6月24日~27日に大阪(ヤンマースタジアム長居)で行われる「第105回日本選手権」の「見どころ」や「楽しみ方」を「記録と数字」という視点から紹介する。「上限5000人」とはいえ有観客での開催となったのは、喜ばしい限りだ。
なお「10000m」の日本選手権は5月3日に、「混成競技」は6月12・13日に終了。「リレー種目」は、10月22~24日に愛媛・松山市で実施される。
「日本一」と「五輪代表」を決める試合なので、全種目についてふれたいところだが、原稿の締め切りまでの時間的な制約があったため、「五輪代表争い」が熾烈であったり、「日本新」が期待されそうな種目を中心とした種目のみの紹介になったことをご容赦いただきたい。
また、過去に紹介したことがあるデータや文章もかなり含まれるが、可能な限り最新のものに更新した。
スタンドでの現地観戦やテレビ観戦の「お供」にして頂ければ幸いである。
「五輪代表選考要項」は、
https://www.jaaf.or.jp/files/upload/201907/01_171958.pdf
を、
「代表内定選手」は、
https://www.jaaf.or.jp/athletes/tokyo2020/?event=8#searchbox
を、
選考に関わる世界陸連の「WAランキング」は、
https://www.jaaf.or.jp/news/article/14737/
をご覧頂きたい。
・記録は、6月20日判明分。
・記事中の「WAランキング」は6月15日時点のもの(毎週火曜日に発表されるので、日本選手権直前の6月22日時点のものを盛り込みたいところだが、原稿の締め切りの都合で6月15日時点のものとした)。
・記事は、6月20日時点での情報による。直前に「欠場」となった選手については、文中に 【★*月*日に欠場を発表★】 と付記した。
・現役選手については敬称略をご容赦いただきたい。
なお、日本選手権の期間中、以下の記事で取り上げることができなかった種目以外の情報(データ)も日本陸連のSNS(Facebook or Twitter)で「記録や数字に関する情報」として、その都度発信する予定なので、どうぞご覧くださいませ。

・決勝/6月27日 17:20
この数字からもわかるように、ここ数年、男子100mに勝るとも劣らないくらい充実しているのがこの110mHだ。
2018年以降の日本記録変遷史は、以下の通りだ。
100分の1秒まで計時されるのに、2019年6月30日から7月27日に高山が13秒30をマークするまでの1カ月あまりの期間は、3人が「13秒36」の「日本記録保持者」として並んでいた(しかも計4回)。電動計時での記録に限ると、「3人が日本記録を保持」は、日本陸上競技史上初の珍しい出来事だった。
さらに、2020年の日本選手権の優勝記録も何と3年連続の「13秒36」というのには、驚かされた。よって「日本選手権・大会記録」は、金井、高山峻野(ゼンリン)、泉谷駿輔(順大)の3人が持っていることになる。
2020年こそ「日本新」のアナウンスはなかったが、金井が高山の日本記録(13秒25)に0秒02と迫る13秒27で世界リスト6位。コロナで世界的に競技会が少なかったとはいえ、21人が世界100位(13秒93)以内に入った。2021年もシーズン早々の4月29日の織田記念で金井が「13秒16」の特大の日本新をマークした。6月20日現在の2021年世界4位で歴代でも55位タイ。100m9秒95の山縣の2021年世界8位タイ、歴代80位タイを上回っている。
また、至近5年間の世界100位以内の入傑者数を「今をときめく」100mと比較すると、以下の通り。
カッコ内は、国別人数の順位を示す。
・2021年は、6月20日現在。
で、いずれも100mの人数を上回っている。2020年は、コロナの影響でアメリカなど世界的に競技会があまり行われなかったという事情で日本の人数が大幅に増えている。
2021年の日本リストのトップ8の世界リストでの順位は、
4)13.16(+1.7)金井大旺(ミズノ)4.29
14)13.30(+0.8)泉谷駿介(順大)5.20
21)13.35(+0.3)村竹ラシッド(順大)6.01
31)13.42(+0.3)石川周平(富士通)6.01
37)13.45(-0.8)高山峻野(ゼンリン)5.09
62)13.55(+0.3)徳岡凌(立命大)4.04
101)13.66(+1.8)野本周成(愛媛陸協)6.06
105)13.67(-0.8)横地大雅(法大)5.09
だ。
金井は、実家の歯科医を継ぐために歯学部受験を目指し、今年を「ラストシーズン」と位置づけている。春先から好調でライバルからは「一歩」抜き出ている感じだ。4月17日に13秒36(+1.3)、同29日の織田記念で13秒16(+1.7)の特大の日本新。5月9日の五輪テスト大会(READY STEADY TOKYO)でも向風0.8mの中で13秒38で走って泉谷に0秒05差、高山に0秒07差、村竹に0秒13差をつけて優勝した。3月の室内での日本選手権60mHでは泉谷と石川に敗れたが、110mHでは20年から負け知らずである。ハードルを大きく引っかけるなどがない限り、金井の優位は揺るぎのないところだろう。
