2024.06.20(木)選手

【記録と数字で楽しむ第108回日本選手権】女子やり投:北口、23年7月から世界を相手に11連勝中。60mスローワー6人が集結!



6月27日~30日に新潟市(デンカビッグスワンスタジアム)で行われる「第108回日本選手権」の「見どころ」や「楽しみ方」を「記録と数字」という視点から紹介する。

各種目の「2024年日本一」を決める試合であるとともに、8月1日~11日に行われる「パリオリンピック」の日本代表選手選考競技会でもある。また、「U20日本選手権」も同じ4日間で開催される。こちらは、8月27日~31日にペルー・リマで行われる「U20世界選手権」の代表選考会を兼ねている。

本来であれば全種目についてふれたいところだが、原稿の締め切りまでの時間的な制約などのため、6種目をピックアップしての紹介になったことをご容赦いただきたい。なお、エントリー締め切りが6月6日で、エントリーリストの暫定版公表が14日(確定版の公表が21日)。この原稿はそれ以前に執筆したため、記事中に名前の挙がった選手が最終的にエントリーしていないケースがあるかもしれないことをお断りしておく。

過去に紹介したことがあるデータや文章もかなり含まれるが、可能な限り最新のものに更新した。
スタンドでの現地観戦やテレビ観戦の「お供」にして頂ければ幸いである。

なお、「10000m」の日本選手権は5月3日に袋井市(小笠山総合運動公園静岡スタジアム/通称・エコパ)で実施された。「混成競技」は6月22日・23日に岐阜市(岐阜メモリアルセンター長良川競技場)で、「リレー種目」は10月5日・6日に国立競技場で行われる。また、「競歩」は「20km」が2025年2月16日に神戸で、「35km」は2024年10月27日に山形県の高畠町で行われる。「マラソン」は、2023年4月から2025年3月に行われる「ジャパンマラソンチャンピオンシップ(JMC)シリーズ」の総合成績(ポイントランキング)の結果が「第108回日本選手権」という扱いになる。

「パリオリンピック」の代表選考要項は、
https://www.jaaf.or.jp/files/upload/202309/21_112524.pdf

6月7日時点での「代表内定選手」は、
https://www.jaaf.or.jp/news/article/18659/

選考に関わる世界陸連の「WAランキング(Road to Paris 24)」は、
https://worldathletics.org/stats-zone/road-to/7153115

をご覧頂きたい。

こちらが一番わかりやすいかも?
https://www.jaaf.or.jp/files/upload/202406/road_to_paris.pdf

・記録は、日本選手権申込資格記録の有効期限の6月5日現在。
・記事中の「WAランキング」は6月11日時点のもの(世界陸連のあるモナコ時間の水曜日、日本時間の毎週木曜日に発表されるので、できる限り最新のものを盛り込みたいところだが、原稿の締め切りの都合で6月11日時点のものとした)。
・記事は、6月12日時点での情報による。上述の通り、タイムテーブルと暫定エントリーが公表された6月14日以前に書いた原稿のため、記事に登場する選手が最終的にエントリーしていないケースがあるかもしれない。また、確定版エントリーリストは6月21日に公表される。
・現役選手については敬称略をご容赦いただきたい。

なお、日本選手権の期間中、ここで取り上げることができなかった種目以外の情報(データ)も日本陸連のSNS(X=旧Twitter or Facebook)で「記録や数字に関する情報」として、その都度発信する予定なので、どうぞご覧くださいませ。


【女子やり投】北口、23年7月から世界を相手に11連勝中。60mスローワー6人が集結!

・決勝/6月28日(金) 18:40


世界女王・北口が世界を相手に連勝街道をばく進中!

