2022.05.06(金)大会

【セイコーゴールデングランプリ陸上 展望】トラック編~世界王者コールマンに、日本のトップスプリンターの多田・小池が挑む!



セイコーゴールデングランプリ陸上2022東京」(セイコーGGP)が5月8日、ワールドアスレティックス(WA)がダイヤモンドリーグに次ぐ国際主要大会と位置づけて展開する「コンチネンタルツアー」のゴールド(最高峰)として、東京・国立競技場で開催される。

昨年夏に開催された東京オリンピック以降、国立競技場で開催する国際大会は、これが初めて。海外トップアスリートの招聘が実現しただけでなく、有観客での開催も決定。ワクワクに満ちた華やかな「GGP」が3年ぶりに戻ってくる。当日は、男子9、女子5の合計14種目が実施されるタイムテーブル。来日するメダリストたちとの勝負はもちろんのこと、オレゴン世界選手権出場を目指しての参加標準記録への挑戦や、代表入りを目指す国内選手間の戦いにも注目が集まる。ここではトラック編とフィールド編に分けて、注目の選手や見どころを、ご紹介していこう。


文:児玉育美(JAAFメディアチーム)
写真:アフロスポーツ


男子100m



今回のセイコーGGPで実施されるトラック種目は、男子は100m、400m、800m、110mH、400mH、3000m障害物、女子は200m、1500m、100mHの計9種目。このうち、“世界大会メダリスト”の来日が実現し、日本勢がどう挑戦するかに注目したいのが、男子100m、男子400m、男子400mH、女子200m、女子100mHの5種目だ。
男子100mには、9秒76の自己記録(2019年)を持ち、2019年ドーハ世界選手権金メダリストのクリスチャン・コールマン(アメリカ)が参戦。昨年の東京オリンピックには出場できなかったが、今年3月に行われた世界室内選手権60mでは、東京オリンピックを制したラマント・マルチェル・ヤコブス(イタリア)に続き、銀メダルを獲得。屋外でも200mで19秒92と上々の滑りだしで、母国開催の世界選手権イヤーを発進している。100mの屋外レースは、このGGPが初戦となるだけに、その走りは、世界の耳目を集めるはずだ。対する日本勢は、昨年の日本選手権チャンピオンで、東京オリンピックにも出場した多田修平と、同じく昨年の日本選手権200m覇者で、東京オリンピックは100mに出場した9秒台スプリンター(9秒98)・小池祐貴の“住友電工コンビ”がコールマンに挑む。オレゴン世界選手権参加標準記録は10秒05。国内代表権獲得の“激戦区”であるだけに、コールマンと競う中で、突破を目指していきたいところだろう。この種目には、ダイヤモンドアスリートの柳田大輝(東洋大)の参戦も決まった。ここ一番に強い柳田が、格上選手たちを相手に、どんな走りを見せるか。

男子400m

男子400mには、100m9秒86、200m19秒70、400m43秒45の自己記録を持ち、東京オリンピック4×400mRで金メダルを獲得しているマイケル・ノーマン(アメリカ)がエントリー。トップスプリンターとして活躍した母・伸江さんの故国で、400mの今季初戦に臨む。日本勢は、東京オリンピック4×400mR予選で日本タイ記録を樹立した佐藤拳太郎(富士通)、川端魁人(中京大クラブ)、伊東利来也(住友電工)に加えて、木南記念で安定して45秒台をマークした佐藤風雅(那須環境)がエントリー。世界選手権参加標準記録44秒90の突破を目指す。

男子400mハードル



男子400mHには、東京オリンピックで当時の世界記録を上回る46秒17を出して銀メダルを獲得したライ・ベンジャミン(アメリカ)が出場する。木南記念で世界選手権参加標準記録とぴたり同じの48秒90をマークしたばかりの黒川和樹(法政大、東京オリンピック代表)が、ベンジャミンを追うレースを展開することで、昨年出した48秒68を更新してくるようだと面白い。法政大のOBで、世界大会での代表経験を持つ岸本鷹幸豊田将樹(ともに富士通)も、木南記念・静岡国際に続いて3戦目となるこのレースで、参加標準記録突破をクリアしてきそうな勢いを見せている。

