2020.12.07(月)大会

【第104回日本選手権長距離】ハイライト



第104回日本選手権長距離が12月4日、大阪・ヤンマースタジアム長居で開催され、男女3000mSC、男女5000m、男女10000mの計6種目の「2020年日本一」が競われました。この大会の実施にあたっては、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大に伴って世界陸連(WA)が設けていたオリンピック出場にかかわる諸条件(参加標準記録、ワールドランキングポイント)の適用除外期間(4月6日~11月30日)が明けた直後となるタイミングに会期を再設定し、東京オリンピックの代表選考会を兼ねての開催に。女子5000mの田中希実選手(豊田自動織機TC)、女子10000mの新谷仁美選手(積水化学)、男子10000mの相澤晃選手(旭化成)の3名が条件を満たして、代表に内定しました。

また、各種目において、出場選手の多くが自己記録を更新する活況に。男女10000mで日本新記録が、男子5000mでU20日本記録が誕生しています。




大会最初の種目となった3000mSCには、16名が出場しました。3周目に入るあたりで秋山祐妃選手(大東文化大)、山中柚乃選手(愛媛銀行)が前に出ると、これに前回覇者の吉村玲美選手(大東文化大)がついて1000mを3分17秒で通過。先頭グループは、その後、吉村選手と山中選手がリードしてレースが進みましたが、残り4周目で前々回覇者の石澤ゆかり選手(エディオン)が浮上すると、ラスト3周となったところで先頭に立ち、吉村選手と山中選手が追う展開に。2000mは石澤選手がリードして6分34秒(この間の1000mは3分17秒)で通過し、残り2周に入ると後続を引き離しにかかりました。これに吉村選手が追いつこうとしましたが、大障害の1つ前の障害で抜き足をひっかけて転倒するアクシデント。そのまま石澤選手が差を広げ、日本歴代4位の9分48秒76の自己新記録で2回目のタイトルを獲得しました。2位は9分49秒45で吉村選手がフィニッシュ。3位には、ホームストレートで山中選手をかわした藪田裕衣選手(大塚製薬)が、9分52秒19の自己新記録をマークして続きました。




今季、日本歴代2位の8分19秒37(U20日本記録)をマークして日本リスト1位に立っていた三浦龍司選手(順天堂大)が直前に欠場を発表した男子3000mSCは、スタートしてすぐに前回覇者の阪口竜平選手(SGHグループ)が前に出ました。2周目に入ったところで塩尻和也選手(富士通)が阪口選手に並びかけ、これに青木涼真選手(Honda)、オープン参加のフィレモン・キプラガット選手(愛三工業)ら6選手が先頭集団を形成して1000mは2分48秒で通過。4周目に入るあたりで、第2グループが追いつき8名のかたまりとなりましたが、残り3周のバックストレートの障害で、阪口選手と荻野太成選手(旭化成)がクリアに失敗して脱落。その後、先頭は2000mを5分38秒で通過すると、水濠飛越を利用して先頭に立った山口浩勢選手(愛三工業)、キプラガット選手、順位を上げてきた楠康成選手(阿見AC)、青木選手の4名となって残り2周を迎えます。再びキプラガット選手が前に出て引っ張ると、青木選手がつけなくなり、先頭は3名でファイナルラップへ。最後の水濠を越えて前に出た山口選手が先着し、参加標準記録(8分22秒00)には届かなかったものの、日本歴代5位となる8分24秒19の自己新記録で初優勝を果たしました。8分28秒01(日本歴代10位)と再び自己記録を更新した楠選手が2位。青木選手は8分30秒81で3位でのフィニッシュとなりました。




男子5000mは、オープン参加のジャスティス・ソゲット選手(Honda)、アモス・クルガト選手(中電工)、ベナード・キメリ選手(富士通)の3選手が、スタート直後から先頭集団をつくって、交互に前に出ながらペースメイクし、これに日本選手がついていく展開となりました。1000mは2分42秒、2000mを5分20秒で通過。日本選手は、序盤から前回優勝者の松枝博輝選手(富士通)が日本人トップに立ち、同じ富士通の板東悠汰選手がすぐ後ろについた状態で、長い列をつくっていましたが、徐々にふるいにかけられ、2600m通過時点で上位は松枝、板東、川瀬翔矢(皇學館大)、吉居大和(中央大)の4選手に、さらに2800m手前で板東選手が日本人トップに立つと、これに反応できたのは吉居選手のみ。7分59秒で通過した3000m地点で外国人3選手につけたのは、板東・吉居の2選手となりました。いったんは吉居選手が板東選手の前に出る場面もありましたが、少しして再び板東選手に前を譲ると、その後は徐々に差が開き始めました。板東選手はその後、外国人選手に割って入る走りを見せながらレースを進め、残り300mでラストスパート。13分18秒49でフィニッシュし、初のタイトルを獲得しました。優勝記録は自己新記録であるとともに日本歴代7位となる好記録です。2位に食い込んだのは松枝選手。ラストのホームストレートで吉居選手をかわして13分24秒78で先着しました。吉居選手は3位でのフィニッシュとなりましたが、13分25秒87をマークし、今年樹立したU20日本記録を再び更新。これは、今季U20世界リスト8位となる記録です。




