2019.06.26(水)その他

【記録と数字で楽しむ第103回日本選手権】男子フィールド編(跳躍)





このページでは、第103回日本選手権の記録や数字に関しての少々(かなり?)マニアックな「みどころ」などを紹介します。なお、過去に紹介したものと重複している内容も含まれていることをお断りします。記録は6月21判明分。※6月25日に欠場者がリリースされました。

【走高跳】

★筑波大関係者が5連勝中で、今回も戸邉直人vs衛藤昂の対決

2005年から17年までの13年間、東海大と筑波大の関係者(現役生or卒業生)のいずれかが優勝している(東海大関係者7回、筑波大関係者6回)が、14年からは筑波大関係者が5連勝中。筑波大大学院出身の衛藤昂(味の素AGF)が3連勝中でこの種目での連勝記録では歴代4位タイ。今回4連勝となればトップタイとなる(3人が並んでいる)。優勝回数の4回は歴代6位タイで、5回目となれば4位タイになる。室内で2m35の日本新記録をマークした同じく筑波大出身の戸邉直人(JAL)が制すれば、11年・15年に続き3度目のタイトル獲得となる。

★2019年屋外世界最高なるか?

室内シーズンは、戸邉の2m35が「2019年世界最高」。6月21日時点での屋外の「2019年世界最高」は、2m31で5人が並んでいる。日本選手権の走高跳が行われる6月27日までにこれを上回る記録が生まれる可能性があるが、そのままであれば2m31以上で「2019年屋外世界最高」となり、室内も屋外も日本人選手がトップに名を連ねることになる。

★戸邉直人と衛藤昂の対戦成績

・決勝に限る
年月日大会名戸邉直人vs衛藤昂
2010.04.25選抜和歌山4)2.15〇●6)2.10
2010.06.06日本選手権5)2.15〇●6)2.10
2010.09.12日本学生2)2.16引き分け2)2.16
2011.04.24選抜和歌山3)2.15○●5)2.15
2011.05.29埼玉県記録会6)2.05●○2)2.10
2011.06.12日本選手権1)2.22○●2)2.19
2011.07.09アジア選手権5)2.21●○4)2.24
2011.09.11日本学生5)2.13●○1)2.22
2012.01.24オストラバ6)2.15○●11)2.10
2012.01.28フストパチェ4)2.14○●12)2.05
2012.04.22兵庫リレー1)2.16○●2)2.16
2012.05.04水戸国際1)2.20○●2)2.15
2012.06.10日本選手権4)2.15●○2)2.20
2012.09.10日本学生1)2.22○●3)2.19
2012.10.06国体2)2.21○●9)2.09
2013.04.28選抜和歌山2)2.20○●3)2.10
2013.06.09日本選手権2)2.20引き分け2)2.20
2013.09.08日本学生1)2.28○●2)2.25
2013.10.06国体3)2.24●○1)2.27
2014.01.27オストラバ4)2.20○●11)2.15
2014.04.27選抜和歌山1)2.19○●2)2.16
2014.05.11GGP東京3)2.31○●4)2.28
2014.06.08日本選手権3)2.20●○1)2.23
2014.09.29アジア大会5)2.25○●11)2.15
2014.10.20国体2)2.21○●3)2.21
2015.05.10GGP川崎5)2.20●○3)2.28
2015.06.27日本選手権1)2.26○●2)2.26
2016.06.26日本選手権6)2.20●○1)2.29
2017.05.03静岡国際3)2.20●○1)2.25
2017.05.21GGP川崎4)2.25●○2)2.30
2017.06.25日本選手権3)2.20●○1)2.25
2017.07.01パリ記録なし●○1)2.25
2017.07.04ギュライ記念4)2.26○●8)2.20
2017.10.07国体2)2.19●○1)2.22
2018.05.03静岡国際1)2.28○●3)2.20
2018.05.20GGP大阪1)2.30○●4)2.25
2018.06.24日本選手権2)2.20●○1)2.25
2018.08.27アジア大会3)2.24○●6)2.24
2019.04.24アジア選手権3)2.26●○2)2.29
2019.05.19GGP大阪1)2.27○●2)2.24
2019.06.06ローマ11)2.15●○9)2.19
   23勝17勝 
   2引き分け 


トータルでは、42回対戦し、戸邉が「23勝17敗2分け」と勝ち越し、自己ベストでも戸邉が5cm差をつけている。が、このところは、「勝ったり負けたり」を交互に繰り返している。日本選手権に限ると2010年から9回対戦し、戸邉の「3勝5敗1分け」だ。

