6/12(金)~14(日)「第110回日本選手権」
名古屋で開催!
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2026.06.08(月)選手

【記録と数字で楽しむ第110回日本選手権】日本新や好記録が期待されそうな種目は?全種目の「ミニ見所ポイント」:女子トラック種目



男子100m、男子走幅跳、女子やり投の3種目については詳細な記事を紹介したが、他にも「日本新」のアナウンスが期待されたりそれに迫る好記録が生まれそうな種目がたくさんある。ここでは、全種目について、記録や数字に関する話題を中心にその見所を簡単に紹介する。
なお、以下に紹介する過去の日本記録は、「日本記録変遷史」に残るもので、「2位だったが従来の日本記録を上回った」というものは含まない。

・記録と情報は、原則として5月31日判明分。
・現役選手の敬称は省略。
・「アジア大会派遣設定記録」の有効期限は、2026年1月1日から日本選手権の決勝が実施された日まで。
・上記「派遣設定記録突破者」が日本選手権で優勝すれば「代表内定」となる。それ以外は突破者の記録最上位が選出される。ただし、全体の「派遣枠」の関係で条件を満たしていても選出されないこともある。


100m&200m

・日本記録
100m 11秒21(+1.7)福島千里(北海道ハイテクAC)2010.04.29
200m 22秒79(+1.0)井戸アビゲイル風果(東邦銀行)2025.08.03
・アジア大会派遣設定記録/11秒29・23秒03/クリア済=なし



君嶋愛梨沙(土木管理総合)が22年から100mが3連勝、200mが23年から2連勝していたのを25年に井戸アビゲイル風果(東邦銀行)がストップをかけて100mと200mの2種目制覇。この両種目の2連覇以上は、これまで8名。井戸が2年連続2冠となれば9人目となる。

100mも200mも名古屋アジア大会派遣設定記録をクリアしている人はまだいない。94年の広島大会以来32年ぶりの地元開催のアジア大会のスタートラインに日本代表に是非とも立ってもらいたい。
日本記録の国別順位は、100mが76位タイ、200mも76位。アジアでのそれは、100mも200mも9位である。


400m

・日本記録/51秒75 丹野麻美(ナチュリル)2008.05.03
・アジア大会派遣設定記録/51秒97/クリア済=なし



25年5月3日の静岡国際でフロレス・アリエ(日体大・当時3年/現在は、青木アリエ)が17年前の08年の同じ日に同じ競技場でマークされた日本記録51秒75(丹野麻美/ナチュリル/2008.05.03)を上回る51秒71をマーク。が、その時はペルー国籍だったため「日本新」とはならなかったが、日本国籍を25年6月18日に取得。この51秒71が今回の参加資格記録のトップ。松本奈菜子(東邦銀行)がこれに続く52秒14で上記の静岡国際で2着の時のタイムだ。エントリー記録3位の寺本葵(アットホーム)は、53秒14で25年日本選手権の優勝記録で青木、松本とは1秒以上の差がある。

ベスト記録では青木がトップだが安定度では松本が上回る。
個人のセカンド以下の上位記録は、青木が「51秒71-52秒82-53秒03。10位が53秒60(10傑平均53秒144)」。
松本は、「52秒14-52秒17-52秒24。10位が52秒66(10傑平均52秒341)」。

このさらに上が日本記録保持者の千葉(丹野)麻美さんで「51秒75-51秒80-51秒81。10位が52秒21(10傑平均51秒990)」。
51秒台が5回、松本のベストを上回る52秒13以内が7回。

青木と松本には、色々な数字で「千葉さん超え」を果たしてもらいたい。


800m

・日本記録/1分59秒52 久保 凛(東大阪大敬愛高)2025.07.05
・アジア大会派遣設定記録/2分01秒67/クリア済=なし



前回1分59秒52の日本新で2連覇を果たした久保凛(積水化学)は自身の記録への挑戦となる。その時の200m毎は、28秒50-58秒60(30秒10)-1分28秒76(30秒16)-1分59秒52(30秒76)で前半58秒60・後半60秒92で前後半差は2秒32。今回は、これが目安となる。

社会人デビュー戦は、5月10日の木南記念。ここで2分07秒47を要した。久保が日本人選手に先着されたのは、東大阪敬愛高校での800mデビュー戦となった23年4月16日の大阪府高校春季記録会で、同校3年の亀井咲里(現、京教大・3年)と1秒00差で2着(2分11秒47)だった時以来3年ぶりのことだった。が、5月30日のミドルディスタンスサーキットでは、強風の中を2分02秒76でまとめて一安心させた。

11年連続出場の塩見綾乃(岩谷産業)は、自己ベストの2分01秒01を更新できれば「アジア大会派遣基準記録」もクリアだ。

この種目には、15年以降の優勝者6名が出場する。山田はな(15年/東学大。現、わらべや日洋)、卜部蘭(19・21年/NTTC、積水化学)、川田朱夏(20年/東大阪大。現、ニコニコのり)、塩見(22年/岩谷産業)、池崎愛里(23年/ダイソー)、久保(24・25年)。


