世界最高峰シリーズ、ダイヤモンドリーグ(DL)の年間成績上位者で争うファイナルの第1日が9月13日、ベルギーの首都ブリュッセルのヘイゼル競技場で行われました。東京2025世界選手権の開幕まで、この日でちょうど残り1年。男子100mのサニブラウンアブデルハキーム選手(東レ、ダイヤモンドアスリート修了生)と、男子110mハードルの泉谷駿介選手(住友電工)が出場し、パリオリンピックのメダリストらに挑みました。
日本勢の先陣を切ったのはサニブラウン選手。気温13度と冷え込み、「体が温まり切らなかったかなという感覚」だったそうで、今季好調のスタートで先行できませんでしたが、30m以降の加速で盛り返しました。中盤は3~4番手争いを演じ、10秒10(追い風0.1m)で6位。「スタートから話にならない。めちゃくちゃ反応が遅れて、そこから全然組み立てられなかった」と悔しそうに話しました。アキーム・ブレーク選手(ジャマイカ)が9秒93で優勝しました。
サニブラウン選手は、パリオリンピックの準決勝で自己新記録となる日本歴代2位の9秒96をマークしましたが、決勝に進出できませんでした。8月30日のDLローマ大会は10秒05で5位に入り、DLのポイントを積み上げ、日本選手ではこの種目で初めてファイナルの出場権を獲得。英国で調整して臨みましたが、「疲れがだいぶきていた。集中し切れていなかった」。シーズンで蓄積した疲労はピークに達していたようです。
今季の試合はこれで終了。拠点の米国に戻り、コーチと落ち着いて今季を振り返る予定です。「世界の選手たちも速くなっているし、そこに自分が食らい付いて追い抜けるようにしたい」と世界トップを目指す決意を新たにしました。東京2025世界選手権の目標は、「決勝はマストかなと思う。しっかりメダルに食い込まないと、今までやってきたことの意味が全くない」。自国の大舞台での飛躍を誓いました。
泉谷選手は2年連続で男子110mハードルのファイナルに出場。まずまずのスタートで3〜4番手につけましたが、2、3台目のハードルに足をぶつけて十分に加速できず、13秒33(追い風0.4m)をマークして6位でフィニッシュしました。昨年の4位に及ばず、「この結果なので、正直、(ファイナルに)出られたとは言えない」と厳しく自己評価しました。
昨年の世界選手権で日本勢初の入賞となる5位。今季は試合になると体に力が入りにくく、ハードルに足をぶつけてしまうレースが続いていると言い、「練習でやっていることがうまく本番でできない。練習と試合の感覚が違い過ぎて、直すことが難しい」と苦悩を吐露しました。
パリオリンピックは準決勝で敗退となり、「自分に失望した感じがすごく大きい」。今も気持ちの整理がついていないと言います。オリンピック後は本職ではない100mに挑戦し、10秒30の自己新記録をマーク。今大会に向けて2回ほどハードルを越える練習をこなし、動きの感覚は悪くなかったというだけに、もどかしそうでした。今季の110mハードルのレースは、これで一区切りの予定です。
オリンピックの金メダリストたちは、難しいコンディションの中で躍動しました。男子棒高跳びのアルマント・デュプランティス選手(スウェーデン)は、6m11の大会新記録で快勝。女子走り高跳びはヤロスラワ・マフチフ選手(ウクライナ)が1m97で制し、女子100mはジュリアン・アルフレッド選手(セントルシア)が10秒88で優勝しました。
大会最終日の14日には、日本から女子やり投げにパリオリンピック金メダリストの北口榛花選手(JAL、ダイヤモンドアスリート修了生)が登場。女子5000mに田中希実選手(New Balance)、男子やり投げにディーン元気選手(ミズノ)が臨みます。
◆サニブラウンアブデルハキーム(東レ)※ダイヤモンドアスリート修了生
疲れがだいぶきていました。体も心も。スタートから話にならないですね。めちゃくちゃ反応が遅れて、そこから全然組み立てられなかったです。40~60mは悪くなかったかなと思いますが、それもスタートで出られないと全く意味がないので。集中し切れていなかったと思います。
案の定ちょっと寒かったですね。体が温まり切らなかったかな、という感覚です。みんなよくここで良いタイムを出すな、と思います。シーズンの最後の最後で、もう本当に残っているものもない状態で出て。やり切った感はものすごいです。
(今季は)パーソナルベストも出していますし、悪くないのですが、自分の望んでいた結果とは違った結果になりました。100%以上(の力)を出さないと勝てないような世界になってきています。世界の選手たちも速くなっていますし、そこに自分が食らい付いて追い抜けるようにしたいです。
来年の東京世界選手権まで1年を切りました。あっという間なのかなと思います。1日を大切してやっていければ。決勝はマストかなと思います。しっかりメダルに食い込まないと、今までやってきたことの意味が全くない。今年の悔しさを胸に、より良い結果、より良いパフォーマンスができればなと思います。
◆泉谷駿介選手(住友電工)
練習でやっていることがうまく本番でできない。本番と練習のギャップがすごくあります。練習と試合の感覚が違い過ぎて、直すことが難しいです。ハードルに当たっちゃう。体がふわふわして、力が入りづらいというか、お腹が締まらない感じがシーズン中、ずっと続いている感じです。
原因はよく分からないです。現地に来た時も動きの感覚は悪くなかったんですけど。単純に気持ちがもう切れちゃっているのかもしれないですね。集中し切れていない。この結果なので、正直(ファイナルに)出られたとは言えないです。