記録・勝負ともに高い注目を集めていた女子5000mは、18名(うち2名がオープン参加)が出場して行われました。スタートしてすぐにトップに立ったのは田﨑優理選手(ヤマダホールディングス)。これに廣中璃梨佳選手(JP日本郵政グループ)、カリウキ・ナオミ・ムッソーニ選手(ユニバーサル、オープン)、田中希実選手(豊田自動織機TC)、萩谷楓選手(エディオン)、カマウ・タビタ・ジェリ選手(三井住友海上、オープン)が上位に並ぶ長い1列となって、最初の1周は72秒で通過したものの800m以降は1周76秒のペースで進み、1000mを3分06秒、2000mは6分15秒での通過となりました。レースが動いたのは2400m通過直後。ここで廣中選手が先頭に立ってペースアップ。すぐに田中選手、萩谷選手、ジェリ選手が反応し、この1周のペースが71秒に上がりました。廣中選手は3000mを9分18秒で通過すると、その後も71秒のペースをキープ。これに田中選手がぴたりと後ろにつき、萩谷選手、カマウ選手の順でレースが進みます。ところが、4000mを12分14秒(この間の1000mは2分56秒)で過ぎたところで、萩谷選手がついていけなくなり、優勝争いは廣中選手と田中選手に絞られました。ラスト1周を14分01秒前後で通過すると、バックストレートで田中選手がスパート。廣中選手も粘りましたが、残り200mのところで田中選手がリードを奪うと、そのまま逃げきって15分05秒65でフィニッシュ。10月の日本選手権1500mに続き、2種目めのタイトルを獲得するとともに、内定条件を満たしてトラック&フィールド種目では男女を通じて第1号となる東京オリンピック日本代表の切符を手に入れました。2位の廣中選手は、15分07秒11でのフィニッシュ。15分19秒11で続いた萩谷選手が3位で続きました。




続いて行われた女子10000mでも、オリンピック代表内定者が出ました。すでに参加標準記録を上回っていた新谷仁美選手(積水化学)が、今季の世界リストでは2位に相当する30分20秒44の日本新記録でフィニッシュ。2002年から破られていなかった日本記録(30分48秒89、渋井陽子)を18年ぶりに書き換えるとともに、この大会におけるオリンピック代表選考条件を満たし、2012年ロンドン大会以来、2大会ぶり2回目の出場権を獲得したのです。

スタートしてすぐに飛び出したのは、新谷選手と同じ積水化学所属の佐藤早也伽選手。最初の1周を72秒、2周目のラップは73秒で回り、1000mを3分02秒で入りました。これに新谷選手、東京オリンピック女子マラソン代表の一山麻緒選手(ワコール)らがつき、10名の先頭集団を形成します。その後も佐藤選手がリードしてペースをつくりましたが、6分08秒(この間の1000m3分06秒、以下同じ)で通過した2000mの手前で新谷選手が先頭に立つと、すかさずついた一山選手とともに、佐藤選手ら3選手の後続集団との差をぐんぐんと開いていきました。新谷選手は、そこから1周71秒のラップを刻んで、3000mまでの1000mを2分57秒に引き上げ、9分05秒で通過。そこで一山選手がつききれなくなり、以降は新谷選手の一人旅となりました。4000mは12分05秒で通過。その後は1周73秒のペースを正確に刻み、5000mでは、直前に行われた女子5000mで2位となった廣中璃梨佳選手(JP日本郵政グループ)とほぼ同じの15分07秒で通過。終盤も1周73~74秒のペースを維持し続けて、最後のホームストレートで3位集団をも周回遅れにし、30分20秒44の日本新記録でフィニッシュラインを駆け抜けました。

