6/12(金)~14(日)「第110回日本選手権」
名古屋で開催!
 チケットはこちら
2026.06.06(土)選手

【記録と数字で楽しむ第110回日本選手権】女子やり投:60mスローワー7名が集結!アジア大会の代表切符は誰の手に?



9月23日~29日に名古屋市パロマ瑞穂スタジアムで開催されるアジア大会の代表選手選考会を兼ねて行われる「第110回日本選手権」。その舞台は、アジア大会と同じ新装となったパロマ瑞穂スタジアム 。日本選手権がパロマ瑞穂スタジアムで行われるのは、2016年の第100回大会以来10年ぶり。「新瑞穂」ではもちろん初めてだ。

競技場での現地観戦、あるいはテレビやライブ配信での観戦のお供に、男子100m、男子走幅跳、女子やり投の3種目に限られるが「記録と数字で楽しむ第110回日本選手権」をお届けする。

なお、エントリー締め切りが5月25日で、エントリーリストの暫定版公表が5月29日(確定版の公表が6月5日)。この原稿は5月25日に執筆したため、記事中に名前の挙がった選手が最終的にエントリーされていないというケースがあるかもしれないことをお断りしておく。

過去に紹介したことがあるデータや文章もかなり含まれるが、可能な限り最新のデータに更新した。
スタンドでの現地観戦やテレビ観戦の「お供」にして頂ければ幸いである。

なお、「10000m」の日本選手権は12月5日(土)に東京・世田谷競技場で実施。「混成競技」は、6月6~7日に岐阜市(岐阜メモリアルセンター長良川競技場)で、「リレー種目」は、10月10~11日に国立競技場で行われる。また、「競歩種目」は「ハーフマラソン競歩」が2027年2月21日に神戸で行われ、「マラソン競歩」は2026年3月15日に石川県の能美市で開催済み。「マラソン」は、2026年3月から2027年3月に行われる「マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)シリーズ」の総合成績(ポイントランキング)の結果が「第110回日本選手権」という扱いになる。

・記録は、日本選手権参加資格記録の有効期限の5月24日現在(一部、それ以降の情報も含む)。
・その他の情報は5月25日時点でのものによる。
・現役選手については敬称略をご容赦いただきたい。

テレビの中継予定は以下のとおり(ライブ配信の予定は、後日発表)
【NHK BS・総合】
・第1日:6月12日(金)
 BS 18:30~19:30/総合 19:30~20:42
・第2日:6月13日(土)
 総合 16:30~18:43 ※17:59~18:05はサブチャンネル
・第3日:6月14日(日)
 総合 16:30~18:43 ※17:59~18:05はサブチャンネル

アジア大会の代表選手選考要項は、
https://www.jaaf.or.jp/files/upload/202508/25_123227.pdf
を、

アジア大会日本代表内定選手一覧は、
https://www.jaaf.or.jp/news/article/22838/
を、ご覧頂きたい。

なお、日本選手権の期間中、ここで取り上げることができなかった種目以外の情報(データ)も日本陸連のSNS(X=旧Twitter or Facebook)で「記録や数字に関する情報」として、その都度発信する予定なので、ご覧いただきたい。


手始めに「ミニ情報」として紹介すると、
日本選手権の都府県別の開催回数は、
61回東京都
11回大阪府
7回兵庫県
3回埼玉県
3回新潟県
3回愛知県
がトップ5。
「23」の都府県の「40」の競技場で開催している。

競技場別の開催回数は、
37回東京・国立競技場(うち36回は旧国立競技場。1回が新国立競技場)
12回東京・明治神宮外苑(現国立競技場と同じ場所)
7回大阪・長居スタジアム
4回東京・東大農学部実科(駒場)
3回東京・陸軍戸山学校
3回新潟・デンカビッグスワンスタジアム
3回愛知・瑞穂公園競技場
3回大阪・大阪市立運動場
が上位。
12回の「明治神宮外苑競技場」も現在の国立競技場と同じ場所にあったので実質的には国立競技場が「49回」となる。


60mスローワー7名が集結!アジア大会の代表切符は誰の手に?

