
日本陸連は、12月1日午後、東京都内で、第12期(2025-2026)を迎えた「ダイヤモンドアスリート」制度の認定式および修了式を行いました。
「ダイヤモンドアスリート」制度は、国際レベルでの活躍が期待できる資質を持つ競技者を、中長期的・多面的に強化・育成することを目的に、2014年から始まりました。
より高い水準の競技力を追求していくことと並行して、国際人としての素養や人間性、リーダーとしての資質を高め、将来的に社会の発展に幅広く寄与できる人材に育つことを目指して展開。修了生からは、北口榛花選手(JAL、女子やり投)がオリンピック金メダル獲得をはじめとして世界の頂点に立っているほか、サニブラウンアブデルハキーム選手(東レ、男子100m)、橋岡優輝選手(富士通、男子走幅跳)が複数の世界大会入賞を達成。また、今年の東京世界選手権においては、藤井菜々子選手(エディオン、女子20km競歩)が銅メダル獲得、栁田大輝選手(東洋大、男子4×100mリレー)が入賞を果たす活躍を残しています。
第11期(2024-2025)からは、競技者が自信を持ってダイヤモンドアスリートにステップアップできる機会を提供するべく、「ダイヤモンドアスリートNextage」という枠組みを新設。第12期は、ダイヤモンドアスリート6名、ダイヤモンドアスリートNextage2名が、各種プログラムを受けていくこととなります。この日は、第12期生のうち6名と、第11期で修了を迎えた1名が出席。各選手への認定証・終了証の授与が行われました。

第12期では、以下の通り、6選手がダイヤモンドアスリートに認定。また、2選手がダイヤモンドアスリートNextageとして認定されました。
【第12期ダイヤモンドアスリート:6名】
・澤田結弥(ルイジアナ州立大2年:女子中長距離、第9期より継続認定)
・永原颯磨(順天堂大2年:男子3000m障害物、第10期より継続認定)
・中谷魁聖(東海大1年:男子走高跳、第11期より継続認定)
・濱 椋太郎(法政大1年:男子短距離、第11期ダイヤモンドアスリートNextageより新規認定)
・古賀ジェレミー(東京高3年:男子110mハードル、第11期ダイヤモンドアスリートNextageより新規認定)
・ドルーリー朱瑛里(津山高3年:女子中長距離、第11期ダイヤモンドアスリートNextageより新規認定)
・澤田結弥(ルイジアナ州立大2年:女子中長距離、第9期より継続認定)
・永原颯磨(順天堂大2年:男子3000m障害物、第10期より継続認定)
・中谷魁聖(東海大1年:男子走高跳、第11期より継続認定)
・濱 椋太郎(法政大1年:男子短距離、第11期ダイヤモンドアスリートNextageより新規認定)
・古賀ジェレミー(東京高3年:男子110mハードル、第11期ダイヤモンドアスリートNextageより新規認定)
・ドルーリー朱瑛里(津山高3年:女子中長距離、第11期ダイヤモンドアスリートNextageより新規認定)
【第12期ダイヤモンドアスリートNextage:2名】
・松下碩斗(静岡高1年:男子短距離、第12期より新規認定)
・後藤大樹(洛南高1年:男子短距離ハードル、第12期より新規認定)
・松下碩斗(静岡高1年:男子短距離、第12期より新規認定)
・後藤大樹(洛南高1年:男子短距離ハードル、第12期より新規認定)
この日は、都合により欠席となった澤田選手と永原選手を除く6名の第12期認定アスリートのほか、第11期をもって修了する北田琉偉選手(日本体育大3年:男子棒高跳、第8期より認定)が参加。認定式・修了式に臨みました。
開会に当たって、ダイヤモンドアスリートのプログラムマネジャーを務める室伏由佳マネジャーが挨拶に立ちました。このプログラムを第8期から統括する室伏マネジャーは、「このプログラムは、国際的に活躍する強い選手を育成だけではなく、国際人となる人たちを育成する、後押しをするプログラム。たくさんの皆さまに見守られて12期を迎えることができた」と、まず多くの支援への感謝からスピーチをスタート。国際人として活躍しているサニブラウンアブデルハキーム選手(東レ)や北口榛花選手(JAL)などの歴代修了生をロールモデルとして示しながら、アスリートの心・技・体の調和について、「若いときから完璧なものを形成することができるわけではない」と述べ、「皆さんはまだ、自分を磨いている過程で、私たちは、それを一緒に磨くお手伝いをしている、そして、そこに賛同くださった企業様、団体様にあと押しをしていただいている」と、本プログラムの意義を示しました。