新谷選手に続いたのは一山選手で、自己記録を更新する31分11秒56(日本歴代6位)をマーク。この記録でもオリンピック参加標準記録をクリアしました。2000m以降、3人で繰り広げられた3位争いは、最後の1周で佐藤選手が、鍋島選手と矢田みくに選手(デンソー)をかわして31分30秒19の自己新記録でフィニッシュ。前回覇者の鍋島選手が31分31秒52をマークして3位でレースを終えました。




大会最終種目に据えられた男子10000mは、出場者多数のため2組タイムレースで実施。参加資格記録上位30選手とオープン参加の外国人選手2名が入った2組目が、「メインレース」として行われました。スタートラインには、この種目の日本歴代上位者、日本選手権歴代優勝者らがずらり。レースは、男子5000mと同様に、オープン参加の外国人選手(ベナード・コエチ選手:九電工とクレオファス・ガンディエ選手:三菱重工)が交互に先頭を牽引し、日本記録(27分29秒69、村山紘太、2015年)を上回るオリンピック参加標準記録(27分28秒00)突破を狙って、1周66秒のペースで進んでいきます。

日本人選手では、スタートしてすぐに男子マラソン日本記録保持者(2時間05分29秒)で東京オリンピックのマラソン代表にも内定している大迫傑選手(Nike)が先頭に立ち、これに前回優勝者の田村和希選手(住友電工)が後ろにつき、西山雄介選手(トヨタ自動車)、佐藤悠基選手(SGHグループ)、相澤晃選手(旭化成)ら上位から最後尾までが縦に長い1列で連なる状態でレースが進められました。最初の1000mは2分45秒で通過。4周目に入るあたりからは、日本歴代2位の自己記録(27分29秒74、2015年)を持つ鎧坂哲哉選手(旭化成)が大迫選手の前に出て、2000m(5分29秒)、3000m(8分13秒)、4000m(10分57秒)、5000m(13秒41秒)と2分44秒のペースをキープして先頭を引っ張っていきます。これにつけなくなる選手が徐々に増えて、5000m過ぎで日本人の先頭集団は10名に。5200mで再び大迫選手が先頭に立ったあと、残り11周となった5600mからの周回で鎧坂選手が後退すると、すかさず田村選手が大迫選手につき、少し空けて伊藤達彦選手(Honda)、相澤晃選手(旭化成)らが続く並びとなって、6000mを16分24秒で通過していきます。6400m手前で田村選手がいったん日本人トップに立ちましたが、残り9周となる6400mの周回で伊藤選手が前に出ると、次の周回で5600m以降をガンディエ選手の後退により1人でレースを進めていたコエチ選手につくべく、日本人上位集団から抜け出しました。

7000mを19分10秒で通過した伊藤選手を追うことができたのは、田村選手と相澤選手。しかし、残り7周に入ると田村選手が後れ始め、相澤選手がコエチ選手と伊藤選手に追いつきます。伊藤選手は7600m以降で徐々に苦しそうな様子を見せつつも8000mでもリードを奪ったまま21分55秒で通過。残り5周となったその周回では、コエチ選手と相澤選手に突き放される場面もありながら再び相澤選手の前に出る粘りを見せます。しかし、8400mを過ぎたところで徐々に相澤選手との差が開き、残り3周を迎えるころには、その差は決定的なものとなりました。相澤選手は9000mを24分41秒で通過すると、ラスト1周でコエチ選手をかわし、この1周を60秒でカバー。27分18秒75の日本新記録で日本選手権初優勝を果たすとともに、オリンピック参加標準記録も10秒近く上回って、トラック&フィールド種目での男子内定第1号となりました。27分25秒73・2位でフィニッシュした伊藤選手も参加標準記録を突破。3位の田村選手は参加標準記録には0.92秒届かなかったものの27分28秒92をマークして日本記録を更新しました。日本記録を塗り替えた、この上位3選手の結果は、今季世界リスト7・9・10位にランクインする好記録です。

4位の河合代二選手(トーエネック)も27分34秒86の自己新記録で日本歴代6位に浮上。鎧坂選手(5位・27分36秒29)に続いて、6位でフィニッシュした大迫選手も、早稲田大4年の2013年に出した自己記録を7年ぶりに更新する27分36秒93(日本歴代9位)をマークしました。また、全体の記録水準も非常に高く、この大会の10000mに出場した日本選手48名のうち25名がパーソナルベストを更新する活況となりました。


文:児玉育美(JAAFメディアチーム)

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