Day9:8月9日(金)
パリオリンピック陸上競技9日目の8月9日、モーニングセッションでは、男子4×400mリレーの予選が行われました。この種目の決勝は、トラック&フィールドの最終日となる8月10日に行われますが、駒を進めるためには、全2組で行われる予選で、各組上位2着以内もしくは3着以降の記録上位2チームに入る必要があります。メダル獲得を目指す日本は、1走から中島佑気ジョセフ選手(富士通)、川端魁人選手(中京大クラブ)、佐藤風雅選手(ミズノ)、佐藤拳太郎選手(富士通)のオーダーで、ボツワナ、イギリス、アメリカ、ドイツ等の強豪が集まった第1組に出場。序盤から上位でレースを展開しました。最終的に着順での通過には僅かに届かない4着でのフィニッシュとなりましたが、2分59秒48の日本新記録をマーク。2組1着のフランスが2分59秒53でフィニッシュした時点で、4位入賞を果たした2004年アテネ大会以来となる5大会ぶりの決勝進出を確定させました。
日本チーム各選手のコメントは、以下の通りです。
男子4×400mリレー 予選
日本(中島佑気ジョセフ、川端魁人、佐藤風雅、佐藤拳太郎)
1組4着 2分59秒48 =日本新記録、五輪日本人最高記録、決勝進出1走:中島佑気ジョセフ(富士通)
このメンバーで、一人一人が実力を出せれば、確実に決勝と日本記録更新は可能だと思っていた。この日本新記録は、それがしっかりできた証拠かなと思う。今回、1走を務めたが、個人(400m)の悔しい結果(予選敗退)を修正して、1走からしっかり流れをつくることをチームの戦略として構えていた。僕の役目としては先頭集団で(バトンを)持ってきて、2・3・4(走)を前(の位置)で展開するところを目標としていた。決勝では、個人でもしっかりいい走りをして、チームとしても一丸となってメダルを取りたい。
2走:川端魁人(中京大クラブ)
前半の1・2走で、いい形、いい順位で3・4走につなぐということは、チームの作戦でもあった。それがまずはある程度できたということでよかったと思う。僕の仕事は、レーンがオープンになったときに、3着以内に入ること。いい位置(2番手)が取れて良かった。決勝では、このメンバーで、東京(オリンピック)では果たせなかった、また、先輩方がまだ取れていないメダルという大きな目標に向かって、もう一度チーム一丸となって頑張りたい。
3走:佐藤風雅(ミズノ)
ほかの国がすごく強いことはわかっていたので、もう少し後方の順位…5番手、4番手での争いになるかなと思っていたところを、2番手で(バトンを)渡してくれた。それが改めて自分の仕事を冷静にできる走りにつながったと思う。1組目はほとんど決勝のようなメンバーだったが、そのなかでの4着。もう少し内容を修正すれば、2分58(秒)も見えてくるレース展開だったと思う。2組目の結果を待っている時間はかなり緊張したが、ただ、「これで通らなかったらしょうがない」くらいのメンタルだった。しっかり通過することができて本当に嬉しい。決勝では、メダル獲得を目標に頑張りたい。
4走:佐藤拳太郎(富士通)
4走は、とにかく“大砲だらけ”のエース区間。最初のメンバー発表のときも、かなり緊張していた。そのなかで、アメリカには抜かれてはしまったが、4着でフィニッシュできたことは一つよかったところかなと思う。ただ、今日のレースは、前の3人がしっかりつくってくれて、3人のおかげで出せた日本記録。私自身の走りとしては、まだまだ完成度が低く、本当はアメリカに先行されてはいけないところで先行され、イギリスに離されてはいけないところで離されてしまった。まだまだ力不足だなと感じている。メダルを取ることを目標にしているチームなので、「こんなところで足踏みしていられない」という気持ちだった。決勝に残れてよかったと思う。
文:児玉育美(JAAFメディアチーム)
写真:アフロスポーツ