・決勝/6月12日 18:30


北口を筆頭に60mスローワー7名が集結!

北口榛花(JAL)は、2019年5月に当時の日本記録を更新、6月の日本選手権も初制覇してからずっと主役であり続けている。
日本人陸上現役選手で一般の人にも名前と顔が最も知られているであろう「陸上界の顔」でもある。

ご存知の通り、22年オレゴン世界選手権「銅」、23年ブダペスト世界選手権「金」、24年パリ五輪「金」。女子フィールド種目では日本の陸上史上初で唯一の世界大会のメダリスト。

男女全種目を含めて世界選手権と五輪の両方で金メダルを獲得したのは、北口と男子ハンマー投の室伏広治さん(2004年アテネ五輪、2011年大邱世界選手権)しかいない。

19年から7年間師事してきたディヴィッド・セケラック氏(チェコ)との契約が終了し、26年からはヤン・ゼレズニー氏(チェコ)と契約を結び指導を受けることになった。

同氏は、男子やり投の世界記録(98m48=96年)保持者。
パフォーマンス世界歴代10傑のうち1・4・5・6・9位の記録が残っていて、世界記録は96年から30年間も破られていない。
五輪は、92年のバルセロナ、96年アトランタ、00年シドニーと3連覇(88年ソウルは銀)。
世界選手権も93・95・01年と3度のタイトルを獲得(銅2回=87年・99年)している。
記録でも実績でも他の追随を許さないレジェンドだ。
95年9月15日に旧国立競技場で行われたスーパー陸上でマークした92m12は現在も「日本国内最高記録」である。

25年の北口は試練に見舞われた。
6月末に右肘に炎症を起こし7月4日の日本選手権を欠場。連覇を目指した9月の東京世界選手権も万全の状態ではなく無念の予選落ちとなった。

指導者も変わって心機一転の26年は、5月17日のゴールデングランプリ東京が初戦だったが60m36の5位。上田百寧(ゼンリン/2位・61m40)と斉藤真理菜(スズキ/4位・60m45)の後塵を拝した。
北口が複数の日本人に敗れたのは20年10月24日の木南道孝(3位・58m36)以来5年6カ月23日ぶりのことだった。「絶対女王」が今後どう挽回してくるかに注目である。

このように北口に続く選手のレベルも高い。

日本歴代で60mスローワーは11名。うち現役選手は7名だがその全員が今回の日本選手権に集結する。

2025年の世界100位の記録は56m80。60m00以上は47名。
100位以内の国別人数は、中国=14名、日本=11名、ドイツ=7名、オーストラリア&アメリカ=6名が上位5国。60m以上のそれは、中国=7名、日本=4名、アメリカ=3名、オーストラリア=2名、ドイツ=1名。日本は中国に次いで「世界2位」の層の厚さを誇る。

9月に名古屋で開催されるアジア大会代表切符をゲットするのは果たして誰か?
1投ごとの投げ合いから目が離せない。


個人別10傑平均記録の日本歴代15傑

自己ベストのみならず個人別の上位10位までの10傑平均記録による日本歴代リストが下記だ。
これによって、どの選手が安定した記録を残しているかがわかる。
ここでも北口の力が抜きんでている。個人の10番目の記録が65m09で、歴代2位の海老原さんの63m80を大きく上回る。北口の63m80以上の回数は、19回である。
60m00以上は、11名が計145回マークしているがうち66回が北口によるものでそのシェアは45.5%だ。

