6月24日~27日に大阪(ヤンマースタジアム長居)で行われる「第105回日本選手権」の「見どころ」や「楽しみ方」を「記録と数字」という視点から紹介する。「上限5000人」とはいえ有観客での開催となったのは、喜ばしい限りだ。
なお「10000m」の日本選手権は5月3日に、「混成競技」は6月12・13日に終了。「リレー種目」は、10月22~24日に愛媛・松山市で実施される。
「日本一」と「五輪代表」を決める試合なので、全種目についてふれたいところだが、原稿の締め切りまでの時間的な制約があったため、「五輪代表争い」が熾烈であったり、「日本新」が期待されそうな種目を中心とした種目のみの紹介になったことをご容赦いただきたい。
また、過去に紹介したことがあるデータや文章もかなり含まれるが、可能な限り最新のものに更新した。
スタンドでの現地観戦やテレビ観戦の「お供」にして頂ければ幸いである。
「五輪代表選考要項」は、
https://www.jaaf.or.jp/files/upload/201907/01_171958.pdf
を、
「代表内定選手」は、
https://www.jaaf.or.jp/athletes/tokyo2020/?event=8#searchbox
を、
選考に関わる世界陸連の「WAランキング」は、
https://www.jaaf.or.jp/news/article/14737/
をご覧頂きたい。
・記録は、6月20日判明分。
・記事中の「WAランキング」は6月15日時点のもの(毎週火曜日に発表されるので、日本選手権直前の6月22日時点のものを盛り込みたいところだが、原稿の締め切りの都合で6月15日時点のものとした)。
・記事は、6月20日時点での情報による。直前に「欠場」となった選手については、文中に 【★*月*日に欠場を発表★】 と付記した。
・現役選手については敬称略をご容赦いただきたい。
なお、日本選手権の期間中、以下の記事で取り上げることができなかった種目以外の情報(データ)も日本陸連のSNS(Facebook or Twitter)で「記録や数字に関する情報」として、その都度発信する予定なので、どうぞご覧くださいませ。

5月3日の静岡と9日の東京で、戸邉と衛藤がともに2m30をクリア。同じ試合で複数の日本人が2m30を跳んだのは、史上初と史上2回目のことだった。6月24日の長居で3人以上がクリアすれば、当然のことながら史上初となる。
「五輪参加標準記録」は「2m33」で、有効期間内にクリアしている選手はいない。が、戸邉と衛藤は5月3日の静岡国際と同9日の五輪テスト大会(READY STEADY TOKYO)では2m30に成功したあと2m33に挑戦し、ともに「惜しいジャンプ」を見せている。まずは、「2m33」が大きな目標となる。五輪の「ターゲットナンバー(出場枠)」は「32人」で、6月15日現在の「WAランキング」では、戸邉が13位、衛藤が21位、佐藤凌(新潟アルビレックスRC)が32位で圏内に位置している。国内4番目の真野は46位相当だ。
11)2.30 衛藤 昂(味の素AGF)5.03
11)2.30 戸邉直人(JAL)5.03
29)2.27 瀬古優斗(滋賀レイクスターズ)5.03
29)2.27 赤松諒一(アワーズ)5.09
29)2.27 真野友博(九電工)5.23
51)2.24 堀井遙樹(新潟医福大・3年)5.03
72)2.21 長谷川直人(新潟アルビレックスRC)6.06
83)2.20 佐藤凌(新潟アルビレックスRC)5.03
83)2.20 勝田将(白子中教)5.15
衛藤と戸邉の2m30は、「1国3人まで」でカウントすると一つ順位が上がって「10位」になる。
・「*」は、非現役。
で、回数も10傑平均も戸邉が断トツだ。
トータルでは、47回対戦し、戸邉が「26勝19敗2分け」と勝ち越し、自己ベストでも戸邉が5cm差をつけている。が、このところは、「勝ったり負けたり」を繰り返し、2019年以降では衛藤が5勝4敗と勝ち越している。日本選手権に限ると2010年から11回対戦し、衛藤の「6勝4敗1分け」。優勝回数も衛藤4回、戸邉3回でこちらも衛藤がリードしている。
引き分けの2試合を含めて、9試合が「同記録」で「試技内容の差」で順位がついたものが7試合。2人の競り合いで今後もどんどん記録を伸ばしていってもらいたい。
