2023.04.03(月)大会

【JMCシリーズⅡアワード】レポート&受賞者コメント



日本陸連は3月29日、東京都内において「ジャパンマラソンチャンピオンシップ(JMC)シリーズⅡアワード」を開催。JMCシリーズⅡにおいて、上位を占めた男女8選手の表彰式が行われました。また、本年4月から始まるJMCシリーズⅢ(第3期)についても概要を説明。会場に招待したファンとの交流会も行われました。

選手強化と日本のマラソン活性化、そして公認マラソン大会の体系化を目指して、日本陸連が2021年秋に創設した「JMCシリーズ」。2期目となった今年度で、2021年11月から2022年3月までの第1期と2022年4月から2023年3月までの第2期からなる「シリーズⅡ」が終了し、男女それぞれのポイントランキングが確定しました。

「表彰式」「記者会見」「ファン交流会」の三部構成で行われたアワードでは、まず、主催者を代表して、日本陸連の尾縣貢会長が登壇。「選手の強化と選考、そしてマラソンレースの活性化をより良く推進するために創設したJMCシリーズだが、順調に軌道に乗ってきた」と述べ、開催に関わるすべての人へ感謝の思いを伝えたうえで、シリーズⅡのチャンピオンとなった其田健也(JR東日本)と松田瑞生(ダイハツ)の名を挙げ、「お二人は第106回日本選手権者であり、今一番強いランナー。出場権を獲得されたブダペスト世界選手権では、強さ、そして“らしさ”を発揮してくれるものと期待している」とエール。「このJMCは、まだまだ可能性を秘めている。もっと多くのランナーがJMCの輪に加わっていただくことで、日本のマラソン全体を発展させたい」と挨拶しました。

女子・男子の順に行われた表彰は、どちらもまず8位から4位までの選手が登壇して日本陸連 風間明専務理事から目録が贈られました。続いて、3位から1位までの選手がアナウンス。女子は有森裕子副会長から、男子は瀬古利彦副会長から、各選手に第106回日本選手権メダルと目録が授与され、さらに頂点に輝いた松田選手と其田選手には、シリーズⅡのチャンピオントロフィーが贈呈。表彰後、各選手がトップ8の座を得ての感想と挨拶を行いました(上位3選手のコメントは、別記をご参照ください)。


【JMCシリーズⅡ 上位8選手】

<男子>
1位 其田 健也(JR東日本) 2647ポイント
2位 大塚 祥平(九電工) 2594ポイント
3位 細谷 恭平(黒崎播磨) 2584ポイント
4位 聞谷 賢人(トヨタ紡織) 2560ポイント
5位 市山 翼(小森コーポレーション)2553ポイント
6位 井上 大仁(三菱重工) 2501ポイント
7位 赤﨑 暁(九電工) 2501ポイント
8位 定方 俊樹(三菱重工) 2492ポイント


<女子>
1位 松田 瑞生(ダイハツ) 2580ポイント
2位 安藤 友香(ワコール) 2552ポイント
3位 細田 あい(エディオン) 2499ポイント
4位 上杉 真穂(スターツ) 2493ポイント
5位 阿部 有香里(京セラ) 2406ポイント
6位 松下 菜摘(天満屋) 2400ポイント
7位 池田 千晴(日立) 2387ポイント
8位 川内 理江(大塚製薬) 2351ポイント



続いて行われたのが特別発表です。シリーズⅡおよび第2期のJMCシリーズの各大会を、「シリーズⅡ G1大会完全制覇部門」「シリーズⅡ G1~G3完全制覇部門」「シリーズⅡ 最多出場数部門」「第2期最速タイム部門(男女トップ3)」「第2期初マラソン最速タイム部門(男女トップ3)」「第2期学生マラソン最速タイム部門(男女トップ3)」の6部門に分け、トップアスリートから市民ランナーまでを対象に、素晴らしい成果を残した選手を紹介。その活躍が称えられました(https://www.jaaf.or.jp/news/article/17677/)。

また、4月23日の長野マラソンから開幕する第3期に関する概要説明も行われました。2023年4月から2024年3月に該当する第3期には、10月15日にパリオリンピックの代表選考レースとなるマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)が開催されるほか、2025年に東京での開催が決まった世界選手権の代表選考争いにつながるJMCシリーズⅣもスタートする重要な期間。日本陸連ロードランニングコミッションの瀬古リーダーと、河野匡ディレクターが、JMCシリーズにおける第3期の位置づけ、第2期と第3期で構成されるシリーズⅢに関する概要を説明しました(https://www.jaaf.or.jp/news/article/17675/)。また、“最も強い選手”を求めて、ペースメーカーなしの一発勝負として行われるMGCで確定するパリオリンピックの代表2枠(男女上位2選手)が決まったのちに、“最速”を求めて残り1枠を巡る争いが繰り広げられるMGCファイナルチャレンジの指定大会も公表(https://www.jaaf.or.jp/news/article/17676/)されました。