<個人別10傑平均記録による日本歴代15傑>
・2026年5月25日判明分
・氏名の前の「▲」は非現役を示す
10傑平均記録氏名歴順) PB~10位60m00以上の回数
1)66.016北口榛花1)67.38~65.091)66回
2)61.805▲海老原有希2)63.80~60.653)16回
3)61.432上田百寧6)62.20~61.082)24回
4)61.351斉藤真理菜5)62.37~60.794)14回
5)60.656武本紗栄4)62.39~59.686)7回
6)60.516▲佐藤友佳3)62.88~59.325)8回
7)59.532▲宮下梨沙10)60.86~58.357)4回
8)58.705▲山下実花子12)59.94~57.83-)-
9)58.702長麻尋9)61.10~57.799)1回
10)58.560山元祐季7)61.45~57.499)1回
11)58.532▲三宅貴子8)61.15~56.618)3回
12)57.893▲久世生宝14)59.16~56.94-)-
13)57.879辻萌々子16)58.98~57.22-)-
14)56.719倉田紗優加11)60.57~55.089)1回
15)56.718▲右代織江14)59.16~55.99-)-
16)56.585西村莉子23)57.70~55.63-)-
17)56.426篠田佳奈24)57.63~55.61-)-
18)56.279村上碧海22)57.72~55.68-)-
19)56.252▲山内愛19)58.76~54.67-)-
20)55.491▲當間汐織34)56.17~54.56-)-
20)55.452▲芝野弥生30)57.07~57.57-)-
21)55.406▲的場葉瑠香17)58.93~53.79-)-
22)55.224桑添友花31)56.86~54.14-)-
23)55.199▲瀧川寛子32)56.79~53.68-)-
*)54.901▲吉田恵美可26)57.19~53.99-)-
*)54.879木村玲奈13)59.49~52.84-)-

上田・斉藤・武本にとっては、自己ベストでも個人別10傑平均でも海老原有希さんを超えて北口に続いて歴代2位になることが差し当たっての目標になりそうだ。

北口の初戦からの記録の伸び&年別トップ5記録の比較

この5年あまりの日本選手権やゴールデングランプリ、あるいは世界大会の前のこの「記録と数字で楽しむ……」で毎回のように北口の各種データを紹介してきている。よって以下の内容は、これまでに紹介したものとほとんど同じものだ。ただし、データは最新のものに更新しているので「またか……」と思わずにご覧いただければ幸いである。

北口がやり投を始めた2013年の高校1年生の時からの各年の上位5試合を記録順に並べて比較している。
21年以前と比較して22年から24年の3年間で北口の力が一段とアップしてきていることが、このデータからよくわかる。

<北口の年別の上位5位記録の比較>
・予選も1試合としてカウントしている。
・「1位」~「5位」の記録の右横の「◎」は前年までの自己ベストを、「○」はその時点でのその順位おける自己最高を上回ったことを示す。
学齢試合数1位2位3位4位5位60m以上回数(率)63m以上回数(率)
高120131149.3145.4945.3745.2545.10  
高220141953.15◎53.08◎52.16◎52.16◎51.93◎  
高320151258.90◎57.02◎56.63◎55.99◎54.44◎  
大1201661.38◎60.84◎57.23○56.75○56.16○2(28.6%) 
大220171061.0760.4959.59○59.08○57.96○2(20.0%) 
大3201860.4858.8358.6258.3856.991(11.1%) 
大420191466.00◎64.36◎63.68◎61.94◎60.84○10(71.4%)3(21.4%)
社1202063.4559.3859.3058.36--.--1(25.0%)1(25.0%)
社2202162.0661.4959.1157.1957.182(25.0%)
社320221765.6865.10○64.32○63.93○63.56○15(88.2%)8(47.1%)
社420231667.38◎67.04◎66.73◎65.09○64.50○14(87.5%)10(62.5%)
社520241166.1365.865.2164.2863.4511(100.0%)5(45.5%)
社62025764.6364.1663.8860.8860.726(85.7%)3(42.9%)
社72026260.3660.08--.----.----.--2(100.0%)0

