6月27日から4日間の会期で行われた第108回日本選手権は、6月30日、無事に閉幕しました。この大会は、パリオリンピックの代表選考会を兼ねて行われましたが、日本陸連強化委員会は、すべての日程を終えたあとに総括会見を開きました。会見には、山崎一彦強化委員長と高岡寿成シニアディレクターが出席。山崎委員長が大会全体および短距離、フィールド種目に関して、高岡シニアディレクターが担当する中・長距離種目に関して、パリオリンピックを見据えた観点に絞って総括しました。会見の要旨は下記の通りです。
■山崎一彦強化委員長
今回、新潟の地で、オリンピックの重要な選考会を兼ねた日本選手権を開催した。観客もたくさん入り、今日は崩れたものの天候も概ね良く、良い状況で競技を終えることができた。開催に尽力いただいた地元の方々に感謝を申し上げたい。
◎トラック&フィールド種目の内定者は、男子6名、女子4名に
まず、ここでトラック&フィールド種目について、本大会を終えた段階で、パリオリンピックの代表に内定している選手を、確認させていただく。男子は。すでに内定しているサニブラウンアブデルハキーム(東レ、100m)、泉谷駿介(住友電工、110mハードル)、三浦龍司(SUBARU、3000m障害物)に加えて、今大会で新たに村竹ラシッド(JAL、110mハードル)、豊田兼(慶應義塾大学、400mハードル)、橋岡優輝(富士通、走幅跳)が加わって全6名に、女子は、やり投の北口榛花(JAL)のほか、5000mで内定していた田中希実(New Balance)が今大会で1500mでも内定、さらに100mハードルの福部真子(日本建設工業)、走幅跳の秦澄美鈴(住友電工)が新たに内定し、全部で4名となった。◎陸上のエントリーは55~60名となる見込み
このほか、ワールドランキングにおいてターゲットナンバーにこれから入ってくる選手、またはすでに参加標準記録を突破していて所定の順位に入ってきた選手は、まだ内定にはなっていないが、陸上の代表選手はおよそ55~60名くらいになると見込んでいる。ただし、日本と同じように、今週末も各国でナショナルチャンピオンシップスが行われている。その結果が反映されてワールドランキングが変わってくる可能性もあるが、およそ55~60名を想定している。あとは、選手選考要項記載の通りではあるが、ワールドアスレティックス(WA)による全種目の未使用出場枠の再配分が行われたあとの追加は、ターゲットナンバーの次の順位から10位以内にランクしている競技者を対象とし、こちらでエントリーをしていく。それ以外の選手が繰り上がることはない。◎突出した男子400mハードル豊田と110mハードル村竹
今大会で印象深い成績を残したのは、男子400mハードルの豊田。47秒99という素晴らしい記録をマークした。この記録は、1カ国3名上限でのランキングで10位となる。また、男子110mハードルの村竹は、13秒07で、同様のランキングで6位となる。この2名に関してはかなり突出しており、パリオリンピックでも入賞圏内といえる記録が出たということができる。あとは、田中が女子1500mでも参加標準記録を突破して内定した。決勝では、積極的に展開して1人でつくったレースで内定を取ったのは素晴らしい点だった。
今、内定者が出たところが、おそらくパリオリンピック本番で良い戦いができ、入賞圏内を目指せるところに来ているとみている。このあたりの顔ぶれは、順当といえるところだと思う。
これからは、本番までそれほど時間はないことになるので、ここで名前を挙げていない選手たちも想定しながら、休養やトレーニングを進めていきたい。パリオリンピックに向けてはナショナルチームということになるので、最大限選手たちがコンディションを整えて取り組めるような状態を、私たちがつくっていくようにしたい。
■高岡寿成強化委員会シニアディレクター(中長距離・マラソン担当)
今大会の中長距離種目については、私から総括させていただく。
◎ペースメーカー設置のレースで好記録
オリンピック代表内定に関しては、山崎強化委員長が述べた通り、女子5000mで内定済みの田中が、1500mでも参加標準記録を突破して内定した。中長距離に関して、男女1500m、男子5000mにおいては、今回、ペースメーカーを置いてレースを行ったため、非常に良い記録…大会記録を更新することができた。ワールドランキングのポイントという部分において、ターゲットナンバー入りを期待していた選手が、思うようにポイントが取れなかったケースもあったものの、全体のレベルとして、非常に良い記録が出た大会だったのではないかと思っている。気象コンディションが大きく影響する部分があったと思うが、東京に比べて、新潟が少し涼しく感じるコンディションであったことも、好記録に関係しているのではないかとみている。
◎印象深かった男女800mの高校生覇者
私のなかで印象に残っているのは男女800m。どちらも高校生が勝ったということで、若い力がまた出てきたことは非常に頼もしく思う。男子800mで大会記録が更新された点も良かったと思うし、男子を制した落合晃(滋賀学園高校)のインタビューを聞いても、自己記録に1秒以上の開きがある参加標準記録(1分44秒70)に向けて、本当に狙っていたというところも、頼もしく、また心強くも感じた。そのほかでは、3000m障害物で、青木涼真(Honda)が確実に勝ったことも、このあとに繋がってくるのではないかと思っている。
※本内容は、6月30日に実施した記者会見において、登壇者が発言した内容をまとめた。より明瞭に伝えることを目的として、一部、修正、編集、補足説明を施している。
文:児玉育美(JAAFメディアチーム)
写真:フォート・キシモト
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