2021.12.10(金)イベント

【日本陸連 アスレティックス・アワード2021】レポート&受賞者コメント~感謝の想い、2022年に向けたそれぞれの抱負を語る~



日本陸連は12月9日、東京都内のホテルにおいて、「日本陸連アスレティックス・アワード2021」を開催し、活躍が最も顕著であった競技者に贈られるアスリート・オブ・ザ・イヤーをはじめとする各賞の受賞者を発表。表彰を行いました。

日本陸連アスレティックス・アワードは、大阪で世界選手権が開催された2007年から始まり、今回で15回目を迎えます。昨年は、新型コロナウイルス感染症(COVID‑19)の拡大を防ぐべく、オンラインにおいて発表・表彰する形式で行いましたが、今回は、さまざまな面で感染拡大防止策をとったうえで、2年ぶりにリアルで行うことに。例年併催しているレセプションは実施せず、表彰式のみを行う形となりましたが、ドレスアップした受賞アスリートたちが、家族やチーム関係者も見守るなか、スポットライトを浴びて、その功績が称えられる華やかな場面が実現しました。

アワードには7名の高校生で結成された「7C-Teensプロジェクト(この夏、大会運営について学び、考える場として企画され、日本選手権バックヤードツアー やオンラインミーティングなど約3カ月にわたり活動した)」のメンバーも、出席が可能だった6名が参加。競技会とは異なる輝きを見せたアスリートたちを見守りました。

今年、最も著しい活躍をみせた競技者に贈られるアスリート・オブ・ザ・イヤーには、東京オリンピック男子 20km 競歩において日本人初の銀メダルを獲得した池田向希選手(旭化成)が選出。記念のトロフィーおよび副賞のほか、ワールドアスレティックス(WA:世界陸上競技連盟)のセバスチャン・コー会長から届いた祝福メッセージの盾が授与されました。

優秀な成績を収めた競技者に贈られる優秀選手賞は、男子20km競歩の山西利和(愛知製鋼)、女子1500mの田中希実(豊田自動織機TC)、男子3000m障害物の三浦龍司(順天堂大学)、男子マラソンの鈴木健吾(富士通)の4選手が受賞。また、顕著な活躍を見せ、将来が期待される競技者に贈られる新人賞には、男子110mハードルの泉谷駿介選手(順天堂大学)と女子マラソンの一山麻緒選手(ワコール)が東京運動記者クラブから、男子中・長距離の佐藤圭汰選手(洛南高校・京都)と女子ハンマー投の村上来花選手(弘前実業高校・青森 ※アワードは欠席)が日本陸連からそれぞれ選出され、出席した泉谷、一山、佐藤の3選手が表彰されました。

陸上競技を通じた活動が広く社会に対して貢献したと認められた個人や団体に贈られる特別賞には、12月5日の行われた第75回大会で幕を閉じた福岡国際マラソンの運営を担って、日本マラソン界の普及・発展に寄与してきた株式会社朝日新聞社と、東京パラリンピック陸上競技においてT52クラス男子400m・1500mの2種目にパラリンピックレコードを樹立して優勝を果たした佐藤友祈選手(モリサワ)が受賞しました。
各賞の受賞理由は、公式サイト( https://www.jaaf.or.jp/award/2021/ )においても、詳しく紹介していますので、ご参照ください。

また、この日は、同時に、サトウ食品日本グランプリシリーズ シリーズチャンピオンの表彰も行われ、男女各シリーズチャンピオンに輝いた金井大旺選手(ミズノ、110mハードル)、寺田明日香選手(ジャパンクリエイト、100mハードル)が表彰されました。このほか、東京オリンピック入賞者に贈られる報奨金の授与式も行われ、同大会においてメダル獲得および入賞を果たした池田選手、山西選手、橋岡優輝選手(富士通、男子走幅跳)、川野将虎選手(旭化成、男子50km競歩)、大迫傑選手(Nike、男子マラソン)、三浦選手、田中選手、一山選手、廣中璃梨佳選手(日本郵政グループ、女子10000m。アワードは欠席)の9名が紹介され、出席した8名が登壇。プレゼンターとして招かれた、男子ハンマー投のオリンピック金メダリストで、現在、スポーツ庁長官として活躍する室伏広治さんから、報奨金パネルが、選手を代表して池田選手に授与されました。
受賞した各氏のコメントは、以下の通りです。


【受賞者コメント】

◎アスリートオブザイヤー

池田向希(旭化成)