パリ五輪代表に内定している北口榛花(JAL)が、日本選手権大会2日目の6月28日に登場する。
大会2日目には男女計11種目の決勝が行われるが、日本国内のみならず世界が注目するのが北口の投げであろう。22年オレゴン世界選手権で銅、23年ブダペスト世界選手権では金メダルに輝いた。女子のフィールド種目では日本の陸上史上初で唯一の世界大会のメダリストだ。

タイトルの通り、23年7月から「連勝街道」を突っ走っている。2023年6月30日のローザンヌでオーストラリアのマッケンジー・リトルに敗れて2位だったのが北口が負けた最後の試合。7月16日のポーランド・ホジュフでの競技会の6投目に4年ぶりの日本新となる67m04をマークし、リトルを破って優勝。以後、8月のブダペスト世界選手権を含め24年5月28日のチェコ・オストラバの試合まで負け知らずの11連勝中だ。

<北口の連勝記録>
12023.07.16ホジュフ67.04=日本新
22023.07.20ルツェルン62.52
32023.08.06オッフェンブルク61.88
42023.08.25ブダペスト66.73
52023.09.03ホドニン60.06
62023.09.08ブリュッセル67.38=日本新
72023.09.16ユージン63.78
82024.04.27蘇州62.97
92024.05.05水戸61.83
102024.05.19東京63.45
112024.05.28オストラバ60.47

このまま8月10日のパリ五輪まで連勝を続けてもらいたい。

現在継続中の上記以外に、
2014.07.31~2014.10.21 に 8連勝
2022.04.23~2022.07.08 に 8連勝
2022.09.17~2023.05.06 に 5連勝
がある。


北口のシーズン初戦とシーズンベストの比較

北口のシーズン初戦の記録と各年の最終的なシーズンベストを比較し、初戦からどのくらい記録を伸ばしているのかをまとめた。

<北口榛花のシーズン初戦とその年の最高記録>
年月日初戦-->年最高月日記録の伸び(m)
2013.05.0534.13-->49.3110.1815.18
2014.04.2953.08-->53.1510.210.07
2015.05.1055.99-->58.9010.162.91
2016.04.2956.75-->61.3805.084.63
2017.04.2954.64-->61.0710.086.43
2018.04.2958.62-->60.4809.081.86
2019.04.0657.87-->66.0010.278.13
2020.08.2359.38-->63.4509.194.07
2021.05.0257.18-->62.0608.034.88
2022.04.2359.63-->65.6810.086.05
2023.04.2964.50-->67.3809.082.88
2024.04.2762.97-->??  

やり投デビュー戦は、旭川東高校1年生の2013年5月5日の北海道道北地区記録会で「34m13」が初の公認記録。

それから、5カ月半後には49m31にまで伸ばし、その年の高校リスト12位、当時の高校1年生歴代2位タイだった。

デビュー戦から10年で、最初の公認記録の2倍近い67m38。33m25cmも遠くへ投げられるようになった。

シーズン初戦から15m以上も記録を伸ばした1年目のデータはここでは計算から除外したが、2年目以降の初戦とシーズンベストの「記録の伸び」は、最小で「7cm」、最大で「8m13cm」。23年までの10年間の平均値は、「4m191」だ。

初めて日本記録をマークした19年から22年までの初戦は、57~59m台だった。しかし、23年は64m50、24年も62m97でワンランクもツーランクもレベルアップしている。北口が世界レベルに仲間入りした19年から23年の5年間の初戦からのアップは、2m88~8m13で、その平均値は「5m202」。これを24年初戦の「62m97」に加えると「68m17」となる。これが実現すれば、呂會會(中国)が19年8月にマークした67m98のアジア記録を上回り、北口の世界歴代順位は現在の21位から12位にアップすることになる。

あくまでも過去のデータから導き出した机の上での計算ではあるが、「北口は24年に、これくらいの記録を残せても不思議ではない」ということだ。世界チャンピオンとしてパリ五輪に挑むシーズン。北口は、これからどんなアーチを描くのだろうか。


北口の年別のトップ5記録の比較

どんな種目のどんなレベルの選手であっても、似たような向上の道筋をたどっていくように思える。

1.若い頃や競技を始めた当初は面白いように自己ベストがどんどん出る。
2.が、ある程度の時間が過ぎるとベスト記録の向上がストップしたり伸び幅が一気に落ちてしまう。
3.ただ、そこで我慢して日々の努力を積み重ねていると、自己記録は出なくてもある一定レベル以上の記録がコンスタントに出せるようになってくる。
4.すると、近いうちに大爆発が起こり、久々にワンランク上の自己記録が出て次の新たな段階へ。
そして再び「2」に戻って、「3」「4」へ……というふうな道筋だ。

