「セイコーゴールデングランプリ陸上2026東京」(セイコーGGP)が5月17日、東京・MUFGスタジアム(国立競技場)で開催されました。国立競技場での陸上主要大会の開催は、昨年秋の東京世界選手権以来。朝から快晴に恵まれ、14時には気温27℃まで上がったものの、湿度は40%台から30%台へと下がる、さわやかなコンディションとなったなか、会場にはセイコーGGP史上最多となる25315人が観戦に訪れ、ワールドアスレティックス(WA)が展開する「コンチネンタルツアー」シリーズ最高位カテゴリ「ゴールド」大会として、国内外から豪華トップ選手が集った本大会を楽しみました。
昨年の東京世界選手権に続いて、今年も秋に自国開催となる愛知名古屋2026アジア競技大会(アジア大会)を控える日本勢にとっては、代表選考の最重要競技会に位置づけられている6月の日本選手権に向けて、セイコーGGPは重要な位置づけとなる1戦です。実施された16のグランプリ種目(男子10、女子6)とオープン1種目(女子200m)の計17種目には錚々たる面々がエントリー。男子3000mで上位3選手が日本記録を更新する好レースを繰り広げたほか、この種目を含めて7種目で今季日本最高がマークされる好結果となっています。
男子3000m、上位3選手が日本新!

まずは、12年ぶりに日本新記録が誕生した種目の話題からご紹介しましょう。午前中に実施された決勝の最終種目としてスタートする形となった男子3000mでは、上位3選手が大激戦の末、日本記録を塗り替える好パフォーマンスで会場を沸かせました。
このレースには、ペースメーカーを務めた東京国際大学のリチャード・エティーリ選手(ケニア)を除いて15名が出場。エティーリ選手は、最初の1周目を62秒で入ると、その後も1周61~62秒と素晴らしいペースで先頭を牽引し、1000mを2分33秒で通過していきました。これに最初からついたのが井川龍人選手(旭化成)で、さらに1400m付近で柴田侑選手(城西大)が追いつき、先頭集団はいったん3人となります。4周目に入ったところで、塩尻和也選手(富士通)、そして後方から順位を上げてきた森凪也選手(Honda)ら後続が追いつき、集団は再び縦に長い1列となって残り3周地点を通過していきました。
ここでレースを動かしたのは、大学生の柴田選手でした。2000mの手前となるバックストレートで井川選手をかわしてエティーリ選手に追いつき、5分07秒での通過となった2000mでレースを終えたエティーリ選手と代わるかのようにトップに躍り出ると、そこから先頭を引いたのです。残り2周となったところで塩尻選手が柴田選手に並びかけ、すぐに井川選手、そして森選手が続いていく隊列に。そして柴田・塩尻・井川・ヴィクター・キムタイ(埼玉医科大学G、ケニア)、森、わずかに離れてミューズ・ギザチョウ(エチオピア)の順で、6選手が最後の1周を通過していくこととなりました。バックストレートで塩尻選手が5番手に後退。残り200m地点では柴田選手が逃げ、井川選手、キムタイ選手が続きましたが、ここから森選手が見事なキックを披露します。ホームストレートに入る前で柴田・井川選手に追いつくと、残り50m付近でトップへ。最後はその差を広げて7分38秒98で先着したのです。最後に柴田選手をかわした井川選手が7分39秒36、さらにわずかに遅れた柴田選手も7分39秒51で続き、この上位3選手がマラソン日本記録保持者の大迫傑選手(LI-NING)が2014年に樹立した7分40秒09を塗り替える日本新記録を樹立。勝負・記録ともに見ごたえのあったこの素晴らしいレースに、会場は一気にヒートアップしました。
今回のレースで「日本記録を狙っていた」という森選手は、実は、5月の間にゴールデンゲームズinのべおかの5000mと本大会とで2種目の日本記録更新を狙っていたそう。「延岡では達成できなかったけれど、ここでしっかり達成できたことは、自分の成長という意味で手ごたえを感じている」と声を弾ませました。「ラスト1周を通過した時点で、“たぶん日本記録は出る”と思っていた」と振り返り、「あとは、“誰が勝つか、誰が名前を残すか”というところだったので、最後のラスト400(m)は勝ちだけを意識した」と言います。残り200mの段階で先頭の柴田・井川両選手の動きから少し後れる形となったことで、「無理かな」という思いも頭をよぎったそうですが、「なんとか最後は執念というか、気持ちで負けないようにした」とにっこり。見事なギアチェンジで両選手を差しきりました。
森選手は社会人4年目の昨年、日本代表初選出となったクミ・アジア選手権5000mで銅メダルを獲得、同種目で世界選手権出場も果たすなど、大きな躍進を見せた選手。前述のゴールデンゲームズinのべおかでは、日本記録(13分08秒40、大迫傑、2015年)の更新は叶わなかったものの、今季日本最高となる13分14秒18をマークするなど、その後も順調な推移を見せています。「今季は、(5000mで)日本選手権とアジア大会のどちらにも優勝して、翌年(の北京世界選手権)に弾みをつけられる1年にしたい」ときっぱり。今後は、予選・決勝と2ラウンドでの実施が決まっており、タフな戦いになることが見込まれる日本選手権での初タイトル獲得に、照準を定めていくこととなります。
男子走幅跳は、橋岡が8m22で優勝

