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2026.06.03(水)その他

育成年代競技会の主催継続を正式決議 酷暑対策と大会改革を推進/メディアブリーフィングレポート②



日本陸連は4月30日に招集した第111回理事会において、「2026年夏期大会(全日本中学校選手権、インターハイ、全国定時制・通信制)の主催」について最終的な判断を議論し、各大会を主催することを決議しました。理事会終了後にはメディアブリーフィングを実施。最終判断についての説明を行いました。ここでは、その概要をご報告します。

日本陸連では、「酷暑環境下における競技会のあり方と育成年代競技会の抜本点的見直し」を根底に、夏期に行われている育成年代競技者の全国大会(全日本中学校選手権、インターハイ、全国定時制・通信制)の開催について、会期変更や大会規模の縮小も含めた改善を各主催団体に呼びかけ、そのための議論を進めてきました。
2026年に実施予定の全日本中学校選手権(以下、全中)、インターハイ、全国定時制・通信制(以下、全国定通制)については、3月26日の第109回理事会において、それぞれの主催団体に、以下に示す事項について再検討していただくこととし、その提出を待って4月末に最終判断を行うことを決議しました。

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【前提条件】
・WBGT31度以上の暑熱環境下では、ウォーミングアップも含め競技活動は一切行わない(中断・中止の徹底)。
・夏期大会においては、競技者のみならず、審判員・補助員、ボランティア、そして観客に対しても相応の安全確保策を講じる。

【各大会に再検討いただいた事項】
<全中>
①15時開始を前提としないこと(現実にWBGT31度を下回る時間帯への再設定)。
②16時・17時開始となった場合に、競技会が確実に時間内に成立する詳細なシミュレーション。
<インターハイ>
①将来に向けた「具体的な見直し工程案」(3年後までの工程表・改善内容)。
②WBGT基準の評価と運用確認の仕組みの明確化(確実な体制構築)。
<全国定通制陸上>
①15時30分開始を前提としないこと(現実にWBGT31度を下回る時間帯への再設定)。
②16時・17時開始となった場合に、競技会が確実に時間内に成立する詳細なシミュレーション。
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4月30日夜に実施された第111回理事会では、各団体からの提出のあった回答を踏まえ、大会ごとに一つずつ議論。最終的に、各大会とも「主催に入る」判断に至りました。この日のメディアブリーフィングでは、最終決定の報告に先立ち、本件に関する日本陸連の考え方と、改革に取り組んできたこれまでの経緯を、日本陸連事業部の平野了部長が改めて説明。そのうえで、理事会終了後に、日本陸連の田﨑博道専務理事が登壇し、最終判断について報告しました。


「2026年夏期大会の主催」についての最終判断

田﨑博道(日本陸連専務理事)



あらかじめご説明していた通り、3つの大会(全中、インターハイ、全国定通制)について、3月26日の理事会で決まったことを、3つの団体にお伝えしたうえで、4月中を期限として確認をお願いしていた。しかし、いろいろなところに影響が出ることでもあるため、できるだけ早いタイミングでの回答をお願いしたところ、各団体ともに対応していただくことができ、本日の理事会開催となった。

また、このブリーフィングにおいて、決まった結論だけをご報告しても、わかりにくいだろうと考え、理事会終了を待っていただく時間を利用し、これまでの経過を説明させていただいた(https://www.jaaf.or.jp/news/article/23420/)。本件に関して、我々が3年前、2年前という段階から問題意識を持って臨んできた取り組みの本質的なところは、その説明で、改めて理解していただけたのではないかと思う。

本日の理事会においては、夏期に予定されている3つの大会を主催するかしないかということを決議したわけだが、理事会においても、「“主催する・しない”という表面的な問題ではなく、もっと本質的な議論をすべきである」という認識のもと話し合った。3つの大会はそれぞれに特色があり、さらに我々から確認を求めた内容もそれぞれで異なっていたため、理事会では1大会ごとに議論を行った。結果的に、最終判断は同じでも、その意味合いには違いがある状況となっている。そうした位置づけの違いも理解していただけるように、ここでは報告および説明を進めたい。


◎全国定通制について

この大会は、もともといただいていた案では、15時30分の競技開始となっていたため、実質的にWBGT31度を下回る時間からの競技開始を前提にした日程への再検討をお願いしていた。さらに、もし、開始時間が遅くなった場合に、競技会が成立するかのシミュレーションを具体的に示していただくことを依頼した。