・2026年は5月25日現在

13年から16年は、毎年どんどん自己ベストを伸ばしてきた。
17・18年は自己ベストは停滞したが、その年の3~5番目の記録が自己ベストをマークした16年よりもアップして、次のステップへのエネルギーを蓄えていた時期。
そして、そのエネルギーが19年に大爆発。世界で戦えるレベルの66m00に日本記録を引き上げた。
コロナの影響もあって20・21年はやや後退したが、次のステップアップに向けての試行錯誤や軌道修正、今後に向けての計画立案の時期であったのだろう。
22年には19年以来2度目の大爆発。自己ベストこそ19年のままだったが、その年の2番目以下の記録が19年とは比べものにならないくらい飛躍的にアップ。60m以上や63m以上の回数や率も19年のレベルを大きく上回り、大きな土台が築かれたようだ。

それらしっかりした土台をもとに、次の新たなステップで自己ベストが大きくアップする前兆が23年初戦の4月29日の織田記念(64m50)と次の5月6日の木南記念(64m43)での64m台連発で、それがブダペスト世界選手権での金メダルと67m04(7月16日)→67m38(9月8日)の日本新記録につながった格好だ。
24年も初戦(4月27日)の62m97から、5月19日・63m45、6月22日・64m28、7月12日・65m21と次第に記録を上げ、8月10日のパリ五輪では1投目の65m80で結果的には勝負を決めた。そして、9月14日のグランプリファイナルを66m13の優勝で締めくくったのだった。

年によって出場した試合数に違いはあるが、自己ベストの進歩の状況、2番目以下の各順位ごとの記録の年ごとの上昇具合、あるいは自己ベストが60mを越えた16年以降の表右横に示した「60m以上回数」やその「率」の数字の変化などをご覧いただきたい。これらを見ていくとまさに世界の「メダリストの常連」や「一番良い色のメダル」に向かって、着実に進歩してきた様子がよくわかる。特に、「60m以上の回数(率)」や「63m以上の回数(率)」のデータは、22年から23年の2年間で北口の力が一段とアップしたことを示している。

どんな種目のどんなレベルの選手であっても、似たような向上の道筋をたどっていくように思える。
1)競技を始めた当初や若い頃は面白いように自己ベストがどんどん出る。
2)が、ある程度の時間が過ぎるとベスト記録の向上がストップしたり伸び幅が一気に落ちてしまう。
3)ただ、そこで我慢して日々の努力を積み重ねていると、自己記録は出なくてもある一定レベル以上の記録がコンスタントに出せるようになってくる。
4)すると、近いうちに大爆発が起こり、久々にワンランク上の自己記録が出て次の新たな段階へ昇る。
そして再び「2」に戻って、「3」「4」へ……というふうな道筋だ。

北口も上述の、「1」→「2」→「3」→「4」→「2」→「3」→「4」を描いている。24~25年の北口は、19年と23年に続く次の大爆発を待つ「3」の段階にあるのであろうか? あるいは、25年が大爆発の年になるのかもしれない。

下表は、北口のシーズン初戦の記録と各年の最終的なシーズンベストを調査し、初戦からどのくらい記録を伸ばしているのかをまとめたものである。

<北口榛花のシーズン初戦とその年の最高記録>
年月日初戦年最高月日記録の伸び(m)
2013.05.0534.1349.3110.1815.18
2014.04.2953.0853.1510.210.07
2015.05.1055.9958.9010.162.91
2016.04.2956.7561.3805.084.63
2017.04.2954.6461.0710.086.43
2018.04.2958.6260.4809.081.86
2019.04.0657.8766.0010.278.13
2020.08.2359.3863.4509.194.07
2021.05.0257.1862.0608.034.88
2022.04.2359.6365.6810.086.05
2023.04.2964.5067.3809.082.88
2024.04.2762.9766.1309.143.16
2025.05.0360.8864.6306.123.75
2026.05.1760.36?????  

