2025.06.29(日)選手

【記録と数字で楽しむ第109回日本選手権】男子200m・400mハードル:22年前&24年前の日本記録の更新に期待!!



9月13日~21日に開催される世界選手権の代表選手選考会を兼ねて行われる「第109回日本選手権」。その舞台は、同じ国立競技場だ。日本選手権が国立競技場で行われるのは、2005年の第89回大会以来20年ぶり。新しい国立競技場ではもちろん初めての開催だ。

国立競技場のスタンドでの現地観戦、あるいはテレビやライブ配信での観戦のお供に、「記録と数字で楽しむ第109回日本選手権」をお届けしよう。
・記録やデータは、エントリー締め切り時の6月12日判明分
・現役選手の敬称は略

テレビの中継予定は以下のとおり(ライブ配信の予定は、後日発表)
【NHK BS・総合】
・第1日:7月4日(金)
BS 18:30~19:30/総合 19:30~20:42
・第2日:7月5日(土)
総合 16:30~18:43 ※17:59~18:05はサブチャンネル
・第3日:7月6日(日)
総合 16:30~18:43 ※17:59~18:05はサブチャンネル


22年前&24年前の日本記録の更新に期待!!

<200m>
・予備予選/7月5日 14:00 3組0着+6
・予選/7月5日 16:15 3組2着+2
・決勝/7月6日 17:55
<400mH>
・予選/7月5日 17:00 3組2着+2
・決勝/7月6日 17:30


22歳の鵜澤&豊田が歴史を塗り替えるか?

五輪・世界選手権で実施されるトラック種目で最古の日本記録は男子400mHの47秒89で2001年8月10日(為末大/法大)のもの。次に古いのが男子200mの20秒03で2003年6月7日(末續慎吾/ミズノ)にマークされた。今回の日本選手権の予選が行われる7月5日で、400mHの日本記録は23歳10カ月と25日、200mが22歳0カ月と28日になる。
20年以上も止まったままだったこの両種目の日本記録の時計の針が、22歳の2人によって動かされることになるかもしれない。200mが鵜澤飛羽(JAL/20秒12=2025年)、400mHが豊田兼(トヨタ自動車/47秒99=2024年)である。鵜澤が2002年11月25日生まれ、豊田が2002年10月15日生まれで同学年だ。

200mの日本記録は45歳になった現在も現役を継続している末續慎吾(EAGLERUN/1980年6月2日生まれ)の20秒03(+0.6)で2003年の日本選手権でマークしたもの。その2カ月後のパリ世界選手権では、20秒38(+0.1)で「銅メダル」を獲得。五輪&世界選手権の100m・200m・400mのスプリント種目で日本人が獲得した唯一のメダルである。
400mHの日本記録は、47秒89。為末大さん(1978年5月3日生まれ)が法政大学4年生(5年目)だった2001年エドモントン世界選手権で「銅メダル」を獲得した時のもの。2005年ヘルシンキ世界選手権でも48秒10のセカンドベストで再び銅メダルを手にしている。競技場内のトラック競技個人種目での複数メダル獲得は、五輪を含めても為末さんが唯一である。
世界選手権「銅メダリスト」のふたりが20年以上も保持してきた偉大な日本記録を22歳の鵜澤と豊田が破るかもしれないのだ。
200mの20秒03がマークされた2003年6月7日、鵜澤は「0歳6カ月と13日」。
400mHの47秒89がマークされた2001年8月10日、豊田はお母さんのお腹の中を含めて地球上のどこにもまだ存在していなかった。
決勝が行われるのは、最終日7月6日。400mHが17時30分、200mが17分55分。もしかしたら、30分足らずの間に20数年間不滅だった日本記録が相継いで破られる瞬間を目撃することができるかもしれない。


鵜澤&末續、豊田&為末を比較すると……

両種目のレジェンドとその記録に挑戦する22歳の2人の各種データを比較してみた。
なお、鵜澤と豊田の体重は、最後に報道された時の数字のため、現在のものとは異なるかもしれない。

<200m>
 鵜澤飛羽末續慎吾
生年月日2002年11月25日1980年6月2日
身長・体重182cm・62(?)kg178cm・64kg
100mPB10.25(+0.1)2024 大410.03(+1.8)2003 社1
〃追参10.07(+5.5)2021 大1 
200mPB20.12(+0.8)2025 社120.03(+0.6)2003 社1
〃追参20.05(+2.1)2025 社1 
300mPB32.45 2022 大2 
400mPB47.70 2025 社145.99 2002 大4