戸邉と真野の対戦成績は、戸邉の10勝3敗。
衛藤と真野は、衛藤の15勝3敗1分け。
この3人に続く選手では、「WAランキング」で圏内にいる佐藤凌、昨年2m28の藤田渓太郎(佐竹食品)に赤松諒一(アワーズ)、今シーズン2m27で自己ベストを6cmも更新した瀬古優斗(滋賀レイクスターズ)にも「2m30台の空中戦」に加わってきてもらいたい。
1)2.33 2006年
2)2.26 2015年
3)2.24 1990・2019年
4)2.24 2019年
5)2.20 2016・2020年/2.21 1991年=外国人が1・2位の試合
6)2.20 2016・2018・2019・2020年
7)2.20 2016・2019・2020年
8)2.20 2020年
8月17日の福井では、橋岡優輝(日大。現、富士通)が1回目にコーチでもある森長正樹さんが1992年にマークした8m25の日本記録を27年ぶりに更新する8m32(+1.6)。それから数十分後、3回目には城山正太郎(ゼンリン)が、8m40(+1.5)。27年間、止まっていた時計を2人が動かした。2人の影には隠れてしまったが、同じ試合で津波響樹(東洋大。現、大塚製薬)も8m23(+0.6)の日本歴代4位で、「五輪参加標準記録8m22」をクリア。小田大樹(ヤマダ電機。現、ヤマダホールディングス)も8m03(+1.6)を跳んだ。
「2019年・世界リスト(室内の記録も含む)」の100位以内には8人が入傑。
4)8.40 +1.5 城山正太郎(ゼンリン)8.17
8)8.32 +1.6 橋岡優輝(日大)8.17
14)8.23 +0.6 津波響樹(東洋大)8.17
32)8.12 +1.7 藤原孝輝(洛南高)8.05=U20&U18世界1位
60)8.04 +0.8 山川夏輝(東武トップツアーズ)5.05
64)8.03 +1.6 小田大樹(ヤマダ電機)8.17
85)7.98 +1.4 小森翔太(友睦物流)4.27
89)7.97 +1.3 手平裕士(オークワ)6.30
これは、アメリカの16人に続き2位で、ジャマイカの7人を上回った。同一年の8m台6人は史上最多。
9月末のドーハ世界選手権では橋岡と城山がコンビで決勝に進み、橋岡が8位入賞、城山が11位。
2020年はコロナで春先からの多くの競技会が中止や延期となったが、橋岡は好調で9月11日の日本インカレでは、2020年世界4位(室内の記録も含む)となる8m29(-0.6)をマーク。向風の中での記録だけに高い評価をえた。ただ、3週間後の日本選手権では「V4」に挑む予定だったが、踏切脚のカカトやハムストリングスの違和感で無念の欠場となった。
なお、2020年は橋岡以外は誰も8mに達することができなかったが、王国・アメリカの競技会がほとんど行われなかったこともあって、2020年世界100傑(7m82)には、12人が名前を連ね「世界1位」の人数となった。
今回(2021年)の日本選手権には、2019年リストに名前がある8mジャンパー6人がすべてエントリー。それにプラスして6月5日の日本学生個人選手権で8m00(+1.5)を跳んだばかりの伊藤陸(近大高専・専攻科1年)を加えて7人が8m台。さらには2018年に8m00の自己ベストを出した外川天寿(国武大。現、ジャンプライズAC)を含めると8人にもなる。そん中、橋岡・城山・津波の「五輪標準突破組」は、「3位以内」に確実に入ることが、とりあえずの目標となる。
橋岡はこれまで3回優勝(17~19年に3連勝)している。コーチの森長さんも3回の優勝(90・92・2000年)。今回勝つことができれば「師を超える」ことになる。
ただし、父・利行さんは棒高跳で5連覇と2連覇を合わせ7回の優勝。母の直美さん(旧姓・城島)も、100mHで2回、三段跳で3回優勝しているので、まだ両親の回数には届かない。
1)8.20 2004年
2)8.06 1988年
3)8.01 1994年
4)7.92 2018年
5)7.84 2008・2018年
6)7.79w 2008年
7)7.78w 2008年
8)7.70w 1999年
8m台ジャンパーが8人も揃ったので、たくさんの「順位別最高」が生まれることを期待したい。
野口純正(国際陸上競技統計者協会[ATFS]会員)
写真提供:フォート・キシモト
▼【日本選手権】応援メッセージキャンペーン!あなたの言葉で東京の舞台を目指す選手の背中を押そう!