男女上位3選手への記者会見を挟んで行われたのちには、第3部として、ファンとの交流会が実施されました。抽選により招待を受けたファン26名は、表彰式や記者会見を最前列で観覧したあと、其田、大塚、細谷の男子3選手および松田、安藤、細田の女子3選手に瀬古リーダーの7名と、選手を身近に感じる配置の座席につき、交流会はスタート。アワード全体のMCを務めた「日本一走るアナウンサー」の長谷川朋加さんが、瀬古リーダーと絶妙な掛け合いを見せながら、ここでも質疑応答をコーディネートしました。話題は、“勝負メシ”から“メンタル”、“使用するシューズ”と多岐にわたるものに。選手たちもユーモアにあふれるコメントを返したり、時には大爆笑が起こったりと、なごやかな空気のなか、ファンとの交流を楽しんでいました。


【JMCシリーズ「シリーズⅡ」男女上位選手コメント】

<男子>

1位 其田健也(JR東日本) ※ブダペスト世界選手権日本代表


JMCチャンピオンとして、このような大きな舞台に立てて大変嬉しく思う。シリーズチャンピオンになったけれど、これを取ったからといって何も変わることはない。今まで通り、真摯に、謙虚に、競技に打ち込んでいきたい。
シリーズチャンピオンについては、途中から意識し始めた。実際に走って、しっかり結果を残すことができて、非常に嬉しく思っている。ただ、出た大会でトップやタイムを狙うというのが自分のスタンスなので、JMCシリーズだからといって、特別なことはしていない。これからのMGCや世界選手権でも変わらず自分のスタンスで、1つでも上の順位を狙っていきたい。
世界選手権とMGCと、2レースに出るので、まずは世界選手権でできるだけ勝負しつつ、ダメージを残さないための脚つくりをしていかなければならないと思っている。5月から合宿に入ることは、コーチとも相談済み。そこで走り込んで、しっかり準備していきたい。
(世界選手権とMGCの両方への出場を選んだ理由を問われて)まず、MGCは大きな大会だし、みんなそこにフォーカスするとは思うが、本当に大事なのはその先のオリンピックであって、MGCは、あくまでそこを通過して、パリオリンピックで勝負することが一番大事。今の私の力を考えたときに、パリオリンピックに出たとしても勝負できないとわかっていたので、まずは、世界選手権で経験を積み、入賞であったりメダル争いをしたりすることが、パリに出たとき結果につながると考えた。世界選手権のあと、1カ月少々しかないが、そこは特に考えていない。今、自分自身が強くなれる道を選んだ結果が、これ(両方とも出ること)だった。
(ラスト2~3kmで突き放された)東京マラソンで感じたことだが、世界選手権で入賞やメダル争いするためには、ラストの切り替えというのは絶対に必要になってくると思っている。今後の練習では、走り込むだけではなく、ラストの切り替えについても、しっかり課題を持って取り組んでいきたい。

2位 大塚祥平(九電工)


昨年は3位に入って、今年はさらに上の順位を狙っていたので、結果的に2位になれて、素直に嬉しい。この結果に満足せず、より自分自身をレベルアップできるよう、もっと上を目指して頑張っていきたい。
JMCシリーズⅡのレースでは、前回の大阪マラソンで、勝負に対するレース運びや勝負所での勝負ができなかったことが反省点。次のMGCは、順位が大事なレースとなる。その感覚を高めるともに、もちろん実力もつけていかなければならないと思っている。
MGCに関しては、ほかのマラソンレースと違い、ペースメーカーのいない、順位を意識したレースとなるので、その勝負所で、しっかり勝負することが大切となる。マラソン練習に入るまでには、まだ少し期間があるので、まずはトラックシーズンをいい形で迎えて、マラソンに向けていいスタートを切りたい。

3位 細谷恭平(黒崎播磨)


昨シーズンは2番、今シーズン3番と、順位を落としてしまって悔しい思いはあるが、JMCシリーズⅡを終えて、新しく特に思ったことはないものの、シリーズを通して、各大会で自分の目的を持って、いろいろとトライをしてくることはできた。一選手としては、この1年で成長できたのではないかと思うし、MGCに向けて、いいシリーズだったのではないかと考えている。
MGCは、順位を取れば代表になれる、わかりやすい大会。しっかりそこで、(五輪)代表権を獲得できるよう、全力で取り組んでいきたい。まずは、直近からトラックレースに入っていく予定。スピード強化から段階的に進めていくつもりでいる。