そんなことを考えながら北口の年ごとの上位の記録をまとめてみたのが下表だ。

<北口の年別のトップ5記録の比較>
・2024年は、6月12日現在
 試合数1位2位3位4位5位60m以上回数(率)63m以上回数(率)
2013高11149.3145.4945.3745.2545.10  
2014高21953.1553.0852.1652.1651.93  
2015高31258.9057.0256.6355.9954.44  
2016大161.3860.8457.2356.7556.162(28.6%) 
2017大21061.0760.4959.5959.0857.962(20.0%) 
2018大360.4858.8358.6258.3856.991(11.1%) 
2019大41466.0064.3663.6861.9460.8410(71.4%)3(21.4%)
2020社163.4559.3859.3058.36 1(25.0%)1(25.0%)
2021社262.0661.4959.1157.1957.182(25.0%)
2022社31765.6865.1064.3263.9363.5615(88.2%)8(47.1%)
2023社41667.3867.0466.7365.0964.5014(87.5%)10(62.5%)
2024社563.4562.9761.8360.47 4(100.0%)1(25.0%)

年によって出場した試合数に違いはあるが、自己ベストの進歩の状況、2番目以下の各順位ごとの記録の年ごとの上昇の具合、60m以上や63m以上の回数(率)のデータを見ていくと、22年から23年の2年間で北口の力が一段とアップしたことがわかる。そして、世界選手権での2大会連続メダル獲得という偉業を成し遂げた。

13年から16年は、毎年どんどん自己ベストを伸ばしてきた。
17・18年は自己ベストは停滞したが、その年の3~5番目の記録が自己ベストをマークした16年よりもアップして、次のステップへのエネルギーを蓄えていた時期。
そして、そのエネルギーが19年に大爆発。世界で戦えるレベルの66m00に日本記録を引き上げた。
コロナの影響もあって20・21年はやや後退したが、次のステップアップに向けての試行錯誤や軌道修正、今後に向けての計画立案の時期であったのだろう。
22年には19年以来2度目の大爆発。自己ベストこそ19年のままだったが、その年の2番目以下の記録が19年とは比べものにならないくらい飛躍的にアップ。60m以上や63m以上の回数や率も19年のレベルを大きく上回り、大きな土台が築かれたようだ。

それらしっかりした土台をもとに、次の新たなステップで自己ベストが大きくアップする前兆が23年初戦の4月29日の織田記念(64m50)と次の5月6日の木南記念(64m43)での64m台連発で、それがブダペスト世界選手権での金メダルと67m04(7月16日)→67m38(9月8日)の日本新記録につながった格好だ。
冒頭に示した、1→2→3→4→2→3→4 を描いている。


「6投目の北口」をデータでみると……

北口は、とにかく6投目に強いようだ。
22年オレゴン世界選手権で銅メダルを獲得した時も、23年ブダペスト世界選手権で金メダルを獲得した時も、最後の最後の6投目での大逆転だった。22年は6投目の前の順位は5位、23年は4位の位置からの逆転金メダルである。

北口にとって最初の日本新となった19年5月6日の64m36の時のシリーズは、
56m35-59m54-57m50-63m58-64m36-59m90 で、5投目がベスト。

19年10月27日の2度目の日本新記録66m00の時は、
63m47-51m68-61m12-63m61-66m00-パス で、5投目がベスト。

23年7月16日の67m04、同9月8日の67m38の日本新もともに6投目だった。

高校2年(14年)と3年(15年)で全国インターハイを連覇した時、最高記録は14年は5投目、15年は4投目にマークした。
また15年コロンビア・カリでの世界ユースを制した時も5投目での逆転優勝。

大学2年生の17年に日本インカレで初優勝した時は、6投目での逆転優勝。

高校時代からのすべてを調べる訳にはいかないので、ここでは22年の17試合(うち予選が1試合)、23年の16試合(うち予選が1試合)、24年の4試合(6月12日現在)のシリーズを調査し、何投目にその日のベストを出したのかを記載した。結果は、以下の通り。
・【 】内は、3投目までの最高記録を示す。

