2021.04.30(金)大会

【第105回日本選手権10000m展望】即時内定には標準記録突破が必須。鍋島・廣中を中心に、ハイレベルなレースを期待~女子編~



第105回日本選手権10000mがこの種目の東京オリンピック日本代表選手選考会を兼ねて、静岡・小笠山総合運動公園 エコパスタジアムにおいて開催される。新型コロナウイルス感染拡大の影響により、東京オリンピックは会期を1年ずらしての開催に。陸上競技は、今年の夏、7月30日に開幕することとなった。男子10000mは、大会初日の7月30日夜、オリンピック最初の決勝種目として行われ、女子10000mはトラック&フィールド種目実施の最終日となる大会9日目の8月7日夜、決勝が行われる。
すでに昨年12月に開催された日本選手権長距離の10000mにおいて、ともに日本新記録を樹立して優勝した相澤晃(旭化成)と新谷仁美(積水化学)が、参加標準記録を突破しての優勝という内定条件を満たして、ともに「1枠目」を獲得。このため、今大会では、男女ともに残り2つとなった代表枠を懸けて、選手たちはしのぎを削ることになる。即時内定を得るためには、3位以上の成績を収めたうえで、同レース終了時点で参加標準記録を突破していることが必要だ。
本日から、女子、男子の順に、注目選手や見どころをご紹介する。

※情報や記録・競技会等の結果は、4月30日時点の情報で構成。

文:児玉育美(JAAFメディアチーム)
写真:アフロスポーツ


【女子10000m】

昨年の日本選手権で30分20秒44の日本新記録を独走でマークして、この種目の内定第1号となった新谷仁美(積水化学)は、当初出場するとみられていたが、最終的にエントリーを見合わせた。新谷が出場すれば、連覇は濃厚といえたので、代表入りを目指す選手たちにとっては標準記録突破とともに、“新谷対策”が必要になるところだったが、これによって、「残り2枠」を懸けてのガチンコ勝負に集中できることとなった。オリンピック参加標準記録は31分25秒00。この記録を有効期間内に突破している者は、エントリーしている選手のなかにはおらず、したがって、即時内定を得るためには、このレースで参加標準記録を突破したうえで、より上位で先着することが大前提となる。つまり、「記録も、勝負も」の戦いが求められるわけだ。気象条件にもよるが、当日は、標準記録突破を狙う複数選手によるハイペースのサバイバルレースが展開されることになるだろう。

前回覇者の新谷、そしてマラソンでオリンピック代表に内定している前回2位の一山麻緒(ワコール)がいないなかでのレース。上位有力候補としては、昨年、この2人に続いた佐藤早也伽(積水化学、前回3位31分30秒19)、鍋島莉奈(JP日本郵政G、前回4位31分31秒52)の2人をまず挙がるところだったが、残念ながら佐藤の欠場が4月30日に公表された。これによって、実績面でも豊富な経験を持つ鍋島が、どんな仕上がりをみせてくるかに、関心が絞られることになった。
鍋島は、日本選手権では、5000mで2017年・2018年と連覇し、2019年は10000mで優勝を果たしている選手。2017年のロンドン世界選手権には5000mに出場している。ケガで10000mの代表に選ばれながらも欠場を余儀なくされた2019年ドーハ世界選手権以降、故障が続き、その影響もあって前回の日本選手権も4位にとどまった。参加標準記録の31分25秒00は、2018年に出している自己記録31分28秒81を上回るが、標準記録突破を狙うペースで進むことになるであろうレースの流れに最後まで乗ることができれば、クリアするだけの力は十分に持っている。今季は、4月10日の金栗記念選抜中・長距離5000mに出場しているが結果は16分00秒25と今ひとつ。ここからどう調子を上げてきているか。勝負所でのスピードの切り替えがうまく、鮮やかなスパートを放つことができるタイプだけに、最後のキックが効く位置で終盤を迎えられるような展開に持ち込めるかがポイントとなりそうだ。

