
男子マラソン・決勝
山下一貴(三菱重工)
1位 2時間10分49秒この大会は、これまでに(チームの)先輩方がメダルを取ってきた大会。周りからも、すごく「金メダルを」という期待が大きかったので、取ることができて本当に安心した。
そのメダルを取った先輩たちからは、まず、松村監督(康平、2014年仁川大会銀メダリスト)から「最後は自分で仕掛けないと、相手に仕掛けられるような形になったら負けるから、その勝負所をしっかり見極めろよ」と言われたし、井上さん(大仁、2018年ジャカルタ大会金メダリスト)からは「自分は“1位を取るんだ”というのではなく、“1位なんだ”というメンタル、“一番速いんだ”というメンタルで臨んでいた。お前もそういうメンタルで行け」といったことを言われた。戦略については、本当に黒木純総監督が組んだ練習と仕掛けどころを信じて走っただけ。特にラストスパートを磨いたというわけではなく、結果的には「最後まで押していく走り」を練習でつくってきた。与えられた練習は、肌感8割くらい(で消化できた)かなという感じだったが、でもまあ、「走るとなったら普通に走れるだろうな」という状態で臨むことができていた。
チームのなかで、「このアジア大会の金メダルを一つのステップとして、ロス(オリンピック)に向かうぞ」と言われていたので、ここで金メダルを取ることができたのは本当に良かったと思っている。内容的には、(コーチ陣から)30km以降に仕掛けろと言われていた。せっかくならと思って仕掛けて、結果的に、言っていた通りになったので、信じてよかったと思っている。中国やインドの選手の方が、すごく引っ張ってくれているなか、自分は前に出されても、(先頭を)引っ張りたくなさすぎて、あんまり引っ張ることをしなかった。申し訳ないなと思いつつも、“苦しかったので許してください”という形になった。
また、走り始めて10km過ぎくらいからはずっと、2023年のときのこと(ブダペスト世界選手権で上位争いを繰り広げたが、終盤に両ふくらはぎを痙攣して失速し、11位にとどまった)を思い出し、つらなければいいなと思いながら走っていた。特に症状が出なかったのでよかった。
<勝利を確信できたのはどのタイミングだったか? の問いに>
ずっと後ろとの差は9~10秒と聞いていたので、すぐ後ろにいるものだと思っていた。しかし、スタジアムに入ってバックストレートで振り返ったときに誰もいなくて、自分が見落としたのでないかと何回か振り返ってもいなかったので、そこで「どうやらいないようだ」と思うことができた。しかし、そこで(脚が)つってしまうかもしれない(笑)。実際にゴールテープを切ってから、ようやく勝てたと安心することができた。
<来年、名古屋で開催されるMGCについて、何か考えながら臨んでいたか? の問いに>
「アジア大会を糧にMGCに」とは言われていたが、アジア大会のことで頭がいっぱいだったので、MGCのことを考えている余裕は自分にはなかった。MGCは特殊なレース。今回のアジア大会よりも人数が多くなるし、自分と同じような力の選手がいっぱいいて、簡単にはいかないだろうと思うので、これから総監督や監督と話し合って練習して臨んでいくことなる。

吉田祐也(GMOインターネットグループ)
11位 2時間18分33秒皆さんに支えられて、ここまでこられた。本当に嬉しかった。「ありがとうございます」という、本当にそれだけの思い。結果が悔しいとかいう思いはほとんどなくて、本当に充実した思いで42.195kmを走らせてもらった。本当に感謝のひと言である。
この半年は本当に苦しくて、何度も諦めたくなった時期があったのだが、皆さんに支えられて、なんとか頑張ることができた。一人ではたぶんここまで来られなかったと思うので、本当に皆さんに感謝としか言いようがない。
苦しかった要因の背景にあったのは、いわゆる「脚が抜ける」症状が出ていたこと。症状自体は2024年の福岡国際マラソンのあとあたりから出ていたのだが、この半年はかろうじて練習をやっている状態だった。身体というよりも、精神的に苦しい時期が続いてしまって、競技が続行できないんじゃないかというふうに、ずっと思っていた。しかし、スタッフや医療関係者の方々が、「こうすれば大丈夫、焦らなくて大丈夫」と親身にサポートしてくださって、この場に立つことができたので、本当にまずスタートラインに立てたことを嬉しく思う。
練習は、最低限自分のなかでこなせる練習をやるという感じで、そのなかで監督とかコーチに正直に話し、いろいろ相談しながら練習内容を組んできた。走ってみないと、実際にどういうふうに症状が出るかわからないし、問題なく走れる感覚のときもあると思ったので、とりあえずつけるところまでつけて、勝負所をちゃんと見極めていこうとレース前は決めていた。
42.195kmずっと声援をいただいたことも本当に嬉しかった。山下一貴選手が所属する三菱重工の皆さんからも応援をいただいた。一人きりでは絶対に走り切れなかったと思う。本当にありがとうございました。
女子マラソン・決勝