男子走幅跳では、橋岡優輝選手(富士通、ダイヤモンドアスリート修了生)がハイアベレージのパフォーマンスで観客を魅了しました。10名が出場して行われたこの種目で、橋岡選手は、第1試技者としてピットに登場すると、いきなり8m13(+0.0)のビッグジャンプを繰りだし、会場をどよめかせます。そして、2回目には、1.9mという追い風をうまくコントロールした助走で生かし、今季日本最高となる8m22をマークしました。3回目をパスして臨んだ4回目にも8m03(-0.4)と3回目の8mオーバー。その後は、風のコンディションがやや変わった影響もあってか、5回目はファウル、6回目は7m90(-0,1)で競技を終了。今回のセイコーGGPでは、4・5回目の試技はトップ8が上位から試技し、さらに最終6回目は、5回目までのトップ3のみが上位から試技する「ファイナル3方式」が採用されたため、橋岡選手は“最後の最後まで勝利が確定されない”立場で結果を待つ形となりましたが、これを逆転する選手は現れず。橋岡選手の勝利が決まりました。
この大会での橋岡選手の優勝は、実に、コロナ禍の影響で8月の開催となった2020年大会以来。2019年ドーハ世界選手権8位、2021年東京オリンピック6位を筆頭に世界大会で実績を残してきたほか、8m36(2021年、日本歴代2位)の自己記録を持つ橋岡選手ですが、故障の影響などもあり、2022年世界選手権以降の世界大会では思うような結果が出せない状況が続いていました。昨年の東京世界選手権を終えたところで、トレーニング拠点や体制をリセット。この冬は、「自分自身でいろいろ考えながら、ベースに立ち返って、いろいろな試みをした」という鍛錬期を過ごしました。再び渡米した4月からは、拠点をカリフォルニア州に移し、跳躍指導のスペシャリストとして知られるジェレミー・フィッシャーコーチの指導を仰ぐ新たな取り組みをスタート。渡米前の3月末の日大記録会で8m14(+1.2)を跳んでシーズンインを果たすと、アメリカでも2大会に出場し、ともに追い風参考ながら8m12(+2.3)と8m27(+2.2)で優勝。公認記録でも、すべての大会で8m台を残す安定した結果を残してきました。助走スピードを高めることを意図した取り組みによって課題が生じていた踏み切りへのスムーズな移行に、本来の持ち味が戻ってきた印象です。
今回の結果について、「最後の3本はうまくまとめきれずに終わるという形だった。そういった点は、まだ自分の詰めの甘さかな」と反省しつつも、「いい動きがしっかりでき、自分の納得のいくような動きが完成していけるようだと、結果もついてくる」と手ごたえは十分に得られている様子。ここから日本選手権に向けて、「しっかり集中して、土台をつくっていきたい」と力強い言葉を聞かせてくれました。

男子110mハードルは、日本記録保持者(12秒92、2025年)の村竹ラシッド選手(JAL)こそ前日のダイヤモンドリーグ上海/柯橋大会出場のため不在となったものの、海外招待選手4名に加えて、2023年ブダペスト世界選手権5位の泉谷駿介選手(住友電工)、3月の世界室内60mハードルで6位入賞を果たした野本周成選手(愛媛競技力本部)など実績を残しているトップハードラーが顔を並べる豪華なレースとなりました。あいにくの向かい風となってしまったなか、このレースを制したのは、今春から社会人となった阿部竜希選手(エターナルホスピタリティG)。自己5番目ながらこれで4回目となる13秒26(-0.2)のシーズンベストをマークし、この大会初優勝を飾りました。
社会人ルーキー初戦として臨んだ4月29日の織田記念では、得意ではない「前半を行こうとしすぎて」気負った結果、ミスが出て13秒57・5位。その反省を生かして「冷静に行こう」と努めたことで、阿部選手の持ち味といえる終盤で抜けだす走りへとつながりました。「タイムは、もう少し出したかったが、まずは優勝できたので合格点を与えられるかな」と阿部選手。とはいえ、13秒26といえば、昨年の東京世界選手権の参加標準記録(13秒27)を上回り、今季世界リストでは11位タイとなるもの。シーズンの滑りだしとしては上々といえる好タイムです。
阿部選手は、順天堂大3年の2024年シーズンに“ブレイク”した選手。同年、自己記録を前年までの13秒64から13秒29へと塗り替えると、翌2025年シーズンは、日本歴代4位に浮上する13秒12までステップアップを果たしました。前述の世界選手権参加標準記録も複数回突破したものの、代表入りには2位以内が必須だった日本選手権で3位。あと一歩のところで代表入りを逃す悔しさを味わいました。
その一方で、ワールドユニバーシティゲームズで金メダルを獲得、その後、WAコンチネンタルツアー・シルバーのISTAFベルリン(ドイツ)では、東京オリンピック金メダリストのハンスル・パーチメント選手(ジャマイカ)を抑えて優勝。9月には、北京で行われたコンチネンタルツアー・ゴールドの最終戦でも優勝を果たすなど、国際大会で勝負強さを培ってきました。今季、目指すのはアジア大会の金メダル。110mハードルは、世界選手権5位入賞を果たした村竹選手がすでに代表に内定しているため、まずは、大激戦区となる日本選手権で、残り1枚となった代表切符をつかみとることが最初のターゲットとなります。
この男子110mハードルでもう一人注目を集めたのは、今春、順天堂大学に進んだ古賀ジェレミー選手(ダイヤモンドアスリート)です。東京高3年の昨年、13秒45の高校記録をマークしたほか、U20規格の110mハードルで13秒07のU20日本記録(アジア歴代2位)を樹立。また、2連覇を果たしたインターハイでは、追い風参考記録(+2.2m)ながら13秒18というタイムを叩きだし、関係者を驚愕させた選手です。今季は、2戦目となった織田記念で13秒40の自己新記録をマークして2位となり、セイコーGGP出場を果たしました。9レーンに入った古賀選手は、素晴らしいスタートで先頭争いに加わると、終盤まで首位争いを繰り広げます。しかし、9台目で抜き足を引っかけてバランスを崩し、無念の転倒。10台目を越えることができずに失格となりました。転倒の影響が気になるところですが、日本選手権では、上位争いの一角に絡む走りが十分に期待できそうです。