そしてここに来て、優勝候補の最右翼として名前を挙げることのできる選手が、今回、新たに加わっている。昨年、5000mで日本歴代3位となる14分59秒37をマークし、この種目での参加標準記録(15分10秒00)を突破している廣中璃梨佳(JP日本郵政G)だ。昨年の日本選手権は5000mに出場したが、田中希実(豊田自動織機TC)に惜敗して2位にとどまり、代表切符の獲得を今年に持ち越していた。今回の日本選手権に向けても6月に行われる5000mに絞るかと思われていたが、4月10日の金栗記念選抜中・長距離で初めて10000mに挑戦。日本選手権の参加標準記録31分47秒00を悠々上回る31分30秒03の好記録で優勝したことで、この種目にも挑戦することとなった。5000mの自己記録は、昨年9月の全日本実業団でマークした記録だが、このときは3000mを8分52秒80(日本歴代9位)で走り、中1日空けて臨んだレースで出したもの。また、11月の全日本実業団女子駅伝1区(7.6km)で2.5km過ぎから独走して23分21秒をマークしていることからも、標準記録の31分25秒00をクリアして優勝争いできる力は十分に備えているとみてよいだろう。前に出て自分でペースを刻んでいけるタイプであることを考えると、序盤から先頭に立ってハイペースで押していく可能性が高そうだ。これに鍋島がうまくついて最後まで粘りきれるようだと、JP日本郵政G勢2人が標準記録を突破してワン・ツーフィニッシュを果たす可能性もある。

このほかでは、前回5~8位となった矢田みくに(デンソー、31分34秒39)、萩原歩美(豊田自動織機、31分36秒04)、筒井咲帆(ヤマダホールディングス、31分36秒19)、安藤友香(ワコール、31分37秒71)も、レース展開次第では、参加標準記録に手が届きそうな位置にいるといえるだろう。マラソンで2時間21分36秒の自己記録を持つ安藤は、2月の全日本実業団ハーフマラソンを1時間09分54秒で優勝したあと、4月10日の選抜中・長距離10000mでは31分46秒80で廣中に続くなど、順調な経過を見せている。また、今季からヤマダホールディングスの所属となった岡本春美は、5000mで15分20秒56、10000mで31分28秒20(ともに2018年)の自己記録を持つ選手。日本代表まであと一歩という位置に何度も立ちながらも、ケガなどの影響で実現を果たすことができていない。前回の日本選手権は5000mに出場して10位(15分32秒46)。その後、今年に入ってからは、1月17日に10000mで32分34秒61、4月10日に5000mで15分35秒81、4月18日に3000mで9分20秒40と、トラックレースに出場している。前述の廣中もそうだが、岡本が今回、10000mでどんな走りを見せるかは、6月末の5000mの代表争いにも影響を及ぼすことになりそうだ。

学生陣では、3月の日本学生ハーフマラソンで激しく競り合い、同タイムで1位・2位となった小林成美(名城大)と鈴木優花(大東文化大)が再び激突する。小林のベストは昨年マークした32分08秒67、鈴木は2019年に学生歴代2位となる31分37秒88で走っている。格上の実業団選手と一緒のレースのなかで2人が競り合うことによって、2010年から塗り替えられていない学生記録31分30秒92(吉本ひかり、2010年)が更新されるかもしれない。

絶対に見逃したくないのが、福士加代子(ワコール)の走り。ご存じの通り、5000m、10000m、そしてマラソンで、長年、記録・世界大会での活躍ともに数多くの実績を残してきた名ランナー。10000mでは、2002年に出した自己記録30分51秒81をはじめとして、日本歴代パフォーマンストップ10のうち6つが福士のマークした記録である。日本選手権の10000mでは6年連続7回の優勝(2002~2007年、2010年)を果たしており、5000m(6回)を合わせると優勝回数は全13回にのぼる。さすがに上位争いに絡んでいくのは難しいだろうが、30代最後の年に迎える第105回大会で、どんな走りを見せてくれるか。その姿をしっかり記憶に焼きつけたい。



・大会情報
https://www.jaaf.or.jp/competition/detail/1546/

・応援メッセージキャンペーン!あなたの言葉で東京の舞台を目指す選手の背中を押そう!
https://www.jaaf.or.jp/news/article/14766/

・「東京2020オリンピック競技大会」日本代表選手内定について
https://www.jaaf.or.jp/files/upload/202104/25_212802.pdf

JAAF Official Partner

  • アシックス

JAAF Official Sponsor

  • 大塚製薬
  • 日本航空株式会社
  • 株式会社ニシ・スポーツ
  • デンカ株式会社
  • 株式会社クリエイト

JAAF Official Supporting company

  • 株式会社シミズオクト
  • 株式会社セレスポ
  • 近畿日本ツーリスト株式会社
  • JTB
  • 東武トップツアーズ株式会社
  • 日東電工株式会社
  • 伊藤超短波株式会社
  • 洋服の青山
  • 国立スポーツ科学センター
  • JAPAN SPORT COUNCIL 日本スポーツ振興センター
  • スポーツ応援サイトGROWING by スポーツくじ(toto・BIG)
  • 公益財団法人 日本体育協会
  • フェアプレイで日本を元気に|日本体育協会
  • 日本アンチ・ドーピング機構