「セイコーゴールデングランプリ陸上2024東京(以下GGP)」はワールドアスレティックスコンチネンタルツアーの中でも、14大会のみに与えられた「ゴールド」ランクの競技会。今年は東京五輪会場だった国立競技場で5月19日に開催される。全世界の注目を集めるのが女子やり投で、金メダルの北口榛花(JAL)を筆頭に昨年の世界陸上ブダペスト大会のメダリスト3人全員が出場する。男子100mには世界陸上2大会連続入賞中のサニブラウン アブデルハキーム(東レ)が参戦。男子走幅跳の王嘉男(中国)ら、アジアの強豪も多数来日。GGPをステップにパリ五輪への戦いを進めていく。
女子やり投は昨年の世界陸上ブダペスト(ハンガリー)金メダルの北口榛花、銀メダルのフロル・デニス・ルイスウルタド(コロンビア)、銅メダルのマッケンジー・リトル(豪州)が、場所を東京に変えて激突する。世界陸上ではルイスウルタドが1投目に65m47の南米記録を投げ、ライバルたちを驚かせた。5回目の試技が終わって2位は63m18のアネテ・コチナ(ラトビア)、3位が63m00の北口だった。最終6回目に試技順が先のリトルが63m38を投げ2位に浮上、北口はメダル圏外の4位に落ちてしまった。誰も65mラインに迫ることができず、ルイスウルタドの金メダルか、という雰囲気が漂い始めた。だが北口の6投目のやりはブダペストの夜空に大きな弧を描き、65mを超えて着地。記録は66m73。陸上競技マラソン以外では五輪&世界陸上で日本女子初の金メダルを獲得し、パリ五輪代表にも内定した。
ルイスウルタドは五輪&世界陸上に6回目の出場で、過去最高成績はリオ五輪の9位。千載一遇のチャンスを逃したが、「年齢が(7歳)離れているからかもしれませんが、いつも優しく接してくれます(笑)」と北口。リトルは北口と1歳違いで、DLなどでホテルが同部屋になることも多い。「ライバルですけど仲が良い」という。リトルがコロンビアの公用語であるスペイン語もできるため、ルイスウルタドと3人で話すこともある。
3人は4月27日のダイヤモンドリーグ蘇州大会で今季初対決。4回目終了時点ではリトルが62m12でトップ、ルイスウルタドが60m70で2位、北口は58m93で8位だった。5回目に北口が61m44で2位に浮上し、最終6回目で62m97を投げてブダペストに続いて逆転優勝を飾った。「マッケンジー(・リトル)からは『今度からあなたの6投目には気をつけるわ』って言われました(笑)」。
蘇州で勝つことはできたが、今季はまだ「体が思う通りに動いていない」ことが大きな課題だと感じている。「GGPでは勝てるなら勝ちたいですけど、自分が満足できる動きや体の調子を感じたい。パリ五輪で勝てるように、そこにつながる試合をしたいです」
パリ五輪前哨戦が国立競技場で展開される。
米国フロリダに拠点を移してからは初めて、サニブラウンがGGPに参戦する。期待されるのは優勝と9秒台のタイムである。17年世界陸上ロンドン大会では200mで7位に入賞。世界記録保持者のウサイン・ボルト(ジャマイカ)が、05年ヘルシンキ大会で達成した18歳11カ月が同種目の最年少入賞だったが、サニブラウンは18歳5カ月で入賞を果たした。19年には100mでも9秒97の日本新(当時。現歴代2位)で走ってみせた。当時から五輪&世界陸上の金メダルや世界記録が目標だと口にして、それを達成するための努力をいとわなかった。
しかし20~21年はヘルニアを発症して苦しみ、東京五輪は200mで出場したが予選落ちした。ヘルニアが完治するとサニブラウンは100m中心にレースに出場。22年世界陸上オレゴンは7位に、23年世界陸上ブダペストは6位と連続ファイナリストに。五輪&世界陸上入賞した日本人選手は史上2人目で、2大会入賞はサニブラウンが初めて。9秒台で2回以上走っているのも、五輪&世界陸上本番で9秒台を出した選手も他にいない。今季は3月に10秒02を、4月にも10秒04をマーク。サニブラウンが3~4月に10秒0台で走ったのは初めてだ。夏にピークを持っていく実績を過去2シーズンで残してきた。5月のGGPで9秒台を出せば、その時点でパリ五輪代表に内定し、本番では9秒9台前半、さらには9秒8台を期待できる。
