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Day3:9月15日(月・祝)
東京世界選手権第3日の9月15日、3連休最後のこの日も、モーニングセッションとイブニングセッションの2部構成で行われました。モーニングセッション最初の種目は、男子マラソン。1・2日目同様に、暑熱対策として開始時刻を30分早めての開始です。号砲より先に走りだした選手がいたためにスタートのやり直しが行われる、マラソンとしては異例の出来事もあり、2度目の号砲は午前7時32分過ぎに鳴ることに。日本代表の小山直城選手(Honda)、吉田祐也選手(GMOインターネットGrp)、近藤亮太選手(三菱重工)を含む88名の選手が、東京・国立競技場を飛び出していきました。スタート時点の気象状況は、気温26℃、湿度68 %(オフィシャルリザルツのデータによる)と、これまでの2日間よりもやや低め。しかし、両日にはなかった直射日光が選手に与えたダメージは大きかったようで、それは、のちに途中棄権者が22名にのぼったことからも伺えました。こうした気象状況も影響して、レースは序盤からスローな展開となり、50名を超える大集団のまま推移していきます。日本勢は、最初は集団の中段に位置してレースを進めていましたが、小刻みなペース変動や大混雑となる給水対応、さらには暑さの影響などで、中間点を過ぎたあたりで吉田選手が後れだし、30km手前あたりで小山選手も後退していまいます。そんななか終盤で存在感を見せたのが近藤選手でした。いったん後れ始めながらも再び集団に戻る粘りを見せ、一時は入賞を期待させる位置でレースを進めたのです。最終的に突き放される形となりましたが、日本人最上位となる11位・2時間10分53秒でフィニッシュラインを駆け抜けました。
日本人2番手は小山選手で、2時間13分42秒で23位。苦しい戦いとなった吉田選手も、最後まで粘り、2時間16分58秒・34位でフィニッシュしました。

男子マラソンと並行して、スタジアムでは5種目の予選が行われ、このうちの3種目に日本勢が登場しました。まず、大きなインパクトを残したのは、女子3000m障害物予選での齋藤みう選手(パナソニック)の快走でしょう。各組上位5着を決勝進出の条件として行われた予選の最終3組目に入った齋藤選手は、「最低でも9分30秒は切りたいと思っていた」と、日本記録(9分33秒93、早狩実紀、2008年)を上回る目標をクリアするために、スタート直後から積極的なレースを展開。最初の1000mの通過は3分03秒78と、オーバーペースを懸念する速いものとなりました。その後は、各1000mを3分07秒92、3分13秒02と、ややペースは落ちたものの最後まで力強い走りで周回を重ね、9分24秒72でフィニッシュ。従来の記録を9秒21も書き換える日本新記録を樹立したのです。6着での入線となったため、決勝進出にはわずかに届きませんでしたが、今年のアジア選手権でマークした自己記録(9分38秒16)を一気に13秒44(!!)更新して、日本人女子初の9分30秒切りを果たしました。

A・B2組に分けて行われた女子棒高跳予選では、バーが予選通過記録の4m70に上がる前の4m60で、決勝進出者が決まる形となりました。B組には諸田実咲選手(アットホーム)が出場。アジア選手権での大ケガを乗り越えての復帰となりました。最初の高さとなった4m25を3回目に成功させて、4m45に挑みましたが、この高さの攻略はならず。組14位で競技を終えました。
男子ハンマー投は、予選通過記録が76m50に設定されて行われました。日本からは、福田翔大選手(住友電工)がB組に出場。福田選手は、1回目で72m25の記録を残すと、2回目には72m71へと伸ばしましたが、3回目はファウル。初めての世界選手権は、組15位という結果になりました。

イブニングセッションは、19時35分、男子400mハードル予選から始まりました。この種目の予選は全5組で行われ、各組上位4着までと、5着以下の上位記録者4名が準決勝に進出することができます。日本は、予選1組に井之上駿太選手(富士通)、2組に小川大輝選手(東洋大学)、5組に豊田兼選手(トヨタ自動車)が入ってのレースに。先陣を切った井之上選手は49秒73で8着、小川選手は50秒08で6着、最終組に入った豊田選手も51秒80で8着にとどまり、予選突破は叶いませんでした。
バックストレートでは、男子走幅跳の予選が行われました。日本からは、橋岡優輝(富士通、※ダイヤモンドアスリート修了生)、津波響樹(大塚製薬)、伊藤陸(スズキ)の3選手が出場。伊藤選手がA組に、橋岡・津波選手がB組に入りました。
予選通過記録は8m15でしたが、これを上回ったのはA・B両組を通じて4選手だけであったため、結果として、この4選手に加えて、7m98以上をマークした8選手までが上位記録者として決勝に進むこととなりました。今大会が初の世界大会出場である伊藤選手は、1・2回目をファウルという苦しい滑りだしに。3回目は7m68(+0.7)にとどまり、組16位で競技を終えました。東京オリンピック代表で、世界選手権は2019年ドーハ大会以来の出場となった津波選手は、1回目を7m42(+0.1)でスタート、2回目でこれを上回る跳躍を見せたものの、跳躍中に砂場をかすった足の痕跡が測定されて記録は4m87(+0.1)にとどまってしまいます。3回目はファウルで万事休すとなり組17位の結果に。また、B組の最終跳躍者として試技に臨んだ橋岡選手は、1回目で7m67(±0)をマークすると、2回目はファウル。すべての選手が試技を終えたなか、大きなジャンプアップを狙って迎えた最終跳躍では7m95(+0.4)まで記録を伸ばしましたが、12番目の記録には、わずか3cm足りないだけという悔しい結末になってしまいます。組7位・全体13位で、2019年ドーハ大会(8位)、2021年東京オリンピック(6位)に続く決勝進出を果たすことはできませんでした。

