6/12(金)~14(日)「第110回日本選手権」
名古屋で開催!
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2026.05.22(金)大会

【GPシリーズ 木南記念】男子10000m 鈴木芽吹が派遣設定記録突破でアジア大会代表に内定! /大会レポート&コメント



5月11日に、大阪・ヤンマースタジアム長居で開催された第13回木南道孝記念陸上競技大会(以下、木南記念)では、最終種目の男女10000mが設定され、本年9月に名古屋で開催されるアジア競技大会(以下、アジア大会)の日本代表選考における同種目の最重要競技会の位置づけで、選考レースが行われました。
男子は、日本記録保持者の鈴木芽吹選手(トヨタ自動車)がセカンドベストの27分20分11秒で制し、日本陸連が据えたアジア大会派遣設定記録27分31秒27をクリア。アジア大会の代表に内定しました。女子10000mは、1500m・5000m日本記録保持者の田中希実選手(豊田自動織機)が31分41秒22で優勝。派遣設定記録(31分14秒63)に届かなかったため内定には至りませんでしたが、最重要競技会を制したことで代表入りの可能性を残す結果となりました。


女子は田中が優勝。内定は逃したものの

「これからに生かせる」レースを経験



朝から快晴に恵まれた今年の木南記念は、正午には気温が25.3℃まで上がったものの、湿度は30%前後と比較的低く、快適な1日となりました。アジア大会選考レースとして実施された10000mは、スタート時刻を、日が傾いて、競技場内がすべて日陰となる時間帯に設定。女子を18時00分、男子は18時40分から行われました。18時に発表された気象コンディションは、気温22.2℃、湿度は26%、南東の風0.7m。湿度こそやや下がったものの、気温は思ったほど下がらないなかでのレースとなりました。

女子10000mのアジア大会代表は、東京世界選手権で廣中璃梨佳選手が6位に入賞したことで、すでに内定済み。残る1枠を巡っての戦いとなっています。最重要競技会として行われたこのレースは、派遣設定記録の31分14秒63を上回って優勝すれば、代表に即時内定するという条件のなか10選手が出場。アグネス・ムカリ選手(京セラ)がペースメーカーを務めて、レースを進めていきました。

スタートして最初の1周を75秒で回った段階で、ムカリ選手についた先頭集団は、樺沢和佳奈選手(三井住友海上)、立迫志穂選手(資生堂)、田中希実選手(豊田自動織機)のわずか3名に。1000mを3分08秒で通過したあと、1200mを過ぎたあたりで田中選手が立迫選手をかわして2番手に浮上しました。2000mを迎える周回で立迫選手が大きく後れると、そこからはムカリ選手に樺沢選手がつき、そのすぐ後ろに田中選手が位置する隊列でレースが流れていきます。

2000mは6分15秒で通過して、この間の1000mは3分07秒に。その後、4000mまでは、3分09秒、3分08秒のペースでレースは進んでいきました。しかし、4000mを過ぎたあたりから、ムカリ選手と樺沢選手との距離が離れがちとなり、ムカリ選手が後ろを見やりながらスピードを調整する様子が頻繁にみられるようになってきます。これに応じるべく樺沢選手は懸命にムカリ選手につこうとしますが、4000mから5000mまでは3分16秒にペースダウン。その後も、3分16秒、3分17秒とペースは徐々に落ちていきました。

そんななか、残り6周となった7600mを通過したところで、田中選手が樺沢選手をかわして先頭に。これに呼応してムカリ選手もペースを上げ、8000mまでを3分13秒に戻したところで、ペースメイクを終了。ここから田中選手の単独走となりました。田中選手は9000mまでの1000mを3分07秒に戻すと、最後の1000mは3分03秒でカバー。31分44秒22でフィニッシュしました。しかし、中盤のペースダウンが影響して、アジア大会派遣設定記録のクリアは叶わず、この大会での内定を得ることは叶いませんでした。