新コーチと新投法で臨んだ第1戦

この大会で、観客の視線を集めたのは、女子やり投の北口榛花選手(JAL、ダイヤモンドアスリート修了生)の動向です。2023年ブダペスト世界選手権と2024年パリオリンピックで、ともに金メダリストを獲得した選手。しかし、昨年の東京世界選手権では、右肘故障の影響により予選で敗退する悔しい結果を味わっていました。
今年から、男子やり投の世界記録保持者(98m48、1996年)で、現在はコーチとして数多くのトップ選手を育てているヤン・ゼレズニー氏の指導を仰ぐことに。2月から南アフリカでの合宿に参加しての“お試し期間”を経て、5月1日、正式にコーチングを受けることになったと発表していました。今大会には、そのゼレズニ―コーチも来日。東京世界選手権以来となるこの試合は、新体制で挑む最初の大会でもありました。
南アフリカでは、助走のフォーム改造に着手しました。特に大きく変わったのはやりの保持。助走終盤で、やりをいったん腰付近へと回し下ろすようにして後方へ引いていた動きをなくし、やりを頭の横で構えた状態で助走し、そのまままっすぐ後ろへ引いてクロスへと入っていくフォームに変更したのです。「練習投てきで、久しぶりに良い投げができた」ので、「自分のイメージでは65mくらい投げられる感じで臨んでいた」そうですが、結果は3回目にマークした60m36が最高記録で、5回の試技を終えた段階で5位。この種目でもファイナル3方式が採用されたため、最終試技に臨むことはできませんでした。
競技後には、「こんなに思うようにいかないのは久しぶり」と苦笑いしながら振り返ったものの、そこには悲壮感はありませんでした。「これ(この助走)で、これだけ飛ぶなら、本当にちゃんと投げればもっと飛ぶという手応えがある」と述べ、「まだまだ改善できるところはたくさんある。これからが楽しみになるような試合はできた」と瞳を輝かせながら話してくれました。次戦は、翌週末に行われるダイヤモンドリーグ厦門大会(中国)。その後、6月の日本選手権を迎えることとなります。
その女子やり投を制したのは、5回目に61m57をマークしたリーマ・オタバー選手(バハマ)。2位には、2回目に61m40を投げて、トップで前半を折り返した上田百寧選手(ゼンリン)が続きました。上田選手は、記録を上げることこそできなかったものの、5回目に60m01をマーク。勢いあまってファウルとなった1回目を含むと3回の試技で60mラインを越えており、好調と安定感を印象づけました。また、4回目に60m45を投げて4位となった斉藤真理菜選手(スズキ)は、アジア選手権を制した2023年シーズン以来となる60m台。復調の兆しが見える結果を残しています。
ライルズ、チャレンジレースから出場

大会最終種目として行われた男子100mは、昨年の東京世界選手権200m金メダリストで、2024年パリオリンピックでは100mで金メダルを獲得しているノア・ライルズ選手(アメリカ)が圧巻の走りを披露しました。ライルズ選手は、「1本だけだと身体が温まらない」として、大会前日に、当初は予定されていなかったチャレンジレースにオープン参加することを表明。向かい風1.1mのなか行われたそのチャレンジレースを、余力を残す走りで全体トップタイムとなる10秒05でフィニッシュし、決勝に臨みました。スタートのやり直しがあって2回目の出発となった決勝は、仕切り直しの影響で大きく出遅れる形となったものの、中盤に差し掛かるあたりでギアが入ると、終盤ですっと抜けだして、そのままフィニッシュ。9秒95(+0.6)をマークして、25000人の観客を大いに沸かせました。
このレースで日本人トップとなる4位を占めたのは、今大会が100m今季初戦となった桐生祥秀選手(日本生命)。アジア大会派遣設定記録にぴたりと並ぶ10秒15をマークしました。前日の記者会見で、冬にスタートを改良し、練習では良い感触を得ていることを明かしていましたが、決勝では、初めてレースでその動きに挑戦。好スタートから流れるように中盤につないでトップに立つ走りを見せました。「後半のピッチはまだまだ回せる」と課題は残したものの、スタート局面については「やりたいことができた」と好感触をつかんでいました。
また、桐生選手に続く日本人2~4番手(5~7位)には、飯塚翔太選手(ミズノ)、小池祐貴選手(住友電工)、山縣亮太選手(セイコー)が10秒19、10秒21、10秒24でフィニッシュ。チャレンジレースを勝ち抜いてきたベテラン勢が続く結果となりました。
男子1500mで飯澤、男子走高跳で澁谷が優勝

オープン種目を含めて全17種目の決勝が行われた本大会では、前述の男子3000m、男子走幅跳のほか、男子1500m、男子走高跳、女子200m(オープン)で日本選手が優勝を果たしています。トラック最初の決勝種目となった男子1500mでは、飯澤千翔選手(住友電工)が、今季日本最高となる3分37秒69で優勝。終盤までのペースが上がらず、アジア大会派遣設定記録(3分36秒53)にも届かなかった点が惜しまれました。男子走高跳は、優勝候補筆頭のウ・サンヒョク選手(韓国)が2m15の試技を1回失敗したところで途中棄権。勝負の行方は、2m24で3選手に絞られましたが、続く2m27を誰も越えることができず、自己新記録だった2m24をはじめ、すべての試技を1回で成功させていた澁谷蒼選手(team猿魂)が優勝を果たしました。また、オープン種目として実施された女子200mでは、男女混合4×400mリレーに出場した世界リレー(ボツワナ)も含めて、多種目で連戦している井戸アビゲイル風果選手(東邦銀行)が出場し、今季日本最高となる23秒29(+1.2)で先着しています。

