。この取り組みを実行し、実現していただいた、奈良マラソンに参加するすべてのランナー、ボランティア、関係する皆さまとともに、この賞をいただきたいと思います。本日は、どうもありがとうございました。」(奈良マラソン実行委員会事務局次長・林潤氏コメント)
【オレゴン世界選手権入賞報奨金授与者 コメント】
■池田向希(旭化成):男子20km競歩 銀メダル
文・写真:明大スポーツ新聞部
「一番大きな目標であるオレゴン世界選手権に向けて1年間取り組んできて結果的に銀メダルで2位だったというところが、良くも悪くも結果に出たと思う。まず一番はメダル獲得を目標にやってきて、終わってみて2番ということで、うれしい反面悔しさというのは日が増すに連れてどんどん出てきた。そこはある意味収穫で、まだまだ上があるということでもあるし、自分が目指すべきところは銀メダルじゃなかったと確信できた。アワードという1年に1度しかない舞台にまた参加させていただいたというのは大変光栄には思う。やはり私も賞を頂きたかったなという思いはある。
まず、来年のブダペスト世界選手権では金メダルを目指して、その先のパリオリンピック、東京世界選手権に弾みがつくように頑張っていきたい。」
■佐藤風雅(那須環境):男子4×400mリレー 4位入賞
文・写真:明大スポーツ新聞部
「2022年は冬季の仕上がりからも手ごたえを感じていたので標準突破での世界選手権への出場を目指していた。日本選手権優勝と日本人歴代8位の記録は出せたが、肝心の世界選手権では準決勝敗退という形で終わってしまい、やはり世界の選手とは45秒の壁が今の日本人の課題かなと感じた。リレーに関しては予選に比べて決勝のタイムを落としてしまったことで、そこをもう少し上げられればメダルは見えてきたのかなと思うので、来年は個人でもリレーでも今年より結果を出せるように頑張りたい。今回は2分台を出して決勝に進出するというのを目標に始まったチームだったが、メダルという目標は決勝進出が決まってから生まれた目標だったので、やはりチームを作った段階でメダルを取る意識でやっていかなければ、本番では目標以上のことはできないと感じた。来年はまた強い4人が集まってメダルを目標に頑張れればいいなと思う。
世界選手権の直後はメダルを取れなかったことがすごく悔しくて、あの場では喜ぶタイミングがあまりなかった。実際にアワードの場に呼ばれて日本記録、アジア記録、4位という結果を実感して大変うれしく思う。来年以降も4×400mリレーがこのように毎年表彰されたらうれしい。」
■川端魁人(中京大クラブ):男子4×400mリレー 4位入賞
文・写真:明大スポーツ新聞部
「2022年は個人で400メートルに出場できた点はすごく良かったが、やはり世界といざ走ってみると予選落ちですごく悔しい結果だった。リレーの方も自分自身としては力を100%出し切れていなかったなと思っていてすごく悔しい一年だった。この経験を来年は生かせるようにしたい。チームとしては2分台で決勝進出というのを目標にしていたのでそれを達成できたことは素晴らしいことに思う。アジア記録を出すことはできたが、アジア記録でもメダルにはまだ少し足りないので、よりアジア記録の更新を目指しつつメダルに近づいていけるように、チームとしての目標を共通認識にして高め合って世界で戦っていけるチームづくりをしたい。
できれば4人全員がそろえば良かったが、僕自身は初めてアワードに出席させていただいて、やってきた結果がこのように表彰されてうれしい。今後も頑張っていかないといけないという気持ちになった。」
■中島佑気ジョセフ(東洋大学):男子4×400mリレー 4位入賞
文・写真:明大スポーツ新聞部
「僕は前半シーズンはケガの影響がありかなり悪いスタートではあった。なんとか日本選手権で4位に入り世界選手権のメンバーに選んでいただいて、実際世界を経験できた。そこで良い経験ができたのがターニングポイントとなり秋シーズンは45秒を3回そろえ、ベストを縮めることができた。来年はその勢いをさらに加速させて45秒の壁を破れるように、そして個人でも世界で戦える選手になりたい。今年、日本が他国から見てもどんでん返しのような感じで決勝まで残って4位に入りアジア記録も更新した。来年以降はもちろん挑戦者ではあるが、メダル争いに絡む常連国を目指していく必要があると思っている。来年以降はチームとしての取り組みも変わってくると思う。誰かひとりがアクシデントで外れても、他の誰かが決勝につなげられるような、コンスタントに結果を残せる強いチームになっていきたい。僕は最近タイムを伸ばした選手なので、正直数年前まではこのようなアワードのステージに立てるとは想像がつかなかった。実際にその場に立ち陸上が自分が輝けるフィールドだと実感した。今後はさらに日本だけでなく世界にも認めていただけるような選手になるためにまた頑張りたいという気持ちになった。」
