2023.10.04(水)選手
【杭州2022アジア大会】DAY5ハイライト:男子4×100mリレー、優勝ならずも銀メダル!女子キャプテン廣中は、2つめの銀!十種競技・丸山、後半盛り返し銅メダルを獲得!
会期の折り返しを迎えた10月5日、第19回アジア競技大会は、第5日の各種目がメイン会場の杭州オリンピック・スポーツセンター競技場で行われました。4日目に待望の金メダルを2つ獲得するとともに、銀メダルも1つ増やし、獲得メダルの内訳は、金2、銀4、銅4としたチームジャパン。5日目のこの日は、男子十種競技を含めて6種目の決勝に臨みました。
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【イブニングセッション】
■女子5000m 決勝
女子5000mでは、女子キャプテンの廣中璃梨佳選手(JP日本郵政G)が、見る者の胸を熱くするレースを繰り広げました。13名での決勝となったこの種目には、日本からは、初日の10000mで銀メダルを獲得した廣中選手と、バンコクアジア選手権覇者の山本有真選手(積水化学)が出場。17年ぶりのメダル獲得、さらにはまだ日本勢が手にしたことのないこの種目での金メダルに挑みました。
レースは、スタートしてすぐに廣中選手が先頭に立ち、最初の400mを71秒、2周目も72秒と、速いペースで引っ張っていく滑りだしに。このため、先頭グループは早い段階で7名に絞られ、縦に長く連なってレースを進めていく形となりました。1000mを3分00秒43で通過した廣中選手は、次の1000mも3分04秒を刻みましたが、6分04秒28での通過となった 2000m直前で、ずっと2番手にいたBontu Edao REBITU選手(バーレーン)の後ろに下がり、そこからは2番手でレースを進めていきます。ここからの1000mでペースが落ちて3000mは9分14秒44での通過となり、縦長だった集団が詰まって大きなかたまりへと形を変えていきます。廣中選手は、ラスト3周を迎える直前のホームストレートで再びトップに立つと、ここから大きくペースアップしたことで、先頭集団は解体。残り2周に入ったところで、廣中選手とREBITU選手、そして静かに上位へ浮上してきたParul CHAUDHARY選手(インド)の3人に絞られ、さらに残り600mからはCHAUDHARY選手との一騎打ちとなりました。トップでラスト1周の鐘を聞いた廣中選手は、その後も懸命に逃げにかかり、CHAUDHARY選手に2~3mの差をつけて最終コーナーを抜けてきましたが、残り50mを切ったところでCHAUDHARY選手が鮮やかなキックで廣中選手を逆転し、15分14秒75で優勝。金メダル獲得はならなかったものの、廣中選手は15分15秒34で、この大会2つめの銀メダルを獲得しました。
山本選手の健闘も光りました。持ち記録から考えるとハイペースな入りとなったなか、7人で構成された先頭集団の最後尾に食らいついて粘りのレースを展開。終盤で廣中選手がペースアップを図ったところで、集団から後れたものの、そこから落ちてきた選手をかわして順位を上げ、15分30秒08のシーズンベストをマークして4位でフィニッシュを迎えています。
■男子4×100mリレー 決勝
5日目の最終種目に据えられた男子4×100mリレーは、現地時間の21時25分にスタート。日本は、一つ外側のレーンに入った最大のライバル中国を追う7レーンに入ってのレースとなりました。決勝も、予選と同じく、1・2走を桐生祥秀選手(日本生命)と小池祐貴選手(住友電工)が務め、前日のイブニングセッションにおいて200mで金メダルを獲得した上山紘輝選手(住友電工)が3走に入り、同8位の宇野勝翔選手(順天堂大学)へと繋いでいくオーダーです。
1走では、好スタートを見せた1つ外のレーンの中国がリードを奪って進んでいく展開。終盤になってスピードに乗ってきた走りを見せた桐生選手は、やや詰まり気味で2走の小池選手にバトンを渡します。小池選手は、中国のエースXIE Zhenye選手を追い上げる走りを見せて上山選手にバトンパス。上山選手は200m金メダルの勢いを維持する走りを披露し、ここで中国を逆転。日本がわずかにリードを奪う形で、アンカーの宇野選手にバトンが渡りました。宇野選手は懸命に逃げにかかりますが、観客の応援を背に受けた中国のアンカーCHEN Jiapeng選手が好走して逆転。38秒29のシーズンベストをマークした中国が先着し、日本は38秒44でフィニッシュ。2連覇はならなかったものの、3大会連続のメダル獲得を、銀メダルで果たしました。
■男子十種競技 決勝
後半の5種目が行われた男子十種競技では、丸山優真選手(住友電工)と田上駿選手(陸上物語)が、今一つ乗りきれなかった初日の結果から、きっちりと切り替えを見せて、挽回を図ることに成功しています。2日目は、丸山選手が3880点で4位、田上選手は3663点・5位からのスタートでしたが、最初の110mハードル(+0.8)で丸山選手がシーズンベストの14 秒08、2着争いに競り勝った田上選手は14秒51で、ワンツー・フィニッシュと見せ場をつくります。丸山選手はここで3位に浮上し、以降はメダル争いを繰り広げていく形となりました。円盤投でいったん4位に後退したものの、棒高跳でも種目別で2位となるシーズンベストの4m70を跳んで3位に上がると、やり投、1500mをどちらも種目別3位の記録をマーク。銀メダルまでには98点届きませんでしたが、7568点を獲得して銅メダルを手に入れました。田上選手は、1種目終えるごとに5~6位を推移する戦いとなりましたが、得意種目でもある最後の1500mで、種目別2位の選手を10秒以上突き放し、4分38秒27をマーク。ここで6位から順位を2つ押し上げ、アジア選手権に続き4位で競技を終了。総合得点ではアジア選手権(7187点)を上回る7271点を獲得しました。
■女子400mハードル、男子400mハードル 決勝