初めてやりを投げたのは、旭川東高校1年生だった2013年5月5日の北海道道北地区記録会での「34m13」でこれが初の公認記録。
シーズン初戦から15m以上も記録を伸ばした1年目のデータは除外するが、2年目以降の初戦とシーズンベストとの差である「記録の伸び」は、最小で「7cm」、最大で「8m13」。
14年から25年までの12年間の平均値は、「4m068」だ。


「6投目の北口」をデータで検証

24年のゴールデングランプリでは北口が6投目で逆転優勝したが、それ以前から「6投目の北口」は、よく話題になってきていた。
古くは、高校3年生の15年日本ジュニアでの高校新&U18日本新(58m90)が6投目。
大学2年生の17年に日本インカレで初優勝した時も6投目での逆転優勝。
22年オレゴン世界選手権で銅メダルを獲得した時も、23年ブダペスト世界選手権で金メダルを獲得した時も、6投目での大逆転だった。22年は6投目の試技に入る前の順位は5位からの銅メダル、23年は4位の位置からの逆転金メダルだった。

また、23年7月16日の67m04、同9月8日の67m38の日本新の時も6投目だった。

ただ、直近の24年パリ五輪では、1投目の65m80がウィニングスローとなった。

高校時代からのすべてを調べる訳にはいかないので、ここでは世界大会でメダルを獲得した22年以降からの試技内容を調べた。
22年の17試合(うち予選が1試合)、23年の16試合(うち予選が1試合)、24年の11試合(うち予選が1試合)のシリーズで、何投目にその日のベストを出したのかを示した。結果は、以下のとおり。
・【 】内は、3投目までの最高記録を示す。

<2022年・23年・24年・25年の北口の試技内容>
・2022年(17試合/うち予選1試合)
4月23日1)59m63 1投目/59m63-54m97-56m56【59m63】-×-53m76-×
5月1日1)61m20 1投目/61m20-59m55-58m22【61m20】-×-60m47-×
5月8日1)63m93 1投目/63m93-59m51-60m82【63m93】-58m82-62m96-60m91
5月28日1)62m80 ???/試技内容不明
6月11日1)62m25 3投目/59m13-57m07-62m25【62m25】-57m36-×-×
6月14日1)61m97 1投目/61m97-59m53-58m15【61m97】-57m97-60m68-61m97
6月18日1)63m13 3投目/61m91-59m84-63m13【63m13】-×-57m76-61m33
7月8日1)60m42 6投目/58m02-59m25-×【59m25】-55m30-59m53-60m42
7月20日予)64m32 1投目/64m32=通過/全体1位【64m32】
7月22日3)63m27 6投目/62m07-×-55m78【62m07】-61m27-×-63m27
8月6日1)65m10 6投目/60m13-61m37-×【61m37】-61m76-58m68-65m10
8月10日2)62m37 4投目/54m28-59m97-58m44【59m97】-62m37-60m16-59m13
9月2日2)63m45 6投目/60m49-61m58-×【61m58】-×-63m13-63m45
9月8日3)63m56 6投目/57m03-60m51-63m35【63m35】-59m14-56m77-63m56
9月17日1)59m23 1投目/59m23-57m30-56m88【59m23】-×-57m92-×
10月2日1)62m57 3投目/62m02-60m99-62m57【62m57】-59m55-59m16-×
10月8日1)65m68 3投目/61m23-62m71-65m68【65m68】-62m00-×-62m10

決勝に限ると1・3・6投目にその日のベストを投げることが多く、1投目が5回、3投目が4回、6投目が5回。
ということは、試技内容が判明している決勝での15試合中9回は3投目までにベストをマークしているということで、世界大会での勝負を考えるといい内容だ。
世界大会の決勝進出と決勝でのトップ8入りが確実な「3投目までに63m以上」は予選を含めて16試合中の5回(31.3%)。決勝進出やトップ8入りの可能性がかなり高そうな「3投目までに62m以上」は8回(50.0%)だ。