引き分けの2試合を含めて、7試合が「同記録」で「試技内容の差」で順位がついたものが5試合。2人の競り合いで今後もどんどん記録を伸ばしていってもらいたい。

★高張広海が12年連続入賞を継続中

東海大出身の高張広海選手(日立ICT)は、2007年から18年まで12年連続入賞を継続中。17年は5人が8位タイで並ぶ中の「8位入賞」、18年は3位タイが3人だった。なお、高張は、10年に初優勝し、12・13年は連覇している。この種目でのトータル入賞回数では歴代2位タイ、今回も入賞すればトップの杉岡邦由さんにあと1回と迫る。連続入賞ではすでにトップに立っている(1位3回、2位1回、3位3回、4・5位が各2回、8位が1回)。


★日本選手権での「順位別最高記録」

・2位以下に同順位が複数いる場合は、実質的に「*番目」で示した
1)2.332006年
2)2.262015年
3)2.241990年
4)2.211995・1996・1998年
5)2.202016年/2.21 1991年=外国人が1・2位の試合
6)2.202016・2018年
7)2.202016年
8)2.161995年


【棒高跳】

★5m60以上のベストを持つ7人が激突

5m60以上をクリアしたことがある歴代10人のうち現役の7人が激突する。3年前の2016年は、澤野大地(富士通)、荻田大樹(ミズノ)、山本聖途(トヨタ自動車)が揃って5m60をクリアし、試技内容で澤野が優勝、荻田と山本が2位で並んだ。同一競技会で5m60を日本人3人がクリアしたのは、すべての競技会を含めて史上初だった。17・18年は、山本が連覇を飾り4度目の優勝(12・13年。17・18年)。

これに5m65のジュニア(U20)記録を保持する江島雅紀(日大。高校記録、U18記録も保持)、17年に5m60を跳んだ鈴木康太(日体大大学院)、18年に「5m60ボウルター」となった竹川倖生(法大)と松澤ジアン成治(新潟アルビレックスRC)も加わり役者は揃っている。5m61以上を3人、5m60以上を4人がクリアすれば、史上最高のハイレベルな「空中戦」となる。

★38歳、31歳、27歳、23歳、21歳、20歳の対決を制するのは?

1999年からの優勝回数が11回でこの種目で歴代最多優勝の38歳の澤野(80年9月16日生まれ)が優勝すればその記録をさらに伸ばすことになる(2位は沢田文吉さんの9回/1942~54年)。31歳の荻田(87年12月30日生まれ)ならば15年に続き2回目。27歳の山本(1992年3月11日生まれ)ならば、12・13・17・18年に続き5回目、自身初の3連覇となる。山本と同じ27歳の松澤(92年1月6日生まれ)、23歳の鈴木(95年12月18日生まれ)、21歳の竹川(97年12月16日生まれ)、20歳の江島(1999年3月6日生まれ)ならばいずれも初優勝。、なお、澤野が大学1年生で初優勝したのが99年10月3日。その時、江島選手は生後6カ月と27日めだった。

★澤野の入賞回数

澤野は、1999年の初優勝から2018年までの20年間で15回入賞している。これはこの種目での入賞回数のトップ。しかも、優勝11回に2位が3回、3位が1回というのだから恐れ入る。歴代2位は、81年から96年の16年間で12回入賞の橋岡利行さん(1位7回、3位1回、5位4回)。42年から戦争をはさんで56年までの15年間で11回入賞の沢田文吉さんが歴代3位(1位9回、2・5位が1回ずつ)。沢田さんについては、戦争による41年と43年から45年の中止がなければ、優勝回数や入賞回数もさらに上積みできていたことだろう。


★日本選手権での「順位別最高記録」

・2位以下に同順位が複数いる場合は、実質的に「*番目」で示した
1)5.802004年/5.80 1990年=外国人
2)5.602013・2016年/5.70 1990年=外国人が1・2位
3)5.602016年
4)5.502016年
5)5.402016・2017年
6)5.402016・2017年
7)5.402017年
8)5.402017年


【走幅跳】

★橋岡優輝、3連覇&父母に続き日本新なるか!?