また、「時代が変わっていくなかで、ダイヤモンドアスリートのプログラムを進化させながら展開してきた」として、第11期からスタートさせたダイヤモンドアスリート Nextageについて、多様な時代となったなか、選手が感じる心理的な負担や、心身の発達・発展の段階はそれぞれに異なり、国際舞台にすぐ飛びだせる人もいれば、これからという人も混在していることを考慮し、「Nextageから緩やかにスタートして、段階に応じてダイヤモンドアスリートにステップアップしていく」という手段もとれる仕組みを新たに設けたことで、このプログラムをより多くの選手が活用できるようにしたと説明。今後は「すぐに活用したい、活用できるという状況にある方々には、初めからダイヤモンドアスリートになっていただく可能性もあるし、Nextageから緩やかに経験を重ねていくこともできるようにしている。こうして個別に、皆さんの心や置かれた状況に寄り添った形で進めていきたい」という方針であることを示しました。
そして、「国際人の育成を進めていくうえでは、単なる競技力の向上だけではなく、その人の人格や人間性をとても大切にしている」という日本陸連のビジョンを改めて示したうえで、「認定アスリートの皆さんは、本当にその原石。これからもっともっと自身を磨いて、自分の納得のいく競技活動を、日常生活、そして未来を目指してほしい」とリクエストするとともに、参加くださった関係者に向けて、「(選手たちが)ダイヤモンドのようにキラキラと輝くまでには、5年、10年、もっとかかるかもしれませんが、皆さまには長期的に、温かい眼差しで応援していただきたいと思っています」と挨拶しました。

続いて、第12期ダイヤモンドアスリート/ダイヤモンドアスリートNextageをサポートくださる4企業・団体が、室伏マネジャーより紹介されました。一般社団法人東京マラソン財団は、実施される研修や海外遠征などプログラム全体のサポートのほか、同財団主催の大会やイベントへの参加を通じて社会貢献活動の貢献を経験させていただいています。アシックスジャパン株式会社は、ダイヤモンドアスリート、ダイヤモンドアスリート Nextageが活動する際の公式ウエアやシューズをサポート。12期生たちには、シックなオリーブグリーンのウエアが提供されています。栄養面のサポートにあたるエームサービス株式会社は、調理実習を含む研修のほか、面談や食事調査など1年を通して選手の日々の食事やコンディション管理に貢献。また、株式会社GABAからの英会話レッスンのサポートは、認定アスリートたちの海外への遠征や大学の進学に不可欠な、大きな後押しとなっています。
ここでは、室伏マネジャーの呼びかけで、急きょ出席された各社の代表に登壇いただき、挨拶をお願いする場面も。各氏ともに、温かさと優しさ、そして力強さのこもった言葉で、認定・修了アスリートに期待とエールを寄せてくださいました。

そして、第12期ダイヤモンドアスリートおよびダイヤモンドアスリートNextage認定生、ダイヤモンドアスリート修了生に、認定証・修了証が授与されました。今回は、臨席した日本陸連アスリート委員会の戸邉直人委員長(JAL、男子走高跳日本保持者)とダイヤモンドアスリート第1期生であるサニブラウンアブデルハキーム選手が、発表とプレゼンターを務めての授与です。戸邉委員長から名前を呼ばれた選手たちは、少し緊張した面持ちでステージに登壇。サニブラウン選手から、一人ずつ順に認定証・修了証となるクリスタル製の盾を受け取りました。

授与のあとには、偉大なる先輩であるサニブラウン選手が、「皆さんが、これから陸上競技の中心で、日本の国旗を背負って戦う人たち。自分もダイヤモンドアスリート1期生として、今までいろいろなスポンサーの方々にお世話になった。海外遠征や栄養面など、いろいろな部分でサポートしていただいたおかげで、今の自分があると思っている。これから個々に違う道を進むと思うが、ダイヤモンドアスリートで培ったものを生かして、チャレンジし続ける心を忘れずに、これからも頑張ってほしい」と励ましの言葉を贈りました。

最後に、認定ダイヤモンドアスリート、ダイヤモンドアスリートNextageおよび修了生が、それぞれに感謝の思いとともに自身の思いや決意を伝える挨拶を行い、認定式・修了式を終えました。
各選手が行った挨拶の要旨は、以下の通りです。
【第12期ダイヤモンドアスリート】
澤田結弥 (ルイジアナ州立大2年:女子中長距離、第9期より継続認定)

「いつもご支援、ご声援をいただき、ありがとうございます。今後の目標は、まず、1500mの自己ベストを更新して、全米大会や日本選手権でしっかり上位で戦えるようにしていくことです。そして、いずれ世界で戦えるように練習を頑張ります。今後とも、応援、よろしくお願いします」(動画によるメッセージ)
中谷魁聖 (東海大1年:男子走高跳、第11期より継続認定)

「ダイヤモンドアスリートとして過ごしたこの1年は、目標には到達できないうまくいかないシーズン、苦しいシーズンとなってしまいました。心身ともに、うまくいかない部分が多く、高校時代までうまくいってきただけに、つらく感じることも多くありました。
しかし、その経験は、これから自分がどう戦っていけばいいのか、これからどう成長していけばいいのかという道しるべにもなりましたし、その壁を越えられてこそのトップアスリートだと思っています。来シーズンは、今シーズンの失敗を大きく生かして、また、このダイヤモンドアスリートを活用して、国際的な選手になっていけるよう頑張っていきたいです」
濱 椋太郎(法政大1年:男子短距離、第11期ダイヤモンドアスリートNextageより新規認定)