2019年に日本記録を2度更新した高山は、春先にアキレス腱やふくらはぎを痛め、やや出遅れて5月9日が初戦。向風0.8mのもと金井と泉谷には0秒07差と0秒02差で敗れたが、13秒45でまとめた。2019年・ドーハ世界選手権では準決勝に進出し、3台目まで先頭。5台目のリード脚をハードルに乗り上げなければ……、という見せ場を作った。1994年9月3日生まれの26歳で、脂が乗りきってくる年齢。日本選手権までにはきっちりと仕上げてくるはずだ。
昨年から1台目までを「7歩」のアプローチに取り組んできた泉谷も楽しみな選手。関東インカレの予選では、13秒30(+0.8)で五輪参加標準突破。決勝では、5.2mの追風参考ながら、13秒05の「日本人最速」のタイムで駆け抜けた。
泉谷の大学の後輩・村竹は、泉谷が持っていたU20の日本記録を0秒01更新する13秒35(+0.3)を6月1日にマーク。この記録は2021年・U20世界トップで、リスト2位に0秒54もの差をつけている。関東インカレでは、追風5.2mの中で13秒20をマークし13秒05の泉谷に続いた。
13秒39のベストを持つ石川は、筑波大時代から日本インカレや日本選手権などのビッグタイトルこそ獲ってはいないが、大きな試合できちんと結果を残してきている「いぶし銀」の輝きを放つ選手。
上記5選手の日本選手権での入賞歴は以下の通り。
6年間で優勝4回、2位1回の高山の安定ぶり目立つ。
以上のとおりで、ほぼ互角の勝負であるが、2020年以降は金井が5連勝中。
金井と他の選手は、
vs石川とは、17勝2敗。
vs泉谷とは、4勝1敗。
vs村竹とは、3勝0敗。
高山は、
vs石川とは、14勝1敗。
vs泉谷とは、5勝2敗。
vs村竹とは、1勝1敗。
石川は、
vs泉谷とは、4勝8敗。
vs村竹とは、1勝3敗。
泉谷と村竹は、泉谷の3勝1敗。
以上の対戦成績から序列をつけると、
1)金井
2)高山
3)泉谷
4)村竹
5)石川
の順になろう。
2)13.36 2019年
3)13.48 2020年
4)13.55 2020年
5)13.61 2020年
6)13.67 2020年
7)13.71 2020年
8)13.72 2020年
以上のように、2020年が最もハイレベルだった。
「いい追風」に恵まれれば、「日本新」のみならず、今回もたくさんの「着順別新記録」が生まれそうだ。
ハードル1台のちょっとしたミスで大きく順位が変動する種目だけに、1台毎の展開に一瞬も目が離せない。
・決勝/6月26日 17:00
48.68 黒川和樹(法大・2年)
48.80 安部孝駿(ヤマダホールディングス/自己ベスト48.68)
48.84 山内大夢(早大・4年)
48.87 豊田将樹(富士通)
の4人。
この4人は「3位以内」で「代表内定」となる。
安部が3連勝・4回目の優勝に挑む。が、4月上旬にアキレス腱を痛めたこともあり、最終盤で失速するレースが今シーズンは目立つ。ただ、経験豊富な29歳のベテランだけに、きっちりと仕上げてくることだろう。大学生の黒川と山内、社会人1年目の豊田は5月9日に揃って五輪標準突破の自己ベストをマークして勢いがある。
五輪参加標準記録の有効期間外の記録で「WAランキング」にも反映されないが、今回のエントリー記録では、
48.92 鍛治木崚(住友電工)
49.08 野澤啓佑(ミズノ/自己ベスト48.62)
49.12 山本竜大(日大・大学院2年)
が4人に続く。自己ベストでは、過去5回優勝の岸本鷹幸(富士通)が現役トップの48秒41(2012年)だ。
これらの選手は、「48秒90以内、3位以内」で、大逆転を狙うことになる。
2015年以降の「世界100位」の記録と「100位以内」に入った日本人とトップのアメリカの人数は、
・2021年は、6月17日現在のもの。
コロナで世界的に競技会が少なかった2020年(日本がトップ)以外は、アメリカが常にトップで日本は「世界2位の層の厚さ」というのが、2007年からずっと続いている。
苅部さんは法大出身。2006年から母校の監督をつとめているが、苅部さんに限らず400mHでは法政大学関係者(卒業生を含む)が非常に頑張ってきている。
日本歴代10傑にも、
1)47.89 為末大 2001.08.10
4)48.34 苅部俊二 1997.10.05
5)48.41 岸本鷹幸 2012.06.09
7)48.64 齋藤嘉彦 1998.10.04
10)48.68 黒川和樹 2021.05.09
と5人の名前があり、学生歴代10傑にも5人(上記の苅部さんに替わって豊田将樹)が入傑。
日本選手権でも、1992年からの28年間で、齋藤・苅部・為末・岸本の4人で計18回も優勝している。
2)48.75 1993年
3)49.03 1996年
4)49.21 1996年
5)49.57 2012年
6)49.89 2007年
7)50.22 1999年
8)50.84 2016年/50.56 1993年=外国人が4位にいたレース
