2018.06.22(金)その他

【記録と数字で楽しむ日本選手権】女子トラック編

このページでは、第102回日本選手権の記録や数字に関しての少々(かなり?)マニアックな「みどころ」などを紹介します。なお、過去に紹介したものと重複している内容も含まれていることをお断りします。

【100m・200m】

★市川華菜選手の連覇か、福島千里選手の巻き返しか?
2017年は、市川華菜選手が100m・200mの「二冠女王」となり、福島千里選手(セイコー)の連勝にストップをかけた。福島選手は、100mが2010年から7連勝(08年も優勝で計8回)、200mが11年から6連勝(09年も優勝で計7回)、「両種目V」も6連勝だった。100・200m二冠V6は、98年から03年の新井初佳さん(ピップ・フジモト。のちに結婚で小島姓に)と並んでトップタイ。




★日本人の大会最高記録
両種目とも大会記録は、1991年にデービスさん(バハマ)がマークした11秒29と22秒73。日本人の「実質的大会記録」は、ともに福島選手で11秒30(10年)と現日本記録の22秒88(16年)。


【400m】

★大学生・岩田優奈選手の連覇なら13年ぶり
2007年から09年に丹野麻美さん(現姓・千葉)が3連勝(04・05年も2連勝で計5回優勝)したあと、10年からの8年間は毎年違う選手が「初優勝」を飾っている。17年に勝った岩田優奈選手(中大)が連勝すれば、大学生選手の連覇は、04・05年の丹野さん(福島大)以来13年ぶりとなる。関東インカレで岩田選手を破った広沢真愛選手(日体大)ならば、この種目での同大学の現役生の優勝は史上初、卒業生を含めると69年の三嶋恭代さん以来49年ぶり3人目(67年の内山依子さん)となる。



★福島大関係者の優勝
福島大関係者(現役生&卒業生)が圧倒的に強く、02年から17年までの16年間で10回を制している。


【800m】

★過去6年間は異なる選手が「初優勝」
400mと同様に、2010・11年に岸川朱里選手が連勝したあと12年から17年までの6年間は、毎年異なる選手が「初優勝」を飾ってきている。その6人のチャンピオンのうち今回エントリーしているのは、14年・大森郁香選手(日大。現在は、奥アンツーカー)、15年・山田はな選手(東学大。現在は、わらべや日洋)、17年・北村夢選手(日体大。現在は、エディオン)の3人。



いずれも大学生の時に日本選手権と日本インカレを制しているが、誰も全国インターハイでは入賞はしていなくて(大森=南関東・予選落、山田=全国・準決落、北村=全国・予選落)、大学で急成長した。高校時代のベストを大森選手は11秒33(2分15秒29→2分03秒96)、山田選手は7秒81(2分13秒27→2分05秒46)、北村選手は9秒84(2分10秒76→2分00秒92)短縮して日本チャンピオンになった。

★北村夢選手vs大学1年生コンビ
連覇に挑む北村選手は2017年のシーズンは日本人選手には負け知らずで、日本インカレでは2分00秒92の日本歴代2位をマークし、「1分台」が目の前に見えるところまでやってきた。が、17年のインターハイで揃って2分02秒台の高校新記録をマークした塩見綾乃選手(京都文教高。現在は立命大。17年日本選手権3位)と川田朱夏選手(東大阪大敬愛高。現在は、東大阪大。17年日本選手権2位)の大学1年生コンビが今期も好調。



5月3日の静岡国際では川田選手が、同20日のゴールーデングランプリでは塩見選手が北村選手に先着した。2月末に右膝を故障して出遅れていた北村選手が連覇を果たすか、大学1年生コンビのいずれかが新チャンピオンに輝くのか……。

★「1分台」なるか?!
2分02秒台までの選手が3人揃って日本選手権に出場するのは史上初で、「1分台」に期待がかかる。杉森美保さん(現姓・佐藤)が、2分00秒45の日本記録(2005年)をマークした時の100m毎の通過タイムは下記の通り、

