2022.01.27(木)選手

【記録と数字で楽しむJMCシリーズ】大阪国際女子マラソン、パリ目指すMGC出場権獲得とJMCランキングの行方は!?



・文中敬称略。
・所属は当時のもの。

「MGC出場権獲得」の条件は?

24年パリ五輪の代表切符を得るための最重要レースとなる23年秋に開催が予定されている「MGC(マラソングランドチャンピオンシップ)」への出場資格を獲得することも選手にとっての大きな目標となる。1月30日に行われる「第41回大阪国際女子マラソン」におけるその条件は、JMC第1期・シリーズⅠ・グレード1レースなので、

・日本人1~3位で2時間28分00秒以内

・同4~6位で2時間27分00秒以内

・順位に関係なく2時間24分00秒以内

・「第1期」の2レースの平均で2時間28分00秒以内

そして、
・「シリーズⅠ」終了時点(22年3月)のJMCランキングで8位以内

である。

招待選手12人のうち資格記録(19年以降の記録)では、10人が2時間27分00秒以内、11人が同28分00秒以内で走っている。招待選手で順位に関係ない条件の「2時間24分00秒以内」で走ったことがあるのは松田瑞生(2時間21分47秒/20年大阪・優勝)と佐藤(2時間23分27秒/20年名古屋・5位)の2人だ。

「凖招待」で出場する岩出玲亜(千葉陸協)と中野円花(岩谷産業)も19年には2時間23分台と27分台で走ったことがある。


「JMC」とは?

今回のレースが「JMC」の「シリーズⅠ」の「第1期」の最初の国内レースであることは冒頭に述べた。
「JMC」についての詳細は、

https://www.jaaf.or.jp/jmc-series/outline/

に詳しく説明されているが、女子のレースは今回が初めてなので以下に概略を説明しておこう。

「JMC」は、ひとつの年度を2つの「期」で区分し、2期分を「シリーズ」として、2期分の合計ポイントでシリーズ総合成績を争う。

シリーズ総合成績は、日本選手権の順位決定や日本代表の選考などにも直結し、安定して高いレベルのパフォーマンスを残した競技者が、日本選手権者や日本代表となる仕組みである。

そのスタートとなる今年度(シリーズⅠ)は、変則的に、第0期(2020年12月~21年10月)と第1期(21年11月~22年3月)が対象となる。

日本陸連主催・共催のレースが「グレード1(G1)」、それ以外で「JMC」に加盟した大会を「グレード2(G2)」、現時点では存在しないが「グレード3(G3)」も今後加わる可能性がある。
世界陸連の「ラベルレース(エリートラベル以上で、第0期の東京五輪も含む/https://www.worldathletics.org/competitions/world-athletics-label-road-races/calendar-results)」が対象レースとなる。
それらのレースでの記録を世界陸連採点表(https://www.worldathletics.org/news/iaaf-news/scoring-tables-2017)から「記録ポイント」を算出。それに各大会のグレードに応じた「JMCポイント(順位によるポイント)」の合計「パフォーマンスポイント」を算出して順位を争うというものだ。

「シリーズⅠ(2021年度)」については、各選手が「第0期」と「第1期」に出場したレースで「パフォーマンスポイント=記録ポイント+順位ポイント(JMCポイント)」の上位2レースの合計ポイントで総合順位を決める(「シリーズⅡ」以降は3レースの総合ポイントによる)。ただし「第0期」については1レースのみがその対象、また海外レースも「0期」「1期」で1大会のみがその対象。
「0期」に出場していない選手は、「1期」の2レースに出場してポイントを獲得する必要がある。

女子の「第0期」と「第1期」の対象大会と大会グレードは下記の通り。

<G1>
--- 第0期 第1期
大阪女  ○  ○
東 京  ×  ○
名古屋女 ○  ○
<G2>
--- 第0期 第1期

大 阪  ×  ○
<海外>
https://www.worldathletics.org/competitions/world-athletics-label-road-races/calendar-results
を参照。

切りのいい記録に相当する「記録ポイント」と1100点以上の50点毎の記録は、

 1300点2.13.38.
1295点 2.14.04.=世界記録(男女混合レース。2.14.07.が1295点)
1285点 2.15.00.(2.15.04.が1285点)
1275点 2.16.00.(2.16.01.が1275点)
1264点 2.17.00.(2.17.04.が1264点)
1264点 2.17.01.=世界記録(女子のみのレース。2.17.04.が1264点)
1254点 2.18.00.(2.18.02.が1254点)
 1250点2.18.25.
1244点 2.19.00.
1242点 2.19.12.=日本記録(男女混合レース)
1233点 2.20.00.(2.20.04.が1233点)
1228点 2.20.29.=日本記録(女子のみのレース。2.20.33.が1228点)
1223点 2.21.00.(2.21.03.が1223点)
1221点 2.21.11.=大会記録(男女混合レース。2.21.14.が1221点)
1220点 2.21.18.=大会記録(女子のみのレース。2.21.20.が1220点)
1213点 2.22.00.(2.22.01.が1213点)
1203点 2.23.00.
 1200点2.23.18.
1193点 2.24.00.
1182点 2.25.00.(2.25.05.が1182点)
1172点 2.26.00.(2.26.05.が1172点)
1162点 2.27.00.(2.27.05.が1162点)
1152点 2.28.00.(2.28.05.が1152点)
 1150点2.28.17.
1142点 2.29.00.(2.29.06.が1142点)
1133点 2.30.00.
1123点 2.31.00.(2.31.01.が1123点)
1113点 2.32.00.(2.32.03.が1113点)
1103点 2.33.00.(2.33.04.が1103点)
 1100点2.33.23.
.