今回の会場である長居(ヤンマースタジアム)、横浜(日産スタジアム)、新潟(デンカビッグスワン)、袋井(小笠山総合静岡スタジアム=通称、エコパ)などの競技場は、トラックが大きな観客席で囲まれていて、その日の天候にもよるが、「トラック1周がすべて追風」という周回種目にとっては、ありがたい風になることが多い。6月26日17時00分にそういう風が吹いたならば、上述の苅部さんの48秒34を24年ぶりに上回る「実質的大会新」やもしかしたら「47秒台」も生まれるかもしれない。
前半型の安部と黒川がリードを奪い、後半型の山内と豊田が最後に追い込んでくるであろう予想で、ホームストレートのデッドヒートに注目だ。
それ以外にも、「8分22秒00」に迫る選手がいて「五輪切符チャレンジ」のレースになる。
エントリー記録では、
1)8.17.46 三浦龍司(順大)
2)8.22.39 山口浩勢(愛三工業)
3)8.23.93 阪口竜平(SGHG)
4)8.26.30 青木涼真(Honda)
5)8.27.25 塩尻和也(富士通)
6)8.28.01 楠 康成(阿見AC)
の順。2017年に8分29秒05で走った潰滝大記(富士通)を加え8分30秒以内が7人というのは、史上最多人数だ。
6月15日現在の「WAランキング」では、山口が35位、塩尻が37位、阪口が40位相当、青木が44位相当で「ターゲットナンバー(出場枠)」の「45人」の圏内。楠も51位相当で、あと一歩に位置している。
三浦は「3位以内」で「五輪代表内定」なので気持ちは楽だろうが、他の選手は「8分22秒00突破」あるいは少しでもタイムを上げて「WAランキング」のポイントを稼ぐ必要がある。そんなことからも「8分22秒00」を目標に、スローな展開にはならないだろう。
三浦が8分17秒46で走った時の1000m毎は、
1000m 2.46.41 2.46.41
2000m 5.36.77 2.50.36
3000m 8.17.46 2.40.69
2000mまでは「8分30秒切りのペース」だったが、ラスト2周から切り替えて「18年ぶりの日本新」につなげた。国立競技場のトラックは水濠がトラックの内側にあり1周390m。ペースアップしてからの残り2周を65秒6と60秒3でカバーした。400m換算で67秒3と61秒8のスピードで800m換算2分09秒1、最後の100mは14秒7で走った。ラストのペースアップは何とも頼もしい限りで、8分10秒より遅いタイムで決着がついた過去の五輪や世界選手権のデータからすると、入賞争いのみならずメダル争いにも加われるスピードだった。
今回の会場である長居競技場は水濠が外側にあるので、1周422.96m。8分17秒46は1周あたり70秒14、8分22秒00なら70秒78がイーブンでならしたペースだ。1000m毎なら2分45秒82・5分31秒64が日本記録、五輪標準なら2分47秒33・5分34秒67が平均ペースとなる。「五輪参加標準記録」を目指す選手にとっては、これが目安となろう。3000mSCは最後の1000mをいかにしっかり走りきれるかがポイントで、前半で貯金を作ろうとして突っ込み過ぎると2000m以降に失速することも多いので要注意である。
三浦以外は、「8分22秒00」がターゲットだが、47年前の1974年にそれを上回る8分21秒6で走った小山隆治さん(クラレ)、41年前の1980年に新宅雅也さん(ヱスビー食品)が小山さんの記録を更新する8分19秒52をマークしている。2人の名前は今も日本歴代3・4位に光輝き、小山さんの記録はその年の世界7位、新宅さんは同11位だった。小山さんは1972年ミュンヘン五輪で8位と0秒6差の9位(当時の入賞は6位までで、6位とは4秒3の差)。その順位は、五輪の3000mSCでの「日本人最高順位」として今も残っている。新宅さんは、1980年モスクワ五輪の3000mSC代表となったが、日本がボイコットしたため残念ながら本番を走ることはかなわなかった(1984年ロサンゼルス五輪1万mに出場。1988年ソウル五輪ではマラソンに出場し17位)。また、新宅さんが日体大時代の1979年にマークした8分25秒8は、2020年に三浦が8分19秒37で走るまで、41年間も「学生記録」として残っていた。
2)8.28.01 2020年
3)8.30.81 2020年
4)8.31.88 2020年
5)8.34.55 2020年
6)8.40.54 1996年
7)8.40.61 1996年
8)8.40.67 1996年
エントリー記録8分40秒以内の選手が10人いるので、2020年に続きたくさんの着順別最高記録も更新されることだろう。また、400mHのところでも述べたが、長居競技場は1周すべてが追風になることも多い。レースの25日16時過ぎがそんな条件ならば、日本記録や五輪参加標準記録突破に向けての大きなあと押しになる。また、三浦が洛南高校時代の2019年の近畿インターハイで、高校記録を初めて破った(8分39秒49で30年ぶりの更新。その後、日本選手権の予選で8分39秒37に伸ばした)のが長居で、三浦にとって「縁起のいい競技場」でもある。
野口純正(国際陸上競技統計者協会[ATFS]会員)
写真提供:フォート・キシモト
▼【日本選手権】応援メッセージキャンペーン!あなたの言葉で東京の舞台を目指す選手の背中を押そう!