レース後、「久しぶりに“優勝を目指したい。もう一度勝ちたい”と心の底から願えて、それを走りで表現できたかなと思う」と振り返った田中選手。実は、昨年、ダイヤモンドリーグやグランドスラムなどに出場して「世界で打ちのめされる経験が増えた」ことで、レースに対して恐怖心を覚えたり、“なぜ、自分は走るのだろう”と考え込えてしまったりと、中途半端な思いを引きずる状況に陥っていたのだといいます。5000mに出場した5月4日のゴールデンゲームズinのべおかでは、そうした逡巡が走りに出て中盤から失速。16分00秒89という結果に終わっていました。試合を回避することも考えたと言いますが、そのなかで周囲の支えもあって出場を決意。この日のレースを迎えていました。

「自分の調子が万全でないぶん、たくさんの選手の力を借りて、少しずつ上がっていくようなレースをしたいと思っていた」だけに、最初から先頭集団が大きく絞られることは想定外だったそう。それでも、「先週の状態だったら、きつさや怖さが先に立ってしまっていたと思うが、今日は、“本当に勝ちたいのかどうか、何を一番大事にするのか”というところを自身に問いかけ、自分のなかでリズムをつくりながら走るきることができた。揺らぎがあるなかで、そうやって、もう一回、プラスの方向へ持ってこられたことは、これからに生かせると思う」と話し、迷い込んでいた長いトンネルの先に、明るい出口が見えてきた様子をうかがわせました。

今後は、ゴールデングランプリの1500mと3000mに出たあと、関西実業団、MDC(ペースメーカー)を経てローマに入り、ダイヤモンドリーグで5000mを走ったのちに日本選手権を迎える予定です。相変わらずの連戦続きですが、「最近は、遠征の多さを楽しむ余裕がなくなっていた。日本選手権には、身体だけではなく心ももっと元気にして臨みたい」と前を向いていました。

2位には、樺沢選手が32分08秒39でフィニッシュ。「届かないタイムではなかったし、日陰になって天候的にも問題なかったし、アグネスさん(ムカリ選手)がきれいに引っ張ってくれてペースも完璧だったのに、自分が…というところ。4000m以降は、“行けそうなのに、身体が動かない”という感じだった」と悔しさをにじませました。アジア大会に向けては、5000mでの出場を目指すこととなります。「気持ちを切り替えて頑張りたい」と日本選手権を見据えていました。


鈴木、独り旅のラスト2000mで強さ示す

27分20秒11でアジア大会代表に内定



女子に続いて、18時40分にスタートした男子10000mには、12名が出場。トヨタ紡織のイマニエル・マル選手がペースメーカーを務めて行われました。

レースは、スタートしてすぐに先頭を引くマル選手に続き、12名の選手が長い縦の一列をつくって進んでいくこととなりました。マル選手のすぐ後ろについたのは、チームメイトの西澤侑真選手(トヨタ紡織)。ここに伊豫田達弥選手(富士通)、亀田仁一路選手(旭化成)、唯一の大学生・藤田大智選手(中央大)と続き、日本記録保持者の鈴木芽吹選手(トヨタ自動車)は後方の9番手に位置。先頭は1000mを2分45秒で入っていきました。2000mは5分32秒(この間の1000mは2分47秒、以下同じ)で通過。2400mの段階で、ハーフマラソン日本記録保持者の篠原倖太朗選手(富士通)が7番手、鈴木選手が8番手に上がりますが、縦長の隊列は変わらぬまま、2000mから3000mも2分46秒と、ほぼ同じペースで進んでいきました。