<2022年・23年・24年の北口の試技内容>
・2022年(17試合/うち予選1試合)
4月23日1)59m631投目/59m63-54m97-56m56【59m63】-×-53m76-×
5月1日1)61m201投目/61m20-59m55-58m22【61m20】-×-60m47-×
5月8日1)63m931投目/63m93-59m51-60m82【63m93】-58m82-62m96-60m91
5月28日1)62m80???/試技内容不明
6月11日1)62m253投目/59m13-57m07-62m25【62m25】-57m36-×-×
6月14日1)61m971投目/61m97-59m53-58m15【61m97】-57m97-60m68-61m97
6月18日1)63m133投目/61m91-59m84-63m13【63m13】-×-57m76-61m33
7月8日1)60m426投目/58m02-59m25-×【59m25】-55m30-59m53-60m42
7月20日予)64m321投目/64m32=通過/全体1位【64m32】
7月22日3)63m276投目/62m07-×-55m78【62m07】-61m27-×-63m27
8月6日1)65m106投目/60m13-61m37-×【61m37】-61m76-58m68-65m10
8月10日2)62m374投目/54m28-59m97-58m44【59m97】-62m37-60m16-59m13
9月2日2)63m456投目/60m49-61m58-×【61m58】-×-63m13-63m45
9月8日3)63m566投目/57m03-60m51-63m35【63m35】-59m14-56m77-63m56
9月17日1)59m231投目/59m23-57m30-56m88【59m23】-×-57m92-×
10月2日1)62m573投目/62m02-60m99-62m57【62m57】-59m55-59m16-×
10月8日1)65m683投目/61m23-62m71-65m68【65m68】-62m00-×-62m10

・2023年(16試合/うち予選1試合)
4月29日1)64m505投目/59m01-×-63m45【63m45】-60m37-61m58-64m50
5月6日1)64m432投目/63m72-64m43-61m25【64m43】-×-×-91m66
5月21日4)61m346投目/58m87-×-59m02【61m34】-×-×-61m34
6月2日2)59m921投目/59m92-58m25-×【59m92】-×-×-×
6月9日1)65m093投目/58m25-60m87-65m09【65m09】-59m72-58m39-57m80
6月13日2)59m692投目/57m17-59m69-55m81【59m69】-×-57m69-58m92
6月27日1)63m722投目/60m27-63m72-×【63m72】-×-×-×
6月30日2)63m341投目/63m34-×-60m60【63m34】-58m69-60m78-58m95
7月16日1)67m046投目/64m12-61m49-62m76【64m12】-×-65m82-67m04
7月20日1)62m526投目/59m78-57m40-57m90【59m78】-58m64-61m24-62m52
8月6日1)61m886投目/57m74-57m13-×【57m74】-56m54-58m82-61m88
8月23日予)63m272投目/59m04-63m27=通過/全体3位【63m27】
8月25日1)66m736投目/61m78-61m99-63m00【63m00】-62m36-62m68-66m73
9月3日1)60m063投目/55m32-59m93-60m06【60m06】-×-P-P
9月8日1)67m386投目/59m56-65m20-62m89【65m20】-60m12-62m69-67m38
9月16日1)63m782投目/59m36-63m78-×【63m78】-58m50-59m06-62m76

・2024年(4試合/5月28日現在)
4月27日1)62m976投目/55m97-56m43-58m93【58m93】-56m57-61m44-62m97
5月5日1)61m836投目/60m98-60m53-60m15【60m15】-×-59m86-61m83
5月19日1)63m456投目/60m20-60m19-58m30【60m20】-×-62m02-63m45
5月28日1)60m473投目/×-57m63-60m47【60m47】-×-59m47-×

決勝に限った試技回数別の内訳は、

<北口がその日の最高記録を出した試技回数別の内訳>
回数2022年2023年2024年22~24年の合計
1投目5回(33.3%)2回(13.3%)7回(20.6%)
2投目4回(26.7%)4回(11.8%)
3投目4回(26.7%)2回(13.3%)1回(25.0%)7回(20.6%)
4投目1回(6.7%)1回(2.9%)
5投目1回(6.7%)1回(2.9%)
6投目5回(33.3%)6回(40.0%)3回(75.0%)14回(41.2%)
・2024年は、6月12日現在

試技内容が判明している3年間の決勝34試合中14回(41.2%)は6投目にその日のベストをマークしている。全体の4割以上が6投目というのには、「びっくり」の数字だ。「6投目の北口」の面目躍如(?)といったところか?

