2025.09.17(水)選手

【記録と数字で楽しむ東京2025世界陸上】女子やり投:ブダペスト・パリに続き北口が「一番良い色のメダル」を目指す



9月13日(土)から21日(日)の9日間、国立競技場を舞台に20回目の世界選手権「東京2025世界陸上競技選手権大会(東京2025世界陸上)」が開催される。
日本での開催は、1991年(第3回)の東京(国立)、2007年(第11回)の大阪(長居)に続き3回目。国単位での開催回数では、最多である(2位は、フィンランドとドイツの2回)。

日本からは、全49種目のうちの38種目に80名(男子49名・女子31名)の代表選手がエントリーし、世界のライバル達と競い合う。

現地のスタンドあるいはテレビで観戦する方の「お供」に日本人選手が出場する全38種目と世界新記録や好勝負が期待される種目に関して、「記録と数字で楽しむ2025東京世界選手権」をお届けする。

なお、これまでにこの日本陸連HPで各種競技会の「記録と数字で楽しむ……」をお届けしてきたが、過去に紹介したことがある同じ内容のデータや文章もかなり含むが、可能な限りで最新のものに更新した。また、記事の中ではオリンピックについても「世界大会」ということで、そのデータも紹介している。

記録は原則として、世界選手権参加標準記録の有効期限であった25年8月24日現在のものによった。
現役選手の敬称は略させていただいた。

日本人選手の記録や数字に関する内容が中心で、優勝やメダルを争いそうな外国人選手についての展望的な内容には一部を除いてあまりふれていない。日本人の出場しない各種目の展望などは、陸上専門誌の観戦ガイドや今後ネットにアップされるであろう各種メディアの展望記事などをご覧頂きたい。

大会期間中は、日本陸連のX(https://x.com/jaaf_official)を中心に、記録や各種のデータを可能な範囲で随時発信する予定なので、そちらも「観戦のお供」にしていただければ幸いである。

▼「記録と数字で楽しむ東京2025世界陸上」記事一覧
こちらから>>



女子やり投

・予選 9月19日(金)A組19:30 B組21:00
・決勝 9月20日(土)21:05


ブダペスト・パリに続き北口が「一番良い色のメダル」を目指す

23年ブダペストと24年パリ五輪で世界の頂点に立った北口榛花(JAL/エントリー記録66m13=24年・自己ベスト67m38=23年=日本記録)が3年連続での一番高い表彰台を目指す。世界選手権は、19年ドーハ(予選落)・22年オレゴン(3位)・23年ブダペスト(1位)に続き4大会連続出場。2度の五輪(21年12位・24年1位)を含め7度目の世界の大舞台である。今回は、前回優勝者の「ワイルドカード枠」での出場だ。

北口の他には参加標準記録の64m00はクリアできなかったが、ワールドランキング(Road to Tokyo)15位の上田百寧(ゼンリン/エントリー記録&自己ベスト62m20=25年)と同26位の武本紗栄(オリコ/エントリー記録61m09=24年・自己ベスト62m39=21年)がターゲットナンバーの「36位以内」に余裕でランクインし出場権を獲得。
上田は、世界選手権には22年・23年に続き3大会連続、24年パリ五輪を含めて4年連続の世界大会だ。
武本は、22年オレゴンに続いて2度目の世界選手権だ。

この種目での3人のエントリーは、17年ロンドン、22年オレゴン、23年ブダペストに続き4回目。五輪での3人のエントリーは24年パリが唯一。これで、22年から4大会連続での世界大会への3人のエントリーとなり、北口を筆頭とした日本のレベルの充実ぶりを示している。
今回の世界選手権に3人がエントリーしているのは、日本のみ。2名は、ランキングの高い順にノルウェー・中国・オーストラリア・セルビア・ブラジル・アメリカ・ポーランド・コロンビア・ラトビアの9カ国だ。

今シーズンの北口は、6月下旬に右肘に炎症を起こし7月の日本選手権を回避。その後は回復につとめて8月20日の復帰第一戦は50m93。3連覇のかかった同28日のダイヤモンドリーグファイナルは60m72で6位。
自己ベストに6m66、シーズンベストにも3m91及ばなかったが、北口自身は、
「大きな一歩。普通に投げられる状態にもってこられた」と一安心し、「腕以外のコンディションは、パリ五輪よりも仕上がっている」とも。
「しっかりと投げられる状態で臨めれば自信はある」と世界大会3連覇に向けて前向きだ。