(パリオリンピックを終えて)気持ちの整理がついていないところもあるし、自分に失望した感じがすごく大きいです。こういう(大きな)試合で結果を出せる方だったんですけど、力を出し切れない。
写真:アフロスポーツ
サニブラウン日本人初のファイナル
日本勢の先陣を切ったのはサニブラウン選手。気温13度と冷え込み、「体が温まり切らなかったかなという感覚」だったそうで、今季好調のスタートで先行できませんでしたが、30m以降の加速で盛り返しました。中盤は3~4番手争いを演じ、10秒10(追い風0.1m)で6位。「スタートから話にならない。めちゃくちゃ反応が遅れて、そこから全然組み立てられなかった」と悔しそうに話しました。アキーム・ブレーク選手(ジャマイカ)が9秒93で優勝しました。
サニブラウン選手は、パリオリンピックの準決勝で自己新記録となる日本歴代2位の9秒96をマークしましたが、決勝に進出できませんでした。8月30日のDLローマ大会は10秒05で5位に入り、DLのポイントを積み上げ、日本選手ではこの種目で初めてファイナルの出場権を獲得。英国で調整して臨みましたが、「疲れがだいぶきていた。集中し切れていなかった」。シーズンで蓄積した疲労はピークに達していたようです。
今季の試合はこれで終了。拠点の米国に戻り、コーチと落ち着いて今季を振り返る予定です。「世界の選手たちも速くなっているし、そこに自分が食らい付いて追い抜けるようにしたい」と世界トップを目指す決意を新たにしました。東京2025世界選手権の目標は、「決勝はマストかなと思う。しっかりメダルに食い込まないと、今までやってきたことの意味が全くない」。自国の大舞台での飛躍を誓いました。
泉谷、2年連続の出場
泉谷選手は2年連続で男子110mハードルのファイナルに出場。まずまずのスタートで3〜4番手につけましたが、2、3台目のハードルに足をぶつけて十分に加速できず、13秒33(追い風0.4m)をマークして6位でフィニッシュしました。昨年の4位に及ばず、「この結果なので、正直、(ファイナルに)出られたとは言えない」と厳しく自己評価しました。
昨年の世界選手権で日本勢初の入賞となる5位。今季は試合になると体に力が入りにくく、ハードルに足をぶつけてしまうレースが続いていると言い、「練習でやっていることがうまく本番でできない。練習と試合の感覚が違い過ぎて、直すことが難しい」と苦悩を吐露しました。
パリオリンピックは準決勝で敗退となり、「自分に失望した感じがすごく大きい」。今も気持ちの整理がついていないと言います。オリンピック後は本職ではない100mに挑戦し、10秒30の自己新記録をマーク。今大会に向けて2回ほどハードルを越える練習をこなし、動きの感覚は悪くなかったというだけに、もどかしそうでした。今季の110mハードルのレースは、これで一区切りの予定です。
金メダリスト躍動
オリンピックの金メダリストたちは、難しいコンディションの中で躍動しました。男子棒高跳びのアルマント・デュプランティス選手(スウェーデン)は、6m11の大会新記録で快勝。女子走り高跳びはヤロスラワ・マフチフ選手(ウクライナ)が1m97で制し、女子100mはジュリアン・アルフレッド選手(セントルシア)が10秒88で優勝しました。
大会最終日の14日には、日本から女子やり投げにパリオリンピック金メダリストの北口榛花選手(JAL、ダイヤモンドアスリート修了生)が登場。女子5000mに田中希実選手(New Balance)、男子やり投げにディーン元気選手(ミズノ)が臨みます。
【DAY1 競技後コメント】
◆サニブラウンアブデルハキーム(東レ)※ダイヤモンドアスリート修了生
男子100m 6位 10秒10
疲れがだいぶきていました。体も心も。スタートから話にならないですね。めちゃくちゃ反応が遅れて、そこから全然組み立てられなかったです。40~60mは悪くなかったかなと思いますが、それもスタートで出られないと全く意味がないので。集中し切れていなかったと思います。
案の定ちょっと寒かったですね。体が温まり切らなかったかな、という感覚です。みんなよくここで良いタイムを出すな、と思います。シーズンの最後の最後で、もう本当に残っているものもない状態で出て。やり切った感はものすごいです。
(今季は)パーソナルベストも出していますし、悪くないのですが、自分の望んでいた結果とは違った結果になりました。100%以上(の力)を出さないと勝てないような世界になってきています。世界の選手たちも速くなっていますし、そこに自分が食らい付いて追い抜けるようにしたいです。
来年の東京世界選手権まで1年を切りました。あっという間なのかなと思います。1日を大切してやっていければ。決勝はマストかなと思います。しっかりメダルに食い込まないと、今までやってきたことの意味が全くない。今年の悔しさを胸に、より良い結果、より良いパフォーマンスができればなと思います。
◆泉谷駿介選手(住友電工)
男子110mハードル 6位 13秒33
練習でやっていることがうまく本番でできない。本番と練習のギャップがすごくあります。練習と試合の感覚が違い過ぎて、直すことが難しいです。ハードルに当たっちゃう。体がふわふわして、力が入りづらいというか、お腹が締まらない感じがシーズン中、ずっと続いている感じです。
原因はよく分からないです。現地に来た時も動きの感覚は悪くなかったんですけど。単純に気持ちがもう切れちゃっているのかもしれないですね。集中し切れていない。この結果なので、正直(ファイナルに)出られたとは言えないです。
(パリオリンピックを終えて)気持ちの整理がついていないところもあるし、自分に失望した感じがすごく大きいです。こういう(大きな)試合で結果を出せる方だったんですけど、力を出し切れない。
写真:アフロスポーツ