100m  13.8 13.8
200m  27.7 13.9 27.7
300m  42.6 14.9
400m  57.8 15.2 30.1 57.8
500m 1.13.0 15.2
600m 1.28.5 15.5 30.7
700m 1.44.1 15.6
800m 2.00.45 16.4 32.0 32.7(前後半差 ▽4.9)

また、「着順別最高記録」もたくさん生まれる可能性がありそうだ。

<日本選手権・決勝での順位別最高記録>
1)2.00.45 2005年
2)2.03.29 2001年
3)2.04.51 2006年
4)2.04.62 2006年
5)2.05.51 2012年
6)2.06.19 2012年
7)2.07.17 2017年
8)2.07.51 2017年

【1500m】

★陣内綾子選手が「連覇」&「5回目の優勝」に挑む
31歳の陣内綾子選手(九電工)が2012年から3連勝、15年2位、16年6位をはさんで17年に4度目の優勝。15年に勝った須永千尋選手(資生堂)はエントリーしているが、16年の覇者・木村友香選手(ユニバーサル)は5000mに出場する。陣内選手の優勝回数4はと並び3位。今回、連覇を果たして5回となれば井上美加代さん(70~72、74、76年)、吉川美香さん(06年から5連勝)と並びトップタイとなる。この種目での連覇(3連勝以上を含む)は、陣内選手を含めてこれまでに8人(うち1人は外国人)。



田中希実選手(ND28AC)、和田有菜選手(名城大)、高松智美ムセンビ選手(名城大)の大学1年生トリオ(田中選手は学連登録はせずクラブ名での登録だが、同志社大の1年生)のいずれかが制すれば、「大学生」の優勝は72年の井上美加代さん(日体大)以来46年ぶりとなる。


★日本人の大会最高記録
大会記録の4分07秒77は1991年にチドウさん(ルーマニア)が出したもの。日本人の最高記録は、4分11秒00。上述の吉川さんが初優勝した時(06年)で、「同タイム着差あり」で2位だった小林祐梨子さん(須磨学園高)も同じ4分11秒00だった。


【5000m】

★日本郵政勢が2年連続「1・2位独占」なら史上初
2013年から4連勝した尾西美咲さん(積水化学)が17年は9位で11月末に現役を退いた。前回は「日本郵政グループ」の鍋島莉奈&鈴木亜由子選手で「ワン・ツー・フィニッシュ」。この種目での同一チームによる「1・2位独占」は、2013年に積水化学が、尾西美咲&松崎璃子選手でやってのけていたが、今回、日本郵政勢が「2年連続」となれば史上初となる。なお、日本郵政グループは、15年も鈴木&関根花観選手で「2・3位」となっている。




【10000m】

★松田瑞生選手の連覇なら史上4人目
2017年は松田瑞生選手(ダイハツ)が、ラストのキックで鈴木亜由子選手(日本郵政グループ)の連覇を阻んで、ダイハツ勢としてはこの種目での初優勝を飾った。松田選手が連覇を果たせば、この種目では4人目(3連勝以上を含む。)となる。16年は鈴木亜由子&関根花観選手の日本郵政グループのコンビで「1・2位独占」だった。



この種目での同一チームの上位独占は1984年にヱスビー食品の「1~3位独占(横須賀久乃さん・佐々木七恵さん・橋本泰子さん)」、01年のノーリツによる「1・2位独占(岡本治子さん・小崎まり選手)」、14年のヤマダ電機による「1・2位独占(西原加純選手・竹地志帆選手)」でこれまでに計4回。


【100mH】

★至近7年間の優勝は、木村文子選手が5回、紫村仁美選手が2回
2011・12年と木村文子選手(エディオン)が2連勝し、そのあとは13年・紫村仁美選手(佐賀陸協。16年から東邦銀行)、14年・木村、15年・紫村、16&17年・木村と2人で優勝を分け合ってきた。木村選手が3連勝すれば80mHの時代を含めて連勝記録の歴代4位タイ、優勝6回目は、80mHの時代を含め歴代2位タイ。紫村選手ならば3回目の優勝で歴代6位タイとなる。