といっても、どの試合であっても3投目までにトップ8に残れる記録をマークすることが必要だ。「3投目までにベスト」は、34試合中18回(52.9%)だ。
世界大会の決勝進出と決勝でのトップ8入りがほぼ確実な「3投目までに63m以上」は、22・23・24年で世界選手権の予選を含め、22年が16試合中5試合(31.3%)、23年が16試合中10試合(62.5%)、24年は4試合で1度もないが、22年から23年に倍増しているのは頼もしい。

パリ五輪に向けて、今回の日本選手権では「3投目までに63m以上」をクリアしておきたいところである。


パリを目指す60mスローワーが全員集合!!

ここまで「世界一の北口」の話がメインになったが、これに続く顔ぶれも充実している。
日本歴代で60m以上を投げているのは、北口を筆頭に9人。うち現役選手は6人だがその全員が出場する。
五輪参加標準記録は「64m00」で23年7月1日から24年6月30日が有効期間。ターゲットナンバー(出場枠)は「32人」。参加標準記録突破者は6月11日時点で北口を含めて世界で8人。
24年6月11日現在のパリ五輪に向けた1国3人以内でカウントした「WAランキング」の順位は以下の通りだ。

<パリ五輪に向けたWAランキング/6月11日現在>
・「実質順位」は、各国4人目以下もカウントした順位。
・所属の後ろは、自己ベストと日本歴代での順位。
1位(参加標準突破済)北口榛花(JAL)67.3823.09.08=1位
18位(実質18位)1168pt斉藤真理菜(スズキ)62.3717.08.25=5位
25位(実質25位)1151pt上田百寧(ゼンリン)61.7521.06.06=6位

・以下、各国3人目まででカウントした「相当順位」。
31位相当(実質34位)1128pt佐藤友佳(ニコニコのり)62.8819.06.28=3位
38位相当(実質43位)1108pt武本紗栄(TeamSSP)62.3921.06.05=4位
57位相当(実質77位)1022pt長麻尋(国士舘ク)61.1023.05.06=8位
61位相当(実質83位)1018pt久世生宝(コンドーテック)59.1623.05.06=12位
68位相当(実質95位)1002pt西村莉子(三菱電機)57.7021.10.09=21位
73位相当(実質109位)985pt篠田佳奈(京大/4年)57.6324.05.24=22位
73位相当(実質112位)981pt倉田紗優加(慶大/2年)57.2724.05.12=24位
81位相当(実質123位)965pt山元祐季(九州共立大/院2)57.7522.04.15=20位

他の選手もパリに向けて6月28日にきちんと仕上げてくることだろう。
上記の「WAランキング(Road To Paris)」では、北口1位、斉藤18位、上田25位、佐藤31位相当の4人が「ターゲットナンバー32人」の圏内で38位相当の武本もあとひと息の位置につけている。「32位以内」の他国の人数は、日本と同じ4人が中国、3人がオーストラリア、2人がラトビア・コロンビア・チェコ・ノルウェーの計7カ国。現時点での「層の厚さ」ということでは、日本は中国と並んで「世界一」である。

世界選手権には、前回大会優勝者が無条件で出場できる「ワイルドカード枠」があって、1国から最大4人が出場できる。25年東京世界選手権では日本はこれを生かして、「参加標準記録」や「WAランキング」の条件をクリアできれば北口を含めて最大4人がエントリーできる。が、五輪にはこの制度がないので、「1国3人」がマックスだ。よって、パリ行き切符の残りは2枚である。

現段階でのランキングの順位では、斉藤と上田が優位であることは確かだ。日本選手権と同じ時期に世界の各地で最終選考会がたくさん行われているので、6月30日時点の「WAランキング」はかなり変動がありそうだ。

斉藤・上田は、日本選手権で少しでもポイントを稼いでおきたいところ。この2人を含めて佐藤以下の選手も「パリ五輪参加標準記録64m00」を突破するのが、パリへの最短ルートではある。とはいえ日本歴代でこれを上回ったことがあるのは北口しかいないのだから、そのハードルは非常に高い。

日本陸連の選考基準からすると、「WAランキングでターゲットナンバー圏内(32位以内)」の人数が3人以上いた場合、WAランキングの順位よりも「日本選手権での順位」が優先される。よって、日本選手権では、代表に内定している北口を除いて「上位2位以内」に入ることが重要だ。