・2023年(16試合/うち予選1試合)
4月29日1)64m50 5投目/59m01-×-63m45【63m45】-60m37-64m50-61m58
5月6日1)64m43 2投目/63m72-64m43-61m25【64m43】-×-×-61m66
5月21日4)61m34 6投目/58m87-×-59m02【59m02】-×-×-61m34
6月2日2)59m92 1投目/59m92-58m25-×【59m92】-×-×-×
6月9日1)65m09 3投目/58m25-60m87-65m09【65m09】-59m72-58m39-57m80
6月13日2)59m69 2投目/57m17-59m69-55m81【59m69】-×-57m69-58m92
6月27日1)63m72 2投目/60m27-63m72-×【63m72】-×-×-×
6月30日2)63m34 1投目/63m34-×-60m60【63m34】-58m69-60m78-58m95
7月16日1)67m04 6投目/64m12-61m49-62m76【64m12】-×-65m82-67m04
7月20日1)62m52 6投目/59m78-57m40-57m90【59m78】-58m64-61m24-62m52
8月6日1)61m88 6投目/57m74-57m13-×【57m74】-56m54-58m82-61m88
8月23日予)63m27 2投目/59m04-63m27=通過/全体3位【63m27】
8月25日1)66m73 6投目/61m78-61m99-63m00【63m00】-62m36-62m68-66m73
9月3日1)60m06 3投目/55m32-59m93-60m06【60m06】-×-P-P
9月8日1)67m38 6投目/59m56-65m20-62m89【65m20】-60m12-62m69-67m38
9月16日1)63m78 2投目/59m36-63m78-×【63m78】-58m50-59m06-62m76

3投目までにベストを投げたのが決勝の15試合中8回(53.3%)。5・6投目がベストだった7試合もうち4回(57.1%)は3投目までに63m以上の記録を残している。
「3投目までに63m以上」は、予選を含む16試合中10回(62.5%)で、22年の「31.3%」の倍になっている。
世界大会の決勝進出やトップ8入りの可能性がかなり高そうな「3投目までに62m以上」も「63m以上」と同じ10回(62.5%)だ。

・2024年(11試合/うち予選1試合)
4月27日1)62m97 6投目/55m97-56m43-58m93【58m93】-56m57-61m44-62m97
5月5日1)61m83 6投目/60m98-60m53-60m15【60m98】-×-59m86-61m83
5月19日1)63m45 6投目/60m20-60m19-58m30【60m20】-×-62m02-63m45
5月28日1)60m47 3投目/×-57m63-60m47【60m47】-×-59m47-×
6月22日2)64m28 6投目/57m64-×-64m08【64m08】-×-×-64m28
6月28日1)62m87 2投目/61m10-62m87-×【62m87】-×-×-59m87
7月12日1)65m21 6投目/64m63-60m96-×【64m63】-61m46-62m38-65m21
7月20日4)62m69 2投目/60m50-62m69-58m43【62m69】-×-62m07/6投目に進めず
8月7日予)62m58 1投目/62m58=通過/全体7位【62m58】
8月10日1)65m80 1投目/65m80-62m39-×【65m80】-61m68-64m73-×
9月14日1)66m13 6投目/61m28-65m08-61m72【65m08】-59m88-×-66m13

3投目までにベストをマークしたのは、決勝の10試合中4回(40.0%)。
世界大会の決勝進出と決勝でのトップ8入りが確実な「3投目までに63m以上」は予選を含めて11試合中の4回(36.4%)。決勝進出やトップ8入りの可能性がかなり高そうな「3投目までに62m以上」は7回(63.6%)。4~5月は3投目までにエンジンがかからないことが多かったが、6月以降の予選を含む7試合はすべて3投目までに62m以上を投げている。
23年7月16日から続いていた決勝での連勝記録は、24年6月22日にトップと43cm差で敗れたことによって24年5月28日までの「11連勝」でストップした。その後の日本選手権、7月12日のモナコで連勝。パリ五輪前の最終戦となった7月20日のロンドンでは1年2カ月ぶりの4位だったが、3週間後8月10日のパリ五輪では2位に1m87の差をつけて快勝した。

