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2022.04.04(月)

【JMCシリーズアワード】レポート&受賞者コメント~初代チャンピオンの鈴木・一山ら受賞者が今後の抱負を語る~



日本陸連は3月31日、東京都内で「ジャパンマラソンチャンピオンシップ(JMC)シリーズアワード」を開催。昨年創設した「JMCシリーズ」における「シリーズⅠ」で上位を占めた男女3選手を表彰しました。

「JMCシリーズ」は、選手強化とマラソン活性化の実現を目指しながら、国内における公認マラソン大会の体系化を図ることを目的として、日本陸連が昨年の秋に創設した新たな仕組みです。安定して高いレベルのパフォーマンスが残せる選手を育成・評価できるよう、1つの年度を「期」、2期分を「シリーズ」としてシリーズの総合成績を競い、この成績が日本選手権の順位決定や国際大会の日本代表選考などに直結するような制度設計になっています。

今回のJMCシリーズアワードは、2020年12月から2021年10月までの第0期、および2021年11月から2022年3月までの第1期からなる「シリーズⅠ」の結果を踏まえて行われました。会は、「表彰式」「トークステージ」「記者会見」の3部構成でプログラム。新型コロナウイルス感染症(COVID‑19)拡大防止の観点から、参加者の人員総数を絞っての施行にはなったものの、関係者のほか、抽選に当たった陸上ファンも少数ながら招待したなかで、リアルでの開催を実現することができました。その模様は、オンラインでもライブで配信。対象競技会をすべて終えて確定したJMCシリーズ初代チャンピオンを含む男女上位3選手が出席し、その栄誉が称えられました。

冒頭で挨拶に立った尾縣貢日本陸連会長は、「マラソン界の活性化を目指して新設したJMCシリーズは、かなりの改革で、いろいろな障害があるという懸念もあったが、多くの方々のご尽力で今日の日を迎えることができた」と、まず、コロナ禍のなか各レースの開催に尽力した関係者やスポンサーに感謝。また、選手強化に寄与している点にも触れ、「初代チャンピオンとなった鈴木健吾さん、一山麻緒さんは、誰が見ても誰が考えても素晴らしいチャンピオン。また、2位以下にも素晴らしい選手が揃った」と選手たちを労いました。そして、「もう一つ特筆すべきこと」として、JMCシリーズのポイントランキングに多くの市民ランナーがランクインしている点を挙げ、「トップランナーだけではなく、多くの市民ランナーがこのJMCの輪の中に入ってきてくれた」ことを歓迎し、「この輪をもっともっと大きくすることが私たちの使命」と、さらなる発展に向けた意欲を示しました。

続いて行われた表彰式は、女子、男子の順に行われました。名前を呼ばれて登壇した下記の各選手に、第105回日本選手権のメダルと賞金(1位:600万円、2位:300万円、3位:100万円)のディプロマが授与。さらに、初代チャンピオンに輝いた一山選手と鈴木選手には、シリーズⅠのチャンピオントロフィーが贈られました。

<女子>
1位 一山麻緒(ワコール*)2584ポイント *4月1日より「資生堂」所属
2位 松田瑞生(ダイハツ)2578ポイント
3位 上杉真穂(スターツ)2477ポイント

<男子>
1 位 鈴木健吾(富士通)2778ポイント
2 位 細谷恭平(黒崎播磨)2646ポイント
3 位 大塚祥平(九電工)2602ポイント

▼JMCシリーズランキング
https://www.jaaf.or.jp/jmc-series/series1/ranking/

第2部として行われたのは、受賞選手が登壇してのトークステージです。女子3選手、男子3選手と分かれて登壇したこのステージの司会進行を務めたのは、JMCシリーズを推進する日本陸連ロードランニングコミッションの瀬古利彦リーダーと河野匡ディレクター。この2名は、日本陸連公式YouTubeチャンネル内で、1月からJMC注目レースの展望や解説、振り返りなどを配信する「JMCチャンネル」でもナビゲーターを務めていて、いわば、“YouTuberデビュー”を果たしたばかり。すっかりお馴染みとなった絶妙なコンビネーションで、時折、笑いが出たり、ちょっぴりハラハラしたりするような質問も挟みつつ、選手たちから、JMCシリーズで出場したレースの感想や、受賞した今の気持ち、今後に向けての課題や展望、抱負などを引き出していきました。
最後に行われた第3部の記者会見は、女子、男子の順に各3選手が登壇。シリーズⅠの結果や、今後の方向性等について、メディアから出た質問に応えました。
受賞した各選手のコメントは、以下の通りです。