https://www.jaaf.or.jp/jch/105/news/article/14925/
▼東京2020オリンピック競技大会 代表選手選考要項
https://www.jaaf.or.jp/files/upload/201907/01_171958.pdf
▼【日本選手権】エントリーリスト
https://www.jaaf.or.jp/files/competition/document/1556-4.pdf
▼【日本選手権】競技日程
https://www.jaaf.or.jp/jch/105/timetable/
なお「10000m」の日本選手権は5月3日に、「混成競技」は6月12・13日に終了。「リレー種目」は、10月22~24日に愛媛・松山市で実施される。
「日本一」と「五輪代表」を決める試合なので、全種目についてふれたいところだが、原稿の締め切りまでの時間的な制約があったため、「五輪代表争い」が熾烈であったり、「日本新」が期待されそうな種目を中心とした種目のみの紹介になったことをご容赦いただきたい。
また、過去に紹介したことがあるデータや文章もかなり含まれるが、可能な限り最新のものに更新した。
スタンドでの現地観戦やテレビ観戦の「お供」にして頂ければ幸いである。
「五輪代表選考要項」は、
https://www.jaaf.or.jp/files/upload/201907/01_171958.pdf
を、
「代表内定選手」は、
https://www.jaaf.or.jp/athletes/tokyo2020/?event=8#searchbox
を、
選考に関わる世界陸連の「WAランキング」は、
https://www.jaaf.or.jp/news/article/14737/
をご覧頂きたい。
・記録は、6月20日判明分。
・記事中の「WAランキング」は6月15日時点のもの(毎週火曜日に発表されるので、日本選手権直前の6月22日時点のものを盛り込みたいところだが、原稿の締め切りの都合で6月15日時点のものとした)。
・記事は、6月20日時点での情報による。直前に「欠場」となった選手については、文中に 【★*月*日に欠場を発表★】 と付記した。
・現役選手については敬称略をご容赦いただきたい。
なお、日本選手権の期間中、以下の記事で取り上げることができなかった種目以外の情報(データ)も日本陸連のSNS(Facebook or Twitter)で「記録や数字に関する情報」として、その都度発信する予定なので、どうぞご覧くださいませ。

【男子走高跳】
複数による2m30以上での空中戦に期待!
・決勝/6月24日 17:00★2m30以上の3人と2m25以上5人が集結★
エントリー記録では、日本記録保持者2m35(2019年)の戸邉直人(JAL)、2m31(20年)の真野(しんの)友博(九電工)、2m30(17&19&21年)の衛藤昂(味の素AGF)の3人に、2m28が2人、2m27が2人、2m25が1人と史上最高のハイレベルな選手が揃った。2m30以上を跳んだことがある日本人は歴代で7人だが、同じ年の日本選手権に3人が出場するのは史上初。今シーズンで現役引退を表明している衛藤にとって、ラスト日本選手権となる。5月3日の静岡と9日の東京で、戸邉と衛藤がともに2m30をクリア。同じ試合で複数の日本人が2m30を跳んだのは、史上初と史上2回目のことだった。6月24日の長居で3人以上がクリアすれば、当然のことながら史上初となる。
「五輪参加標準記録」は「2m33」で、有効期間内にクリアしている選手はいない。が、戸邉と衛藤は5月3日の静岡国際と同9日の五輪テスト大会(READY STEADY TOKYO)では2m30に成功したあと2m33に挑戦し、ともに「惜しいジャンプ」を見せている。まずは、「2m33」が大きな目標となる。五輪の「ターゲットナンバー(出場枠)」は「32人」で、6月15日現在の「WAランキング」では、戸邉が13位、衛藤が21位、佐藤凌(新潟アルビレックスRC)が32位で圏内に位置している。国内4番目の真野は46位相当だ。
★2021年・世界リスト(屋外)の順位★
・6月20日現在。11)2.30 衛藤 昂(味の素AGF)5.03
11)2.30 戸邉直人(JAL)5.03
29)2.27 瀬古優斗(滋賀レイクスターズ)5.03