隊列に変化が生じたのは、ここからの1000mです。最後尾についていた選手1~2名が少し離れたかと思うと、その後、篠原選手のところで少し先頭との距離が開くことに。4000mの手前では、マル選手についた上位選手は8名になりました。
その後、等間隔だった上位陣にばらつきが生じ始めたタイミングで、鈴木選手が西澤選手に続く3番手へと浮上。11周目のバックストレートで西澤選手をかわしてマル選手につくと、ここで上位陣がさらに分裂し、後方にいた吉居大和選手(トヨタ自動車)、小林歩選手(SUBARU)、伊豫田選手が突き放される形となりました。

トップグループは、マル、鈴木、亀田、藤田、西澤の5選手に絞られ、5000mを13分46秒で通過。2分44秒とペースが上がった6000mまでで西澤選手が後れ、そして藤田選手も6000mを過ぎたところでつけなくなり、上位争いは鈴木選手と亀田選手に絞られました。
ここで余裕を感じさせたのが鈴木選手です。マル選手の後方外側に位置し、ペースアップを促すかのように並びかける走りを見せるようになったのです。最初は2人にぴたりと食らいついていた亀田選手も、残り8周となる手前で後れがちに。2分43秒にペースが上がっての通過となった7000m地点(19分13秒)で、その差は10m以上開く形となりました。

マル選手にぴたりとついたままレースを進める鈴木選手は、8000mを21秒58秒(2分45秒)で通過。8100mを過ぎたところでマル選手がレースを終えて単独走となってからも、快調にペースを刻んでいきます。9000mまでの1000mでは2分43秒にペースアップ。さらに最後の1000mは2分39秒へと引き上げて、27分20秒11で堂々のフィニッシュ。アジア大会派遣設定記録(27分31秒27)を上回って、トラック&フィールド種目としては、東京世界選手権入賞で内定した選手を除く最初の内定者となりました。


鈴木選手は、駒澤大学卒業後、社会人2年目の昨シーズンに大躍進を見せました。4月に熊本で行われた日本選手権10000mで初優勝を飾ると、初の日本代表選出となった5月のクミ・アジア選手権では銀メダルを獲得するとともに、9月の東京世界選手権にも出場(20位)。そして11月には27分05秒92の日本新記録を樹立と、実績・記録ともに日本のエースといえる存在になっています。セカンドベストでの優勝となった今回のレースについては、「走る前から僕をマークするという雰囲気をひしひしと感じていたし、周りからも僕が勝って当たり前と思われていた部分があった」と周囲からの注目を自覚したうえで、「何よりも自分で、“ここで勝たなきゃ話にならない”というプレッシャーをかけて臨んでいた」と言います。

アジア大会で目指すのは金メダル。強力なライバルとなりそうなのは、昨年のアジア選手権5000m・10000m2冠のグルヴィール・シン選手(インド)です。鋭いスパートを見せるシン選手のラストのキックに、どう対抗するかがカギとなってくるとみています。今回、代表を内定させたことで、ここからはアジア大会にぴったり照準を定めての取り組みを進めていく予定。夏には海外で5000mに出場し、大迫傑選手(現リーニン)が2015年に樹立した13秒08分40秒の日本記録更新にチャレンジすることを計画しています。アジア大会では、さらにスピードに磨きがかかった走りを目にすることができそうです(鈴木選手の代表内定コメントは、別記ご参照ください)。

2位で続いたのは、6000m過ぎまで先頭争いに食らいついた亀田選手。2024年に出した従来の自己記録27分59秒27を大幅に更新する27分40秒41をマークしました。3位には、中盤で上位争いから離れる形となった西澤選手が、藤田選手をかわして再浮上。セカンドベストの27分56秒13・3位でフィニッシュしています。

第110回日本選手権

男子5000m
6月12日(金)予選/6月14日(日)決勝
女子5000m
6月12日(金)決勝 
https://www.jaaf.or.jp/jch/110/


