2025.09.24(水)大会

【東京2025世界陸上】信岡沙希重短距離ヘッドコーチ 男子4×100mリレー総括



東京世界選手権男子4×100mリレーは、大会最終日に決勝が行われました。日本は、着順での通過となった予選(2組3着、38秒07)と同じく、小池祐貴(住友電工)・栁田大輝(東洋大学、ダイヤモンドアスリート修了生)・桐生祥秀(日本生命)・鵜澤飛羽(JAL)の4選手が1~4走を務め、38秒35で6位の成績を残しました。決勝終了直後に、ショートスプリントを担当する信岡沙希重 短距離ヘッドコーチがメディアの取材に応じ、質疑応答形式で同種目を総括しました。


信岡沙希重 短距離ヘッドコーチ

Q:6位という結果を、どのように受け止めているか?
信岡:チームとしては、「日本記録を出してメダル獲得」を目標にしていたので、今日の結果(38秒35、6位)は、悔しいというか残念に感じる部分はある。ただ、世界大会において、決勝に残れないチームやバトンミスが生じるチームもあるなかで、決勝の舞台で勝負して入賞という結果が残せたことを評価したい。選手たちがすごく頑張った結果だと思っている。

Q:予選後、決勝に向けて行ったバトンパスの修正は?
信岡:バトンパスについては、予選の結果を踏まえて、全区間で修正を行った。3~4走のところは大きく変えてはいないが、予選で非常に詰まった1~2走は、スタート位置の歩数を変更して臨んだ。また、2~3走に関しては、予選は確実に決勝に残ることを意図して、ある意味、安全すぎたバトンパスだったので、加速の部分を見直すようにした。

Q:予選でタイムがあまり良くなかった走者の変更は検討しなかったのか?
信岡:もちろん、いろいろなデータから「最善は何か」の検討はしている。予選の3走については、その区間が向かい風で全体的に3走のラップタイムが高くなかったことや、2~3走のバトンパスのデータにおいて課題は初速のところにあることを把握し、そこを修正すれば問題ないという判断があり、予選と同じオーダーで行くことを決めている。

Q:実際に、1~2走と2~3走の足長を広げた結果を、どう評価しているか?
信岡:予選よりは、(詰まることなく)流れたかなとは思う。ただ、結果として、リレーとしてのタイムは落としてしまっているので、バトンがきれいに渡ったことがタイムにつながっているのかという点は、改めてデータを摺り合わせて反省していきたい。

Q:予選からの修正で、どのくらいのタイムを見込んでいたのか?
信岡: 0.4秒は、確実に上げていけるのではないかとみていた。そこは選手と共有して決勝に臨んだ。

Q:記録が落ちた要因は、4レーンであることや雨が降ったことが影響しているのか?
信岡:ただ、強いチームは、決勝になるとタイムを上げてくる。そういったチームに揉まれるなかで、決勝で力を発揮できなかったところが、今の日本の実力なのかなと真摯に受け止めている。予選・決勝の2本を走るというだけでなく、先頭を走ることができる予選と違って、決勝では気持ちよく走らせてもらえない…それは当たり前のことではあるのだが、そうした要因が少しずつタイムに影響しているのではないかと思う。

Q:桐生選手が、スタートしたところで足を攣ったそうだが、その影響があったと考えるか?
信岡:情報としてまだ詳細を把握していないが、それも最善を尽くしてくれた結果。ウォーミングアップでは、全く問題はなかった。アップの段階で、みんなが自信を持って「これを本番でやろう」という状態に仕上がっていたので、最善は尽くせていたと思っている。

Q:サニブラウンアブデルハキーム選手(東レ、ダイヤモンドアスリート修了生)を起用しなかった意図は?
信岡:リレーに関しては、チーム全員で最善を尽くすということで取り組んできたので、サニブラウンについても、100mが終わってからはチームに合流している。みんなでバトンパスの練習などを行っていくなかで、サニブラウン含めて全員の状態を確認してきた。オーダーは、そのうえで最終的に判断している。

Q:今回、高校生の清水空跳選手(星稜高校)が代表に入った。彼がこの場を経験したことを、どうみているか?
信岡:非常に大きな財産になると思う。それは、清水自身にとっても財産だし、日本にとっても、彼の今回の経験が、今後につながっていくので、そういう意味でも大きな財産となるもの。これだけの年齢差やキャリアの差があるなかでコミュニケーションをとることや、おそらく彼自身はすごく緊張したと思うが100mの記録だけではないリレーの適性や求められることを実際に経験することができている。実際に、トレーニングでコーナー走をしているときに、先輩たちに「どうやって走るんですか?」と聞く場面も見られたし、アンダーハンドパスのバトンについて、渡し方やもらい方、スタートの距離感や声のかけ方などを丁寧に教えてもらうなど、最高水準のものを吸収することができている。そういったことが、今後につながっていくのではないかと思っている。

Q:一方で、今回、100mの個人種目は3人とも予選落ち。もう一度メダルを取るために、どうしていくことが必要か?
信岡:ご指摘の通り、100mにおいて準決勝進出者がいなかったところの力不足はあると思う。一方で、今回は、層が厚くなったという点では前進があったと考えていて、層が厚くなったために、代表入りすること自体が大変になるという状況が生じた。それが選考会の段階での(高いレベルの記録を狙い続けなければならない)選手の難しさにもつながっていて、いわば、前進したがゆえに、また一つ、新たな壁が来たのかなと感じている。今のこの厚くなった層のなかで、各選手がもっとたくましくなっていけば、全体が、もう一つ高いレベルに上がっていけると考えている。それを期待したい。

※本内容は、9月21日に実施した囲み取材において、信岡沙希重 短距離ヘッドコーチが発言した内容の一部をまとめました。より明瞭に伝えることを目的として、一部、修正、編集、補足説明を施しています。


写真・文:児玉育美(JAAFメディチーム)

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