なお、五輪(&世界選手権)での記録ポイントは、完走した実際のタイムに関わらず「1200点(2時間23分18秒相当)」が基礎ポイントとして付与され、「2時間23分18秒」よりも記録がいい場合は、それに相当するポイントを獲得できる。が、東京五輪では3選手すべての「記録ポイント」は「1200点」だった。

大会のグレード別の女子の「JMCポイント(日本人選手内での順位が対象。海外&東京五輪は外国籍選手を含む順位が対象)」は、

--G1G2五輪海外1海外2
1位70201357045
2位50151105035
3位45101004530
4位35 853525
5位30 753022
6位25 702520
7位20 652017
8位15 601515
9位  40  
10位  35  
11位  30  
12位  25  


以上の通りで、「第0期」「第1期」の2レースの合計ポイントで最上位の選手が「2021年度(第105回)日本選手権優勝者」となる。

また、22年7月のオレゴン世界選手権の代表選考にも利用される。


大阪国際女子で「JMCランキング」はどう変わるか?

21年11月1日以降が「第1期」の有効期間となったが、「第1期」の国内での対象レースは、今回の大阪が初めてだ。

11月7日のニューヨークマラソンを走った山口遥(AC・KITA。2時間34分04秒でエリートの部12位=1093pt。「一般の部」とのトータル順位は13位)のみが「第1期」のポイントを獲得し「第0期」の21年3月・名古屋(2時間37分04秒で24位=1064pt)と合わせて「2157pt」でトップに立っている。

「第0期」のみを走った選手にとっては、上記の山口の「2157pt」を超えることが差し当たっての目標となる。

下表に示したように今回の招待選手12人は、「ポイントランキング」の1・3・5~8・10・12・14・15・17・25位に位置している。2レースを走ってトップの山口以外の11人で最上位の松田瑞生が「1284pt」で、これに続く佐藤(1237pt)に47pt差をつけている。女子の「記録ポイント」は、「ほぼ1分で10pt」の差なので佐藤が記録のみで松田に追い付くには松田に5分あまりの差をつけなければならないことになる。仮に佐藤が優勝(順位ポイント70pt)して松田が2位(同50pt)でもタイムで約3分差をつけないと松田には追いつけない。自己ベストからしても、20年の大阪国際女子と21年の名古屋ウィメンズを共に2時間21分台で制した実績からしても松田の優位は確かなところだろう。

大阪国際女子後の女子のレースは、2月27日・大阪、3月6日・東京、同13日・名古屋ウィメンズと3週連続となる。今回のレースに出場しない有力選手は、その3つのいずれかに絞ってくることになろう。2時間40分台以降のいわゆる市民ランナーの中には、中2週間あるいは中1週間で連続出場する猛者がいるかもしれないが、ランキングポイントで上位を狙う選手では、その可能性は低いはずだ。

1レースで「1200pt以上」が11人。最終的には、2レーストータルでの8位以内は、2400pt以上で2500pt近くなるかもしれない。

いずれにしても今回の大阪で、「JMCランキング」が大きく変化することは確かで、大阪を走った選手を含めてその後のポイント争いの「次のレースのターゲットをどうするか」という点でも興味深い。


【JMC・第0期&第1期ポイントランキング暫定版(女子)/2022年1月18日現在】

・第0期は国内大会、オリンピック。第1期はニューヨークのみ含む。
・氏名の後ろの「★」は大阪国際女子マラソンの招待選手、「◆」はネクストヒロイン選手、「▲」は凖招待選手。「▼」は一般参加選手。