「本日は、この名誉ある賞をいただき、大変光栄に思います。この賞を受賞できたのも、周りの方々の支えがあってからこそのことだと思っています。日本陸上競技連盟をはじめ、協賛企業の皆さま、スポンサーの皆さま、また、大会運営に携わってくださっている皆さまのご尽力があったからこそ、私たち選手は競技が行えています。また、私個人においては、日々ご指導をいただいている酒井瑞穂コーチ、大学卒業後も活動拠点として認めていただいている東洋大学陸上部、また東洋大学関係者の皆さま、そして、競技に支障が出ないように、日々、多々、配慮をしてくだっている所属の旭化成の皆さまに、心より感謝申し上げます。
この賞について、少しお話をさせていただきます。2年前に競歩の鈴木雄介選手(富士通)がこの賞を受賞されたとき、私は、会場で拝見していて、“私も、陸上人生のなかで、いつかこの賞を受賞したい”というのが一つ、大きな目標になりました。“きっとこの賞を受賞できたときは、満足のいく結果が出せたときなんだろうな”と、勝手に未来を想像していました。実際に本日、この賞をいただきましたが、この1年の結果を振り返って100%満足できたかいうと、そこまでは至らなかったなと思っています。それはまだまだ、競技力の面はそうですし、一人間としても、もっともっと成長できると思ったからです。なので、今回、この賞をいただいたことを一つの糧にして、この賞の名に恥じぬように、今後も精進していきたいと思っています。そして、この賞をまた受賞できるように、欲を言えば、来年もこの賞を受賞できるように、日々励んでいきたいと思います。また、競技を通じて、日本陸上界のますますの発展に、少しでも貢献できればと思っています。本日は本当にありがとうございました。」


◎優秀選手賞

山西利和(愛知製鋼)


「本日は、このような賞をいただきまして、ありがとうございました。また、東京オリンピックに至るまでの間、ご支援、サポートをいただきました皆さまにも、この場を借りて御礼を申し上げます。本当にありがとうございました。東京オリンピックではおかげさまで銅メダルを獲得することができました。金メダルを目指した以上、悔しい結果ではあるのですが、また来年の世界選手権、再来年の世界選手権、そして2024年パリオリンピックで続けられるように精進してまいりますので、今後ともよろしくお願いします。今日はありがとうございました。」


田中希実(豊田自動織機 TC)


「このアワードは、昨年度はオンラインでの開催になったのですが、このたびは、このように皆さんに見ていただいたなかで、ありがたい賞をいただき、大変光栄に思います。少し緊張はしているのですが、皆さんに実際に見ていただいたことで、“これからも頑張ろう”という気持ちに改めてなりました。
昨年度からのコロナ禍のなかで、一つ一つできることをしていくことが選手にとっては重要だったのですが、そういう気持ちに寄り添って、“一つ一つできることを”と、陸連の関係者の皆さまが大会を開催してくださり、また、身近にいる方々も常に支えてしてくださいました。そのおかげで、今の自分があるというふうに思っています。そのような積み重ねをしたからこそ、オリンピックでのびのびと楽しんで走って、成績を出すことができたわけですが、しっかりとオリンピックで走ることができたことによって、たくさんの方が喜んでくださって、“自分の走りでも勇気を与えることができるんだ”ということを自分で改めて感じることができ、自分自身も勇気をもらえました。今後、私自身の競技力だけじゃなくて、“たくさんの方に勇気を持ってもらえるような走りを”ということを意識しながら、また、楽しむ気持ちも忘れずに頑張っていきたいと思います。このたびは、本当にありがとうございました。」


三浦龍司(順天堂大学)


「本日は、このような賞をいただくことができて、嬉しく思っております。この賞をいただくことができたのも、日ごろ、支えてくださっている方々のおかげだと思っています。自分が取り組んでいる3000m障害物という競技は、まだまだマイナースポーツと言われています。レベルの向上とともに、一般の方々や陸上のファンの方々に、もっともっと関心をもってもらえるように、自分の走りで3000m障害物という競技に貢献できればいいかなと思っています。
また、そのなかで来年の世界陸上などで国際大会の経験を積んでいって、自分の目標であるパリオリンピック金メダルというところまで目指していきたいと思います。本日はありがとうございました。」


・鈴木健吾(富士通)


「本日は、このような賞をいただき、大変光栄に思いますが、東京オリンピックで活躍した選手のなかで、私が選ばれるということに少し恐縮しています。これからはしっかりと世界選手権、オリンピックで日の丸をつけて、世界と戦えるように頑張っていきたいと思っています。今後ともよろしくお願いします。ありがとうございました。」


