パリオリンピック男子マラソンは、大会10日目の8月10日、現地時間の午前8時00分にスタートします。
大会まで2日となった8月8日、日本代表選手の事前会見がオンラインで行われました。会見には、小山直城(Honda)、赤﨑暁(九電工)、大迫傑(Nike)の3選手が、個々に対応。大会を直前に控えた現在の状態や心境、大会本番での目標について述べたのちに、各メディアからの質問に答えました。
各選手のコメント(要旨)は、以下の通りです。
>>【記録と数字で楽しむパリオリンピック】男子マラソン
https://www.jaaf.or.jp/olympic/paris2024/news/article/20640/
【小山 直城(Honda)】
レースに向けて順調に練習ができたので、いつも通りの状態ができている。気持ちの面では(本番)2日前ということで緊張しているが、想定通りの緊張の範囲。いつも通りのレース前の感じかなと思っている。
レースでは、8位入賞を目指している。ここの8位入賞を取れば、来年の世界陸上東京大会の内定条件の一つも当てはまる。そこを目指して頑張っていきたい。
(※東京2025世界陸上の選考要項では、パリ五輪3位以内が内定条件の一つとなる。詳細はこちら)
パリのコースは、最初の15kmで坂があるが、その1回目の坂から勝負が始まると思っている。また、東京オリンピック、リオオリンピックと、だいたい25kmくらいからレースが動いていたので、今回もそのようになるのかなと考えている。
このオリンピックに向けては、アメリカ・コロラド州ボルダーで高地トレーニングと坂対策を行ってきた。距離走の場所も、そういう起伏に対応できる場所で練習してきたので、オリンピックの坂対策は大丈夫かなと思っている。ボルダーでの(海外高地)トレーニングは、今回が初めて。最初の1週間くらいは高地の順応と暑さで呼吸が苦しかったが、慣れてくると普通に練習することができた。海外ということで、集中した環境で練習することができたのが一番良かったと思う。
8位入賞に向けて、鍵になってくるのは、レース状況の見極めかなと思っている。レースで集団が分かれるタイミングをしっかり見極めていきたい。
【赤﨑 暁(九電工)】
今の身体の状態は、(九電工・綾部健二)総監督から出されたメニューをある程度しっかりとやってこられているので、問題はないかなと思っている。また、レースに向けての今の気持ちも、緊張というよりは「ワクワク」のほうが強いような感じである。今まで3カ月間、しっかりと練習してきているので、その成果を発揮できるように頑張りたい。
<オリンピック史上最大とも言われるアップダウンの対策は? の問いに>
距離走であったり、坂ダッシュしたりというような形で、坂ばかりを走ってきた。それはポイント練習だけでなく、ジョグ中にも坂に行くなどして、しっかりとそこで足腰を鍛えていった。そこ(アップダウン対策)はできていると思う。
坂に対して行ってきたこの3カ月間の練習は、本当にしんどかった。今回走るオリンピックのコースよりも、きつい坂を走って強化してきていて、その坂練習中に何回も、「止まりたい」「やめたい」と思ったが、「ここでしっかりやらないと、オリンピックでは戦えない」という気持ちで乗り越えてきた。
レース展開については、まだ想像ができていない状態。走っていくなかで、しっかりと自分で考えていかければいけないかなと思っている。まずは、練習してきた成果をしっかり出せるようにやっていきたい。練習で一番やってきたのは坂なので、そこで集団から離れないようにすることを意識してレースも挑んでいこうと考えている。
パリは、日本より湿度が低いというところで、日中もすごく過ごしやすいし、朝は半袖では寒いくらい。日本よりは走りやすい気候なのかなと感じている。湿度が低いので、レースでは、喉が渇いていなくても、5kmごとにしっかりと給水をとって、脱水にならないように留意したい。
【大迫 傑(Nike)】
順調にトレーニングができてきているので、問題はないと思っている。非常にアップダウンのあるタフなコースになるが、いつものレースと同じように、しっかりと自分の力を出しきるところを心掛けて走ればいいかなと思っている。
<具体的な目標を、の問いに対して>
僕自身、いつもレースのなかで後悔のないようにしっかりと(力を)出しきることを考えている。その結果がどうなるかはわからないが、精いっぱいやって、8月10日の8時にいい気持ちでスタートラインに立つことが、まずは僕自身の、(レースまで)あと2日の目標となる。
コースについては、パリが東京からも、(拠点としている)アメリカからも遠いこともあり、(今回)到着してから車で走り、一番タフな坂を見ただけである。とはいえ、傾斜が何%であるかとか、どのくらい続くのかとかいうことは、データを見れば一目瞭然。詳しいことは言えないが、そのへんを海外の合宿で想定しながら、自分なりの調整で対応してきた。
<3回目のオリンピック。過去大会との心境の違いやオリンピックに対する捉え方の変化は? の問いに>
常にどの大会もそうだが、僕は準備段階から「身体も心もベストの準備」を心掛けてやってきている。今回も、いい緊張感とともに、「しっかり走りきれるかな」という不安や、「どういった走りができるかな」という期待感は、ほかのいろいろな大会と同様に持ってきた。なので、(過去のオリンピックと比較して、何か)変わるところはない。また、オリンピックに限らず、僕は、すべての大会において価値があると考え、その価値ある大会に対して、どんな大会であっても、そのときにできる100%の努力をして向かっていく気持ちで取り組んでいる。今回は、それがオリンピックとなっているが、その気持ちは、どの時期を取っても変わりないと思う。
※コメントは、記者会見冒頭で各選手が述べたコメントと質疑応答における回答の一部を抜粋してまとめました。発言の意図が正確に伝わることを目的として、適宜編集を加えています。
構成・文:児玉育美(日本陸連メディアチーム)
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