上田と武本も自己ベストを上回るようなアーチをかけられれば、入賞の可能性はある。


◆五輪&世界選手権での入賞者と日本人最高記録◆

1932年 五輪 4位 39.08 真保正子(泉尾高女教)
1936年 五輪 5位 41.45 山本定子(中京高女出)
2011年    8位 59.08 海老原有希(スズキ浜松AC)=1位がドーピングで失格
2022年    3位 63.27 北口榛花(JAL)
2023年    1位 66.73 北口榛花(JAL)
2024年 五輪 1位 65.80 北口榛花(JAL)

世界選手権で日本人初入賞の海老原さんは、当初は9位だったが、トップの選手がドーピングで失格し、8位に繰り上がった。

なお、「6位まで入賞」だった時代の五輪で下記の2人は現在なら入賞の8位以内に入っていた。
1932年 五輪 8位 30.81 石津光恵(山中高女)
1964年 五輪 7位 52.48 佐藤弘子(リッカー)

最高記録は、
<世界選手権>
66.73 北口榛花(JAL)2023年 1位
<五輪>
65.80 北口榛花(JAL)2024年 1位

日本国内でマークされた最高記録は、
67.12 劉 詩穎(中国)2018.05.20 長居


◆1999年以降の世界選手権&五輪での「67m38=日本記録」の相当順位、1・3・8位、決勝に進めなかった最高記録◆

・やりの規格が現在のものになった1999年以降。
・「◎」は、各項目の最高記録。
相当順位1位3位8位予選落最高 
19992位67.0966.0662.6759.5 
2000五輪3位68.1966.18◎62.159.21 
20012位69.5364.6961.0158.26 
20031位66.5262.759.658.5 
2004五輪2位71.5364.2961.7560.8 
20053位71.70◎65.9657.9958.74 
20072位67.0764.4261.0359.52 
2008五輪2位71.4265.1358.1359.63(2位70.78 ドーピングで失格)
20092位67.364.5158.2558.98(3位66.06 ドーピングで失格)
20113位71.5865.2459.0859.15(1位71.99 ドーピングで失格)
2012五輪2位69.5564.9159.4659.91(7位61.62 ドーピングで失格)
20132位69.0565.0961.360.32 
20152位67.6965.7960.8862.17 
2016五輪1位66.1864.862.92◎61.02 
20171位66.7665.2662.8462.26◎ 
20191位66.5665.4961.1260.84 
2021五輪1位66.3464.5659.9660.78 
20221位66.9163.2760.1858.61 
20231位66.7363.3860.3459.59 
2024五輪1位65.863.6862.4460.49 
       
最高記録 71.70(05)66.18(00)62.92(16)62.26(17) 
世選最高 71.70(05)66.06(99)62.84(17)62.26(17) 
五輪最高 71.53(11)66.18(00)62.92(16)61.02(16) 
以上の通りで、北口の「日本記録67m38」の相当順位で「メダル圏内」は、五輪を含む20大会中20大会。つまり「メダル獲得確率」は「100%」だ。うち、「金」は8大会で「40.0%」だが、16年以降の至近7大会では、「100%」になる。

上田の62m20と武本の62m39なら入賞率80.0%である。

本番では、予選も決勝も「3投目まで」に確実に「63m以上」を投げておきたいところだ。五輪を含め15年以降の8大会では「予選通過標準記録」が15・17・19年世界選手権が「63m50」、22年が「62m50」、23年が「61m50」。五輪は、16年リオも21年東京も「63m00」で24年パリが「62m00」だった。

ただ、8大会ともこれをクリアした選手が12名に満たなかったのでそれ以下から拾われている。
12番目での決勝進出者は、15年62m21、16年61m63、17年62m29、19年60m90、21年60m94、22年59m06、23年59m66、24年61m08。
13番目で落選した選手は、15年62m17、16年61m02、17年62m26、19年60m84、21年59m96、22年58m61、23年59m59、24年60m49。
なお、19年の落選者トップの60m84は北口の記録で「ファイナル」に「あと6cm」届かなかった。