矢田みくに(エディオン)
3位 2時間27分56秒最低限、銅メダルを取れたことはほっとしているが、金メダルを目標にしていたので、そこはちょっと悔やまれる。
この大会までは、4週間ほど前に右膝をケガしてしまい、そこから2~3週間ほど思うように走り込むことができず、本当に大会の1週間くらい前まで自分の走りがわからないという状態で、今日を迎えていた。そこを最後までトレーナーさんや監督が支えてくれて、「今ある力で大丈夫だよ」と言ってくれたので、それを信じて走ることができた。
この大会は、ペースメーカーが設定されず、みんながメダルを目指しているなかでレースが展開する。初めのほうは牽制し合いながら、誰が前に出るかというところで、ペースの振り幅が大きいレースとなったので、「これが国際大会か」と思いながら走った。
自分のプランとしては、最初の20kmは落ち着いて走ると決めていて、どんなに前に出たくなっても、後ろのほうで冷静に走ることを心がけた。また、終盤の競り合いでは、とにかく落ち着け、落ち着けと思いながら走った。
途中で転倒してしまったが、転倒は日本選手権でもあったので「ああ、またか」と思いつつ(笑)、日本選手権のときとは反対側で転倒したので、「逆にバランスが取れた」とポジティブに捉えて(笑)走った。
トラック(10000m)で出場した東京世界陸上のときは、日の丸をつけて、ちょっと強い自分を装っていた部分があった。そのことが自分自身をガチガチにして、本領を発揮することができなかったという反省があったので、その反省を糧に、今回は、周りの人に頼りながら、(レースは)皆の力の集大成と思いながら走ることができた。
2時間19分57秒をマークした初マラソン(2026年大阪国際女子マラソン)は、本当に何も考えずに、練習から本番までを全部、「楽しい、楽しい!」と言って迎えることができていた。それもあって、アジア大会に向けた練習では、どうしてもそのときの感覚と比べてしまい、落ち込んでしまうこともあった。そこは単に、たぶん「1回目が良すぎた」というところかなと思う
一方で、レースの中では、今までよりも少しは冷静に走れるようになったなと思った。初マラソンを終えてトラックシーズンに入ってからは、「もうちょっと活躍したい」という気持ちが強く出すぎてしまい、自分で勝手に焦るようなレースばかりしていた。それを思うと、今日は冷静に走れていたと思う。

佐藤早也伽(積水化学)
4位 2時間28分14秒やっぱり悔しい。「悔しいな」という思いが強い。ずっと「最低でもメダルを取りたい」と思って取り組んできたところで、それを逃してしまったので…。そこをとても悔しく思っている。
今日は、レースプランというのは特になく、レースが動いたときにしっかり対応しようと思って臨んでいた。この大会に向けての取り組みでは、一番はやはり夏の試合なので、暑さというところを意識してやってきた。また、練習の後半ではスピードを追っての内容で調子を上げ、ここにはベストの状態で臨むことができていた。
レースは30kmくらいから動いたが、それまでにも何度かペースの上げ下げがあり、若干疲れてしまっていた部分があった。また、集団の後方に位置していたので、反応が遅くなったという点で、出遅れてしまったように思う。
ただ、この大会では、今までのレースよりも冷静に周りを見ながら走ることができていて、その点は、すごく成長した部分かなと感じている。
ここからは来年のMGC、そして、そのあとにつながる大会へと続いていく。そこで良い結果を出せるように、もう一度、しっかり練習を積んで、悔しい思いをしないように。これからも頑張っていきたい。
男子200m・予選

水久保漱至(宮崎県スポ協)
2組1着 20秒72(-0.3) =準決勝進出ケガ明けということもあったので、ちょっと「慣らし運転」というところで予選を走っていこうと思っていた。まあ、まあ、最低限の走りはできたかなというところ。準決勝以降はしっかりタイムも狙って、20秒前半…20秒2台といったところを目指して走りたい。ここまで順調だったかと聞かれたら、やっぱりちょっと順調だったとはいえないが、やれることはやってきたと思っている。

林明良(慶應義塾大学)
4組2着 21秒19(-0.6) =準決勝進出もう少しタイムが出るかなと思っていた。レースに出るのが1カ月ぶりだったので、久しぶりという感覚があった。気温が低く、雨も降っていて、タイムを出すにはあまりいいコンディションではなかったので、とにかく着順で、しっかりと駒を進めることができればと思っていた。予選は、スタートからゆっくり出て、外側のレーンの選手を見ながら走ろうというレースプランだった。本当は1着で通過したかったが、まあ、うまくできたのかなと思う。
準決勝からは、自己ベストに近いタイムで走らないと、決勝のいいレーンを取ることができない。決勝でちゃんと勝負するためにも、準決勝からしっかりタイムを上げていかなければと思っている。
文:児玉育美(JAAFメディアチーム)
写真提供:©AINAGOC、アフロスポーツ、フォート・キシモト
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愛知・名古屋2026アジア競技大会(第20回アジア競技大会)
開催日:2026年9月23日(水)~29日(火)会場:愛知・名古屋市瑞穂公園陸上競技場
特設サイト:https://www.jaaf.or.jp/asian-games/2026/
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