29)2.27 赤松諒一(アワーズ)5.09
29)2.27 真野友博(九電工)5.23
51)2.24 堀井遙樹(新潟医福大・3年)5.03
72)2.21 長谷川直人(新潟アルビレックスRC)6.06
83)2.20 佐藤凌(新潟アルビレックスRC)5.03
83)2.20 勝田将(白子中教)5.15
衛藤と戸邉の2m30は、「1国3人まで」でカウントすると一つ順位が上がって「10位」になる。
★2m30以上の回数と個人別10傑平均記録★
2m30以上を跳んだ回数(室内を含む)と個人別10傑平均記録は、・「*」は、非現役。
1) | 14回 | 戸邉直人 | 2.317(2.35~2.30) |
2) | 5回 | 衛藤昂 | 2.292(2.30~2.28) |
3) | 2回 | 阪本孝男* | 2.261(2.30~2.24) |
3) | 2回 | 醍醐直幸* | 2.268(2.33~2.23) |
3) | 2回 | 真野友博 | 2.268(2.31~2.24) |
6) | 1回 | 吉田孝久* | 2.273(2.31~2.26) |
6) | 1回 | 君野貴弘* | 2.264(2.32~2.24) |
で、回数も10傑平均も戸邉が断トツだ。
★戸邉直人と衛藤昂の対戦成績★
・決勝に限る(収録漏れがあったらご容赦を)。年月日 | 大会名 | 戸邉直人 | vs | 衛藤昂 | ||
---|---|---|---|---|---|---|
2010.04.25 | 選抜和歌山 | 4) | 2.15 | ○ ● | 6) | 2.10 |
2010.06.06 | 日本選手権 | 5) | 2.15 | ○ ● | 6) | 2.10 |
2010.09.12 | 日本学生 | 2) | 2.16 | 引き分け | 2) | 2.16 |
2011.04.24 | 選抜和歌山 | 3) | 2.15 | ○ ● | 5) | 2.15 |
2011.05.29 | 埼玉県記録会 | 6) | 2.05 | ● ○ | 2) | 2.10 |
2011.06.12 | 日本選手権 | 1) | 2.22 | ○ ● | 2) | 2.19 |
2011.07.09 | アジア選手権 | 5) | 2.21 | ● ○ | 4) | 2.24 |
2011.09.11 | 日本学生 | 5) | 2.13 | ● ○ | 1) | 2.22 |
2012.01.24 | オストラバ | 6) | 2.15 | ○ ● | 11) | 2.10 |
2012.01.28 | フストパチェ | 4) | 2.14 | ○ ● | 12) | 2.05 |
2012.04.22 | 兵庫リレー | 1) | 2.16 | ○ ● | 2) | 2.16 |
2012.05.04 | 水戸国際 | 1) | 2.20 | ○ ● | 2) | 2.15 |
2012.06.10 | 日本選手権 | 4) | 2.15 | ● ○ | 2) | 2.20 |
2012.09.10 | 日本学生 | 1) | 2.22 | ○ ● | 3) | 2.19 |
2012.10.06 | 国体 | 2) | 2.21 | ○ ● | 9) | 2.09 |
2013.04.28 | 選抜和歌山 | 2) | 2.20 | ○ ● | 3) | 2.10 |
2013.06.09 | 日本選手権 | 2) | 2.20 | 引き分け | 2) | 2.20 |
2013.09.08 | 日本学生 | 1) | 2.28 | ○ ● | 2) | 2.25 |
2013.10.06 | 国体 | 3) | 2.24 | ● ○ | 1) | 2.27 |
2014.01.27 | オストラバ | 4) | 2.20 | ○ ● | 11) | 2.15 |
2014.04.27 | 選抜和歌山 | 1) | 2.19 | ○ ● | 2) | 2.16 |
2014.05.11 | GGP東京 | 3) | 2.31 | ○ ● | 4) | 2.28 |
2014.06.08 | 日本選手権 | 3) | 2.20 | ● ○ | 1) | 2.23 |
2014.09.29 | アジア大会 | 5) | 2.25 | ○ ● | 11) | 2.15 |