アジア選手権で銅メダルを獲得している山本亜美選手(立命館大学)が出場した女子400mハードル決勝は、ブダペスト世界選手権で53秒09のアジア記録を出して4位に入賞して波に乗るOluwakemi Mujidat ADEKOYA選手(バーレーン)が前半から飛ばして逃げきり、54秒45の大会新記録で圧勝。400mとの2冠を達成した2014年仁川大会以来、2大会ぶりに金メダルを奪還しました。3レーンで走った山本選手は、ADEKOYA選手を追って上位争いを繰り広げた選手たちがアウトのレーンに位置したことで、大きく離れた場所から一人で前を追わなければならない展開に。6番手あたりでホームストレートに出てきたものの、得意の終盤で追い上げることができず、逆にラストでかわされて7位(57秒66)でのフィニッシュとなりました。
男子400mハードル決勝は、児玉悠作選手(ノジマ)が2レーン、黒川和樹選手(法政大学)が8レーンに入ってのレース。まず、黒川選手が攻めの走りで、バックストレートではリードを奪いましたが、7レーンのBassem HEMEIDA選手(カタール)が200m過ぎたあたりで追いつき、さらにはアジア記録保持者のAbderrahman SAMBA選手(カタール、注:Abderrahman Almoubarrake SAMBA ALSALECK、今大会はAbderrahman ALSALECKで登録されていますが、混乱を防ぐために、これまでの国際大会で用いられてきたSAMBAを採用しました)が急追し、最終コーナーを抜けるところでカタール勢のトップ争いとなりました。SAMBA選手は48秒04をマーク、HEMEIDA選手が48秒52の自己新で1・2位を占めました。黒川選手は3番手でラストの直線に入りましたが、激しく追い上げてきたXIE Zhiyu選手(中国)にフィニッシュ直前でかわされ49秒21で4位。メダルまで僅か0.05秒という悔しい結果でした。50秒45でフィニッシュした児玉選手は、いったん7位の表示が出ていたものの、抜き足がハードルより低い位置での通過していたことにより、無念の失格を喫しました。
■女子やり投 決勝
悔しさの残る結果となったのは、女子やり投でした。日本代表は、アジア選手権、ブダペスト世界選手権に続いての出場となる斉藤真理菜選手(スズキ)と、昨年のオレゴン世界選手権で決勝に進出した武本紗栄選手(Team SSP)という顔ぶれ。決勝は11人で行われ、武本選手が第6投てき者、斉藤選手は最終投てき者として試技に臨みました。アジア選手権に続く2つめのアジア金メダルを狙っていた斉藤選手は、どの選手も記録を伸ばせなかった1回目に、ただ一人60mラインを大きく越える61m10をマークする好スタートを切りましたが、その後、思うように記録を伸ばしていくことができず、2番手で後半の試技を迎えます。4回目に入ると、Nadeesha Dilhan HATARABAGE LEKAMGE選手(スリランカ)が61m57の自己新を投げて首位に浮上。前半をトップで終えていたインド記録保持者のAnnu RANI選手(インド)が、ここで今季アジアリスト2位に浮上する62m92のシーズンベストを投げて再び抜き返すなど、上位争いが過熱していきます。5回目にはアジア記録保持者(67m98)のLYU Huihui 選手(中国)が61m29をマークして3位に上がり、斉藤選手は4位に後退。斉藤選手は逆転をかけて最終投てきに挑みましたが、60m74と記録を伸ばすことができず4位という結果になりました。武本選手は、3回目に55m14を投げて、6番手でトップエイトに進出。4回目に55m39と記録を伸ばしたものの順位を押し上げることはかなわず、6位で競技を終了しています。
【モーニングセッション】
■女子800m予選
全3組での実施となった女子800m予選には、塩見綾乃選手(岩谷産業)が登場。翌10月4日に女子トラック個人の最終種目として行われる決勝を目指し、各組2着+2の進出条件に挑みました。塩見選手は、1・2組目の競技結果を把握したうえでレースができる3組目に入りましたが、1分57秒00の自己記録を持つWANG Chunyu選手(中国)、アジア選手権をスリランカ記録となる2分00秒66の今季アジア最高で制したTharushi DISSANAYAKA MUDIYANSELAGE選手(スリランカ)と、最も厳しい顔ぶれが揃ったこともあり、最初の400mを予選3組全体で最も速い62秒46で通過していく積極的なレースで、上位でのフィニッシュを狙います。最終的に、WANG選手とDISSANAYAKA選手が2分5秒台で先着し、2分06秒37で続いた塩見選手は 3着でのフィニッシュとなりましたが、プラスの1番目、トータルでは3番目となる記録で、予選を突破しました。
大会6日目の10月4日は、杭州オリンピック・スポーツセンター競技場で行われるトラック&フィールド種目の最終日となります。この日は、7時から混合35km競歩の決勝が杭州市内のコースで行われたのちに、メインスタジアムで19時から開始されるイブニングセッションで7種目の決勝が行われるタイムテーブル。チームジャパンは、男女混合のチーム戦として初めて実施される混合35km競歩に加えて、男子走高跳、男子やり投、女子三段跳、女子800m、男子5000mの6種目に臨み、さらなるメダルの獲得を目指します。大会に関する情報は、陸上日本代表オフィシャルサイト( https://www.jaaf.or.jp/teamjapan/ )および日本陸連公式SNSをご参照ください。
文:児玉育美(JAAFメディアチーム)
写真提供:フォート・キシモト
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■【杭州アジア大会】TEAM JAPAN (陸上競技) 一覧
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■【杭州アジア大会】日本代表選手選考要項
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