例年、ハイレベルのレースが行われる女子100mハードルは、アリア・アームストロング選手(アメリカ)が混戦を抜けだして12秒75(-0.9)で優勝しました。これに続いたのが田中佑美(富士通)、福部真子(日本建設工業)、中島ひとみ(長谷川体育施設)の東京世界選手権日本代表3選手。田中選手が自己記録に0.01秒まで迫る12秒81(今季アジア最高)で2位を占め、3・4着の福部・中島選手も、12秒85・12秒90とシーズンベストをマーク。アジア大会代表2枠を巡る日本選手権での戦いが、さらに激化していくことが予想されるレースとなりました。
男子400mは、2024年パリオリンピック・2025年東京世界選手権400mハードル金メダリストのライ・ベンジャミン選手(アメリカ)が44秒69で快勝。日本勢では日本記録保持者(44秒44)の中島佑気ジョセフ選手(富士通)が45秒29(4位)で先着しました。この記録は、今季日本最高となりますが、当の中島選手は、「コンディションもよく、たくさんの方が集まってくださったので44秒8くらいでは走っておきたかった。これでは話にならない」と反省しきりの様子でした。中島選手に続いたのは、世界リレー男子4×400mリレーで1走を務め、北京世界選手権出場権獲得に貢献している林申雅選手(筑波大)。序盤から果敢な走りを披露して、ラストで中島選手にかわされたものの、自己新記録の45秒30をマーク。佐藤風雅選手(ミズノ)を0.01秒差で押さえました。
男子200mは、向かい風1.3mと条件に恵まれないなかでのレースとなりましたが、3月の世界室内男子60mを制したジョーダン・アンソニー選手(アメリカ)が、終盤で他を突き放す走りを見せて20秒05で勝利しました。日本勢では、鵜澤飛羽選手(JAL)が今季アジア最高となる20秒33をマークし、3位でフィニッシュ。鵜澤選手は、昨年の東京世界選手権以降はレースも出場せず、しっかりと充電を図るシーズンオフを過ごし、年明けからトレーニングを再開。4月に筑波大記録会で400m、200m、100mを走ったり、5月3日に佐野スプリントで100mに出場(10秒27、+0.8)したりしていますが、このセイコーGGPが実質的な開幕戦。夏に向けて、ここから本格始動を計画しています。そんななか、アジア大会派遣設定記録(20秒48)をあっさりとクリア。レース後は、「課題の後半でやりたかった動きができた」と満足げな表情を見せていました。
このほか、女子1500mと女子3000mには、ともに日本記録を持つ田中希実選手(豊田自動織機)が出場。2時間に満たないインターバルでのレースに臨み、1500mで日本人トップの4位(4分17秒43)、3000mではアジア大会女子マラソン代表に内定している矢田みくに選手(エディオン)に次ぐ日本人2番手の5位(8分55秒95)でフィニッシュしました。
1週間前の木南記念で行われた10000mのアジア大会選考レースを31分41秒22で制してからの連戦ですが、5000mで16分00秒89に終わった5月4日のゴールデンゲームズinのべおか以降、練習は積めているのに自信が持てないという思いが払拭できない状態が続いていました。しかし、先に行われた1500mでスローな入りとなったなか、1000mから先頭に出ると残り1周でスパートする走りを披露。最後は、外国勢にかわされたものの、「自分のしたいことをして負けたので、やっとスタートラインに戻ってこられた」と実感し、続く3000mは「久しぶりに“勝つぞ”という気持ちで臨めた」と言います。木南記念10000mで上向きに転じたベクトルは、どうやら着実にポジティブな方向へ動き始めたようです。
※日本人優勝者および外国人注目選手のコメントは、本稿とは別に、大会特設サイトのニュース欄(https://goldengrandprix-japan.com/2026/news/ )に掲載しています。あわせてご覧ください。
文:児玉育美(JAAFメディアチーム)
写真:アフロスポーツ
▼大会リザルトはこちら
https://goldengrandprix-japan.com/2026/result/
▼選手コメント掲載中!
https://goldengrandprix-japan.com/2026/news/
※男子100m予選・準決勝は12日(金)、決勝は13日(土)
会場:パロマ瑞穂スタジアム(愛知・名古屋)
公式サイト:https://www.jaaf.or.jp/jch/110/
すでに完売席種も続出!良席の確保はお早めに
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・劇場アニメ『ひゃくえむ。』コラボ第2弾プロモーションビデオ
昨年の東京世界選手権に続いて、今年も秋に自国開催となる愛知名古屋2026アジア競技大会(アジア大会)を控える日本勢にとっては、代表選考の最重要競技会に位置づけられている6月の日本選手権に向けて、セイコーGGPは重要な位置づけとなる1戦です。実施された16のグランプリ種目(男子10、女子6)とオープン1種目(女子200m)の計17種目には錚々たる面々がエントリー。男子3000mで上位3選手が日本記録を更新する好レースを繰り広げたほか、この種目を含めて7種目で今季日本最高がマークされる好結果となっています。
男子3000m、上位3選手が日本新!