24年6月11日時点の「WAランキング」の「32位」は、5試合平均で「1119pt」。記録ポイントのみであれば「62m19」がこれに相当する。

60~64mレベルでの記録ポイントは、
1160pt 64.40
1150pt 63.86
1140pt 63.32
1130pt 62.78
1120pt 62.25
1110pt 61.71
1100pt 61.17
1090pt 60.63
1080pt 60.09
1070pt 59.55

日本選手権での順位ポイントは、
1位 100pt
2位 80pt
3位 70pt
4位 60pt
5位 55pt
6位 50pt
7位 45pt
8位 40pt
である。

現時点での「WAランキング」から「32位以内」に入れる可能性がありそうなのは、斉藤・上田・佐藤・武本まで。
5試合平均ポイントでランキングが作成されているので、現在の自身の5番目のポイントを日本選手権で超える必要がある。

4人の現在のポイントと5番目のポイントは、
 平均pt5位pt
斉藤1168pt1100pt
上田1151pt1127pt
佐藤1128pt1109pt
32位1119pt 
武本1106pt1073pt

普通に考えると日本選手権では、北口の優勝が濃厚であろう。となると他の選手は、2位の「80pt」と3位の「70pt」を稼ぐことが現実的な目標となる。
現在の5試合平均ポイントを「10pt上乗せ」するには、日本選手権でそれぞれの現在の5番目のポイントに「プラス50pt」を、「20pt上乗せ」ならば「プラス100pt」、「30pt上乗せ」ならば、「プラス150pt」、「40pt上乗せ」ならば「プラス200pt」を稼がなければならない。

順位ポイントが2位の「80pt」として、それぞれに必要な記録ポイントによる具体的な記録は、以下の通りだ。
 現在ptプラス10ptプラス20ptプラス30ptプラス40pt
斉藤1168pt1178pt=59m551188pt=62m251198pt=64m941208pt=67m63
上田1151pt1161pt=61m001171pt=63m701181pt=66m391191pt=69m08
佐藤1128pt1138pt=60m031148pt=62m731158pt=65m421168pt=68m11
武本1106pt1116pt=58m091126pt=60m791136pt=63m481146pt=66m18

現在よりも30pt以上を上乗せするには、五輪参加標準記録の64m00を上回ることになるので、ポイントの上乗せは関係なくなる。
現在の「32位・1119pt」のボーダーラインがどれくらい上がるかはわからないが、日本選手権で「北口を除いて2番目以内」に入ることがどの選手にとっても最優先となる。


60m以上のベストを持つ選手と22・23年入賞者の日本選手権入賞歴

<参加資格記録or自己ベストが60m以上と22・23年に入賞した選手の日本選手権入賞歴>
・掲載順は、今回の資格記録順
 資格記録1011121314151617181920212223
北口榛花67.38
斉藤真理菜62.07
上田百寧61.15
長麻尋61.10
佐藤友佳60.37
以上、参加資格記録60m00以上               
武本紗栄59.06
以上、自己ベスト60m00以上               
篠田佳奈57.63
倉田紗優加57.27
以上、23年入賞者               
木村玲奈55.46
石垣綾香54.30
以上、22年入賞者               

60m以上の選手は6人全員が22年も23年も入賞している。ただし、22年の段階では長は59m台がベストだった。

北口が優勝すれば2年ぶり4回目。
斉藤なら2年連続3回目。
佐藤なら4年ぶり2回目。
それ以外の選手ならばいずれも初優勝となる。

佐藤は、16年から23年まで年連続入賞を継続中。初出場の2010年から14年間で12回入所している。
自己ベスト60m以上の北口・斉藤・上田・武本も揃って20年以降の連続入賞を継続中、長も22・23年と連続入賞している。


日本選手権での60m台

日本選手権における「60m台」についてまとめた。

<日本選手権における60m以上の記録>
・「★」は日本新。「◎」は大会新
記録氏名
1989年63.44張麗=旧規格のやり
2001年60.12三宅貴子
2011年60.08宮下梨沙
2012年62.36★海老原有希
2013年60.41海老原有希
2017年60.64海老原有希
2018年60.79斉藤真理菜
2019年63.68◎北口榛花
62.88佐藤友佳
2021年61.49北口榛花
2022年62.25北口榛花
61.20上田百寧
60.84武本紗栄
2023年61.14斉藤真理菜