https://www.jaaf.or.jp/jch/105/news/article/14925/
▼東京2020オリンピック競技大会 代表選手選考要項
https://www.jaaf.or.jp/files/upload/201907/01_171958.pdf
▼【日本選手権】エントリーリスト
https://www.jaaf.or.jp/files/competition/document/1556-4.pdf
▼【日本選手権】競技日程
https://www.jaaf.or.jp/jch/105/timetable/
なお「10000m」の日本選手権は5月3日に、「混成競技」は6月12・13日に終了。「リレー種目」は、10月22~24日に愛媛・松山市で実施される。
「日本一」と「五輪代表」を決める試合なので、全種目についてふれたいところだが、原稿の締め切りまでの時間的な制約があったため、「五輪代表争い」が熾烈であったり、「日本新」が期待されそうな種目を中心とした種目のみの紹介になったことをご容赦いただきたい。
また、過去に紹介したことがあるデータや文章もかなり含まれるが、可能な限り最新のものに更新した。
スタンドでの現地観戦やテレビ観戦の「お供」にして頂ければ幸いである。
「五輪代表選考要項」は、
https://www.jaaf.or.jp/files/upload/201907/01_171958.pdf
を、
「代表内定選手」は、
https://www.jaaf.or.jp/athletes/tokyo2020/?event=8#searchbox
を、
選考に関わる世界陸連の「WAランキング」は、
https://www.jaaf.or.jp/news/article/14737/
をご覧頂きたい。
・記録は、6月20日判明分。
・記事中の「WAランキング」は6月15日時点のもの(毎週火曜日に発表されるので、日本選手権直前の6月22日時点のものを盛り込みたいところだが、原稿の締め切りの都合で6月15日時点のものとした)。
・記事は、6月20日時点での情報による。直前に「欠場」となった選手については、文中に 【★*月*日に欠場を発表★】 と付記した。
・現役選手については敬称略をご容赦いただきたい。
なお、日本選手権の期間中、以下の記事で取り上げることができなかった種目以外の情報(データ)も日本陸連のSNS(Facebook or Twitter)で「記録や数字に関する情報」として、その都度発信する予定なので、どうぞご覧くださいませ。

【男子110mH】
金井を中心に世界に通用するハイレベルな争いか?
・予選/6月26日 16:45 3組2着+2・決勝/6月27日 17:20
★世界との差が急接近★
前回の東京五輪が行われた1964年の今頃、この種目の世界記録は13秒2(手動)で日本記録は14秒2。その差は1秒0あった。1977年から「電動計時」の世界記録と日本記録が公認されるようになった時の初代世界記録は13秒21、初代日本記録は14秒43でその差は1秒22だった。ただし、実質的な電動計時日本記録は、1964年・東京五輪で安田寛一さん(八幡製鉄)がマークした14秒30で1977年の世界記録との差は1秒09だったが、日本陸連は過去に遡って公認せず14秒43が初代の日本記録となった。それから半世紀ちょっとの時間を経て、世界記録12秒80に対し日本記録は13秒16と、その差は0秒36にまで縮まった。この数字からもわかるように、ここ数年、男子100mに勝るとも劣らないくらい充実しているのがこの110mHだ。
★優勝記録3年連続「13秒36」の珍事??★
2018年6月24日、山口での日本選手権で金井大旺(福井県スポーツ協会。現、ミズノ)が、13秒36で走って14年ぶりに日本記録を0秒03更新。それが起爆剤となって、2019年には次々と日本タイ記録や日本新記録がマークされ、その勢いが続いている。2018年以降の日本記録変遷史は、以下の通りだ。
2018.06.24 | 日本選手権 | 13.36 | +0.7 | 金井大旺(福井県スポーツ協会)=日本新 |
2019.06.02 | 布勢スプリント | 13.36 | +1.9 | 高山峻野(ゼンリン)=日本タイ |
2019.06.30 | 日本選手権 | 13.36 | -0.6 | 高山峻野(ゼンリン)=日本タイ |
2019.06.30 | 日本選手権 | 13.36 | -0.6 | 泉谷駿介(順大)=日本タイ |
2019.07.27 | 実学対抗 | 13.30 | +1.9 | 高山峻野(ゼンリン)=日本新 |
2019.08.17 | ナイトGin福井 | 13.25 | +1.1 | 高山峻野(ゼンリン)=日本新 |
2021.04.29 | 織田記念 | 13.16 | +1.7 | 金井大旺(ミズノ)=日本新 |