これに対して、全国高等学校体育連盟定時制通信制陸上競技専門部から回答いただいた内容は、競技開始時間を17時からとし、通常であればWBGT31度は下回っていることが見込まれる時間帯に変更された。加えて、暑熱対策ガイドラインも定められ、暑熱に対する基本的な考え方も我々と同じであることが確認できたので、この大会については、「きちんと安全が確保される大会が、粛々と実施できるように一緒にやっていきたい」という意味での主催をさせていただくことを決めた。

改めて出していただいた回答では、参加人数の縮小、番組編成の工夫、個人の多種目出場の廃止等を行ったうえでのシミュレーションが示されており、大変に苦労されたことがうかがえた。なんとか定時制・通信制の皆さんにとって、良い大会になってほしいということで、陸連としても一緒になって、良い運営ができるよう努力していきたいという、そういう意味合いでの主催である。

◎インターハイについて

滋賀インターハイに関しては、具体的な暑熱対策について、全国高等学校体育連盟陸上競技専門部(以下、陸上専門部)および滋賀県実行委員会とずっと話をしてきていたことで、その具体的なスケジュールについても、すでに十分な配慮や工夫が施された内容を提示していただいている。また、18時(一部17時)~22時の夜間開催によって、結果的に会期が長くなることになり、それによる懸念事項が生じているが、一つ一つ解消にむけて協議を行っている。こうした話し合いが行われてきたなかで、「WBGT31度以上となる条件下で競技を実施することはない」という方針は双方で一致している状況であるため、大会そのものの実施については、我々としても心配はないだろうと考えていた。

一方で、高体連とのこの議論では、大前提のところで、「すでに開催地が決定している年については時期の変更はできない」(全国高体連(本部))、「競技種目や参加人数等は変えることができない」(陸上専門部)という回答があり、また、高体連本部においては、高体連全体としての改革プロジェクトが進んでいるなかで、陸上についても、その一つとしての検討でなければ進めることは難しいという話であった。

高体連全体という点では、そこは変わっておらず、陸連が言っていることを汲んで陸上だけを大きく変えていこうという方向にはなっていない点は、我々も理解していた。しかし、今回の対応にあたっては、陸上専門部から、高体連本部に、「陸上としてやっていけること」として、はっきりと申し入れをしていただくことができ、その結果、以下の回答を得ることができた。
その内容としては、

・次の神奈川(2027年南関東ブロックで開催。陸上は神奈川で実施)、愛知(2028年東海ブロックで開催。陸上は愛知で実施)においては、ナイトセッションを中心とするタイムテーブルを組む、競技日程を6日間とする、投てき種目は別会場で実施するなど、運営方法にいろいろな工夫を行う。

・宮崎県で実施する2029年およびそれ以降については、ナイトセッションで、5日以内の会期として、実施種目の削減、1人がエントリーする種目数の制限などを検討する。

・あわせて、削減種目や削減種目数に応じて5日以内で開催できる参加人数枠を決定する。

というものであった。

※上記は現時点における陸上専門部の案であり、今後検討が行われるものである。

これまでの「大会規模や種目、参加人数枠に触れることはできない」という点が前提であったところからは、陸連が訴えてきたことを十分に理解して、対応しようとしてくれていると感じることができた。インターハイの7~8月開催を変更するという点での検討については、全体の問題となるため、陸上だけを動かすことができない点は変わらないが、これまで一緒に検討を進めてきた高体連陸上専門部が大きく踏み込んでくれたことで、この回答を得ることができたと我々は理解している。

そのようなことから、「先々について、ともにより良い方法にしていく…開催時期、大会規模、種目や参加人数等々、ありとあらゆるすべてを、これから一緒に検討していくということを、約束していただけている」という前提で、それを実行していくために陸連は主催者となるという最終判断となった。完全なる意見の一致には至っていないが、ともにやっていくという環境は維持するべきであり、それが陸連の主催責任であるという考え方で、インターハイを主催させていただくこととした。

◎全中について

全中については、前回、WBGT31度以上となった場合は、中断・中止という大前提を確認できていたが、15時を競技開始するという意向については、15~16時にWBGT31度を超えている実態があるため、15時競技開始のタイムテーブルでは現実感がないとして、そうでないタイムテーブルとなったときのシミュレーションを具体的に示すこと、また、競技だけでなく、観客や選手たちの輸送なども含めた大会全体の提示をお願いしていた。

これについて、改めて提出されてきた回答は、競技時間を再考したタイムテーブルが出された一方で、大前提であった「WBGT31度以上となった場合は中断・中止」という点については難しい言い回しとなっていた。そこで、理事会では、それらを合わせてどう判断するかという議論になった。
この経緯を少し詳しく説明すると、我々が確認をお願いしていたのは、次の2点。