★「着順別最高記録」
参加資格記録13秒50以内が12人とレベルが高い。
これまでの「着順別最高記録」は、以下の通り。

<日本選手権・決勝における着順別最高記録>
・「/」の後ろは、追風参考での最高記録
1)13.02 2013年
2)13.03 2013年
3)13.26 2009年
4)13.37 2009年
5)13.49 2013・2017年/13.43w 2016年
6)13.50 2013年/13.45w 2016年
7)13.58 2013年/13.49w 2016年
8)13.60 2013年


【400mH】

★吉田真希子&久保倉里美&青木沙弥佳トリオで福島大関係者が18年間で16タイトル
2000年以降、福島大関係者が圧倒的な強さを示してきた。吉田真希子さんが00年から5連勝で06年も優勝して計6回。そのあとは、久保倉里美さんが2007年から14年まで8連勝、16年も勝ってこの種目での最多優勝の計9回優勝。さらに、17年は青木沙弥佳選手(東邦銀行)が初優勝し、00年から17年までの18年間で実に16回もタイトルを獲得してきている。



★吉良愛美選手は連続入賞を継続中
15年に福島大関係者の10連勝にストップをかけた中大卒の吉良愛美選手(アットホーム)が12年から17年まで6年連続入賞(1位1回、2位4回、6位1回)を継続中。今回、2連覇を目指す青木選手は05年から15年まで11年連続入賞(2&3位各4回、4&5&7位各1回)を継続していたが、16年は決勝に進めず残念ながら連続記録が途絶えた。が、トータルの入賞回数12は、久保倉さんの16回、吉田さんの13回に続き歴代3位。ここでも福島大関係者が上位を独占している。



★日本人の大会最高記録
大会記録の55秒78はルーマニアのカルタスさんが91年にマークしたもの。日本人の最高記録は、久保倉さんの55秒81(11年)。


【3000mSC】

★森智香子選手、連覇なるか?
森智香子選手(積水化学)が連覇に挑む。この種目が採用されたのは2006年からで今回で13回目の実施。後述の早狩実紀(みのり)選手が06年から11年まで6連勝。12・13年が荒井悦加さん。14年が三郷実沙希選手。15・16年が高見澤安珠選手。そして17年の森選手だ。早狩選手が12回のうち半数の6回も優勝していることもあって歴代の優勝者は5人。その中で今回エントリーしているのは森選手のみ。


★レジェンド・早狩実紀選手の名前が……
2006年にこの種目が採用されてから11年まで6連勝。それ以降も17年まで12年連続出場してきた早狩実紀選手(京都陸協)の名前が今年のプログラムから消えた。といっても、現役を退いた訳ではなく、45歳の今年4月27日にも10分31秒52で走っている。が、日本選手権の「参加標準記録A」の「10分25秒00」に6秒あまり届かなかった。1972年11月29日生まれで、40歳だった13年9月22日にマークした10分00秒75は、現在も「40歳以上世界最高記録」である。

日本選手権には、同志社大学2年生だった92年の3000mが初出場で8位入賞。以後、2017年までの26年間で優勝は3000mSCの6回の他、800mと1500mで1回ずつ(ともに96年)で計8回。入賞回数は、上述の3種目に3000mを加え計25回(1位8回、2位4回、3位5回、4・5位各2回、6位1回、7位2回、8位1回/800m5回、1500m11回、3000m1回、3000mSC8回)にもなる。トラック種目でのトータル入賞回数としては、男女を含めて歴代最多である。なお、全種目での歴代トップは、円盤投とハンマー投の室伏由佳さんの計30回入賞(1位17回、2位7回、3位5回、7位1回/円盤投18回、ハンマー投12回)だ。



野口純正(国際陸上競技統計者協会[ATFS]会員)
写真提供:フォート・キシモト


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