◎新人賞

泉谷駿介(順天堂大学) ※東京運動記者クラブ選出(男子)


「このような素晴らしい舞台で、このような賞をいただけたことを、大変に光栄に思います。ありがとうございます。この結果は、自分にかかわってくださったすべての皆さまのおかげだと思っています。今後も、この結果に満足せず、努力して頑張っていきます。ありがとうございました。」


一山麻緒(ワコール) ※東京運動記者クラブ選出(女子)


「今回、新人賞をいただいて、“なんで私が新人賞なのかな”と、ちょっと疑問に思ったのですが、今、アナウンスでもあったように、“今後の活躍が期待される選手”ということで、選んでいただいて本当に感謝しています。これからも、もっと強くなれるように頑張っていきたいと思います。今日はありがとうございました。」


・佐藤圭汰(洛南高校・京都) ※日本陸連選出(男子)


「本日は、このような賞をいただき、ありがとうございました。今年度は、1500m、3000m、5000mで高校新記録を更新するという目標を達成できました。来年以降は、さらに目標をレベルアップし、世界陸上やオリンピックで活躍できる選手になれるよう頑張っていきたいと思います。本日はありがとうございました。」


・村上来花(弘前実業高校・青森) ※日本陸連選出(女子)


「このたびは、新人賞という名誉ある賞をいただけることができ、大変嬉しく思います。今年度は、日本高校記録の更新、日本選手権の表彰台、インターハイの優勝など、すべての目標を達成することができました。残念ながら出場は叶いませんでしたが、世界ジュニア選手権(注:U20世界選手権。コロナ禍の影響により、日本は代表決定後に派遣を中止した)日本代表にも選ばれ、新たな経験を積むことができた年にもなりました。これはコロナ禍でも大会を開催していただいたすべての関係者の方々のおかげです。本当にありがとうございました。来年度からは大学生となり、一段と高いレベルの舞台で競うことなります。これからも日々の努力を怠らず、楽しく競技を続けていきたいと思っています。」(欠席のためビデオメッセージでのコメント)


◎特別賞

・株式会社朝日新聞社


「今日は、名誉ある賞を、本当にありがとうございます。福岡国際マラソンは、つい先日、ラストランとして、第75回大会を終えました。(紹介)映像にもありましたように、これまで多くのトップランナーが、福岡の街を駆け抜けてくださいました。2回の世界最高記録が出ましたし、昨年は“世界陸上遺産”(注:ヘリテージプラーク;WAが陸上競技の発展に貢献した功績を称えて認定している。全体でも認定数は少なく、マラソン大会としては4件目の認定であった)にも選ばれました。区切りをつけざるを得なかったことは大変残念で、心苦しく思っていますが、大会の一つの目的であった日本選手の実力の向上には貢献できたと思っております。これは、福岡の地元の皆さま、参加いただいた選手の皆さま、日本陸上界の皆さまに支えられて、ここまでこられたと思っております。今後、日本陸上界の皆さまの発展、ここにいらっしゃる選手の皆さまのご活躍を祈念して、私のご挨拶とさせていただきます。どうもありがとうございました。」(朝日新聞社取締役オリンピックパラリンピック・スポーツ戦略担当・堀越礼子氏コメント)


・佐藤友祈(モリサワ)


「本日は、このような名誉ある賞を受賞させていただきまして、誠にありがとうございます。東京2020オリンピックパラリンピック競技大会も、皆さまのサポートのおかげで、1選手として舞台に立ってメダルを獲得することができました。非常に嬉しいことですし、また次のパリ大会、ロス大会に向けて、励みになるものとなりました。東京大会では、世界記録更新と金メダル獲得という目標を2種目で掲げていましたが、(世界記録更新は)達成できなかったので、次のパリ大会では必ず世界記録の更新をして、金メダルを獲得します。引き続き、パラスポーツもよろしくお願いいたします。」


◎サトウ食品日本グランプリシリーズ シリーズチャンピオン

男子:金井大旺(ミズノ)


「今回、このような光栄な賞をいただき、とても嬉しく思います。僕は小学校3年生から陸上競技を始めて、今年、2021年まで計18年間の陸上競技人生を無事に終えることができました。自分の力だけでなく、周りのサポートのもとでこのような賞もいただきましたし、本当に幸せな競技人生でした。関わってくださったすべての方々に感謝いたします。ありがとうございました」