鮮やかなスパート見せた森が制す

まずは、12年ぶりに日本新記録が誕生した種目の話題からご紹介しましょう。午前中に実施された決勝の最終種目としてスタートする形となった男子3000mでは、上位3選手が大激戦の末、日本記録を塗り替える好パフォーマンスで会場を沸かせました。
このレースには、ペースメーカーを務めた東京国際大学のリチャード・エティーリ選手(ケニア)を除いて15名が出場。エティーリ選手は、最初の1周目を62秒で入ると、その後も1周61~62秒と素晴らしいペースで先頭を牽引し、1000mを2分33秒で通過していきました。これに最初からついたのが井川龍人選手(旭化成)で、さらに1400m付近で柴田侑選手(城西大)が追いつき、先頭集団はいったん3人となります。4周目に入ったところで、塩尻和也選手(富士通)、そして後方から順位を上げてきた森凪也選手(Honda)ら後続が追いつき、集団は再び縦に長い1列となって残り3周地点を通過していきました。
ここでレースを動かしたのは、大学生の柴田選手でした。2000mの手前となるバックストレートで井川選手をかわしてエティーリ選手に追いつき、5分07秒での通過となった2000mでレースを終えたエティーリ選手と代わるかのようにトップに躍り出ると、そこから先頭を引いたのです。残り2周となったところで塩尻選手が柴田選手に並びかけ、すぐに井川選手、そして森選手が続いていく隊列に。そして柴田・塩尻・井川・ヴィクター・キムタイ(埼玉医科大学G、ケニア)、森、わずかに離れてミューズ・ギザチョウ(エチオピア)の順で、6選手が最後の1周を通過していくこととなりました。バックストレートで塩尻選手が5番手に後退。残り200m地点では柴田選手が逃げ、井川選手、キムタイ選手が続きましたが、ここから森選手が見事なキックを披露します。ホームストレートに入る前で柴田・井川選手に追いつくと、残り50m付近でトップへ。最後はその差を広げて7分38秒98で先着したのです。最後に柴田選手をかわした井川選手が7分39秒36、さらにわずかに遅れた柴田選手も7分39秒51で続き、この上位3選手がマラソン日本記録保持者の大迫傑選手(LI-NING)が2014年に樹立した7分40秒09を塗り替える日本新記録を樹立。勝負・記録ともに見ごたえのあったこの素晴らしいレースに、会場は一気にヒートアップしました。
今回のレースで「日本記録を狙っていた」という森選手は、実は、5月の間にゴールデンゲームズinのべおかの5000mと本大会とで2種目の日本記録更新を狙っていたそう。「延岡では達成できなかったけれど、ここでしっかり達成できたことは、自分の成長という意味で手ごたえを感じている」と声を弾ませました。「ラスト1周を通過した時点で、“たぶん日本記録は出る”と思っていた」と振り返り、「あとは、“誰が勝つか、誰が名前を残すか”というところだったので、最後のラスト400(m)は勝ちだけを意識した」と言います。残り200mの段階で先頭の柴田・井川両選手の動きから少し後れる形となったことで、「無理かな」という思いも頭をよぎったそうですが、「なんとか最後は執念というか、気持ちで負けないようにした」とにっこり。見事なギアチェンジで両選手を差しきりました。
森選手は社会人4年目の昨年、日本代表初選出となったクミ・アジア選手権5000mで銅メダルを獲得、同種目で世界選手権出場も果たすなど、大きな躍進を見せた選手。前述のゴールデンゲームズinのべおかでは、日本記録(13分08秒40、大迫傑、2015年)の更新は叶わなかったものの、今季日本最高となる13分14秒18をマークするなど、その後も順調な推移を見せています。「今季は、(5000mで)日本選手権とアジア大会のどちらにも優勝して、翌年(の北京世界選手権)に弾みをつけられる1年にしたい」ときっぱり。今後は、予選・決勝と2ラウンドでの実施が決まっており、タフな戦いになることが見込まれる日本選手権での初タイトル獲得に、照準を定めていくこととなります。
男子走幅跳は、橋岡が8m22で優勝
8m台連発で、会場を沸かせる

男子走幅跳では、橋岡優輝選手(富士通、ダイヤモンドアスリート修了生)がハイアベレージのパフォーマンスで観客を魅了しました。10名が出場して行われたこの種目で、橋岡選手は、第1試技者としてピットに登場すると、いきなり8m13(+0.0)のビッグジャンプを繰りだし、会場をどよめかせます。そして、2回目には、1.9mという追い風をうまくコントロールした助走で生かし、今季日本最高となる8m22をマークしました。3回目をパスして臨んだ4回目にも8m03(-0.4)と3回目の8mオーバー。その後は、風のコンディションがやや変わった影響もあってか、5回目はファウル、6回目は7m90(-0,1)で競技を終了。今回のセイコーGGPでは、4・5回目の試技はトップ8が上位から試技し、さらに最終6回目は、5回目までのトップ3のみが上位から試技する「ファイナル3方式」が採用されたため、橋岡選手は“最後の最後まで勝利が確定されない”立場で結果を待つ形となりましたが、これを逆転する選手は現れず。橋岡選手の勝利が決まりました。