200mのみならず自己ベストは100mも400mも鵜澤が劣っている。
が、いかにコンスタントなタイムをマークしているかという「個人別10傑平均記録」は下記の通りで、その差がかなり縮まる。

・200m個人別10傑記録(公認条件の風速に限る)
順)鵜澤飛羽末續慎吾
1)20.12(+0.8)2025 社120.03(+0.6)2003 社1
2)20.13(+0.8)2025 社120.20(+1.2)2007 社5
3)20.23(-0.4)2023 大320.22(+-0) 2003 社1
4)20.26(-0.4)2024 大420.25(+0.5)2006 社4
5)20.32(-0.2)2023 大320.26(-0.8)2000 大2
6)20.33(-0.4)2023 大320.30(+0.3)2001 大3
7)20.33(+0.1)2024 大420.30(+0.1)2006 社4
8)20.34(-0.2)2023 大320.34(+-0) 2001 大3
9)20.38(+1.1)2023 大320.36(+0.6)2006 社4
10)20.40(-0.3)2024 大420.37(+0.3)2000 大2
平均20.28420.263

さらに、現在の鵜澤と同じ社会人1年目の6月までの記録に限ると、
末續は、「1位20.03~10位20.45」で10傑平均は「20.331」。同年齢では、「20.284」の鵜澤が上回っている。
筑波大学時代の鵜澤のトップ4の記録はいずれも向風の中でのもの。風に意地悪をされることが多かった。が、今シーズンは自己ベストで走った20秒13の静岡国際(予選)も20秒12のアジア選手権も追風0.8mと風が味方してくれている。静岡国際の決勝での20秒05の時は追風2.1mと「0.1mの余分なおせっかい」をしてくれてしまったが、日本選手権の国立競技場では「追風2.0mに限りなく近いお手伝い」にとどめてもらいたい。

日本選手権で200mの日本記録がマークされたのは、これまで6回。
1975.05.31国立21.36友永義治(日立)
1979.10.27国立20.93豊田敏夫(新日鉄八幡)
1982.09.11国立20.81豊田敏夫(新日鉄八幡)
1996.06.06長居20.29伊東浩司(富士通)=予選
1998.10.02熊本20.1伊東浩司(富士通)=予選
2003.06.07横浜20.03末續慎吾(ミズノ)

24年に20秒14で参加標準記録20秒16を突破済みの水久保漱至(宮崎県スポ協)やベテランの飯塚翔太(ミズノ)らが鵜澤と競り合う展開となって、フィニッシュタイマーが「19.9*」で止まれば、スタンドの盛り上がりは最高潮に達する。是非ともそういうシーンを見せてもらいたい。


<400mH>
 豊田兼為末大
生年月日2002年10月15日1978年5月3日
身長・体重195cm・73(?)kg170cm・66kg
100mPB10.90(-0.7)2021 大110.49(+1.3)2006 社5
200mPB21.40(+0.4)2022 大220.97(+0.5)2006 社5
300mPB32.65 2023 大333.28 2006 社5
400mPB45.57 2024 大445.94 1996 高3
110mHPB13.29(+1.1)2023 大3 
300mHPB34.22 2025 社1 
400mHPB47.99 2024 大447.89 2001 大5

豊田の身長195cmは、47秒99以内の記録を有する世界の歴代選手67名の中で高い方から4番目(198cm、196cm、196cmの次)。一方、為末さんの170cmは、自身2個目の銅メダルを獲得した2005年ヘルシンキ世界選手権で優勝したバーション・ジャクソン(アメリカ/ベスト47秒30)と同じで最も小柄である。
100mと200mの自己ベストは為末さんが上回るが、豊田がこの両種目に出場したのは大学2年だった22年7月10日が最後。よって現在ならば、もっと速く走れる可能性が高そうだ。

個人のトップ10の記録と平均は以下の通り。

・400mH個人別10傑記録
順)豊田兼為末大
1)47.99 2024 大447.89 2001 大5
2)48.36 2024 大448.10 2001 大5
3)48.47 2023 大348.10 2005 社4
4)48.55 2025 社148.38 2001 大5
5)48.62 2024 大448.46 2004 社3
6)48.62 2025 社148.46 2005 社4
7)48.91 2023 大348.47 2000 大4
8)48.96 2024 大448.57 2001 大5
9)49.09 2023 大348.59 2004 社3
10)49.38 2024 大448.60 2004 社3
平均48.69548.362

