2020.11.26(木)大会

【第104回日本選手権長距離】展望:18歳の三浦が、日本新記録での戴冠と五輪切符獲得に挑戦!~男子3000m障害物編~



トラックで行われる長距離種目の第104回日本選手権が12月4日、東京オリンピック代表選考会を兼ねて、大阪・ヤンマースタジアム長居において開催される。

新型コロナウイルスの感染拡大・緊急事態宣言発令の影響で延期を余儀なくされた当初の日程を、世界陸連(WA)が各国の公平性に配慮して設けたオリンピック参加にかかわる諸条件(参加標準記録、ワールドランキングポイント)の適用除外期間(4月6日~11月30日)が明けた直後となるタイミングに再設定。さらに、昨年から別日程で行っている10000mだけでなく、5000mと3000m障害も組み込むことで、長距離種目すべてをオリンピック代表選考レースとして実施できるようにした。

今回の内定条件は、各種目ともに「優勝者で、日本選手権終了時点に東京オリンピック参加標準記録を満たしている競技者」であること。すでに有効期間中に参加標準記録を突破している競技者は優勝を、まだ突破していない競技者は参加標準記録を上回っての優勝を目指して、勝負に挑むことになる。ここでは、各種目における注目選手や見どころをご紹介していこう。

※情報や記録・競技会等の結果は、11月23日時点の情報で構成。


■「東京2020オリンピック競技大会」日本代表選手内定条件まとめ
https://www.jaaf.or.jp/files/upload/202011/17_124348.pdf


文:児玉育美(JAAFメディアチーム)
写真:フォート・キシモト


【男子3000m障害】

今回の日本選手権長距離は、3000m障害、5000m、10000mの順で実施されることが決まっている。「トラック種目の東京オリンピック内定第1号」のアナウンスは、早ければ男子3000m障害で、しかも、「17年ぶりの日本記録更新」という快挙とともに聞くことができるかもしれない。その実現に最も近いところにいるのが、弱冠18歳・大学1年生の三浦龍司(順天堂大)だ。

2002年2月生まれの三浦は、京都・洛南高3年の昨年、初出場となった日本選手権の予選で8分39秒37のU18日本新・高校新記録を樹立すると、決勝でも8分40秒30のセカンドベストで5位に食い込む健闘で、一躍注目を集める存在となった選手。3000m障害で多くのトップ選手を輩出している順天堂大に進んだ今季は、さらに大きな成長を遂げてきた。

3000m障害では、7月18日のホクレンディスタンスチャレンジ(DC)千歳大会で、東京オリンピック参加標準記録の8分22秒00を上回る8分19秒37(日本歴代2位)を叩き出し、どちらも長年破られていなかった学生記録(8分25秒8、1979年)、U20日本記録(8分31秒27、1983年)をあっさり更新すると、9月の日本インカレは独走で1年生優勝を達成。ロード種目でも、10月17日にハーフマラソンで行われた箱根駅伝予選会において、2010年に大迫傑(当時、早稲田大:現マラソン日本記録保持者)が樹立したU20日本最高記録1時間01分47秒を6秒更新する1時間01分41秒をマークして日本人トップ(5位)の成績を残したり、11月1日に行われた全日本大学駅伝1区(9.5km)を区間新記録(27分07秒)で駆け抜けて区間賞を獲得したりするなど、快進撃を続けている。

ホクレンDCの8分19秒37は、適用除外期間中の記録であるため、内定切符を手にするためには、今回の日本選手権で再び参加標準記録を上回って優勝しなければならないが、ロードでの安定した走力の高さを考えても、実現は可能といえるだろう。また、日本選手権には、ホクレンDC同様に、三浦と同学年で、岡山・倉敷高時代に2017~2019年インターハイ3000m障害で3連覇を達成しているフィレモン・キプラガット(愛三工業)もオープン参加でエントリーしている。1000mを2分47秒9で、2000mを5分39秒9で通過する展開となったホクレンDCでは、高校時代に後塵を拝し続けたキプラガットを、三浦が最後の直線でかわして勝利したが、キプラガットの8分19秒60も自己新記録。気象条件にもよるが、この2人が長居スタジアムでも同様のペースで競り合うことができれば、17年塗り替えられていない日本記録8分18秒93(岩水嘉孝、2003年)の更新も十分に期待できる。

 今季の日本リストで三浦に続いているのが山口浩勢(愛三工業)、青木涼真(Honda)の2選手。山口の8分25秒04(日本歴代5位)、青木の8分25秒85(日本歴代6位)はともに三浦と同じホクレンDCでマークしたものだが、昨年のドーハ世界選手権参加標準記録が8分29秒00であったことを考えると、力は着実についている。三浦・キプラガットの背中に少しでも近い位置でレースを展開したいところだろう。また、全日本実業団で8分28秒49をマークしている楠康成(阿見AC)は、ずっと1500mがメインで10月の日本選手権では3位に食い込んでいる選手。3000m障害は昨年からに取り組むようになり、2年目でここまで来ている。山口・青木同様、自己記録をさらに参加標準記録に近づけていくことが、ワールドランキングの順位を上げていく上でも重要になってくる。

 東海大4年だった昨年、初優勝を果たした阪口竜平(SGHグループ)は、ディフェンディングチャンピオンとして挑むことになる。去年は、決勝で8分30秒切りを果たしたものの参加標準記録にわずか0.85秒届かず、ドーハ世界選手権出場を逃す悔しさを味わっているだけに、巻き返したい思いは強いはずだ。アメリカでトレーニングに取り組んでいた2月には、ボストン大での室内競技会男子5000mで日本歴代3位となる13分29秒61の好走を見せたほか、7月のゴールデングランプリ(GGP)でも1500mを3分43秒53の自己新で走っているが、3000m障害は10月中旬の記録会に一度出場して8分59秒39にとどまっているのが気になるところだ。

 もう一人、要チェックなのが2016年リオデジャネイロオリンピック代表の塩尻和也(富士通)。昨年、日本歴代6位となる8分27秒25をマークしてドーハ世界選手権出場権を獲得したが、右膝靱帯を痛めたことで本番を欠場。手術・リハビリを経て、7月に5000mでレース復帰(13分39秒79 )を果たした。3000m障害は9月末の順大記録会でマークした8分47秒90のみにとどまっているが、11月3日の東日本実業団駅伝ではアンカー(区間賞)を務めて優勝に貢献するなど、着実に状態は上向いている。完全復活への足がかりとなるようなレースを期待したい。


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