6/12(金)~14(日)「第110回日本選手権」
名古屋で開催!
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2026.06.09(火)選手

【記録と数字で楽しむ第110回日本選手権】日本新や好記録が期待されそうな種目は?全種目の「ミニ見所ポイント」:男子トラック種目



男子100m、男子走幅跳、女子やり投の3種目については詳細な記事を紹介したが、他にも「日本新」のアナウンスが期待されたりそれに迫る好記録が生まれそうな種目がたくさんある。ここでは、全種目について、記録や数字に関する話題を中心にその見所を簡単に紹介する。
なお、以下に紹介する過去の日本記録は、「日本記録変遷史」に残るもので、「2位だったが従来の日本記録を上回った」というものは含まない。

・記録と情報は、原則として5月31日判明分。
・現役選手の敬称は省略。
・「アジア大会派遣設定記録」の有効期限は、2026年1月1日から日本選手権の決勝が実施された日まで。
・上記「派遣設定記録突破者」が日本選手権で優勝すれば「代表内定」となる。それ以外は突破者の記録最上位が選出される。ただし、全体の「派遣枠」の関係で条件を満たしていても選出されないこともある。


男子100m

・日本記録/9秒95(+2.0)山縣亮太(セイコー)2021.06.06
・アジア大会派遣設定記録/10秒15/クリア済=小池祐貴、小室歩久斗、多田修平ら計7名



日本選手権で「9秒台」がマークされたことはまだない。大会記録は、サニブラウン・アブデル・ハキーム(フロリダ大=当時)の10秒02(2019年)。参加資格記録は9秒台1名に10秒09以内7名。自己ベストでは9秒台が3名に同10秒09以内6名。

「2.0mに近い追風」に恵まれれば、「日本新」の可能性もありそうだ。
17歳・高校3年生の清水空跳(石川・星稜高)が9秒台で走れば世界歴代で「史上最年少9秒台」であり、地球上で「もっとも小さな9秒台スプリンター」ともなる。清水が2025年の全国インターハイで10秒00の「U18世界最高記録」で走った時の平均ストライド(204.5cm)の身長比は、「124.7%」。ウサイン・ボルト(ジャマイカ)が2009年世界選手権で9秒58の現世界記録で走った時の身長比とまったく同じというのは興味深いデータだ。


男子200m

・日本記録/20秒03(+0.6)末續慎吾(ミズノ)2003.06.07
・アジア大会派遣設定記録/20秒48/クリア済=鵜澤飛羽



日本選手権3連覇中で20秒11がベストの鵜澤飛羽(JAL)に23年ぶりの日本記録更新と「19秒台」の期待がかかっていたが、6月5日に欠場を表明。
これによって優勝争いは混沌。そうなると1991年6月25日生まれでまもなく35歳となる超ベテラン飯塚翔太(ミズノ)が一気にクローズアップされる。

これまでに優勝4回(13・16・18・20年)。日本選手権には中央大学2年生だった11年が初出場で今回で16年連続出場となる。11年からの成績は、4位・2位・1位・3位・決勝を欠場(15年)・1位・3位・1位・予選途中棄権・1位(20年)・6位・7位・5位・4位・3位(25年)。予選で途中棄権の19年以外の14回はすべて決勝に駒を進めた。決勝を欠場した15年を除き、1位4回、2位1回、3位3回、4位2回、5位1回、6位1回、7位1回。メダル獲得は出場15回のうち半数以上の8回になる。

この種目での最年長優勝は、飯塚自身が20年に制した時の「29歳3カ月と7日」。歴代2位は、15年の藤光謙司さん(ゼンリン)の「29歳1カ月26日」である。今回、飯塚が優勝すれば、「34歳11カ月20日」で5年以上の大幅な更新となる。この快挙が実現するか、若手選手がそれを阻むか?


男子400m

・日本記録/44秒44 中島佑気ジョセフ(富士通)2025.09.14
・アジア大会派遣設定記録/45秒55/クリア済=中島佑気ジョセフ、林申雅、佐藤風雅



中島佑気ジョセフ(富士通)が25年東京世界選手権でマークした44秒44は、国別記録の29位。100mの9秒95が30位、200mの20秒03が42位なので個人の短距離種目では最上位だ。

中島の26年初戦は、5月17日のゴールデングランプリの45秒29。これは、シーズン初戦のタイムとしては自己新で、25年の45秒88を大幅に上回っている。

自己ベスト44秒台が3名出場するが、複数が同じレースで44秒台をマークすればすべての競技会を含めて史上初となる。
手動計時の時代を含めて日本選手権で日本記録がマークされたのは5回。最後に出たのは、大会記録でもある91年の高野進さんの44秒78だ。


男子800m

・日本記録/1分43秒45 落合晃(駒大)2026.05.30
・アジア大会派遣設定記録/1分46秒28/クリア済=落合晃、クレイアーロン竜波、四方悠瑚、源裕貴ら計10名



