2019.06.18(火)大会

【第103回日本選手権】展望:男女800m・1500m




◎男女800m

男子800mは、日本記録保持者(1分45秒75)の川元奨(スズキ浜松AC)に7連覇がかかる。今年は2月、3月に海外で2レース走ったが、アジア選手権は左ヒラメ筋の肉離れで出場を辞退。GGPで国内初戦に臨み1分48秒00ながら日本人トップ(6位)でレースに復帰している。また、1500mの日本記録(3分37秒42)チャレンジを銘打って行われた6月1日の日本体育大記録会では、ペースメーカーを務めて、力がなければできない800~1200mの区間を引っ張る好走で日本歴代3位・3分38秒12の誕生に貢献した。不測のアクシデントがない限りは、本番にはぴったり合わせてくることだろう。あとは、世界選手権標準記録(1分45秒80)の水準まで引き上げることができるかどうかになりそうだ。





その川元を追うのは、昨年のアジア大会、今年のアジア選手権にも出場している村島匠(福井県スポ協)。昨年は1分47秒01の自己記録をマークした静岡国際を今年も制しているが、記録はその静岡国際でマークした1分48秒16がシーズンベストで、「あともう一歩」が欲しいところだ。
もし、優勝記録が、1分48秒を切るかどうかあたりで争われる展開になると、昨年、高校2年生ながら1分47秒51の高校記録、U18日本新記録を樹立しているクレイ・アーロン竜波(相洋高、ダイヤモンドアスリート)にも勝機が出てくる。今季は、4月に1500mで高校歴代3位となる3分44秒86をマーク。また、世界リレーには唯一の高校生として日本代表に選出され、2×2×400mRで3位に食い込む健闘を見せたほか、400mでも、6月9日に47秒20まで自己記録を伸ばしてきている。実現した場合、この種目での高校生の優勝は史上初の快挙となる。





女子800mは、北村夢(エディオン)が優勝すれば3連覇達成となるが、故障の影響で苦しいシーズン序盤となっている。アジア選手権を欠場し、GGPで初戦に挑んだが2分09秒72にとどまった。その後、アジアグランプリを転戦して、2分05秒46、2分06秒96をマークしているが、優勝争いに絡むためには、もう一段階引き上げておきたいはず。日本選手権までの期間で、どこまで仕上げてくることができるか。一方、元気がいいのは、前回2位の塩見綾乃(立命館大)だ。3月中旬のシーズンイン以降、連戦によって調子を上げ、アジア選手権(6位)のあとも静岡国際(優勝)、木南記念(2位)、世界リレー(2×2×400mR、3位)、GGP(6位)と日本学生個人選手権(400mと800mで2冠)とレースを重ねている。2017年にマークした自己記録(2分02秒57=高校記録)を上回るタイムでの日本選手権獲得を目指す。その塩見のシーズンベストは静岡国際で出した2分04秒00(静岡)。この記録水準での戦いとなると、アジアグランプリで今季日本最高となる2分03秒60をマークしたのち、中2日の第2戦で2分04秒31をマークしている川田朱夏(東大阪大)との高校時代から続く「ライバル対決」が再び見られるかもしれない。




◎男女1500m

男子1500mは2連覇中の館澤亨次(東海大)を筆頭に、関東インカレでその館澤に競り勝っている飯澤千翔(東海大)、昨シーズンに3分38秒65をマークしている舟津彰馬(中央大)、館澤とともに4月のアジア選手権出場した田母神一喜(中央大)ら学生陣に勢いがあると思われていたが、前述した6月1日の日本体育大記録会第15組で松枝博輝(富士通)が日本歴代3位の3分38秒12で走り、優勝戦線に名乗りを上げてきた。同じレースでは2着でフィニッシュしている田中秀幸(トヨタ自動車)も3分41秒34をマーク。また、この1レース前となる第14組では、第100回大会(2016年)の覇者である戸田雅稀(当時日清食品グループ、現サンベルクス)が3分41秒51をマークしており、3年ぶりに勝利を手にする可能性も出てきている。この種目の世界選手権標準記録は3分36秒00で、すでにこの段階で日本記録(3分37秒42)を超えるタイムが必要となる。日本選手権の大会記録は、1991年にマークされた3分38秒88(奥山光広、ヤクルト)。この記録を上回っていくような水準の競り合いのなかから、複数の選手が日本記録や世界選手権標準記録に挑んでいくようなレースを期待したい。





女子1500mは、ダイヤモンドアスリートの髙松智美ムセンビ(名城大)に連覇がかかるが、今季は日本学生個人選手権(2位)でマークした4分24秒65にとどまっている。昨年日本リスト1位(4分13秒68)で、今季も4分13秒75をマークしているU20世界選手権3000m金メダリストの田中希実(豊田織機TC)、アジア選手権4位の卜部蘭(NTTC)らと頂点を競うことになりそうだ。日本学生個人選手権で同期の髙松に勝利した和田有菜(名城大)は、日本選手権でもその再現を狙いたいところ。また、4回の優勝経験を誇るベテランの陣内綾子(九電工)は、2大会ぶり5回目の栄冠を狙う。



※記録、競技会の結果は、6月14日時点の情報で構成。

文:児玉育美(JAAFメディアチーム)
写真:フォートキシモト

■第103回日本陸上競技選手権大会

2019年6月27日(木)~30日(日)福岡市博多の森陸上競技場
チケット絶賛発売中!
https://www.jaaf.or.jp/jch/103/


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