この大会での橋岡選手の優勝は、実に、コロナ禍の影響で8月の開催となった2020年大会以来。2019年ドーハ世界選手権8位、2021年東京オリンピック6位を筆頭に世界大会で実績を残してきたほか、8m36(2021年、日本歴代2位)の自己記録を持つ橋岡選手ですが、故障の影響などもあり、2022年世界選手権以降の世界大会では思うような結果が出せない状況が続いていました。昨年の東京世界選手権を終えたところで、トレーニング拠点や体制をリセット。この冬は、「自分自身でいろいろ考えながら、ベースに立ち返って、いろいろな試みをした」という鍛錬期を過ごしました。再び渡米した4月からは、拠点をカリフォルニア州に移し、跳躍指導のスペシャリストとして知られるジェレミー・フィッシャーコーチの指導を仰ぐ新たな取り組みをスタート。渡米前の3月末の日大記録会で8m14(+1.2)を跳んでシーズンインを果たすと、アメリカでも2大会に出場し、ともに追い風参考ながら8m12(+2.3)と8m27(+2.2)で優勝。公認記録でも、すべての大会で8m台を残す安定した結果を残してきました。助走スピードを高めることを意図した取り組みによって課題が生じていた踏み切りへのスムーズな移行に、本来の持ち味が戻ってきた印象です。
今回の結果について、「最後の3本はうまくまとめきれずに終わるという形だった。そういった点は、まだ自分の詰めの甘さかな」と反省しつつも、「いい動きがしっかりでき、自分の納得のいくような動きが完成していけるようだと、結果もついてくる」と手ごたえは十分に得られている様子。ここから日本選手権に向けて、「しっかり集中して、土台をつくっていきたい」と力強い言葉を聞かせてくれました。
男子110mハードルは社会人ルーキーの阿部が13秒26でV

男子110mハードルは、日本記録保持者(12秒92、2025年)の村竹ラシッド選手(JAL)こそ前日のダイヤモンドリーグ上海/柯橋大会出場のため不在となったものの、海外招待選手4名に加えて、2023年ブダペスト世界選手権5位の泉谷駿介選手(住友電工)、3月の世界室内60mハードルで6位入賞を果たした野本周成選手(愛媛競技力本部)など実績を残しているトップハードラーが顔を並べる豪華なレースとなりました。あいにくの向かい風となってしまったなか、このレースを制したのは、今春から社会人となった阿部竜希選手(エターナルホスピタリティG)。自己5番目ながらこれで4回目となる13秒26(-0.2)のシーズンベストをマークし、この大会初優勝を飾りました。
社会人ルーキー初戦として臨んだ4月29日の織田記念では、得意ではない「前半を行こうとしすぎて」気負った結果、ミスが出て13秒57・5位。その反省を生かして「冷静に行こう」と努めたことで、阿部選手の持ち味といえる終盤で抜けだす走りへとつながりました。「タイムは、もう少し出したかったが、まずは優勝できたので合格点を与えられるかな」と阿部選手。とはいえ、13秒26といえば、昨年の東京世界選手権の参加標準記録(13秒27)を上回り、今季世界リストでは11位タイとなるもの。シーズンの滑りだしとしては上々といえる好タイムです。
阿部選手は、順天堂大3年の2024年シーズンに“ブレイク”した選手。同年、自己記録を前年までの13秒64から13秒29へと塗り替えると、翌2025年シーズンは、日本歴代4位に浮上する13秒12までステップアップを果たしました。前述の世界選手権参加標準記録も複数回突破したものの、代表入りには2位以内が必須だった日本選手権で3位。あと一歩のところで代表入りを逃す悔しさを味わいました。
その一方で、ワールドユニバーシティゲームズで金メダルを獲得、その後、WAコンチネンタルツアー・シルバーのISTAFベルリン(ドイツ)では、東京オリンピック金メダリストのハンスル・パーチメント選手(ジャマイカ)を抑えて優勝。9月には、北京で行われたコンチネンタルツアー・ゴールドの最終戦でも優勝を果たすなど、国際大会で勝負強さを培ってきました。今季、目指すのはアジア大会の金メダル。110mハードルは、世界選手権5位入賞を果たした村竹選手がすでに代表に内定しているため、まずは、大激戦区となる日本選手権で、残り1枚となった代表切符をつかみとることが最初のターゲットとなります。
この男子110mハードルでもう一人注目を集めたのは、今春、順天堂大学に進んだ古賀ジェレミー選手(ダイヤモンドアスリート)です。東京高3年の昨年、13秒45の高校記録をマークしたほか、U20規格の110mハードルで13秒07のU20日本記録(アジア歴代2位)を樹立。また、2連覇を果たしたインターハイでは、追い風参考記録(+2.2m)ながら13秒18というタイムを叩きだし、関係者を驚愕させた選手です。今季は、2戦目となった織田記念で13秒40の自己新記録をマークして2位となり、セイコーGGP出場を果たしました。9レーンに入った古賀選手は、素晴らしいスタートで先頭争いに加わると、終盤まで首位争いを繰り広げます。しかし、9台目で抜き足を引っかけてバランスを崩し、無念の転倒。10台目を越えることができずに失格となりました。転倒の影響が気になるところですが、日本選手権では、上位争いの一角に絡む走りが十分に期待できそうです。
新コーチと新投法で臨んだ第1戦
注目の北口は、60m36でリスタート

この大会で、観客の視線を集めたのは、女子やり投の北口榛花選手(JAL、ダイヤモンドアスリート修了生)の動向です。2023年ブダペスト世界選手権と2024年パリオリンピックで、ともに金メダリストを獲得した選手。しかし、昨年の東京世界選手権では、右肘故障の影響により予選で敗退する悔しい結果を味わっていました。