<女子>

1位 松田瑞生(ダイハツ) ※ブダペスト世界選手権日本代表


昨年は2位という結果だったので、今回、優勝という結果を残すことができて、素直に嬉しく思う。
今後は、選出していただいたブダペスト世界選手権でマラソンを1本走り、その後、なか2カ月切る難しいスケジュールにはなるが、10月のMGCにも出場する予定でいる。(両レースとも出場することを決めた理由は)世界選手権とオリンピックを並べたときに、賞金のかかる世界選手権はアフリカ勢が牽制しあうイメージがなく、そういう面で世界トップレベルと戦う機会が今回もらえたことは、自分にとって大きな経験になると思った。そのあとのレースを考えるよりも、今、近くにあるレースでしっかり結果を残すことを考え、世界選手権で勝負したいと思った。
山中(美和子)監督からは、最初はMGC1本でと言われたが、私自身が挑戦する姿を応援してくださる皆さんに見せたいという思いが強く、最後まで挑戦して後悔のない競技人生を終えたいと思っている私の気持ちを監督が尊重してくださった。
オレゴン世界選手権(9位)では、オーバーワークで、調整不足でもあったので、今回は、それをリベンジという思いがある。結果はどうなるかわからないが、しっかり練習を積んで、ベストのコンディションでスタートラインに立って、しっかり走りきりたい。また、MGCでは、優勝してオリンピックの出場権を獲得できたら最高だと思っている。

2位 安藤友香(ワコール)


初めてこの賞を取ることができて、すごく嬉しい気持ちでいる。周りの方に支えられて、こうした賞を取ることができたので、これからも感謝を忘れずに、日々努力していきたい。
今後は、まずは4月に、いくつかのトラックレースを走って、スピードのキレを戻したいと考えている。その後は、MGCに向けて、本格的な合宿に入っていく予定でいる。
MGCは、日本のトップランナーが集まるレースなので、本当に熾烈な戦いになると思うが、自分の持てる力を全部発揮して後悔なく終われるように、そしてオリンピックの代表を取れるように、今から最善の準備をして、本番に臨めるように頑張りたい。

3位 細田あい(エディオン)


このような賞をとることができ嬉しく思う。また、マラソンの日本選手権で3位になれたことが、とても嬉しい。
今後の予定は、確定はしていないが、今のところは日本選手権の5000mでもう一度スピードの強化を図りたいと思っている。また、まだハーフマラソンを走ったことがないが、MGCまでにハーフマラソンのレースがあれば出場して、MGCへつなげていきたいと考えている。
私自身、とてもケガが多いが、ケガなく練習できたときは結果が出ている。まずはケガなく練習を積んで、自分の力を出しきれる準備をして、MGC(のスタートライン)に立ちたい。また、そのMGCで、2枠に入って、オリンピックの代表権を勝ちとれるように頑張っていきたい。

※各選手のコメントは、JMCシリーズアワードにおける受賞後スピーチおよび記者会見で出た発言をまとめる形で構成しています。

文:児玉育美(JAAFメディアチーム)
クレジット:アフロスポーツ、JAAF


■JMCアワードライブ配信

■JMCシリーズとは?シリーズの概要やポイントの説明はこちら
https://www.jaaf.or.jp/jmc-series/outline/

■【ブダペスト2023世界選手権】マラソン日本代表選手について
https://www.jaaf.or.jp/news/article/17663/

■【杭州2022アジア競技大会】マラソン日本代表選手内定について
https://www.jaaf.or.jp/news/article/17662/

■【MGCへの道】MGC出場権獲得者(ファイナリスト)一覧
https://www.mgc42195.jp/news/article/15748/

関連選手

JAAF Official Partner

  • アシックス

JAAF Official Sponsors

  • 大塚製薬
  • 日本航空株式会社
  • 株式会社ニシ・スポーツ
  • 積水化学工業株式会社

JAAF Official Supporting companies

  • 株式会社シミズオクト
  • 株式会社セレスポ
  • 近畿日本ツーリスト株式会社
  • JTB
  • 東武トップツアーズ株式会社
  • 日東電工株式会社
  • 伊藤超短波株式会社

PR Partner

  • 株式会社 PR TIMES
  • ハイパフォーマンススポーツセンター
  • JAPAN SPORT COUNCIL 日本スポーツ振興センター
  • スポーツ応援サイトGROWING by スポーツくじ(toto・BIG)
  • 公益財団法人 日本体育協会
  • フェアプレイで日本を元気に|日本体育協会
  • 日本アンチ・ドーピング機構
  • JSCとの個人情報の共同利用について