1500m&5000m

・日本記録 1500m 3分59秒19 田中希実(豊田自動織機TC)2021.08.04
5000m 14分29秒18 田中希実(New Balance)2023.09.08
・アジア大会派遣設定記録/4分07秒68・15分14秒79/クリア済=1500mなし・5000m田中希実



豊田自動織機の所属に戻った田中希実が1500mと5000mの2種目での連覇に挑む。

1500mが20年から6連勝中、5000mが22年から4連勝中(20年も優勝)。
アジア大会派遣設定記録は、有効期限の26年1月1日以降に1500mは突破できていないが、普通に走れば問題なくクリアできるタイムだ。

1500mと5000mの日本記録(3分59秒19・14分29秒18)は、東京五輪とダイヤモンドリーグというハイレベルなレースでのもの。
日本選手権で田中が日本記録を更新するようなペースを刻むと早い段階で単独走となる可能性が高いが、ひとりで走っての更新は両種目の記録の水準からしてなかなか厳しそうだ。自身が保持する大会記録の4分01秒44(24年)と14分59秒02(25年)が差し当たっての目標になろう。

この両種目の2冠は、94年までの3000m時代を含めて小島和恵(川鉄千葉/84・85年)、鈴木晴美(資生堂/92年)、市川良子(JAL・AC/97年)、田中(22~25年)。

5000mの大会記録の1000m毎は、
10002.58.32.58.3
20005.59.63.01.3
30009.08.53.08.9
400012.05.82.57.3
500014.59.022.53.2


100mハードル

・日本記録/12.69(+1.2)福部真子(日本建設工業)2024.07.20
・アジア大会派遣設定記録/13秒08/クリア済=中島ひとみ、田中佑美、福部真子ら計7名



エントリー記録の12秒台が9名。25年が最後の日本選手権となった寺田明日香さん以外の全員が集結する。単純に考えても12秒台のうち少なくとも1人は決勝のスタートラインに立てないことになる。

優勝経験者は、青木益未(七十七銀行/18・20年)、福部真子(日本建設工業/22・24年)、田中佑美(富士通/25年)の3名。
連続入賞継続中は、田中が20年から6年連続で「4・6・3・3・2・1位」。清山ちさと(いちご)が21年から5年連続で「2・5・5・5・7位」。福部と中島が22年から4年連続で、福部「1・4・1・3位」。中島ひとみ(長谷川体育施設)が「4・8・7・2位」。

決勝での12秒台が最多だったのは、24年の4着まで。25年は3着までで1・2着が12秒86の同タイム。
大会記録は、福部が24年の準決勝でマークした12秒75(+0.8)。


400mハードル

・日本記録/55秒34 久保倉里美(新潟アルビレックスRC)2021.06.26
・アジア大会派遣設定記録/56秒16/クリア済=なし



2021~24年の立命大時代に4連覇した山本亜美(富士通)だったが25年は3位で連覇がストップ。24年から25年にかけてのアキレス腱の故障が響いた。
初優勝したのは、梅原紗月(住友電工)で、22年から4位、3位、2位、1位とひとつずつジャンプアップして9年ぶりの自己新記録(56秒43)での初戴冠だった。

梅原も立命大の出身で山本の8学年先輩。また高校は山本が京都文教高、梅原が京都橘高。つまり、京都の高校出身で立命館大学関係者が5連勝中である。
この種目での同一大学の関係者による連勝記録は、福島大関係者による9連覇というのがある。吉田真希子さん(ナチュリル)が06年に、07~14年に久保倉里美さん(新潟アルビレックス)が8連覇している。


3000m障害物

・日本記録/9分24秒72 齋藤みう(パナソニックス)2025.09.15
・アジア大会派遣設定記録/9分37秒26/クリア済=齋藤みう



日本記録は、25年東京世界選手権の予選で齋藤みう(パナソニック)がマークした9分24秒72で早狩実紀さん(京都光華AC)の9分33秒93(2008.07.20)を17年ぶりに9秒あまり更新した。

早狩さんは、中学生の頃から40歳を超えるまで日本選手権に出場していた「レジェンド」だ。日本選手権での優勝歴は、800m1回(96年)、1500m1回(96年)、3000mSC6回(06~11年=6連覇)。

この種目のポイントは、2000m以降のラスト1000mをしっかり走れるかどうか。「最初にタイムを稼いで……」ではなく、1000m毎を「ほぼイーブン」で刻んで2000mからを粘るのがポイントだろう。
齋藤の日本記録の時の1000m毎は、3分03秒78-6分11秒70(3分07秒92)-9分24秒72(3分13秒02)。
序盤をかなり突っ込んだが、最後の1000mの落ち込みを最小限にとどめた。


野口純正(国際陸上競技統計者協会[ATFS]会員)


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