100分の1秒まで計時されるのに、2019年6月30日から7月27日に高山が13秒30をマークするまでの1カ月あまりの期間は、3人が「13秒36」の「日本記録保持者」として並んでいた(しかも計4回)。電動計時での記録に限ると、「3人が日本記録を保持」は、日本陸上競技史上初の珍しい出来事だった。
さらに、2020年の日本選手権の優勝記録も何と3年連続の「13秒36」というのには、驚かされた。よって「日本選手権・大会記録」は、金井、高山峻野(ゼンリン)、泉谷駿輔(順大)の3人が持っていることになる。
★世界に迫る金井の「13秒16」★
2019年の高山の13秒25は、その年の世界11位。9人が「世界100位以内(100位=13秒66)」に入傑し、泉谷の13秒36は、U20の世界トップだった。2020年こそ「日本新」のアナウンスはなかったが、金井が高山の日本記録(13秒25)に0秒02と迫る13秒27で世界リスト6位。コロナで世界的に競技会が少なかったとはいえ、21人が世界100位(13秒93)以内に入った。2021年もシーズン早々の4月29日の織田記念で金井が「13秒16」の特大の日本新をマークした。6月20日現在の2021年世界4位で歴代でも55位タイ。100m9秒95の山縣の2021年世界8位タイ、歴代80位タイを上回っている。
また、至近5年間の世界100位以内の入傑者数を「今をときめく」100mと比較すると、以下の通り。
カッコ内は、国別人数の順位を示す。
年 | 110mH | 100m |
---|---|---|
2017 | 9人(2位) | 7人(4位) |
2018 | 8人(3位) | 4人(6位) |
2019 | 9人(3位) | 6人(4位) |
2020 | 21人(1位) | 12人(2位) |
2021 | 6人(3位) | 4人(3位) |
・2021年は、6月20日現在。
で、いずれも100mの人数を上回っている。2020年は、コロナの影響でアメリカなど世界的に競技会があまり行われなかったという事情で日本の人数が大幅に増えている。
★五輪代表を目指しての戦いは?★
「五輪参加標準記録」は「13秒32」で、これをクリアしているのは金井・13秒16、高山・13秒25、泉谷・13秒30の3人。この3人は、日本選手権で「3位以内」ならば「代表内定」となる。しかし、これに続く選手達もそう簡単に上記の3人での「ワン・ツー・スリー」を許してはくれないだろう。この種目の「ターゲットナンバー(出場枠)」は「40人」。6月15日時点での1国3人以内の「WAランキング」では、泉谷18位、金井20位、高山21位。しかし、村竹も37位相当、石川も38位相当で「圏内」にいる。よって、標準突破組の3人も日本選手権で3位以内に入れず、村竹と石川が標準をクリアできずに3位以内となった場合は、6月29日の「WAランキング」の順位によっての「逆転」での代表もあり得る。何とも熾烈である。村竹と石川にとっても「参加標準突破と3位以内」が大きな目標だ。2021年の日本リストのトップ8の世界リストでの順位は、
4)13.16(+1.7)金井大旺(ミズノ)4.29
14)13.30(+0.8)泉谷駿介(順大)5.20
21)13.35(+0.3)村竹ラシッド(順大)6.01
31)13.42(+0.3)石川周平(富士通)6.01
37)13.45(-0.8)高山峻野(ゼンリン)5.09
62)13.55(+0.3)徳岡凌(立命大)4.04
101)13.66(+1.8)野本周成(愛媛陸協)6.06
105)13.67(-0.8)横地大雅(法大)5.09
だ。
金井は、実家の歯科医を継ぐために歯学部受験を目指し、今年を「ラストシーズン」と位置づけている。春先から好調でライバルからは「一歩」抜き出ている感じだ。4月17日に13秒36(+1.3)、同29日の織田記念で13秒16(+1.7)の特大の日本新。5月9日の五輪テスト大会(READY STEADY TOKYO)でも向風0.8mの中で13秒38で走って泉谷に0秒05差、高山に0秒07差、村竹に0秒13差をつけて優勝した。3月の室内での日本選手権60mHでは泉谷と石川に敗れたが、110mHでは20年から負け知らずである。ハードルを大きく引っかけるなどがない限り、金井の優位は揺るぎのないところだろう。
2019年に日本記録を2度更新した高山は、春先にアキレス腱やふくらはぎを痛め、やや出遅れて5月9日が初戦。向風0.8mのもと金井と泉谷には0秒07差と0秒02差で敗れたが、13秒45でまとめた。2019年・ドーハ世界選手権では準決勝に進出し、3台目まで先頭。5台目のリード脚をハードルに乗り上げなければ……、という見せ場を作った。1994年9月3日生まれの26歳で、脂が乗りきってくる年齢。日本選手権までにはきっちりと仕上げてくるはずだ。
昨年から1台目までを「7歩」のアプローチに取り組んできた泉谷も楽しみな選手。関東インカレの予選では、13秒30(+0.8)で五輪参加標準突破。決勝では、5.2mの追風参考ながら、13秒05の「日本人最速」のタイムで駆け抜けた。