日本記録が期待できる種目が多い。男子走幅跳の橋岡優輝(富士通)もその1人で19年世界陸上8位、21年東京五輪6位と、2度の世界大会入賞を果たした選手。入賞者は8m40以上の自己記録を持つ選手も多く、橋岡もそのレベルの記録を跳ぶのは時間の問題だった。だが橋岡が考えていたのはその上のレベル。五輪&世界陸上でのメダル獲得や、8m50以上の記録だった。昨年からサニブラウンと同じタンブルウィードTCでも長期間練習し、助走スピードアップに取り組んできた。今年3月に8m28と自己4番目の記録でパリ五輪参加標準記録を突破。5月より前の自己最高記録で、今大会では8m40の日本記録に挑戦するだろう。
男子400mの佐藤拳太郎(富士通)は44秒77の日本新記録を、110mHの村竹ラシッド(JAL)は13秒04の日本タイ記録を昨年マークした。女子では1500mの田中希実(New Balance)が21年東京五輪で3分59秒19の日本記録をマークした。男子400 mには44秒88を持つ佐藤風雅(ミズノ)も出場、女子1500mにも3分59秒台を持つ豪州2選手が参戦する。日本新のアナウンスを国立競技場で聞くことができるかもしれない。
男子走高跳のウ・サンヒョク(韓国)は22年世界陸上オレゴンの銀メダリスト。自己記録は2m36で突出しているわけではないが、今季も3月の世界室内で3位に入るなど勝負強さは世界屈指の選手である。男子走幅跳の王嘉男(中国)は世界陸上オレゴンの金メダリスト。自己記録は8m46で、アジア記録の8m47に1cmと迫っている。男子5000mに出場するキエラン・トゥンティワテ(タイ)は米国の有名プロチームに、男子110mHに出場するジョン・カバング(フィリピン)は、サッカープロチームも持つスペインのクラブに所属している。
文:日刊スポーツ
写真:フォート・キシモト
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前売券は当日券よりも1000円オフでお買い求めいただけます(※一部券種をのぞく)
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▼記録と数字で楽しむGGP
https://goldengrandprix-japan.com/2024/news/article/19769/
女子フィールド種目の歴史を切り拓く、北口の投てきに注目
女子やり投は昨年の世界陸上ブダペスト(ハンガリー)金メダルの北口榛花、銀メダルのフロル・デニス・ルイスウルタド(コロンビア)、銅メダルのマッケンジー・リトル(豪州)が、場所を東京に変えて激突する。世界陸上ではルイスウルタドが1投目に65m47の南米記録を投げ、ライバルたちを驚かせた。5回目の試技が終わって2位は63m18のアネテ・コチナ(ラトビア)、3位が63m00の北口だった。最終6回目に試技順が先のリトルが63m38を投げ2位に浮上、北口はメダル圏外の4位に落ちてしまった。誰も65mラインに迫ることができず、ルイスウルタドの金メダルか、という雰囲気が漂い始めた。だが北口の6投目のやりはブダペストの夜空に大きな弧を描き、65mを超えて着地。記録は66m73。陸上競技マラソン以外では五輪&世界陸上で日本女子初の金メダルを獲得し、パリ五輪代表にも内定した。
ルイスウルタドは五輪&世界陸上に6回目の出場で、過去最高成績はリオ五輪の9位。千載一遇のチャンスを逃したが、「年齢が(7歳)離れているからかもしれませんが、いつも優しく接してくれます(笑)」と北口。リトルは北口と1歳違いで、DLなどでホテルが同部屋になることも多い。「ライバルですけど仲が良い」という。リトルがコロンビアの公用語であるスペイン語もできるため、ルイスウルタドと3人で話すこともある。
3人は4月27日のダイヤモンドリーグ蘇州大会で今季初対決。4回目終了時点ではリトルが62m12でトップ、ルイスウルタドが60m70で2位、北口は58m93で8位だった。5回目に北口が61m44で2位に浮上し、最終6回目で62m97を投げてブダペストに続いて逆転優勝を飾った。「マッケンジー(・リトル)からは『今度からあなたの6投目には気をつけるわ』って言われました(笑)」。
蘇州で勝つことはできたが、今季はまだ「体が思う通りに動いていない」ことが大きな課題だと感じている。「GGPでは勝てるなら勝ちたいですけど、自分が満足できる動きや体の調子を感じたい。パリ五輪で勝てるように、そこにつながる試合をしたいです」
パリ五輪前哨戦が国立競技場で展開される。
サニブラウンが日本スプリント史上最強の走りを見せる!