■藤井菜々子(エディオン):女子20km競歩6位入賞
文・写真:明大スポーツ新聞部
「2022年はオリンピックが終わった年で、なかなか世界選手権に向けて気持ちを持ち直すことが大変だった。そこからの試行錯誤を重ねた一年だったが、それがしっかりと実を結んで世界選手権で6位に入れたことは大きな収穫だった。世界選手権は6位に入ったが中身で言うと納得がいかない部分もある。やはり上の5人と比べるとまだまだ力が及ばないと思うので、そこは次の課題にして取り組んでいきたい。(アワードは)2019年ぶりにも参加させていただいて、その時とは違った心境もあるし、その時と比べると成長できていると思うので楽しかった。2019年は初めての世界選手権で初めて入賞して新人賞を頂きましたが、自分が思っている以上にとんとん拍子に進んでいった年だった。今年は本当に狙いにいって6位に入って呼んでいただいて、そこはまた違ったところだと思った。まずは直近のブダペスト世界選手権で6番以上、メダルに近い順位を目標にしている。パリ五輪では女子初のメダルを目標にしているので着実に成長していきたい。」
■真野友博(九電工):男子走高跳8位入賞
文・写真:明大スポーツ新聞部
「(2022年の)競技を振り返ってみていろいろあったが、飛躍の一年になったと思う。世界選手権で初めて日本代表に選ばれたことも、代表に選ばれるだけでなく決勝に進出して8位入賞できたことが一番の飛躍だった。(世界選手権は)自分自身としては最初は調子が良くていけそうだと思っていた。実際に試合が始まると思うような試合ができなかったが、いつも指導をしてくださる先生が来てくださったのでしっかりと自分の跳躍ができた。(日本に)帰ってきてから『決勝で全然緊張していなかったね』と言われたが実際はとても緊張していた。(アワードは)初めて出席させていただいたが、来年は自分も最優秀選手賞を狙いたい。まず来年は世界選手権に出場し、入賞をしっかりして今回以上の結果を、そしてその翌年のパリオリンピックでメダル争いをできるところになったらと思っている。
高跳び自体がとり立って注目されている種目ではないので今回のアワードに出席したことも含め、これからどんどん高跳びを広めていけるように結果を残していきたいので、応援していただきたい。」
■住所大翔(順天堂大学):男子20km競歩8位入賞
文・写真:明大スポーツ新聞部
世界選手権に初めて出場することができて、しっかりと自分で納得のいく結果を残せたところが今年一番印象に残っている。それ以外に、世界選手権に出場するにあたって改善すべき点が多くあったのも現状なので、まだまだ自分は未熟者として今後成長していくために良いステップになった年だったと思う。金メダルを取られた山西選手(利和・愛知製鋼)や池田選手(向希・旭化成)に比べると練習の質がまだそのレベルにいけていない。基本的に夏場のレースというのを体験してこなかったので、暑熱対策の経験が劣っていたところだったので改善していく必要がある。初めて(アワードに)参加させていただいて陸上をやり始めてからアワードに出られる選手になりたいと思っていたので、今回出られてとても光栄だった。欲を言えばアスリートオブザイヤーを目指して頑張りたいと今回思ったので、翌年にでも目指して取れればいいかなと思う。
(今後の)目標としてはメダルを目指して頑張っていきたいのと、日本人は競歩で強い選手がそろっているので、メダルの独占を個人的には目指してみたい。銅メダルでもいいのでそこを目指して頑張っていきたい」
※各受賞コメントは、出席者については日本陸連アスレティックス・アワード2022におけるスピーチを、欠席者については会場で披露されたメッセージを中心にまとめました。また、オレゴン世界選手権入賞報奨金授与者として掲載した選手については、明大スポーツ新聞部による個別取材におけるコメントを掲載しています。
文:児玉育美(JAAFメディアチーム)
写真:フォート・キシモト
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