今年から、男子やり投の世界記録保持者(98m48、1996年)で、現在はコーチとして数多くのトップ選手を育てているヤン・ゼレズニー氏の指導を仰ぐことに。2月から南アフリカでの合宿に参加しての“お試し期間”を経て、5月1日、正式にコーチングを受けることになったと発表していました。今大会には、そのゼレズニ―コーチも来日。東京世界選手権以来となるこの試合は、新体制で挑む最初の大会でもありました。
南アフリカでは、助走のフォーム改造に着手しました。特に大きく変わったのはやりの保持。助走終盤で、やりをいったん腰付近へと回し下ろすようにして後方へ引いていた動きをなくし、やりを頭の横で構えた状態で助走し、そのまままっすぐ後ろへ引いてクロスへと入っていくフォームに変更したのです。「練習投てきで、久しぶりに良い投げができた」ので、「自分のイメージでは65mくらい投げられる感じで臨んでいた」そうですが、結果は3回目にマークした60m36が最高記録で、5回の試技を終えた段階で5位。この種目でもファイナル3方式が採用されたため、最終試技に臨むことはできませんでした。
競技後には、「こんなに思うようにいかないのは久しぶり」と苦笑いしながら振り返ったものの、そこには悲壮感はありませんでした。「これ(この助走)で、これだけ飛ぶなら、本当にちゃんと投げればもっと飛ぶという手応えがある」と述べ、「まだまだ改善できるところはたくさんある。これからが楽しみになるような試合はできた」と瞳を輝かせながら話してくれました。次戦は、翌週末に行われるダイヤモンドリーグ厦門大会(中国)。その後、6月の日本選手権を迎えることとなります。
その女子やり投を制したのは、5回目に61m57をマークしたリーマ・オタバー選手(バハマ)。2位には、2回目に61m40を投げて、トップで前半を折り返した上田百寧選手(ゼンリン)が続きました。上田選手は、記録を上げることこそできなかったものの、5回目に60m01をマーク。勢いあまってファウルとなった1回目を含むと3回の試技で60mラインを越えており、好調と安定感を印象づけました。また、4回目に60m45を投げて4位となった斉藤真理菜選手(スズキ)は、アジア選手権を制した2023年シーズン以来となる60m台。復調の兆しが見える結果を残しています。
ライルズ、チャレンジレースから出場
10秒05・9秒95とまとめ貫禄示す

大会最終種目として行われた男子100mは、昨年の東京世界選手権200m金メダリストで、2024年パリオリンピックでは100mで金メダルを獲得しているノア・ライルズ選手(アメリカ)が圧巻の走りを披露しました。ライルズ選手は、「1本だけだと身体が温まらない」として、大会前日に、当初は予定されていなかったチャレンジレースにオープン参加することを表明。向かい風1.1mのなか行われたそのチャレンジレースを、余力を残す走りで全体トップタイムとなる10秒05でフィニッシュし、決勝に臨みました。スタートのやり直しがあって2回目の出発となった決勝は、仕切り直しの影響で大きく出遅れる形となったものの、中盤に差し掛かるあたりでギアが入ると、終盤ですっと抜けだして、そのままフィニッシュ。9秒95(+0.6)をマークして、25000人の観客を大いに沸かせました。
このレースで日本人トップとなる4位を占めたのは、今大会が100m今季初戦となった桐生祥秀選手(日本生命)。アジア大会派遣設定記録にぴたりと並ぶ10秒15をマークしました。前日の記者会見で、冬にスタートを改良し、練習では良い感触を得ていることを明かしていましたが、決勝では、初めてレースでその動きに挑戦。好スタートから流れるように中盤につないでトップに立つ走りを見せました。「後半のピッチはまだまだ回せる」と課題は残したものの、スタート局面については「やりたいことができた」と好感触をつかんでいました。
また、桐生選手に続く日本人2~4番手(5~7位)には、飯塚翔太選手(ミズノ)、小池祐貴選手(住友電工)、山縣亮太選手(セイコー)が10秒19、10秒21、10秒24でフィニッシュ。チャレンジレースを勝ち抜いてきたベテラン勢が続く結果となりました。
男子1500mで飯澤、男子走高跳で澁谷が優勝
女子100mハードルでは田中が今季アジア最高

オープン種目を含めて全17種目の決勝が行われた本大会では、前述の男子3000m、男子走幅跳のほか、男子1500m、男子走高跳、女子200m(オープン)で日本選手が優勝を果たしています。トラック最初の決勝種目となった男子1500mでは、飯澤千翔選手(住友電工)が、今季日本最高となる3分37秒69で優勝。終盤までのペースが上がらず、アジア大会派遣設定記録(3分36秒53)にも届かなかった点が惜しまれました。男子走高跳は、優勝候補筆頭のウ・サンヒョク選手(韓国)が2m15の試技を1回失敗したところで途中棄権。勝負の行方は、2m24で3選手に絞られましたが、続く2m27を誰も越えることができず、自己新記録だった2m24をはじめ、すべての試技を1回で成功させていた澁谷蒼選手(team猿魂)が優勝を果たしました。また、オープン種目として実施された女子200mでは、男女混合4×400mリレーに出場した世界リレー(ボツワナ)も含めて、多種目で連戦している井戸アビゲイル風果選手(東邦銀行)が出場し、今季日本最高となる23秒29(+1.2)で先着しています。

