2018.10.22(月)その他

【Challenge to TOKYO 2020 日本陸連強化委員会~東京五輪ゴールド・プラン~】第1回 アジア大会総括と東京五輪への強化全体像(4)

「第1回アジア大会総括と東京五輪への強化全体像(3)」から

ワールドランキング制度発足への備え


──これまでのアジア大会の総括を踏まえて、今後のことに話を移したいと思います。

麻場一徳 強化委員会 強化委員長 我々としては、来年のアジア選手権(4月21日~ 24日/カタール・ドーハ)、ワールド・リレーズ(5月11日~ 12日/場所未定)、世界選手権(9月27日~ 10月6日/ドーハ)という国際大会に、どういうステップで臨んでいくのかが大事だと思っています。一番のポイントは、東京五輪にどれだけのアスリートを送り込めるか。これに関してはアジア選手権が大きなカギになります。

河野匡 強化委員会 長距離・マラソン ディレクター アジア選手権の代表選手選考要項は6月に発表していて「2018年12月31日時点のワールドランキングで……」と謳っていますが、ワールドランキング制度そのものの詳細が本来はIAAFから9月に発表されるはずだったのが来年1月に延びたので、「発表時点のランキングを基にする」という文言を付け加えました。


──アジア選手権はカテゴリーとしてワールドランキングのポイントが高いと言われているので、ほとんどの選手が狙うと思います。各種目で1ヵ国2名が最大エントリー枠ですが、人数の総枠を設けますか。

麻場 大事な試合ですから、できるだけ多くの選手を派遣したいと思います。ざっくり言うと今年度の成績によって決まるワールドランキングの最上位は確実に選考し、もう1人はワールドランキングや2018年度の競技成績をもとに派遣を検討するわけですが、上位の出場意思次第では3位以降にもチャンスが回ってくるケースがあるかもしれません。今年度の成績でアジア選手権の代表を逃した選手は、来年別のルートでポイントを取っていくことになります。いずれにしても、どうポイントを取っていくかがすごく大事になってきます。

河野 東京五輪に向けて、ポイントとしては6月の日本選手権より、4月のアジア選手権の方が大事になりますね。


──どの大会でどうポイントを取ったらいいのか、それは個々の選手がパーソナルコーチと話し合って決めるのですか。

河野 こちらからモデルケースを提示して、こういう階段を上っていったら展望が開けるよ、という話ができるようにしたいです。それは双方向でやっていかないと。

麻場 強化戦略情報部という部門が強化組織の中にありますが、そこを中心にしながら、1人でも多く、1点でも多くポイントを取れるような仕組みを作っていきたいです。

河野 この試合があるから行く、というのでは対応が遅れます。選手はいつでもピークを合わせられるわけではないので、大きな試合、中くらいの試合、ウォーミングアップの試合をうまく連動させて、ここは順位を狙う試合、ここは記録を狙う試合というふうに意識的に自分たちで作り上げていかないと、ポイントが取れません。




東京五輪に向けた2つの柱


──東京五輪の強化の大前提は、まず「1人でも多くの選手を代表入りさせる」ということですか。

麻場 それは2つの柱があって、1つは一番大きな目標にしている「メダル、入賞を1つでも多く」。しかし、そのベースとして「1人でも多くその場に立ってもらう」こと。この2つが柱になります。


──1964年の時と違って開催国枠がなく、ポイントの高い順ということになると、2つ目の柱はだいぶ心許ないですね。特に女子は数人ということも危惧されます。

麻場 そうなんです。だからこそ、リレー種目は女子も何としても出場権をつかんでほしい。リレーがないと、大会そのものが寂しくなってしまいますから。

河野 強化の方向性としては両輪になるでしょうね。メダルを狙えるカテゴリーの選手と、代表になれるかどうかのボーダーライン上の選手と。メダルを狙える位置にいる選手はきちんと代表になれるでしょうから、より高いパフォーマンスを東京五輪で出す準備をしていかないといけないし、線上にいる選手はそれを引き上げるサポートが必要です。

DLに出られるような選手は無理にアジア選手権に出て行かなくてもいいでしょうし、確実に五輪代表へ近づこうというなら出る方向でもいいでしょう。しかし、ボーダーライン上の選手は絶対にアジア選手権へ出た方がいい。そこへの攻め方は、我々もいろんな話をしていきますが、現場の人たちも東京五輪までのプランニングをきちんとやっておかないといけません。

山崎一彦 強化委員会 トラック&フィールド ディレクター ある意味、明確になるのです、数字が出てくるんですから。今までのようにとにかく記録を出して、出たとこ勝負で何かやろうというのはなくなって、どうやって試合に出て、どうやって強化していくと、ここまでたどり着くというのがわかるのです。

麻場 それが、先ほど言った「どうステップを踏んでいくか」ということです。

山崎 その戦略に乗っていかないと、大変なことになるのです。(五輪に)行けそうな選手が適材適所でその大会に行かないと、結局代表に届かなくなります。

麻場 このオフからは、種目というより個人をどうサポートするかが1つのテーマです。ワールドランキング制度の詳細が固まったら、もっと明確に話せると思います。

河野 現場では温度差があって、ものすごく考えている指導者もいれば、まったく無頓着に試合に出ているところもあります。

山崎 「わからなかった」「聞いていない」ではもう済まされないのです。コーチも選手も先を読んでやらないと。


──ポイントで代表が決まるようになると、日本選手権の価値はどうなるのでしょうか。

麻場 日本選手権が国内で最重要試合であることは間違いないので、その成績は重要視していかないといけないと思っています。では、必ず日本選手権に出ないといけないかというと、そのあたりはワールドランキング制度の全容が明らかではないので、判断は先になります。

河野 出なくても代表になれるけど、日本選手権チャンピオンにならなくていい、という選手がどれぐらいいるのか……。

山崎 日本選手権は国内大会の中でポイントが高いですから、軽視しないのではないでしょうか。

河野 ともかく東京五輪に向けては総力戦だと思うし、英知を結集して臨まないとダメですね。

麻場 どれだけきちんと情報を集めて、みんなで共有できるか。そのためには最初にお話したように、いろんな立場の人を味方にしないといけないと思っています。


構成/月刊陸上競技編集部

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