2014.10.20 | 国体 | 2) | 2.21 | ○ ● | 3) | 2.21 |
2015.05.10 | GGP川崎 | 5) | 2.20 | ● ○ | 3) | 2.28 |
2015.06.27 | 日本選手権 | 1) | 2.26 | ○ ● | 2) | 2.26 |
2016.06.26 | 日本選手権 | 6) | 2.20 | ● ○ | 1) | 2.29 |
2017.05.03 | 静岡国際 | 3) | 2.20 | ● ○ | 1) | 2.25 |
2017.05.21 | GGP川崎 | 4) | 2.25 | ● ○ | 2) | 2.30 |
2017.06.25 | 日本選手権 | 3) | 2.20 | ● ○ | 1) | 2.25 |
2017.07.01 | パリ | 記録なし | ● ○ | 1) | 2.25 | |
2017.07.04 | ギュライ記念 | 4) | 2.26 | ○ ● | 8) | 2.20 |
2017.10.07 | 国体 | 2) | 2.19 | ● ○ | 1) | 2.22 |
2018.05.03 | 静岡国際 | 1) | 2.28 | ○ ● | 3) | 2.20 |
2018.05.20 | GGP大阪 | 1) | 2.30 | ○ ● | 4) | 2.25 |
2018.06.24 | 日本選手権 | 2) | 2.20 | ● ○ | 1) | 2.25 |
2018.08.27 | アジア大会 | 3) | 2.24 | ○ ● | 6) | 2.24 |
2019.04.24 | アジア選手権 | 3) | 2.26 | ● ○ | 2) | 2.29 |
2019.05.19 | GGP大阪 | 1) | 2.27 | ○ ● | 2) | 2.24 |
2019.06.06 | ローマ | 11) | 2.15 | ● ○ | 9) | 2.19 |
2019.06.27 | 日本選手権 | 1) | 2.27 | ○ ● | 2) | 2.24 |
2020.08.23 | GGP東京 | 3) | 2.24 | ● ○ | 1) | 2.27 |
2020.10.03 | 日本選手権 | 12) | 2.10 | ● ○ | 2) | 2.20 |
2021.03.18 | 日本室内選手権 | 1) | 2.24 | ○ ● | 3) | 2.18 |
2021.05.03 | 静岡国際 | 2) | 2.30 | ● ○ | 1) | 2.30 |
2021.05.09 | 五輪テスト大会 | 1) | 2.30 | ○ ● | 3) | 2.30 |
26勝19勝 2引き分け |
トータルでは、47回対戦し、戸邉が「26勝19敗2分け」と勝ち越し、自己ベストでも戸邉が5cm差をつけている。が、このところは、「勝ったり負けたり」を繰り返し、2019年以降では衛藤が5勝4敗と勝ち越している。日本選手権に限ると2010年から11回対戦し、衛藤の「6勝4敗1分け」。優勝回数も衛藤4回、戸邉3回でこちらも衛藤がリードしている。
引き分けの2試合を含めて、9試合が「同記録」で「試技内容の差」で順位がついたものが7試合。2人の競り合いで今後もどんどん記録を伸ばしていってもらいたい。
戸邉と真野の対戦成績は、戸邉の10勝3敗。
衛藤と真野は、衛藤の15勝3敗1分け。
この3人に続く選手では、「WAランキング」で圏内にいる佐藤凌、昨年2m28の藤田渓太郎(佐竹食品)に赤松諒一(アワーズ)、今シーズン2m27で自己ベストを6cmも更新した瀬古優斗(滋賀レイクスターズ)にも「2m30台の空中戦」に加わってきてもらいたい。
★日本選手権での「順位別最高記録」★
・2位以下に同順位が複数いる場合は、実質的に「*番目」で示した1)2.33 2006年
2)2.26 2015年
3)2.24 1990・2019年
4)2.24 2019年
5)2.20 2016・2020年/2.21 1991年=外国人が1・2位の試合
6)2.20 2016・2018・2019・2020年
7)2.20 2016・2019・2020年
8)2.20 2020年
【男子走幅跳】
橋岡の「4度目の優勝」が濃厚か?