5月に1分43秒90と1分43秒45の日本記録を連発した落合晃(駒大・2年)と歴代2位・1分44秒63のクレイアーロン竜波(ペンシルベニア州立大)は残念ながらエントリーしていない。しかし、1分44秒94の四方悠瑚(4DIRECTIONS)を筆頭に日本歴代3~10位の8名が出場する。

日本選手権にペースメーカーはいないが、1分44秒94から1秒以内に8名という実力拮抗の選手が競り合う中でのハイレベルなレースに注目だ。


男子1500m

・日本記録/3分35秒42 河村一輝(トーエーネック)2021.07.17
・アジア大会派遣設定記録/3分36秒53/クリア済=飯澤千翔、森凪也



日本記録の国別順位は53位。
日本選手権で「日本新」がマークされたのは、1924年・63年・71年の3回で55年前が最後。

前回3分36秒81の大会新で2連覇した飯澤千翔(住友電工)が「3連勝(22年も含め4回目の優勝)」を達成すればこの種目での連勝記録としては、4連覇の3名(浜田常盛/1931~34年。水野一良/70~73年。小林史和/2005~08年)についで歴代4位タイとなる。

25年と26年5月30日の間に3分39秒99以内が走ったことがある15名がエントリー。展開次第では日本新や大会新など好記録続出の可能性がありそうだ。


男子5000m

・日本記録/13分08秒40 大迫 傑(NIKE)ORPJT)2015.07.18
・アジア大会派遣設定記録/13分14秒36/クリア済=森凪也



参加標準記録の13分36秒00をクリアした83名がエントリー。大会初日に予選が3組で行われ6着までが最終日18時05分の決勝に進出する。
日本記録の国別順位は35位。日本選手権で日本記録がマークされたのは、1935年・村社講平さんと63年・円谷幸吉さんの2回。大会記録は、13分13秒56(伊藤達彦/Honda/2024年)。

エントリー記録は13分19秒99以内が8名。
今シーズンになって増子陽太(早大・1年)が従来の「U20日本記録(13分22秒91/佐藤圭汰/22年)」を2度更新。4月11日に13分22秒87、5月4日に13分20秒35をマーク。5月4日のレースでは増子には先着されたが栗村凌(中大・1年)も13分21秒99で走った。こちらの記録争いにも注目だ。


男子110mハードル

・日本記録/12秒92(+0.6)村竹ラシッド(JAL)2025.08.16
・アジア大会派遣設定記録/13秒53/クリア済=村竹ラシッド、泉谷駿介、阿部竜希ら計6名



12秒92の日本記録を持つ村竹ラシッド(JAL)は、残念ながら不出場だが、それに続く選手もレベルは高い。

2025年世界100位は13秒47。入傑した日本人は、8名。国別人数は、29名・アメリカ、11名・ジャマイカについでフランスと並んで世界の3位。13秒99以内ならば52名でアメリカの158名に次いで世界2位、中国の29名を大きく上回る。

大会記録は、23年に泉谷駿介(住友電工)がマークした当時の日本新だった13秒04(-0.9)。泉谷の優勝は、21~23年の3連覇と25年の計4回。今回、5度目の制覇となれば、この種目の優勝回数としては、安田寛一さんの7回(1957~62年=6連覇、64年)に続き歴代2位で、谷川聡さん(98・99・02・03・05年)と内藤真人さん(01・05~08年=4連覇)と並ぶことになる。


男子400mハードル

・日本記録/47秒89 為末 大(法大)2001.08.10
・アジア大会派遣設定記録/49秒46/クリア済=黒川和樹筒江海斗小川大輝ら計9名



エントリー記録48秒99以内が6名。2枚のアジア大会代表切符を目指して最後の直線を複数で競り合う中で、25年ぶりの「日本新」がアナウンスされる可能性もありそうだ。

25年世界100位は49秒52で日本人の入傑者は14名でアメリカの19名に続いて世界2位。3位・イギリスが6名、4位・中国が5名なので日米の層の厚さが抜きん出ている。

47秒89の国別記録の順位は25位で世界歴代56位。為末さんが47秒89で走った25年前のそれは、世界歴代20位、国別記録の順位は13位。現時点での記録に当てはめると、歴代順位では「47秒38」、国別順位では「47秒50」に相当する。「四半世紀前の為末さんと並ぶ」ためには、このタイムを出す必要がある。少しでも近づいてもらいたい。


男子3000m障害物

・日本記録/8分03秒43 三浦龍司(SUBARU)2025.07.11
・アジア大会派遣設定記録/8分25秒83/クリア済=青木涼真、新家裕太郎、佐々木哲



25年東京世界選手権8位入賞でアジア大会代表内定の三浦龍司(SUBARU)は不出場。
三浦が不在の日本選手権は24・25年に続き3年連続となる。

過去2回を制したのは、日本歴代2位・8分18秒75(25年)の青木涼真(Honda)で今回は「V3」への挑戦だ。25年2位の新家裕太郎(愛三工業)、同3位の佐々木哲(早大・2年)らが「初戴冠」を目指す。


野口純正(国際陸上競技統計者協会[ATFS]会員)


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