米国フロリダに拠点を移してからは初めて、サニブラウンがGGPに参戦する。期待されるのは優勝と9秒台のタイムである。17年世界陸上ロンドン大会では200mで7位に入賞。世界記録保持者のウサイン・ボルト(ジャマイカ)が、05年ヘルシンキ大会で達成した18歳11カ月が同種目の最年少入賞だったが、サニブラウンは18歳5カ月で入賞を果たした。19年には100mでも9秒97の日本新(当時。現歴代2位)で走ってみせた。当時から五輪&世界陸上の金メダルや世界記録が目標だと口にして、それを達成するための努力をいとわなかった。
しかし20~21年はヘルニアを発症して苦しみ、東京五輪は200mで出場したが予選落ちした。ヘルニアが完治するとサニブラウンは100m中心にレースに出場。22年世界陸上オレゴンは7位に、23年世界陸上ブダペストは6位と連続ファイナリストに。五輪&世界陸上入賞した日本人選手は史上2人目で、2大会入賞はサニブラウンが初めて。9秒台で2回以上走っているのも、五輪&世界陸上本番で9秒台を出した選手も他にいない。今季は3月に10秒02を、4月にも10秒04をマーク。サニブラウンが3~4月に10秒0台で走ったのは初めてだ。夏にピークを持っていく実績を過去2シーズンで残してきた。5月のGGPで9秒台を出せば、その時点でパリ五輪代表に内定し、本番では9秒9台前半、さらには9秒8台を期待できる。
男子走幅跳の橋岡らに日本新の期待!
日本記録が期待できる種目が多い。男子走幅跳の橋岡優輝(富士通)もその1人で19年世界陸上8位、21年東京五輪6位と、2度の世界大会入賞を果たした選手。入賞者は8m40以上の自己記録を持つ選手も多く、橋岡もそのレベルの記録を跳ぶのは時間の問題だった。だが橋岡が考えていたのはその上のレベル。五輪&世界陸上でのメダル獲得や、8m50以上の記録だった。昨年からサニブラウンと同じタンブルウィードTCでも長期間練習し、助走スピードアップに取り組んできた。今年3月に8m28と自己4番目の記録でパリ五輪参加標準記録を突破。5月より前の自己最高記録で、今大会では8m40の日本記録に挑戦するだろう。
男子400mの佐藤拳太郎(富士通)は44秒77の日本新記録を、110mHの村竹ラシッド(JAL)は13秒04の日本タイ記録を昨年マークした。女子では1500mの田中希実(New Balance)が21年東京五輪で3分59秒19の日本記録をマークした。男子400 mには44秒88を持つ佐藤風雅(ミズノ)も出場、女子1500mにも3分59秒台を持つ豪州2選手が参戦する。日本新のアナウンスを国立競技場で聞くことができるかもしれない。
アジアの強豪も多数参戦!
男子走高跳のウ・サンヒョク(韓国)は22年世界陸上オレゴンの銀メダリスト。自己記録は2m36で突出しているわけではないが、今季も3月の世界室内で3位に入るなど勝負強さは世界屈指の選手である。男子走幅跳の王嘉男(中国)は世界陸上オレゴンの金メダリスト。自己記録は8m46で、アジア記録の8m47に1cmと迫っている。男子5000mに出場するキエラン・トゥンティワテ(タイ)は米国の有名プロチームに、男子110mHに出場するジョン・カバング(フィリピン)は、サッカープロチームも持つスペインのクラブに所属している。
文:日刊スポーツ
写真:フォート・キシモト
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https://goldengrandprix-japan.com/2024/athlete/
【セイコーGGP】チケット好評販売中!
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前売券は当日券よりも1000円オフでお買い求めいただけます(※一部券種をのぞく)
是非お早めにお買い求めください!出場選手も続々発表中!!
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▼記録と数字で楽しむGGP
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【ワールドアスレティックスコンチネンタルツアー】
ワールドアスレティックス(WA、世界陸連)が主催するダイヤモンドリーグ(2023年は14大会指定)以外の世界最高となるOne-Day 競技会のシリーズです。コンチネンタルツアーは世界各地で開催され、ゴールド、シルバー、ブロンズ、チャレンジャーの4つのレベルに分けられ、これらのレベルは、競技会の質と提供される賞金によって決まります。
本大会が位置付けられている WA コンチネンタルツアーゴールドは、2024年は世界で12大会のみ指定され、WA のワールドランキングのカテゴリー(格付け)で日本選手権(B カテゴリー)より上位の「A カテゴリー」に位置付けられており、パリ2024オリンピック競技大会 出場資格獲得を目指す海外、国内のトップアスリートにとって、ワールドランキングを向上させるために、重要な競技会です。
- 普及・育成・強化
- セイコーゴールデングランプリ陸上2024東京
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