泉谷の大学の後輩・村竹は、泉谷が持っていたU20の日本記録を0秒01更新する13秒35(+0.3)を6月1日にマーク。この記録は2021年・U20世界トップで、リスト2位に0秒54もの差をつけている。関東インカレでは、追風5.2mの中で13秒20をマークし13秒05の泉谷に続いた。
13秒39のベストを持つ石川は、筑波大時代から日本インカレや日本選手権などのビッグタイトルこそ獲ってはいないが、大きな試合できちんと結果を残してきている「いぶし銀」の輝きを放つ選手。
上記5選手の日本選手権での入賞歴は以下の通り。
年 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 |
---|---|---|---|---|---|---|
高山峻野 | 1 | ・ | 1 | 2 | 1 | 1 |
金井大旺 | ・ | 3 | 5 | 1 | ・ | 2 |
石川周平 | ・ | ・ | 7 | 6 | 3 | 7 |
泉谷駿介 | ・ | ・ | ・ | ・ | 2 | 3 |
村竹ラシッド | ・ | ・ | ・ | ・ | ・ | ・ |
6年間で優勝4回、2位1回の高山の安定ぶり目立つ。
★5人の対戦成績★
金井と高山のこれまで「決勝レース」での対戦成績は以下の通り(収録漏れがあったらご容赦を)。年月日 | 競技会名 | 金井大旺 | vs | 高山峻野 |
---|---|---|---|---|
2012.10.08 | 国体 | 6)14.48 | ● ○ | 3)14.22 |
2014.05.03 | 法大競技会 | 2)13.96 | ○ ● | 3)14.14 |
2015.05.15 | 関東学生 | 6)14.26 | ● ○ | 4)13.97 |
2016.04.02 | 東京六大学 | 2)13.89 | ○ ● | 3)13.93 |
2016.04.29 | 織田記念 | 5)13.95 | ● ○ | 3)13.89 |
2016.05.20 | 関東学生 | 2)13.80 | ● ○ | 1)13.75 |
2006.09.04 | 日本学生 | 4)14.25 | ● ○ | 1)14.02 |
2017.04.29 | 織田記念 | 4)13.73 | ● ○ | 3)13.67 |
2017.06.25 | 日本選手権 | 5)13.77 | ● ○ | 1)13.45 |
2017.10.09 | 国体 | 2)13.58 | ○ ● | 5)13.68 |
2018.04.29 | 織田記念 | 1)13.52 | ○ ● | 5)13.76 |
2018.05.20 | GGP大阪 | 2)13.53 | ○ ● | 3)13.55 |
2018.06.03 | 布勢スプリント | 1)13.52 | ○ ● | 2)13.67 |
2018.06.24 | 日本選手権 | 1)13.36 | ○ ● | 2)13.45 |
2018.08.28 | アジア競技会 | 7)13.74 | ● ○ | 3)13.48 |
2019.04.24 | アジア選手権 | 5)13.64 | ● ○ | 4)13.59 |
2019.05.19 | GGP大阪 | 3)13.47 | ○ ● | 4)13.51 |
2019.08.17 | ナイトG福井 | 2)13.53 | ● ○ | 1)13.25 |
2019.09.01 | 北麓トライアル | 3)13.51 | ● ○ | 1)13.29 |
2020.08.23 | GGP東京 | 1)13.45 | ○ ● | 3)13.74 |
2020.08.29 | ナイトG福井 | 1)13.27 | ○ ● | 2)13.34 |
2020.10.03 | 日本選手権 | 1)13.36 | ○ ● | 2)13.47 |
2021.05.09 | 五輪テスト大会 | 1)13.38 | ○ ● | 3)13.45 |
2021.06.06 | 布勢スプリント | 1)13.40 | ○ ● | 3)13.48 |
13-11 |
以上のとおりで、ほぼ互角の勝負であるが、2020年以降は金井が5連勝中。
金井と他の選手は、
vs石川とは、17勝2敗。
vs泉谷とは、4勝1敗。
vs村竹とは、3勝0敗。
高山は、
vs石川とは、14勝1敗。
vs泉谷とは、5勝2敗。
vs村竹とは、1勝1敗。
石川は、
vs泉谷とは、4勝8敗。
vs村竹とは、1勝3敗。
泉谷と村竹は、泉谷の3勝1敗。
以上の対戦成績から序列をつけると、
1)金井
2)高山
3)泉谷
4)村竹
5)石川
の順になろう。
★日本選手権・決勝での「着順別最高記録」★
1)13.36 2018年・2019年・2020年2)13.36 2019年
3)13.48 2020年
4)13.55 2020年