「今年は、ダイヤモンドアスリートNextageとして1年間取り組ませていただき、去年の認定していただいた前よりも、見られ方が変わるという思いで過ごしてきました。競技の面では、シーズンの頭は、なかなか調子が上がらず苦しみましたが、後半には調子が上がってきて、来年の飛躍につながるような結果を残すことができたかなと思っています。
来年からは、ダイヤモンドアスリートとして、また見られ方が変わると思っていますので、競技力だけではなく、人間力もしっかり磨いて、競技以外の面でも成長できるように頑張って取り組んでいきたいと思っています」
古賀ジェレミー(東京高3年:男子110mハードル、第11期ダイヤモンドアスリートNextageより新規認定)

「東京高校には、“負けん気”という言葉があります。その言葉と、今回のダイヤモンドアスリートの“内に秘めた思いをギラギラさせる”という思いには、なにか通じる部分があると思っています。そのような思いを、来年度は、しっかりと世界に轟かせていきたいと思っています。
これからも、さまざまな場面でお世話になっていくと思うので、ご支援、ご声援をよろしくお願いします」
ドルーリー朱瑛里(津山高3年:女子中長距離、第11期ダイヤモンドアスリートNextageより新規認定)

「これまでの私は、決して順調にいくことばかりではなかった競技人生でした。しかし、そのなかで、挑戦し続けることや、自分自身と向き合い続けることを大事に、ここまで競技を取り組んできて、今、この場にいると思っています。そこには、本当に、たくさんの人の支えがあり、ここまで来ることができました。また、去年からのダイヤモンドアスリートNextageでの経験は、自分にとって、競技力だけではなく、人として自分との向き合い方だったり考え方だったりをすごくたくさん学べた良い機会でした。そういったことの積み重ねが、今日の認定につながっているのだと強く感じています。
来年からは、ワシントン大学へ進学し、海外という新しい環境への挑戦が始まります。言語や文化の違う環境で、自分がどのような選手になっていくのか、今は素直に楽しみな気持ちでいっぱいです。ただ「世界で活躍する選手になる」ということだけではなく、人として応援していただけるような選手になれるよう、これから競技をしていきます。ダイヤモンドアスリートとして、世界と戦うために、これから自分の競技に全力で取り組み、日本から世界へ一歩ずつ挑戦していけたらと思っています」
【第12期ダイヤモンドアスリートNextage】
後藤大樹 (洛南高1年:男子短距離ハードル、第12期より新規認定)

「自分としては、まだダイヤモンドアスリートNextageに認定されたという実感がなく、この場に立つことができているのも、これまで指導してくださった先生方や切磋琢磨できる仲間、家族など、いろいろと応援してくれる人があってのダイヤモンドアスリートNextageだと思っています。
個人的な今後の目標は、世界で戦える選手になることです。その舞台に立つために、ダイヤモンドアスリートNextageを、プレッシャーと捉えるのではなく、自分のステージアップに向けたスキルアップができるチャンスと思って、「陸上を楽しいんだ」という思いで、いろいろなことにチャレンジしていきたいです」
松下碩斗 (静岡高1年:男子短距離、第12期より新規認定)

「今シーズンは、高校に入学し、新しい環境のなかで多くのことを学び、とても実りあるシーズンとなりました。今シーズンのようにうまくいくことばかりではないかもしれませんが、ダイヤモンドアスリートNextageとしてさまざまなプログラムに取り組み、国際人として幅広く活躍できるような人間になっていきたいと思っています。
また、僕は今日、ちょうどタイミングよく、16歳となりました。このNextageとしての1年を、よりよいものにしていくために努力していきます」
【ダイヤモンドアスリート修了生】
北田琉偉 (日本体育大3年:男子棒高跳、第8期より認定)

「初めてダイヤモンドアスリートとなったのが、3年前の高校3年生のとき。この場で話したときに、すごく緊張しました。今でもすごく緊張していて、「そこは変わらなかったな」という思いもあるのですが、この3年間で、変わったところもすごくあると感じています。例えば、国際人になるべく、海外に遠征したり試合をしたりしたほか、栄養面については、アスリートとしてすごく気をつけていかなければならない部分であるため、地道な努力を重ねてきました。しかし、自身の目標にしていた世界大会への出場は、ケガや実力不足もあって達成することができず、すごく悔しい思いで、今を迎えています。
第11期修了で終わるのではなく、ダイヤモンドアスリートに認定されたという自信を、今後の陸上人生にうまくつなげて、先輩方に並べる今後も努力していきます。修了してからも私の活躍をご覧にいただければと思います」
文:児玉育美(JAAFメディアチーム)
写真:フォート・キシモト
【ダイヤモンドアスリート】特設サイト

>>https://www.jaaf.or.jp/diamond/
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https://www.jaaf.or.jp/news/article/22969/
▼【ダイヤモンドアスリート】澤田結弥がルイジアナ州立大学への進学意思を発表!
https://www.jaaf.or.jp/news/article/19220/



