100mハードル



女子では、100mHで、好記録誕生の期待が高まる。海外からは、東京オリンピック金メダリストで世界記録保持者(12秒20)のケンドラ・ハリソン(アメリカ)と、銅メダリストのメーガン・タッパー(ジャマイカ)の参加する豪華な顔ぶれが実現した。対する日本勢も華やかさでは負けていない。12秒台ハードラーで東京オリンピックにも出場した寺田明日香(ジャパンクリエイト)と青木益未(七十七銀行)がエントリー。今季、好調なのは青木で、4月に12秒86をマークし、寺田と2人で保持していた日本記録(12秒87、2021年)を早々に塗り替えている。ハリソンらトップハードラーとともに、インターバルを刻むことで、さらなる新記録誕生もあり得そうだ。寺田は、今季はゆっくりとスタートしていく戦略で、織田記念を欠場したことで、GGPがシーズン初戦となる。いきなりトップギアで入るのか、それとも徐々に加速を増していくのかは、青木との日本選手権での激戦を予測するうえでも興味が持たれるところだ。

女子200m

女子200mには、東京オリンピック女子4×400mR(優勝)と男女混合4×400mR(3位)で2つのメダルを獲得しているリンナ・アービー(アメリカ)がエントリー。200mでも22秒25の自己記録(2018年)を持つアービーは、今季は22秒91(+3.2)で走っている。日本の女子4×100mRは、昨年の世界リレーで東京オリンピックとともに、オレゴン世界選手権4×100mRの出場権も獲得済み。世界リレー、東京オリンピックを走った青山華依(甲南大学)、齋藤愛美(大阪成蹊AC)、鶴田玲美(南九州ファミリーマート)は、アービーの胸を借りて、自己記録の大幅な更新に挑んでほしい。

男子3000m障害物 女子1500m



日本勢の快走、あるいは“ガチンコ勝負”が楽しめそうな種目もある。
日本記録更新を期待してしまうのが、男子3000m障害物と女子1500m。男子3000m障害物には東京オリンピック予選で8分09秒92の日本新記録をマークして決勝に進み、7位入賞を果たした三浦龍司(順天堂大学)がエントリー。また、女子1500mには東京オリンピックで予選・準決勝で日本新記録を連発、準決勝では日本人女子で初めて4分を切る3分59秒19をマークして決勝進出を果たし、決勝でも再び3分台をマークして8位に入賞した田中希実(豊田自動織機)が出場する。三浦は昨年、セイコーGGPに代わって、コンチネンタルツアーゴールドとして国立競技場で開催された東京オリンピックテストイベント(Ready Steady Tokyo)の3000m障害物で日本新記録を樹立しており、一方の田中も、2020年に、コロナ禍の競技活動自粛期間が明けた8月、国立競技場最初の陸上競技大会として行われたセイコーGGPの1500mで日本新記録をマーク。どちらも国立競技場との相性はピカイチだ。もしかしたら両種目で再びの日本新記録誕生のアナウンスを聞くことができるかもしれない。



この2種目は、三浦・田中以外にも注目選手が出場してくる。3000m障害物には、昨年、オリンピック参加標準記録(8分22秒00)を突破して東京オリンピック出場を果たした山口浩勢(愛三工業、8分19秒96)と青木涼真(Honda、8分20秒70)を筆頭に、昨年、自己記録を伸ばしてきた阪口竜平(On)、潰滝大記(富士通)、そして4月の兵庫リレーカーニバル2000m障害物で5分29秒11をマークして阪口に塗り替えられていた日本最高記録を奪還した楠康成(阿見AC)が揃う。セイコーGGPでは唯一、アジア大会代表選考指定種目となっており、アジア大会代表の座、さらには三浦に続いての世界選手権参加標準記録(8分22秒00)突破を狙った熾烈な戦いとなるだろう。
女子1500mでは、東京オリンピック代表の卜部蘭(積水化学)が出場する。1年1年着実な成長を見せ、昨年、4分07秒90まで記録を伸ばしてきた選手。東京オリンピックはWAワールドランキングによる出場だったが、オレゴン世界選手権に向けては、参加標準記録(4分04秒20)を突破して、アメリカ陸上界の聖地と呼ばれるヘイワード・フィールド(世界選手権開催会場)に立ちたいはずだ。