すべての順位の記録で為末さんが上回っているが、豊田が社会人1年目の5月までの記録であるのに対し為末さんは社会人4年目の27歳の時までの記録が収録されている。為末さんが現在の豊田と同じ年齢(社会人1年目)にあたる2001年までの記録に限ると、「1位47.89~10位」で10傑平均は「48.541」。
さらに、現在の豊田の年齢22歳8カ月までに限ると「1位48.47~10位49.26」で10傑平均は「48.996」であり、豊田の10傑平均「48.695」が上回っている。為末さんが、47秒89で走ったのは、23歳3カ月と7日目だった。

豊田の47秒99と為末さんの日本記録47秒89の時のタッチダウンタイム(ハードルを越えたリード足が着地した瞬間のタイム)は、以下の通り。

 豊田兼為末大
1台目5.84(5.84)5.85(5.85)
2台目9.54(3.70)9.50(3.65)
3台目13.28(3.74)13.22(3.72)
4台目17.08(3.80)17.04(3.82)
5台目21.00(3.92)20.94(3.90)
6台目25.06(4.06)24.94(4.00)
7台目29.30(4.24)29.09(4.15)
8台目33.58(4.28)33.42(4.33)
9台目38.05(4.47)37.89(4.47)
10台目42.59(4.54)42.56(4.67)
Finish47.99(5.40)47.89(5.33)

「仮想レース」では、前半から為末さんが僅かにリードし、7台目で最大の0秒21差。そこから豊田が少しずつ差を縮め10台目の着地では0秒03差。最後の40mで為末さんが突き放し0秒10差でフィニッシュという展開。
5月18日のゴールデングランプリでは、スタートからぶっ飛ばして筆者が動画をスロー再生して計測したデータによると4台目まで日本記録を上回るペースを刻んだ(5.88-3.60-3.73-3.79-3.96=5台目20.96)。が、後半はペースダウン(4.13-4.26-4.40-4.60-4.73-5.47)して48秒55だった。
5月末のアジア選手権は、腰の違和感のため辞退したが、日本選手権にはしっかり合わせてくるだろう。

リアルタイムで1台毎のタッチダウンタイムを正確に計測するには、かなりの経験と熟練を要するが、自分で測ってみて、上の表のタイムと比較してみるのも楽しみ方のひとつだ。
手許のデジタル時計かスマホのストップウォッチ機能で、例えば「5台目だけ」でも計時してみるのも面白い。ここで「20秒台」であれば、日本新の期待が高まる。
5月に日本記録を上回るペースを体感した経験をどのように生かして、7月6日17時30分からの決勝で、豊田はどんな展開のレースをみせるのか?
豊田を中心に上位の何人かが48秒50の世界選手権参加標準記録を揃ってクリアするハイレベルな戦いになる可能性がありそうだ。



野口純正(国際陸上競技統計者協会[ATFS]会員)
写真提供:フォート・キシモト、アフロスポーツ


【チケット販売中】第109回日本選手権

日程:7月4日(金)~6日(日)
会場:国立競技場(東京)
種目:男子17種目、女子17種目
時間:https://www.jaaf.or.jp/jch/109/timetable/
・1日目(7月4日):競技開始 14時頃/競技終了21時頃
・2日目(7月5日):競技開始 11時30分頃/競技終了19時頃
・3日目(7月6日):競技開始 14時頃/競技終了19時頃

▼チケット詳細はこちら
 https://www.jaaf.or.jp/jch/109/ticket/
▼大会情報はこちら
 https://www.jaaf.or.jp/jch/109/


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👥団体割引


・ホスピタリティ:5枚以上(3日間合算)※ホスピタリティ7/4(金)および7/5(土)は完売※
・S席/A席:各日13枚以上から
※申込は6月26日(木)12:00まで
申込方法:https://www.jaaf.or.jp/jch/109/ticket/


国立満員プロジェクト



2025年、日本選手権は国立競技場で開催されます。
このプロジェクトは、その会場を“満員”にし、
選手と観客が一体となって熱く盛り上がる空間をつくるためのキャンペーンです。

現地で応援できる方は、ぜひ国立競技場へ!
来場が難しい方も、キャンペーンに参加登録することで“気持ちで”参加可能です。

★特設サイト (https://www.jaaf.or.jp/2025/ns/) では★
➀「国立満員リレー」:選手・関係者・ファンのX(旧Twitter)投稿がつながる応援企画
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