【アジア大会代表内定者コメント】


男子10000m
鈴木芽吹(トヨタ自動車)
優勝 27分20分11秒 
=アジア大会派遣設定記録突破、代表内定



この大会は、「勝つことだけが一番」だと思って臨んでいた。ペースメーカーの方が8000mまでと聞いていたので、特にアクシデントがなければ、(ペースメーカーが)抜けた時点で仕掛けようと思っていたが、もうその時点で、1人になっていたので、そのまま押していく形となった。もちろん、勝つことが大事ではあったけれど、(自分が)見ているのはその先のアジア大会で勝つことや26分台。そこに向けていかにいい走りができるかを考えて走った。

前半はちょっときつく感じていて、ペースが遅かったこともあって、若干焦りを感じていたが、5000mを過ぎてからは呼吸も落ち着いてきたこともあり、余裕はそれなりに最後まで持てていたと思う。ただ、ラスト2000mは、先を見据えた走りをしようと思っていたのだが、なかなかペースを上げることができなかった。「まだまだ」という感じがしている。最後の1周もペースは維持できたので、最低限は走れたと思うが、やっぱり、まだまだという印象。「もっと行けたし、行きたかったな」という気持ちが全体的にある。

今回は、走る前から(周りが)僕をマークするという雰囲気をひしひしと感じていたし、僕が勝って当たり前と思われていた部分があった。そして、何よりも、自分で“ここで勝たなきゃ話にならない”と、(自身に)プレッシャーをかけていた。そういう意味では、見ている皆さんからしたら圧勝で、簡単だったように思われるかもしれないが、僕にとってはすごく価値のあるレースだったと思う。去年の金栗(初優勝を果たした日本選手権10000m)は、事実上チャレンジャーだったので、ある意味気楽だったのだが、今回はやはり「いくら自分は挑戦者だ」と思っても、やはり絶対に追われる立場。その違いは大きかったと思う。

大会に向けては、今回もアルバカーキで合宿し、スピードも含めて、質の高い練習をしっかり積むことができていて、帰国して以降も含めて、ある程度うまく調整することができた。また、合宿に向かうに当たっては、絶対的なスピードを上げていこうという意図をもって、3月末に1500mのレースに出場した(3分41秒61)。合宿でのメニュー自体はそんなに変えていないが、その前に1500mを取り入れたことで、全体的にスピードの余裕ができて、そのぶん質を上げることができたように感じている。まだ1回だけの取り組みなので、それが成果につながっているかどうかはなんともいえないが、自分は、何か新しいことにチャレンジしよう、常にアップデートしていきたいという気持ちを持っている。そうした取り組みができたことが、すごくよかったと思う。

日本選手権は5000mにはエントリーせず、今後は、アジア大会に向かっていくことになる。7月に1回、5000mで記録を狙おうと思っていて、ここで日本記録(13分08秒40)を更新できればと考えている。
アジア大会の目標は、もちろん勝つこと。アジアでの大会の場合は、絶対に速いペースにはならないので、いかにラストで勝てるかというところになってくる。これからの期間で、その部分をしっかりと磨いていきたい。


文:児玉育美(JAAFメディアチーム)
写真:アフロスポーツ


第110回日本陸上競技選手権大会

兼 愛知・名古屋 2026 アジア競技大会 日本代表選手選考競技会

■大会概要

日時:2026年6月12日(金)〜14日(日)
   ※男子100m予選・準決勝は12日(金)、決勝は13日(土)
会場:パロマ瑞穂スタジアム(愛知・名古屋)
公式サイト:https://www.jaaf.or.jp/jch/110/


■チケット情報

前売チケット好評販売中!
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▶チケットはこちらから
https://www.jaaf.or.jp/jch/110/ticket/


■関連情報

・劇場アニメ『ひゃくえむ。』コラボニュース第1弾



劇場アニメ『ひゃくえむ。』日本陸上競技選手権大会 コラボレーション ーそういう景色を見ようぜー が開催決定!
https://www.jaaf.or.jp/jch/110/news/article/23307/


・劇場アニメ『ひゃくえむ。』コラボ第2弾プロモーションビデオ

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