順位名前所属都道府県総合ポイント第0期ポイント第1期ポイント
1山口遥★AC・KITA東京215710641093

・以下、「第0期」のみのポイント。参考までに順位を付記した。

順位名前所属都道府県総合ポイント第0期ポイント第1期ポイント
2一山 麻緒ワコール京都12911291 
3松田 瑞生★ダイハツ大阪12841284 
4前田 穂南天満屋岡山12481248 
5佐藤早也伽★積水化学千葉12371237 
6阿部有香里★しまむら埼玉12311231 
7上杉 真穂★スターツ千葉12191219 
8松下 菜摘★天満屋岡山12131213 
9和久 夢来ユニバーサル千葉12021202 
10萩原 歩美★豊田自動織機愛知12001200 
10鈴木亜由子JP日本郵政G東京12001200 
12田中 華絵★資生堂東京11941194 
13赤坂よもぎスターツ千葉11891189 
14加藤  岬★九電工福岡11741174 
15池満 綾乃★鹿児島銀行鹿児島11681168 
16池田 千晴日 立茨城11561156 
17松田 杏奈★京セラ鹿児島11491149 
18福良 郁美大塚製薬徳島11471147 
19大森 菜月ダイハツ大阪11461146 
19竹本香奈子ダイハツ大阪11461146 
21足立 由真京セラ鹿児島11421142 
22大蔵 玲乃ノーリツ兵庫11301130 
23福居 紗希三井住友海上東京11281128 
24岩出 玲亜▲千葉陸協千葉11271127 
25谷本 観月★天満屋岡山11221122 
26川内 理江▲大塚製薬徳島11171117 
27兼重 志帆▲GRlab関東東京11141114 
28小原  怜天満屋岡山11131113 
29中野 円花▲岩谷産業大阪11041104 
30池内 彩乃▲デンソー三重10991099 
31池本  愛SWAC東京10881088 
33吉冨 博子メモリード佐賀10841084 
34儀藤 優花肥後銀行熊本10831083 
35下門 美春埼玉陸協埼玉10771077 
36竹地 志帆ヤマダHD群馬10751075 
37伊藤  舞▲大塚製薬徳島10541054 
38永尾  薫三田飲料東京10491049 
39清田 真央スズキ静岡10481048 
40宇都宮恵理JP日本郵政G東京10391039 
41藤澤  舞▲札幌エクセルAC北海道10381038 
42澤畠 朋美▲埼玉陸協埼玉10331033 
42川内 侑子AD損保東京10331033 
44西岡 真紀▲モクレンRC和歌山10281028 
45堀岡 智子▲大阪陸協大阪10271027 
46小川 那月◆神戸学院大兵庫10251025 
47大井 千鶴▲NARA-X奈良10231023 
48宮永 光唯◆大阪芸術大大阪10131013 
49坂本 喜子teamF.O.R三重10091009 
50髙野 美幸埼玉医科大学G埼玉10041004 
51宮内 宏子ホクレン北海道997997 
52三池 瑠衣▲大阪大大阪994994 
53太田美紀子▲京都炭山修行走京都991991 
54木村 美王大阪長居AC大阪987987 
55西田 留衣シスメックス兵庫980980 
56戸田 朱音大阪学院大兵庫975975 
57仲田 光穂▼千葉陸協千葉971971 
58中村 瑠花▲小島プレス愛知967967 
59志水 麻紗▼尼崎市陸協兵庫964964 
60兼松 藍子▼TEAMR×L埼玉963963 
61廣瀬 光子▲東京WINGS東京958958 
61河口  恵▼福岡陸協福岡958958 
63綾部しのぶ▲DreamAC東京957957 
64文村 美和▼大分陸協大分956956 
65井上  栞▼近畿大大阪954954 
65田中 友理▼大阪陸協大阪954954 
67布施 温菜東京陸協東京951951 
68野永 美咲▼東京陸協東京949949 
68安里真梨子らんさぽ沖縄949949 
70鎌田 沙樹大阪陸協大阪946946 
71中島 知美▲GRlab兵庫兵庫942942 
72恒川  涼埼玉陸協埼玉940940 
73田中 礼美平塚市陸協神奈川939939 
73右田 有奈▼武庫川女子大兵庫939939 
75岩村 聖華熊本陸協熊本938938 
76山崎絵里子小金井おじ練東京936936 
77川戸 希望Japancreate大阪935935 
78柿沼 久代▼Okojo東京934934 
79近藤  瞳▼エボーリュ東京933933 
79三木楓美子長居ランナーズ大阪933933 
81森田 光希▼東京陸協東京932932 
82薄井 身之▼大阪陸協大阪930930 
82坂本久美子▼埼玉陸協埼玉930930 
84納  麻美▼ナイトランAC大阪928928 
84松本 恭子▲千葉陸協千葉928928 
84山鹿 由莉埼玉陸協埼玉928928 
87後藤奈津子宮崎市陸協宮崎927927 
87瀧波 美緒▼DreamAC東京927927 
89楠瀬 祐子▼東京陸協東京926926 
90青山 由佳▼相模原市役所RC神奈川925925 
91弓削田眞理子▼埼玉おごせ石川眼科埼玉924924 
92米倉 まり▼大濠ランナーズ福岡923923 
93横山友里乃AC一宮愛知920920 
94小泉  緑▼BT東京919919 
95筒本 恭実広島県庁RC広島914914 
96斎藤 絵美CR2東日本東京913913 
96村田さやか▼神戸市陸協兵庫913913 
98篠﨑 理紗▼不動岡クラブ埼玉909909 
98風見 節子▼横浜PMクラブ神奈川909909 
100宮内 洋子ホクレン北海道902902 
100下村亜夕美▼福岡陸協福岡902902 


野口純正(国際陸上競技統計者協会[ATFS]会員)

▼JMCシリーズ特設サイト

https://www.jaaf.or.jp/jmc-series/

▼JMCシリーズポイントランキング

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▼オンエア情報(予定)

TV放送:1月30日(日)12時00分~14時55分 関西テレビ系(全国ネット)

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