【JMCシリーズ「シリーズⅠ」男女上位選手コメント(要旨)】

<男子>

1位

鈴木健吾(富士通) *オレゴン2022世界選手権日本代表


JMCシリーズの初代チャンピオンになったことを、とても光栄に思う。今回は、1番になったら世界選手権の代表に内定するというのがあったので、そこを目標に頑張ってきた。世界選手権では、初めて“日の丸”をつけて世界と戦うので、失敗を恐れずにチャレンジしていくなかで上を目指していきたい。大会に向けての具体的な計画は、今、立てている段階だが、これからの残り3カ月で、特に変えていくことはない。まずは、ケガなく、しっかり準備していきたい。また、暑さも想定されるので、暑さ対策をしていければと考えている。
(日本記録更新への思いに関する質問に対して)僕は攻めること、チャレンジすることが好きで、その先にタイムがついてくると思ってるので、正直なところ、記録に関してはあまり意識していないというのが本音。ただし、(2時間)3分台という記録は、日本のマラソン界の現状から考えると、全員で狙っていくというか、出せる記録かなと思う。
(日本のマラソン活性化についての質問に対して)現役選手として走って結果を出すことが、日本のマラソン界を盛り上げていくことになると思う。まずは高みを目指して頑張ることが一番かなと考えている。


2位

細谷恭平(黒崎播磨) *杭州2022アジア競技大会日本代表


たくさんの方々のご協力のおかげで、このような賞をとることができた。(JMCシリーズで)2位にはなったが、1位とはポイントに差があるなかでの結果。この差を縮めて、超えていけるように、次のシーズンも頑張りたい。
昨年の福岡国際マラソンでは、1km2分58秒のペースで行くことに初めて挑戦したが、3分で行くのとは全然違った。また、3分のペースで走っているうちは、世界では戦えないだろうし、2分58秒(のペース)でも足りないだろうということも実感した。今後は、そういうペースで、どこまで押し切れるかが課題。少しずつ前進していけたらと考えている。
(日本記録更新への思いに関する質問に対して)鈴木選手が日本記録(2時間04分56秒)を出したとき、自分も同じレース(2021年びわ湖毎日マラソン)を走っていた。単純に「同じ舞台で走って、日本記録を出して勝ちたい」という気持ち。また、最近、選手のレベルが拮抗してきているが、年齢的にみると(選手の層は)若いイメージがある。今後も切磋琢磨していけたらと思っている。
(アジア大会に向けての問いに)正直、世界選手権を狙っていたので悔しさもあるが、もともと自分は積み上げていくタイプの選手。まずはアジア大会に出て、きっちり勝ちきって、その先の世界選手権やオリンピックに繋げる走りをしていきたい。


3位

大塚祥平(九電工)


ここ数年はコロナ禍などもあり、大会自体を開催することの難しさや、開催していただけるありがたさを感じることが多かった。これからもそういった気持ちを忘れずに取り組んでいきたい。
(今回)JMCシリーズで3位に入ったが、実力的に、自分が3番目にいるとは思っていない。(周りを)引っ張っていくというよりも、伸びてきている選手たちにくらいついて、一緒に強くなっていけたらという気持ち。自分は、まだ「優勝」や「日本人トップ」という成績を取ったことがないので、そういうところを取れる選手になっていきたい。また、次のシリーズでも(アワードに)呼んでもらえるように頑張りたい。
昨年の東京オリンピックは、補欠という立場だったが、その自覚を持ってトレーニングに取り組むことができた。そうした緊張感やプレッシャーみたいなものを持てた経験は、今後の成長に繋がると思う。また、昨年の福岡国際マラソンは、直前の調子が悪いなかで挑む初めてのマラソンだったが、大会1週間を切るまでは思い通りの練習ができていたので、走ってみてダメなら仕方ないと思って臨んだ。そのなか、練習でやってきた通りの結果が出せたことは、これからに繋がると感じている。このレースでは、初めて(1km)3分を切るペースでのレースを経験したが、思った以上に後半でペースが落ちてしまった。3分を切るペースでも30km以降にペースが落ちることがないよう、今後、スピード、スタミナともに強化していきたい。