男子110mハードルは、9月15日に予選、16日に準決勝・決勝を行うタイムテーブルが組まれていますが、この日のイブニングセッションでは、最初の戦いとなる予選に、村竹ラシッド(JAL)、泉谷駿介(住友電工)、野本周成(愛媛競技力本部)の3選手が出場しました。予選は5組で行われ、各組上位4着までと5着以下の記録上位者が準決勝に進出します。
圧巻のパフォーマンスを見せたのは最終5組に入った村竹選手でした。早くも世界選手権3連覇中でパリオリンピック金メダリストのグラント・ホロウェー選手(アメリカ)と並んでのレースとなりましたが、落ち着いた走りを披露して13秒22(-0.3)・2着で準決勝に進出。ラストでホロウェー選手を抜き去る場面に、会場からは大きなどよめきが起こりました。また、3組目に出場した野本選手は、得意のスタートでスムーズに1台目に入ると、そのまま上位争いに絡む走りで13秒29(-0.6)・4着でフィニッシュ。着順で予選突破を果たしています。
非常に惜しい、そして悔しい結果となったのが、1組目を走った泉谷選手です。セットのタイミングで横の選手の動きに気をとられ、スタートで大きく出遅れてしまう痛恨のミス。終盤で見事な追い上げを見せ、4着と同タイムの13秒52(-0.6)をマークしたものの、0.002秒の差がつき5着となってしまいました。さらに4組終了時点では、記録で拾われるプラスの4番目に位置していましたが、5組の結果が出たところで、0.02秒の差で、この圏内からも押し出されることに。5位入賞を果たした前回に続く決勝進出はならず、予選敗退となってしまいました。


男子110mハードルに続いて行われたのは、女子100mハードルの準決勝です。全3組で行われ、「2着+2」の条件を満たした8選手が、この日の最終種目として行われる決勝に進みます。日本勢で駒を進めた福部真子選手(日本建設工業)と中島ひとみ選手(長谷川体育施設)の「同学年コンビ」は、福部選手が1組、中島選手が2組に入り、ともに2レーンでのレースとなりましたが、さすがに準決勝の壁は厚く、福部選手は13秒06(-0.5)、中島選手は13秒02(-0.2)でフィニッシュ。ともに7着で自国開催の世界選手権を終えました。


21時55分、男子3000m障害物の決勝がスタートしました。このレースに挑んだのは、三浦龍司選手(SUBARU)。7月のダイヤモンドリーグモナコ大会で今季世界3位となる8分03秒43をマークして、自身の日本記録を大きく更新する躍進ぶりを自信に、前回ブダペスト大会での6位を上回り、この種目で史上初となるメダル獲得を狙ってのレースに挑みました。
レースは、「超スロー」といえるペースから始まりました。大きな固まりとなった集団のなかで、三浦選手は10番手あたりの中段に位置。周回を重ねていくうちに、徐々に順位を上げて集団の外側に位置を移し、3周目に入ったあたりでは4~5番手に浮上。その後はトップ争いに対応できる6~7番手の外側でレースを進めていきました。ラスト3周の水濠飛越後、アメリカの選手がロングスパートをかけたことでペースが上がり、残り2周のバックストレートでは急に集団が縦に長くなりましたが、三浦選手は落ち着いた様子で前を追い、水濠を迎えるあたりから先頭との距離を縮めていきました。そして、残り1周の鐘が鳴り、「メダルが見えた」とレース後に自身も振り返ったラスト1周のバックストレートでギアチェンジして順位を上げると、水濠を迎える直前で3位に浮上してホームストレートに入っていきます。最後の障害飛越では他選手との接触もあり、後続にかわされてしまいましたが、8分35秒90・8位でフィニッシュ。世界選手権としては2大会連続の、パリオリンピックも含むと世界大会3大会連続の、そして、自国開催ということでは「世界デビュー」となった4年前の東京オリンピックに続いての入賞を達成しました。

文:児玉育美(JAAFメディアチーム)
写真提供:フォート・キシモト
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