110mハードル

近年の著しいレベルアップにより、男子110mHは、外国人招待選手がいなくても、世界レベルに近いレースが展開されている種目。その筆頭となった13秒06の日本記録保持者、泉谷駿介(住友電工)が、足首の違和感がとれず、出場をとりやめたことは惜しまれるが、それでもなお注目選手が顔を揃える。今季、大きな躍進をみせそうなのが村竹ラシッド(順天堂大)。昨年、東京オリンピック参加標準記録(13秒32)をクリアする13秒28をマークして、泉谷が保持していた学生記録を塗り替えたことで、すでにライジングスターとして注目されている選手だが、この冬を越えて、スピードもパワーも著しくアップしている。織田記念では雨・向かい風・低温という悪条件下をものともせず13秒55(-1.5)で優勝。GGPで世界選手権参加標準記録(13秒32)突破と優勝が狙える一番手といえるだろう。東京オリンピック代表で元日本記録保持者の高山峻野(ゼンリン)も、もちろん注目選手。今季は13秒74がシーズンベストだが、いったんある程度の水準の記録をマークすると、そこでの安定感は群を抜く。日本選手権に向けて、どう体調を上げていくかを見ておきたい。昨年13秒41まで記録を伸ばしてきた藤井亮汰(三重県スポ協)も、13秒3台に突入できる力を持っている選手だ。

男子800m

新たな顔ぶれが次々と台頭し、群雄割拠の戦国時代の様相を呈しているのが男子800m。全体の記録水準が上がり、ベテラン・若手が入り乱れて誰が勝ってもおかしくない状態ができつつある。昨年、1分43秒85の自己記録をマークしているアイゼイア・ジュウィット(アメリカ)とのレースになることで、1分45秒75の日本記録、さらには1分45秒20の世界選手権参加標準記録を、複数が上回ってくる可能性が十分にある。1500mとともに「陸上競技の格闘技」とも呼ばれる種目だけに、ハイペースのなかでの駆け引きに満ちあふれた激しい鍔迫り合いを見せてほしい。
近年になく好調な滑りだしを見せているのが、日本記録保持者の川元奨(スズキ)だ。1分45秒75の日本記録は、日本大学時代の2014年のこの大会でマークしたもの。木南記念では、1分45~46秒台の自己記録を持つ若手を押さえて、1分47秒02の大会新記録で快勝しており、8年ぶりの日本記録更新と参加標準記録突破が狙える状況に仕上げている。
昨年、急成長を遂げて、川元とともに日本記録保持者に名を連ねた源裕貴(NTN)は、故障からの復帰途上ということで今季はスローな滑りだし。連戦を積むなかで調子を上げていこうとしている。源と同様に、昨シーズンに日本人3人目の1分45秒台ランナーとなった金子魅玖人(中央大学、1分45秒85)は今年も元気。オレゴン行きを目指して、標準記録の突破を虎視眈々と狙う。この種目では、5月3日に行われた静岡国際での好走が評価され、薄田健太郎(筑波大学、1分46秒17=日本歴代5位)と四方悠瑚(宝塚市陸協、1分46秒49=日本歴代8位)が追加でのエントリーを果たした。2選手が、このチャンスをどう生かせるかも見守りたい。



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■5月7日(土) 国立競技場で日本一・オレゴン世界選手権日本代表が決まる!
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