例年、ハイレベルのレースが行われる女子100mハードルは、アリア・アームストロング選手(アメリカ)が混戦を抜けだして12秒75(-0.9)で優勝しました。これに続いたのが田中佑美(富士通)、福部真子(日本建設工業)、中島ひとみ(長谷川体育施設)の東京世界選手権日本代表3選手。田中選手が自己記録に0.01秒まで迫る12秒81(今季アジア最高)で2位を占め、3・4着の福部・中島選手も、12秒85・12秒90とシーズンベストをマーク。アジア大会代表2枠を巡る日本選手権での戦いが、さらに激化していくことが予想されるレースとなりました。
男子400mは、2024年パリオリンピック・2025年東京世界選手権400mハードル金メダリストのライ・ベンジャミン選手(アメリカ)が44秒69で快勝。日本勢では日本記録保持者(44秒44)の中島佑気ジョセフ選手(富士通)が45秒29(4位)で先着しました。この記録は、今季日本最高となりますが、当の中島選手は、「コンディションもよく、たくさんの方が集まってくださったので44秒8くらいでは走っておきたかった。これでは話にならない」と反省しきりの様子でした。中島選手に続いたのは、世界リレー男子4×400mリレーで1走を務め、北京世界選手権出場権獲得に貢献している林申雅選手(筑波大)。序盤から果敢な走りを披露して、ラストで中島選手にかわされたものの、自己新記録の45秒30をマーク。佐藤風雅選手(ミズノ)を0.01秒差で押さえました。
男子200mは、向かい風1.3mと条件に恵まれないなかでのレースとなりましたが、3月の世界室内男子60mを制したジョーダン・アンソニー選手(アメリカ)が、終盤で他を突き放す走りを見せて20秒05で勝利しました。日本勢では、鵜澤飛羽選手(JAL)が今季アジア最高となる20秒33をマークし、3位でフィニッシュ。鵜澤選手は、昨年の東京世界選手権以降はレースも出場せず、しっかりと充電を図るシーズンオフを過ごし、年明けからトレーニングを再開。4月に筑波大記録会で400m、200m、100mを走ったり、5月3日に佐野スプリントで100mに出場(10秒27、+0.8)したりしていますが、このセイコーGGPが実質的な開幕戦。夏に向けて、ここから本格始動を計画しています。そんななか、アジア大会派遣設定記録(20秒48)をあっさりとクリア。レース後は、「課題の後半でやりたかった動きができた」と満足げな表情を見せていました。
このほか、女子1500mと女子3000mには、ともに日本記録を持つ田中希実選手(豊田自動織機)が出場。2時間に満たないインターバルでのレースに臨み、1500mで日本人トップの4位(4分17秒43)、3000mではアジア大会女子マラソン代表に内定している矢田みくに選手(エディオン)に次ぐ日本人2番手の5位(8分55秒95)でフィニッシュしました。
1週間前の木南記念で行われた10000mのアジア大会選考レースを31分41秒22で制してからの連戦ですが、5000mで16分00秒89に終わった5月4日のゴールデンゲームズinのべおか以降、練習は積めているのに自信が持てないという思いが払拭できない状態が続いていました。しかし、先に行われた1500mでスローな入りとなったなか、1000mから先頭に出ると残り1周でスパートする走りを披露。最後は、外国勢にかわされたものの、「自分のしたいことをして負けたので、やっとスタートラインに戻ってこられた」と実感し、続く3000mは「久しぶりに“勝つぞ”という気持ちで臨めた」と言います。木南記念10000mで上向きに転じたベクトルは、どうやら着実にポジティブな方向へ動き始めたようです。
※日本人優勝者および外国人注目選手のコメントは、本稿とは別に、大会特設サイトのニュース欄(https://goldengrandprix-japan.com/2026/news/ )に掲載しています。あわせてご覧ください。
文:児玉育美(JAAFメディアチーム)
写真:アフロスポーツ
【大会特設サイト】
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第110回日本陸上競技選手権大会
兼 愛知・名古屋 2026 アジア競技大会 日本代表選手選考競技会
■大会概要
日時:2026年6月12日(金)〜14日(日)※男子100m予選・準決勝は12日(金)、決勝は13日(土)
会場:パロマ瑞穂スタジアム(愛知・名古屋)
公式サイト:https://www.jaaf.or.jp/jch/110/
■チケット情報
前売チケット好評販売中!すでに完売席種も続出!良席の確保はお早めに
▶チケットはこちらから
https://www.jaaf.or.jp/jch/110/ticket/
■関連情報
・劇場アニメ『ひゃくえむ。』コラボニュース第1弾
劇場アニメ『ひゃくえむ。』日本陸上競技選手権大会 コラボレーション ーそういう景色を見ようぜー が開催決定!
https://www.jaaf.or.jp/jch/110/news/article/23307/
・劇場アニメ『ひゃくえむ。』コラボ第2弾プロモーションビデオ
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