<女子>

1位

一山麻緒(ワコール) *オレゴン2022世界選手権日本代表、4月1日より資生堂所属


JMCシリーズの初代チャンピオンになれて、とても嬉しく思う。いつもお世話になっている永山忠幸監督、そして、すべての方々に感謝申し上げる。さらに強くなった姿を皆さまにお見せできるように精進していきたい。
今年の目標は。まずは世界陸上のマラソン代表になることだった。それを手にすることができたので、次は、世界陸上で自分の最大のパフォーマンスができるように準備していきたい。世界陸上に向けた練習に集中するので、春先はトラックレースへの出場は予定していないが、練習では、今まで取り組んだことのないフィジカルトレーニングを取り入れ、より効率の良い動きを身につけて走れるようにしていこうと考えている。
昨年の東京オリンピックでは、31km地点のところで離れてしまった。そのことにとても悔いが残っていて、世界陸上では、そこで自分がレースを動かすような走りをしたいと思っている。(暑さ等の問題もあるので)タイムは意識していないが、世界の強い選手と戦えるように、しっかりこれから準備して、東京オリンピックの8位よりも、いい順位でゴールできるように頑張りたい。


2位

松田瑞生(ダイハツ) *オレゴン2022世界選手権日本代表


JMCシリーズの優勝を6ポイントという差で逃してしまったことは、ちょっと悔しいなという気持ちはあるが、2位という結果に終われたことは素直に嬉しく思う。また、目標としていた世界陸上の代表に内定し、初めてマラソンで、世界の方々と戦う機会を得たことを嬉しく感じている。
マラソンは(次戦となる世界選手権が)7本目となるが、2年半ぶりにアメリカのアルバカーキで合宿を行うことが決まっている。高地トレーニングでしっかり走り込み、もっと強くなれるよう、何かきっかけをつかみながら世界陸上に向かっていきたい。
初めてトラック(10000mで)世界陸上に出たとき(2017年ロンドン大会)は、ちょうど私のレースのあとがウサイン・ボルト選手のラストランで、すごい盛り上がりだった。「この雰囲気で走れるのはすごく光栄だな」と思ったのと同時に、レースを終えて「やっぱり私はトラックでは世界では戦えないな」と痛感させられた。今、マラソンに取り組んできて、「マラソンだったら、世界の猛者たちと戦えるのではないか」と考えている。今回の世界陸上は夏のレースでもあるので、思いきり自分が強い気持ちで、いつも通りのレースをすれば、いい戦い、もしくはメダル争いができると思っている。高速になってもスローになっても、しっかり対応した走りができるような練習を組んでいきたいし、そういうレースをしたい。


3位

上杉真穂(スターツ) *杭州2022アジア競技大会日本代表


去年までは、JMCシリーズで3位に入って、こうしたステージに立てるとは想像していなかったので本当に嬉しい。会社、スタッフ、チームメイト、家族、合宿先など、本当に多くの方々の理解と協力があって、今日、自分がここに立っていられるのだと思うと感謝の気持ちでいっぱいである。
今年はアジア大会が大きな目標となる。そこで勝負するレースができるように、まずはトラックレースから自己ベストを更新していけるように頑張りたい。アジア大会に向けては、新しい何かを始めることは考えてはおらず、今までと変わらずコツコツと練習を積み重ねていく。また、4月から始まるトラックレースに向けても、しっかり練習ができている。今は、マラソンの通過タイムのほうが速くなっている状態。マラソンのタイムをさらに縮めていくためにも、トラックのタイムを10秒でも20秒でも行けるところまで縮めたいと考えている。トラックでも攻めたレースができるよう、今年は春先からどんどん出ていくつもりでいる。
アジア大会では、持ち味である前半から積極的に攻めるレースをしたい。今度は、タイムよりも勝負が求められるレースとなる。少しでもいい順位を取ることを狙って準備していきたい。


※各選手のコメントは、JMCシリーズアワードにおける、受賞後スピーチ、トークステージおよび記者会見で出た発言をまとめる形で構成しています。

文:児玉育美(JAAFメディアチーム)
写真:フォート・キシモト



■JMCアワードライブ配信


■JMCシリーズとは?シリーズの概要やポイントの説明はこちら
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■【オレゴン2022世界選手権】マラソン日本代表選手~男子は鈴木・星・西山、女子は一山・松田・新谷の6名に決定!
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■【杭州2022アジア競技大会】マラソン日本代表内定選手~男子は細谷・山下、女子は上杉・安藤の4名が内定!~
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