女子:寺田明日香(ジャパンクリエイト)


「本年のようなオリンピックシーズンのグランプリシリーズで年間チャンピオンをいただき、とても光栄に思っています。陸上競技に復帰してから、たくさんの方々に支えていただきました。特に今年の4月の織田記念陸上では、日本記録を出した際に、娘と一緒にタイマーの前で写真を撮らせていただき、また表彰式も一緒に出席させていただきました。子どもと一緒に表彰していただくことは、なかなかない機会でしたので、大変嬉しく思いました。これもひとえに、本当にたくさんの方々にご尽力をいただき、コロナ対策で難しいなか大会を開催していただいたおかげだと思っております。来年以降も引き続き競技を頑張ってまいりますので、どうぞ応援のほど、よろしくお願いいたします。本日はありがとうございました。」


◎東京オリンピック入賞報奨金授与者

・橋岡優輝(富士通)


「今回、東京オリンピック入賞に対して報奨金という形で表彰していただきましたが、表彰の際には、“池田くん(向希、銀メダル獲得)の1000万(円)、いいなあ。僕も頑張ろう”と思いました。東京オリンピックは、コロナ禍というかなり難しいなかでの開催となりましたが、今後、自分自身がどういうふうに行動していくか重要になってくると感じたし、やはり“観客がいる試合をやりたいな”と感じた大会でした。そういったなかで、しっかりと自分が成績を残せるように準備しなければいけないなと思ったので、東京オリンピックを経たことで、今後、よりいっそう応援してくださる方々に何か反映できるようになりたいと感じました。」


・大迫傑(Nike)


「(オリンピック)入賞ということで表彰されたというのは、あとからついてきたものなので、そこに対して改めて思うことというのは少ないのですが、この1年半…、オリンピックが延期してからもそうですし、また、僕がアメリカに行ってからのところが出しきれたという形で報われたことは、非常に大きなことだったな、嬉しいことだったなと思います。
東京オリンピックで得たこととしては、1年の延期によって、より広い視野で、陸上スポーツというものを知ることができたのが大きいと思っていて、それが僕自身の今の活動に生きています。次世代のアスリートだけでなく、子どもたち、そして、それだけでなくて大人たちに対しても、僕らが学んできたこと…アスリートとしての知見などを、しっかりと還元していくような活動を、今後、していきたいなと思います。」


・川野将虎(旭化成)


「まず、このコロナ禍のなか、(オリンピックを)開催できるように尽力してくださった関係者の方々や医療従事者の方々がいなければ、スタートラインに立つことができていませんでした。そういった方々に対して、そして、所属先の旭化成、現在も練習の拠点にしている東洋大学や指導してくださっている酒井瑞穂コーチに、感謝の気持ちでいっぱいです。また、今回、50km競歩がオリンピックで開催されるのは最後ということでは、今まで50km競歩の伝統を繋いでくださった東洋大学OBで、現在は競歩のオリンピック強化コーチでいらっしゃる今村文男コーチ(強化委員会シニアディレクター)や、50km競歩で前回の東京オリンピックに(1964年)に出場された旭化成の三輪寿美雄さんなど、たくさんの方々が支えてきてくださったものを、今回の東京大会で入賞という形で繋ぐことができ、本当によかったです。
今回のオリンピックは、緊張の影響もあって、アクシデントもありましたが、そういったことを反省として今後の糧にして、また頑張っていきたいと思っています。」

※各受賞者のコメントは、日本陸連アスレティックス・アワード2021においてスピーチを行ったアスリートについては、会場でのスピーチ内容をまとめました。また、東京オリンピック入賞報奨金授与者として記載した橋岡、大迫、川野の3選手については、アワード終了後に実施した記者会見におけるコメントをまとめています。


文:児玉育美(JAAFメディアチーム)
写真:フォート・キシモト



■アスレティックス・アワード2021特設サイト
https://www.jaaf.or.jp/award/2021/

■アスレティックス・アワード2021 受賞者発表~アスリート・オブ・ザ・イヤーは東京五輪 銀メダリスト池田に決定!~
https://www.jaaf.or.jp/news/article/15674/

■アスレティックス・アワード2021 ライブ配信アーカイブはこちら
https://youtu.be/3guIJnE0Lb0

■【JAAFファン投票2021】~共に歩んだ感謝の1年~あなたが選ぶ2021年のナンバーワンは!?
https://www.jaaf.or.jp/news/article/15626/
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