①15時開始を前提としない、WBGT31度を下回る時間帯からの競技日程の提示。
②16時・17時開始となった場合に、大会全体が成立するのか。想定の参加人数や、競技者・観客の輸送等をすべて含めた方策を示し、シミュレーションしてほしい。

全中については、すでに参加標準記録等の設定により参加人数を絞ることは示されていて、ある意味、規模・種目は小さくなっている状況であった。このため我々としては、競技開始時刻を15時とせず、16時台からにしたとしても、20時前には競技を終えられるのではないかと考えていた。そして、WBGT31度以上となった場合に競技の中断が可能で、15時開始でなくても進行できる状況であるかを確認したい思いがあった。
先ほど申し上げた「難しい言い回し」となっていたのは、その点に対しての回答の部分。内諾をいただいているので、該当箇所を読み上げさせていただくと、下記の通りとなる。

<中体連からの回答> ※要約して記載

・日本スポーツ協会の熱中症予防運動指針に示されている“WBGT31度以上は、運動は原則中止”に対し、異論は全くなく、重要な指針と捉えている。そのため、最も暑い時間帯の午前10時から午後3時までを避けて、暑熱対策に対応しながら、大会の運営を改善している。

・高体連のような夜間開催(午後6時から10時)については、これまで本会で議論しておらず、中学校教育のなかで午後7時以降に活動させることはないことから、市や各市区町村教育委員会、学校現場等から理解を得ることは困難である。また、午後10時までの競技は、選手をはじめと関係者の健康・安全や事故に対するリスクが生じるのではないかと考える。

・以上のことから、今年度の大会については、種目の実施状況によっては、WBGT31度を示していても、暑熱対策を周知徹底しながら進行していくことがないとは言い切れない。競技開始直前の計測、その後、1時間ごとに計測した結果を考察・協議したうえで、状況によっては中断の判断もし、選手の状況や様子を把握する時間を設けながら進めていくこともある。

・基本的には、選手・指導者・役員・保護者、開催県教育委員会や市教育委員会などすべての関係者に納得していただける午後7時台で競技が終了できるよう努める。

・次年度以降は、今年度大会の状況を踏まえ、関係者のご意見も伺いながら、運営方法も含めさらなる大会のありようを検討していく。

理事会では、この回答を、どう受け止めるのかが議論となった。3月26日時点で「WBGT31度以上となった場合は中断・中止」を確認していたことを鑑みると、後退したのではないかという見方もあった。しかし、熟読すると、競技は15時から19時(遅れた場合は20時にならない時間)の間に行うということで、必ず15時から実施するという記載はない。かつ、前段で、「(暑熱対策が)大変重いことだと理解している」旨の話もいただいている。

これらをどう受け止めるかが大きなポイントになると考え、理事会では執行案も掲示して議論し、最終的に「主催に入ろう」という決断に至った。

ここでの主催は、「15時以降にWBGT31度以上であったとき、無防備に競技が進んでいくことがないように、また、競技会としてのクオリティが維持できているように、という点を遂行できるよう、主催として中に入り、一緒にそれを実現していくことが、陸連が担うべき主催の責任である」という理解での最終判断である。そのスタンスは、全国定通制やインターハイとは、少しニュアンスが違うことを理解していただければと思う。


競技団体としての責任を果たすために

以上の通り、各大会によって、多少ニュアンスは異なるものの、最終的に、3大会ともに主催すると決議した。

全国定通制については、満票の状態で、特に議論を必要としなかったが、インターハイと全中については、異論があった。「主催する」ということについては、賛成・反対を決める話となってしまうが、それはあくまで局所的な議論であり、本来は「夏の酷暑下におけるスポーツのあり方について、陸連がどのように臨んでいくのか」ということ。“決してこの問題から逃げない”と言ってきた、その本質に対しては、さまざまな意見が出たが、評決としては「さまざまな意味で、主催をしていく」という結論となった。

「それぞれの状況に寄り添いながら、より良い形でそれぞれの大会が進んでいくよう、陸連としての主催者責任を理解し、臨んでいく意思表示をした」と受け止めていただければと考えている。

今回の理事会においては、特に、今、述べた本質の部分について、大いに議論が行われた。「主催をする・しない」ということではなく、「このような環境はどうなのか」「命の問題に直面した場合に、我々はどう判断していくべきか」ということを、すべての理事で話し合うことができたと思っている。


※本稿は、4月30日に実施されたメディアブリーフィングにおいて説明があった内容をまとめました。明瞭化を目的として、一部に編集を加えています。

文・写真:児玉育美(日本陸連メディアチーム)

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