【女子10000m】
安藤友香(ワコール)
2位 31分18秒18 =東京オリンピック代表内定
すごくホッとしている気持ちと(代表内定を)取れてよかったという気持ちが交ざっている。ここまでいろいろなことがあったが、たくさんの人に支えてもらい、そういう人たちを含めて足並みを揃えて、この試合に臨んできた。(代表の)切符が取れて、ちょっとは恩返しができたのかなと思う。
ゴールした段階では、タイムがわかっていなかったので、「もしかしたら、(標準記録を)切れていないのかもしれない」と考えた。しかし、(記録が)わかったときは、お世話になった人の顔が次々に浮かんで、「本当にありがとうございました」という気持ちでいっぱいになった。
(10000mでオリンピック出場を狙うことは)去年の12月の日本選手権の結果をみて、3月マラソンをやるのか、トラックでオリンピックを狙うのか考えようと、永山忠幸監督と話をしていたこと。そこで自己ベストを更新することができ、自分としては自国開催のオリンピックということで、「こんなチャンスはなかなかない。可能性がある限り狙いたい」という気持ちが強かったので、その思いを監督に伝え、監督からも、「狙うからには全力で一緒に頑張りましょう」と言っていただいたという経緯がある。「狙いたい」と自分で言った限りは、責任を持って全力で取り組もうと思ったし、(チーム内には)一山麻緒選手がマラソン代表として身近にいて、種目が違ってもそういう選手がいることは、私にとっても非常に大きかった。本当に恵まれた環境にいさせてもらって、すごくありがたいなと思う。
レースを振り返ると、苦しかったのは、廣中さんが後ろに下がって私が前に出てレースを進めていた7000mあたり。そこはまだ自分の力不足なのだが、(走るべき)ペースをしっかり押していくことができなかった。そこはもっと強化しないといけないところだと思う。逆に、ラスト1000mくらいでラップを見て、「このままの自分のペースで行くと、切れるかどうかわからないぞと思ったとき、今までだったら、そこで諦めたり妥協したりする面があったのだが、今回は「ここまで来たし、最後まで絶対に諦めたくない」と廣中さんの背中をしっかりと追いかけて走れることができた。そこは、今回成長した部分かなと思う。(廣中さんとは、この大会の前に対戦した4月の)金栗記念のときも、ほとんど2人で走る展開となったのだが、あのときは後ろにつかれたときに、後ろが気になってしまって、自分の走りに集中することができなかった。その経験があったので、今回は、後ろにはいたけれど、自分の走りに集中し、前へ行こうという走りができた。まだまだ反省すべき点も課題もあるけれど、今回学んだことを次に生かせるよう、自分らしい走りが今後もできるように頑張りたい。
オリンピックは、小さいころは「夢」で、でも陸上を始めてから、それが「憧れ」とか「目標」に変わり、手の届くところまできて、そして、ようやく手にすることができた。自分の集大成として、自分らしい走りをして、どんな結果になっても最後は笑顔で「やりきった」といえるレースをしたい。
2021/05/03 JAAFメディアチーム