5)13.61 2020年
6)13.67 2020年
7)13.71 2020年
8)13.72 2020年
以上のように、2020年が最もハイレベルだった。
「いい追風」に恵まれれば、「日本新」のみならず、今回もたくさんの「着順別新記録」が生まれそうだ。
ハードル1台のちょっとしたミスで大きく順位が変動する種目だけに、1台毎の展開に一瞬も目が離せない。
【男子400mH】
五輪参加標準突破者4人が激突
・予選/6月25日 18:35 3組2着+2・決勝/6月26日 17:00
★3枚の切符を目指して、激戦必須★
五輪参加標準記録の48秒90をクリアしているのは、48.68 黒川和樹(法大・2年)
48.80 安部孝駿(ヤマダホールディングス/自己ベスト48.68)
48.84 山内大夢(早大・4年)
48.87 豊田将樹(富士通)
の4人。
この4人は「3位以内」で「代表内定」となる。
安部が3連勝・4回目の優勝に挑む。が、4月上旬にアキレス腱を痛めたこともあり、最終盤で失速するレースが今シーズンは目立つ。ただ、経験豊富な29歳のベテランだけに、きっちりと仕上げてくることだろう。大学生の黒川と山内、社会人1年目の豊田は5月9日に揃って五輪標準突破の自己ベストをマークして勢いがある。
五輪参加標準記録の有効期間外の記録で「WAランキング」にも反映されないが、今回のエントリー記録では、
48.92 鍛治木崚(住友電工)
49.08 野澤啓佑(ミズノ/自己ベスト48.62)
49.12 山本竜大(日大・大学院2年)
が4人に続く。自己ベストでは、過去5回優勝の岸本鷹幸(富士通)が現役トップの48秒41(2012年)だ。
これらの選手は、「48秒90以内、3位以内」で、大逆転を狙うことになる。
★層の厚さは、世界2位!!★
110mHもそうだが、この種目も日本の層は非常に厚い。2015年以降の「世界100位」の記録と「100位以内」に入った日本人とトップのアメリカの人数は、
年 | 世界100位 | 日本人 | アメリカ(2020年以外は世界トップ) |
---|---|---|---|
2015 | 50.06 | 9人 | 24人 |
2016 | 49.89 | 10人 | 18人 |
2017 | 49.88 | 12人 | 19人 |
2018 | 49.86 | 9人 | 21人 |
2019 | 49.90 | 14人 | 22人 |
2020 | 50.85 | 35人 | 1人 |
2021 | 50.32 | 14人 | 30人 |
・2021年は、6月17日現在のもの。
コロナで世界的に競技会が少なかった2020年(日本がトップ)以外は、アメリカが常にトップで日本は「世界2位の層の厚さ」というのが、2007年からずっと続いている。
★日本人の大会最高記録と法大勢★
大会記録の48秒08(1991年)は、ザンビアのサムエル・マテテさんが保持。日本人の最高記録は苅部俊二さん(富士通)の48秒34(97年)。これが実質的な大会記録といえよう。苅部さんは法大出身。2006年から母校の監督をつとめているが、苅部さんに限らず400mHでは法政大学関係者(卒業生を含む)が非常に頑張ってきている。
日本歴代10傑にも、
1)47.89 為末大 2001.08.10
4)48.34 苅部俊二 1997.10.05
5)48.41 岸本鷹幸 2012.06.09
7)48.64 齋藤嘉彦 1998.10.04
10)48.68 黒川和樹 2021.05.09
と5人の名前があり、学生歴代10傑にも5人(上記の苅部さんに替わって豊田将樹)が入傑。
日本選手権でも、1992年からの28年間で、齋藤・苅部・為末・岸本の4人で計18回も優勝している。
★日本選手権・決勝での「着順別最高記録」★
1)48.34 1997年/48.08 1991年=外国人2)48.75 1993年
3)49.03 1996年
4)49.21 1996年
5)49.57 2012年
6)49.89 2007年
7)50.22 1999年
8)50.84 2016年/50.56 1993年=外国人が4位にいたレース
今回の会場である長居(ヤンマースタジアム)、横浜(日産スタジアム)、新潟(デンカビッグスワン)、袋井(小笠山総合静岡スタジアム=通称、エコパ)などの競技場は、トラックが大きな観客席で囲まれていて、その日の天候にもよるが、「トラック1周がすべて追風」という周回種目にとっては、ありがたい風になることが多い。6月26日17時00分にそういう風が吹いたならば、上述の苅部さんの48秒34を24年ぶりに上回る「実質的大会新」やもしかしたら「47秒台」も生まれるかもしれない。
前半型の安部と黒川がリードを奪い、後半型の山内と豊田が最後に追い込んでくるであろう予想で、ホームストレートのデッドヒートに注目だ。
【男子3000mSC】
三浦龍司の「日本新」&「五輪参加標準突破者続出」に期待!!