日本選手権で60m以上がマークされたのは以上の通りで、1999年に現在の規格になってからは8人が計13回。
複数選手が60mを超えたのは19年と22年で3人が最多。今回、4人が超えればすべての競技会を含めて史上初となる。


日本選手権での「順位別最高記録」

1)63.682019年
2)62.882019年
3)60.842022年
4)59.102017年
5)58.672017年
6)58.042022年
7)56.822017年
8)55.342017年

2017年と22年のレベルが高かった。
今回は、60m以上のベスト記録を保持する選手が21・23年に続き6人揃う。
60mを投げても表彰台に立てないようなハイレベルな投げ合いになる可能性も。


野口純正(国際陸上競技統計者協会[ATFS]会員)


◆記録と数字で楽しむ第108回日本選手権バックナンバー
男子100m:自己ベスト9秒9台2人、10秒0台4人、10秒1台13人が残り2枚のパリ行き切符を争う。至近11年間は連覇なし、群雄割拠を制するのは誰だ?
男子110mハードル:村竹・野本・高山らを中心に残り2枚のパリ行き切符を目指しての熾烈な争い
男子400mハードル:五輪参加標準突破者3人を軸に自己ベスト48秒台の9人が激突
女子100mハードル:12秒台6人が集結!風に恵まれれば「日本新」の可能性も!!
女子走幅跳:「7m」まであと3cmの秦のジャンプに注目!!



前売チケット絶賛販売中!
~4年ぶり、新潟に陸上トップアスリートが集結!~
パリオリンピックへの切符と日本一をかけた真剣勝負を会場で見よう!
チケットページはこちら



応援メッセージ募集中!

抽選で、パリ2024オリンピック 日本代表内定選手会見に参加できるチャンスも!



特設サイト

チケット情報・アクセス情報・競技実施日・歴代優勝選手一覧等、日本選手権に関する情報を集約!
今後も、エントリー情報やタイムテーブル等を更新していくので要チェックです!


プロモーションビデオ第二弾公開中!


第二弾では注目選手をピックアップ

既にパリ五輪への切符を掴んでいる
北口榛花 (JAL)・田中希実 (New Balance)
三浦龍司 (SUBARU)・サニブラウンアブデルハキーム (東レ)

日本選手権優勝でパリへの切符を掴む
佐藤拳太郎 (富士通)・村竹ラシッド (JAL)
秦澄美鈴 (住友電工)・橋岡優輝 (富士通)・豊田兼 (慶應義塾大)

それぞれの思いが新潟で交錯する
まさに「運命をかけた決戦」
舞台は、新潟・デンカビッグスワンスタジアム
6月27日、開幕


パリオリンピック 代表選考について

◆参加標準記録・選考要項
https://www.jaaf.or.jp/news/article/16334/
◆参加資格有資格者一覧
https://www.jaaf.or.jp/news/article/18659/
◆Road to Paris 解説(パリ五輪への道)
https://www.jaaf.or.jp/news/article/19250/
◆パリ五輪選考条件まとめ資料
https://www.jaaf.or.jp/files/upload/202406/road_to_paris.pdf

JAAF Official Partner

  • アシックス

JAAF Official Sponsors

  • 大塚製薬
  • 日本航空株式会社
  • 株式会社ニシ・スポーツ
  • 積水化学工業株式会社

JAAF Official Supporting companies

  • 株式会社シミズオクト
  • 株式会社セレスポ
  • 近畿日本ツーリスト株式会社
  • JTB
  • 東武トップツアーズ株式会社
  • 日東電工株式会社
  • 伊藤超短波株式会社

PR Partner

  • 株式会社 PR TIMES
  • ハイパフォーマンススポーツセンター
  • JAPAN SPORT COUNCIL 日本スポーツ振興センター
  • スポーツ応援サイトGROWING by スポーツくじ(toto・BIG)
  • 公益財団法人 日本体育協会
  • フェアプレイで日本を元気に|日本体育協会
  • 日本アンチ・ドーピング機構
  • JSCとの個人情報の共同利用について