・2025年(7試合/うち予選1試合)
5月3日4)60m88 3投目/55m54-51m61-60m88【60m88】-58m73-58m53/6投目に進めず
5月18日1)64m16 5投目/61m41-58m48-59m23【59m28】-×-64m16-61m37
6月12日1)64m63 5投目/57m28-×-60m74【60m74】-60m86-64m63-×
6月24日2)63m88 1投目/63m88-×-62m77【63m88】-60m02-62m75-61m65
8月20日10)50m93 2投目/×-50m93-49m65【50m93】
8月28日6)60m72 6投目/56m62-59m18-56m25【59m18】-59m72-58m34-60m72
9月19日予)60m38 2投目/60m31-60m38-58m80【60m38】

・2026年(2試合)
5月17日5)60m36 3投目/58m60-54m69-60m36【60m36】-×-58m04/6投目に進めず
5月23日7)60m08 3投目/54m81-59m52-60m08【60m08】-×-58m34/6投目に進めず

2022~24年に北口が決勝でその日のベスト記録を投げた試技の回数別の内訳をまとめると以下のとおりで、「6投目」がトータル4割になる。
25年は6月24日までに4試合で、1投目と3投目が1回ずつ、5投目が2回だ。

<北口がその日の最高記録を出した試技回数別の内訳(決勝に限る)>
回数2022年=15試合2023年=15試合2024年=10試合2025年=6試合22~25年の合計=46試合
1投目5回(33.3%)2回(13.3%)1回(10.0%)1回(16.7%)9回(19.6%)
2投目04回(26.7%)2回(20.0%)1回(16.7%)7回(15.2%)
3投目4回(26.7%)2回(13.3%)1回(10.0%)1回(16.7%)8回(17.4%)
4投目1回(6.7%)0001回(2.2%)
5投目02回(13.3%)02回(33.3%)4回(8.7%)
6投目5回(33.3%)5回(33.3%)6回(60.0%)1回(16.7%)17回(37.0%)

試技内容が判明している4年間の決勝46試合中17回(37.0%)は6投目にその日のベストをマークしている。特に24年の10試合中6回(60.0%)というのは、「驚き」の数字である。

「6投目の北口」ではあるが、どの試合でも結果を残すには、3投目までに世界大会の予選を通過したり、決勝でトップ8に残れる記録を残す必要がある。
15年以降の至近9回の世界大会で予選を通過するためのレベルが最も高かったのは「62m29=17年」。8位入賞がもっともハイレベルだったのは「62m92=16年」だ。
22年以降の試合で北口が3投目までに投げた「60m00以上の1m00毎」と「予選通過最高ラインの62m29以上」「8位入賞最高ラインの62m92以上」を投げた割合を調べてみた。

<北口の3投目までの「60m00以上の1m00毎」と「62m29以上」と「62m92以上」の割合>
 2022年2023年2024年22~24年合計
60m00以上12/16(75.0%)11/16(68.8%)10/11(90.9%)33/43(76.7%)
61m00以上12/16(75.0%)10/16(62.5%)7/11(63.6%)29/43(67.4%)
62m00以上8/16(50.0%)10/16(62.5%)7/11(63.6%)25/43(58.1%)
62m29以上6/16(37.5%)10/16(62.5%)7/11(63.6%)23/43(53.5%)
62m92以上5/16(31.3%)10/16(62.5%)4/11(36.4%)19/43(44.2%)
63m00以上4/16(25.0%)9/16(56.3%)4/11(36.4%)17/43(39.5%)
64m00以上2/16(12.5%)4/16(25.0%)4/11(36.4%)10/43(23.3%)
65m00以上1/16(6.3%)2/16(12.5%)2/11(18.2%)5/43(11.6%)