・決勝/6月26日 16:05★「8分22秒00」を新たに何人がクリアするか?★
5月9日の五輪テスト大会(READY STEADY TOKYO)で18年ぶりの日本新となる8分17秒46で走った三浦龍司(順大・2年)に再度の「日本新」の期待がかかる。五輪参加標準記録の「8分22秒00」もクリアしているので、三浦は「3位以内」ならば、「代表内定」となる。それ以外にも、「8分22秒00」に迫る選手がいて「五輪切符チャレンジ」のレースになる。
エントリー記録では、
1)8.17.46 三浦龍司(順大)
2)8.22.39 山口浩勢(愛三工業)
3)8.23.93 阪口竜平(SGHG)
4)8.26.30 青木涼真(Honda)
5)8.27.25 塩尻和也(富士通)
6)8.28.01 楠 康成(阿見AC)
の順。2017年に8分29秒05で走った潰滝大記(富士通)を加え8分30秒以内が7人というのは、史上最多人数だ。
6月15日現在の「WAランキング」では、山口が35位、塩尻が37位、阪口が40位相当、青木が44位相当で「ターゲットナンバー(出場枠)」の「45人」の圏内。楠も51位相当で、あと一歩に位置している。
三浦は「3位以内」で「五輪代表内定」なので気持ちは楽だろうが、他の選手は「8分22秒00突破」あるいは少しでもタイムを上げて「WAランキング」のポイントを稼ぐ必要がある。そんなことからも「8分22秒00」を目標に、スローな展開にはならないだろう。
三浦が8分17秒46で走った時の1000m毎は、
1000m 2.46.41 2.46.41
2000m 5.36.77 2.50.36
3000m 8.17.46 2.40.69
2000mまでは「8分30秒切りのペース」だったが、ラスト2周から切り替えて「18年ぶりの日本新」につなげた。国立競技場のトラックは水濠がトラックの内側にあり1周390m。ペースアップしてからの残り2周を65秒6と60秒3でカバーした。400m換算で67秒3と61秒8のスピードで800m換算2分09秒1、最後の100mは14秒7で走った。ラストのペースアップは何とも頼もしい限りで、8分10秒より遅いタイムで決着がついた過去の五輪や世界選手権のデータからすると、入賞争いのみならずメダル争いにも加われるスピードだった。
今回の会場である長居競技場は水濠が外側にあるので、1周422.96m。8分17秒46は1周あたり70秒14、8分22秒00なら70秒78がイーブンでならしたペースだ。1000m毎なら2分45秒82・5分31秒64が日本記録、五輪標準なら2分47秒33・5分34秒67が平均ペースとなる。「五輪参加標準記録」を目指す選手にとっては、これが目安となろう。3000mSCは最後の1000mをいかにしっかり走りきれるかがポイントで、前半で貯金を作ろうとして突っ込み過ぎると2000m以降に失速することも多いので要注意である。
三浦以外は、「8分22秒00」がターゲットだが、47年前の1974年にそれを上回る8分21秒6で走った小山隆治さん(クラレ)、41年前の1980年に新宅雅也さん(ヱスビー食品)が小山さんの記録を更新する8分19秒52をマークしている。2人の名前は今も日本歴代3・4位に光輝き、小山さんの記録はその年の世界7位、新宅さんは同11位だった。小山さんは1972年ミュンヘン五輪で8位と0秒6差の9位(当時の入賞は6位までで、6位とは4秒3の差)。その順位は、五輪の3000mSCでの「日本人最高順位」として今も残っている。新宅さんは、1980年モスクワ五輪の3000mSC代表となったが、日本がボイコットしたため残念ながら本番を走ることはかなわなかった(1984年ロサンゼルス五輪1万mに出場。1988年ソウル五輪ではマラソンに出場し17位)。また、新宅さんが日体大時代の1979年にマークした8分25秒8は、2020年に三浦が8分19秒37で走るまで、41年間も「学生記録」として残っていた。
★日本人の大会最高記録★
大会記録の8分19秒21は、1994年にダニエル・ジェンガさん(仙台育英高)がマークしたもので当時のジュニア世界新記録。日本人選手の大会最高記録は、山口浩勢の8分24秒19(2020年)。今回は、三浦を筆頭に複数の選手がこれらの記録を上回る可能性がありそうだ。★日本選手権での「着順別最高記録」
1)8.24.19 2020年/8.19.21 1994年=外国人2)8.28.01 2020年
3)8.30.81 2020年
4)8.31.88 2020年
5)8.34.55 2020年
6)8.40.54 1996年
7)8.40.61 1996年
8)8.40.67 1996年
エントリー記録8分40秒以内の選手が10人いるので、2020年に続きたくさんの着順別最高記録も更新されることだろう。また、400mHのところでも述べたが、長居競技場は1周すべてが追風になることも多い。レースの25日16時過ぎがそんな条件ならば、日本記録や五輪参加標準記録突破に向けての大きなあと押しになる。また、三浦が洛南高校時代の2019年の近畿インターハイで、高校記録を初めて破った(8分39秒49で30年ぶりの更新。その後、日本選手権の予選で8分39秒37に伸ばした)のが長居で、三浦にとって「縁起のいい競技場」でもある。
野口純正(国際陸上競技統計者協会[ATFS]会員)
写真提供:フォート・キシモト
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▼東京2020オリンピック競技大会 代表選手選考要項
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▼【日本選手権】エントリーリスト
https://www.jaaf.or.jp/files/competition/document/1556-4.pdf
▼【日本選手権】競技日程
https://www.jaaf.or.jp/jch/105/timetable/