橋岡優輝(日大)が3連覇に挑む。
1999年1月23日生まれで、初優勝した2017年の試合当日(6月24日)は18歳5か月と1日。8m05の「U20歴代4位」で制した。この種目における18歳での優勝は、日大の先輩で、橋岡を指導している90年に優勝した日本記録(8m25)保持者の森長正樹さん(1972年3月27日生まれ。18歳3か月と26日で初優勝。計3回優勝/1990~2000年)以来27年ぶりのことだった。

橋岡は翌18年も8m09で連覇。父・利行さん(棒高跳で7回優勝/1985~94年。5連勝と2連勝が1回ずつ)、母・直美さん(旧姓・城島。100mHで2回、三段跳で3回優勝/1991~96年。両種目とも1回ずつの2連勝)とともに親子3人での日本選手権連覇となった。

今年4月のアジア選手権で8m22を跳び日本記録にあと3cmと迫った橋岡が「日本新」となれば、父母子の3人揃っての「日本記録樹立」となる。父・利行さんは86年に5m55の日本新、母・直美さんは89年に100mHで13秒63の日本タイ、三段跳では93年に13m23の日本新、95年にも自身の記録と並ぶ日本タイをマークしている。


★津波響樹は、橋岡に今季2連勝。日本新のチャンスあり

5月のゴールデンGP、関東インカレで橋岡に2連勝している津波響樹(東洋大)も「日本新」は射程圏内。今季の公認ベストは、7m85だが関東インカレでは追風2.6mながら日本記録を上回る8m26の大ジャンプを披露し、すべて追風参考だったが6本中5本が8mオーバーというコンスタントな力をみせた。ひとつの試合での「8m超え5本」は、日本最高である。


★日本選手権での「順位別最高記録」

・走幅跳では、公認と追風参考に関わらず順位がつくので追参の記録も含めた
1)8.202004年
2)8.061988年
3)8.011994年
4)7.922018年
5)7.842008・2018年
6)7.79w2008年
7)7.78w2008年
8)7.70w1999年


【三段跳】

★山下航平、親子揃っての連覇達成に黄色信号?

2018年は16年リオ五輪の代表となった山下航平(ANA)が制して、日本記録(17m15/1986年)保持者で7回の優勝(85~96年。4連勝と2連勝も1回ずつ)を誇る父・訓史(のりふみ)さんに続く「親子チャンピオン」となった。日本歴代7位の16m85(16年)のベストを持ち、高校2年生の時から全国の舞台で活躍しながら、日本選手権にはなかなか縁がなく、17年の5位が唯一の入賞だった。今回は、父に続く連覇に挑むことになるが、今季は4月21日の15m78がベストで、本来より1mあまりも低い記録しか残っていない。どこまで立て直してくるか? だ。

なお、弟・潤(筑波大4年)も短距離で活躍し、18年は200mで3位に入賞し、日本陸連の「ダイヤモンドアスリート」の第一期生(14~16年)にも指定されていた。


★混戦を制するのは?

順大3・4年生だった2016・17年に2連覇を果たした山本凌雅(JAL)だが、山下と同じく今季の調子はいまひとつ。この種目での学生選手の連勝は1978年から80年に3連勝した中西正美さん(日体大)以来37年ぶりのことだった。それ以前の大学生の連勝は、25~29年に5連勝した日本人初の五輪金メダリストである織田幹雄さん(早大)まで遡らなければならなかった。が、18年は3位で3連勝ならず。今季も16m04(4月22日)が最高で、本来の力(16m87/2017年)ではない。

となると、16m43で今季のリストトップの山下祐樹(茨城陸協)、16m35で2位の藤内誠也(CORONAMENTO)が自己ベストを大きく伸ばし、やや優位といったところ。ただ、日本選手権では山下が17年12位・18年16位、藤内も18年17位という成績しか残っていないところが不安材料。

山下訓史さんが日本記録をマークしたのが1986年6月1日だから「三分の一世紀」にもなる。五輪・世界選手権で実施される種目では、男女を含めて最長寿の日本記録だ。

今回の出場者で最年長36歳の石川和義(長野吉田AC。82年11月6日生まれ。2005・08・14・15年の4回優勝、9回入賞)が「3歳6カ月」の頃。90年あまり前に五輪3連勝を果たし、「日本のお家芸」とまで言われた種目だけにかなり寂しい状況である。

山下航平、山本の復活とともに、山下祐樹や藤内のような「若い力」の出現を待ちたいところだ。


★36歳の石川和義が勝てば……

前回2位で36歳7カ月の石川がベテランの力を発揮して5回目のタイトルを獲得すれば、この種目での史上最年長優勝となる。現在の最年長チャンピオンは、小松隆志さん(1967年12月30日生まれ)で、34歳6カ月と9日だ。


★日本選手権での「順位別最高記録」

・三段跳では、公認と追風参考に関わらず順位がつくので追参の記録も含めた
1)17.151986年
2)16.64w1986年/16.77 1991年=外国人が1位の試合
3)16.491995年
4)16.242016年
5)16.232016年
6)16.122016年
7)16.03w2004年
8)15.932004年



野口純正(国際陸上競技統計者協会[ATFS]会員)
写真提供:フォート・キシモト

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