・決勝/6月27日 15:40★城山・橋岡・津波が五輪参加標準記録を突破済み★
2019年のこの種目は、活況を呈した。8月17日の福井では、橋岡優輝(日大。現、富士通)が1回目にコーチでもある森長正樹さんが1992年にマークした8m25の日本記録を27年ぶりに更新する8m32(+1.6)。それから数十分後、3回目には城山正太郎(ゼンリン)が、8m40(+1.5)。27年間、止まっていた時計を2人が動かした。2人の影には隠れてしまったが、同じ試合で津波響樹(東洋大。現、大塚製薬)も8m23(+0.6)の日本歴代4位で、「五輪参加標準記録8m22」をクリア。小田大樹(ヤマダ電機。現、ヤマダホールディングス)も8m03(+1.6)を跳んだ。
「2019年・世界リスト(室内の記録も含む)」の100位以内には8人が入傑。
4)8.40 +1.5 城山正太郎(ゼンリン)8.17
8)8.32 +1.6 橋岡優輝(日大)8.17
14)8.23 +0.6 津波響樹(東洋大)8.17
32)8.12 +1.7 藤原孝輝(洛南高)8.05=U20&U18世界1位
60)8.04 +0.8 山川夏輝(東武トップツアーズ)5.05
64)8.03 +1.6 小田大樹(ヤマダ電機)8.17
85)7.98 +1.4 小森翔太(友睦物流)4.27
89)7.97 +1.3 手平裕士(オークワ)6.30
これは、アメリカの16人に続き2位で、ジャマイカの7人を上回った。同一年の8m台6人は史上最多。
9月末のドーハ世界選手権では橋岡と城山がコンビで決勝に進み、橋岡が8位入賞、城山が11位。
2020年はコロナで春先からの多くの競技会が中止や延期となったが、橋岡は好調で9月11日の日本インカレでは、2020年世界4位(室内の記録も含む)となる8m29(-0.6)をマーク。向風の中での記録だけに高い評価をえた。ただ、3週間後の日本選手権では「V4」に挑む予定だったが、踏切脚のカカトやハムストリングスの違和感で無念の欠場となった。
なお、2020年は橋岡以外は誰も8mに達することができなかったが、王国・アメリカの競技会がほとんど行われなかったこともあって、2020年世界100傑(7m82)には、12人が名前を連ね「世界1位」の人数となった。
★4度目の優勝に向け橋岡優輝が盤石★
2021年も橋岡は好調。3月の室内日本選手権で8m19の室内日本新、5月9日に8m07(+1.8)、6月6日には8m23(+1.3)を跳んで、6月20日現在での2021年・世界15位タイ(1国3人以内でカウントすると12位タイ)。20年の日本選手権こそ欠場したが、21年も含めて橋岡が頭ひとつもふたつも抜け出ている状況だ。ただ、助走スピードが上がったこととパワーアップしたことで、今季はファウルが多い。しかし、底上げは着実にできているようで、ファウルながらも8m40前後や8m50近いジャンプも何本かみせている。今回(2021年)の日本選手権には、2019年リストに名前がある8mジャンパー6人がすべてエントリー。それにプラスして6月5日の日本学生個人選手権で8m00(+1.5)を跳んだばかりの伊藤陸(近大高専・専攻科1年)を加えて7人が8m台。さらには2018年に8m00の自己ベストを出した外川天寿(国武大。現、ジャンプライズAC)を含めると8人にもなる。そん中、橋岡・城山・津波の「五輪標準突破組」は、「3位以内」に確実に入ることが、とりあえずの目標となる。
橋岡はこれまで3回優勝(17~19年に3連勝)している。コーチの森長さんも3回の優勝(90・92・2000年)。今回勝つことができれば「師を超える」ことになる。
ただし、父・利行さんは棒高跳で5連覇と2連覇を合わせ7回の優勝。母の直美さん(旧姓・城島)も、100mHで2回、三段跳で3回優勝しているので、まだ両親の回数には届かない。
★高校生代表・舞永夏稀が入賞すれば……★
高校生で唯一出場する舞永夏稀(大阪・太成学院高3年)も楽しみな存在。ベストは20年9月の7m89(+1.1。高校歴代3位、同2年生歴代2位)だが、6月17日の近畿インターハイでは7m78(+1.5)を跳んだ。2020年は、洛南高校3年生だった藤原孝輝が6位入賞(7m66/-0.2)。「高校生代表」として舞永もこれに続きたいところだろう。藤原の前の高校生の入賞は、今をときめく橋岡が八王子高校3年生の時で、2016年に8位(7m55/+0.6)だった。★日本選手権での「順位別最高記録」★
・走幅跳では、公認と追風参考に関わらず順位がつくので追参の記録も含めた1)8.20 2004年
2)8.06 1988年
3)8.01 1994年
4)7.92 2018年
5)7.84 2008・2018年
6)7.79w 2008年
7)7.78w 2008年
8)7.70w 1999年
8m台ジャンパーが8人も揃ったので、たくさんの「順位別最高」が生まれることを期待したい。
野口純正(国際陸上競技統計者協会[ATFS]会員)
写真提供:フォート・キシモト
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