今回の日本選手権でも3投目までにどれくらいを投げられるかは、9月の世界選手権本番に向けての注目ポイントだ。


アジア大会を目指す選手の日本選手権入賞歴

ここまで「世界女王・北口」の話がメインになったが、これに続く顔ぶれも充実している。
日本歴代で60m00以上を投げているのは、北口を筆頭に11名。うち現役選手は7名だがその全員が出場する。
アジア大会派遣設定記録は「60m25」。26年1月1日から最重要競技会該当種目終了となる6月12日が有効期間で5月25日現在でクリアしているのは、山元(61m45)・上田(61m40)・斉藤(60m45)・北口(60m36)の4名。この4名は、日本選手権で優勝すれば、代表に即内定となる。2枚目の代表切符は、日本選手権終了時点で26年1月1日以降の記録最上位者となる。

<参加資格記録or自己ベストが60m00以上と22~25年に入賞した選手の日本選手権入賞歴>
・カテゴリー内での掲載順は、今回の資格記録順
・「-」は、9位以下
・「・」は、不出場
 資格記録141516171819202122232425
北口榛花64.63536121121
上田百寧62.20342331
山元祐季61.45648
武本紗栄60.51733823
倉田紗優加60.5777
斉藤真理菜60.453621624152
===== 以上、参加資格記録60m00以上

 資格記録141516171819202122232425
長麻尋58.686476
===== 以上、自己ベスト60m00以上

 資格記録141516171819202122232425
辻萌々子57.264
篠田佳奈57.1165
===== 以上、25年入賞者

 資格記録141516171819202122232425
村上碧海57.726
===== 以上、24年入賞者

 資格記録141516171819202122232425
石垣綾香54.267
===== 以上、22年入賞者

自己ベスト60m00以上の選手は、全員が22年以降に入賞している。ただし、22年の段階では長は59m台がベスト、倉田は23年は55m台、24年は57m台がベストだった。

北口が優勝すれば2年ぶり5回目。
上田ならば2年連続2回目。
斉藤なら3年ぶり3回目。
それ以外の選手ならばいずれも初優勝となる。

自己ベスト60m00以上の7名のうち25年に60mスローワーの仲間入りを果たした倉田と25年を欠場した北口以外の5名は連続入賞を継続中。上田・武本・斉藤が6年連続、長が4年連続、山元が2年連続だ。


日本選手権での60m台

日本選手権における「60m台」は以下の通り。

<日本選手権における60m以上の記録>
・「★」は当時の日本新。「◎」は大会新
記録氏名
1989年63.44張麗(中国)=旧規格のやり
2001年60.12三宅貴子
2011年60.08宮下梨沙
2012年62.36 ★海老原有希
2013年60.41海老原有希(2)
2017年60.64海老原有希(3)
2018年60.79斉藤真理菜
2019年63.68 ◎北口榛花
62.88佐藤友佳
2021年61.49北口榛花(2)
2022年62.25北口榛花(3)
61.20上田百寧
60.84武本紗栄
2023年61.14斉藤真理菜(2)
2024年62.87北口榛花(4)
61.41武本紗栄(2)
60.72上田百寧(2)

日本選手権で60m00以上がマークされたのは以上の通りで、1999年に現在の規格になってからは8名が計16回。
複数選手が60mラインを超えたのは19年・22年・24年で3名が最多。今回、4名以上が超えればすべての競技会を含めて史上初となる。


日本選手権での「順位別最高記録」(2025年まで)

1)63.68 2019年
2)62.88 2019年
3)60.84 2022年
4)59.57 2024年
5)58.67 2017年
6)58.04 2022年
7)56.82 2017年
8)55.34 2017年

今回は、60m以上のベスト記録を保持する選手7名は史上最多。これまでは21・23・24・25年の6名が最多だった。
60mを投げて表彰台に立てなかったことはこれまでにないが、史上初のハイレベルな投げ合いになる可能性がある。


野口純正(国際陸上競技統計者協会[ATFS]会員)


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