◆北口の年別トップ5記録の比較◆

この5年あまりの日本選手権やゴールデングランプリ、あるいは世界大会前のこの「記録と数字で楽しむ……」で毎回のように北口の各種データを紹介してきている。よって以下の内容は、これまでに紹介したものとほとんど同じものだ。ただし、データは最新のものに更新しているので「またか……」と思わずにご覧いただければ幸いである。

北口がやり投を始めた2013年の高校1年生の時からの各年の上位5試合を記録順に並べて比較している。
21年以前と比較して22年から24年の3年間で北口の力が一段とアップしてきていることが、このデータからよくわかる。

<北口の年別の上位5位記録の比較>
・予選も1試合としてカウントしている。
・「1位」~「5位」の記録の右横の「◎」は前年までの自己ベストを、「○」はその時点でのその順位での自己最高を上回ったことを示す。
学齢試合数1位2位3位4位5位60m以上回数(率)63m以上回数(率)
高120131149.3145.4945.3745.2545.10  
高220141953.15◎53.08◎52.16◎52.16◎51.93◎  
高320151258.90◎57.02◎56.63◎55.99◎54.44◎  
大1201661.38◎60.84◎57.23○56.75○56.16○2(28.6%) 
大220171061.0760.4959.59○59.08○57.96○2(20.0%) 
大3201860.4858.8358.6258.3856.991(11.1%) 
大420191466.00◎64.36◎63.68◎61.94◎60.84○10(71.4%)3(21.4%)
社1202063.4559.3859.3058.361(25.0%)1(25.0%)
社2202162.0661.4959.1157.1957.182(25.0%)
社320221765.6865.10○64.32○63.93○63.56○15(88.2%)8(47.1%)
社420231667.38◎67.04◎66.73◎65.09○64.50○14(87.5%)10(62.5%)
社520241166.1365.8065.2164.2863.4511(100.0%)5(45.5%)
社6202564.6364.1663.8860.8860.885(83.3%)3(50.0%)
・2025年は8月28日現在

13年から16年は、毎年どんどん自己ベストを伸ばしてきた。
17・18年は自己ベストは停滞したが、その年の3~5番目の記録が自己ベストをマークした16年よりもアップして、次のステップへのエネルギーを蓄えていた時期。
そして、そのエネルギーが19年に大爆発。世界で戦えるレベルの66m00に日本記録を引き上げた。
コロナの影響もあって20・21年はやや後退したが、次のステップアップに向けての試行錯誤や軌道修正、今後に向けての計画立案の時期であったのだろう。
22年には19年以来2度目の大爆発。自己ベストこそ19年のままだったが、その年の2番目以下の記録が19年とは比べものにならないくらい飛躍的にアップ。60m以上や63m以上の回数や率も19年のレベルを大きく上回り、大きな土台が築かれたようだ。

それらしっかりした土台をもとに、次の新たなステップで自己ベストが大きくアップする前兆が23年初戦の4月29日の織田記念(64m50)と次の5月6日の木南記念(64m43)での64m台連発で、それがブダペスト世界選手権での金メダルと67m04(7月16日)→67m38(9月8日)の日本新記録につながった格好だ。
24年も初戦(4月27日)の62m97から、5月19日・63m45、6月22日・64m28、7月12日・65m21と次第に記録を上げ、8月10日のパリ五輪では1投目の65m80で結果的には勝負を決めた。そして、9月14日のダイヤモンドリーグファイナルを66m13の優勝で締めくくったのだった。

年によって出場した試合数に違いはあるが、自己ベストの進歩の状況、2番目以下の各順位の記録の年ごとの上昇具合、あるいは自己ベストが60mを越えた16年以降の表右横に示した「60m以上回数」やその「率」の数字の変化などをご覧いただきたい。これらを見ていくとまさに世界の「メダリストの常連」や「一番良い色のメダル」に向かって、着実に進歩してきた様子がよくわかる。特に、「60m以上の回数(率)」や「63m以上の回数(率)」のデータは、22年から23年の2年間で北口の力が一段とアップしたことを示している。

どんな種目のどんなレベルの選手であっても、似たような向上の道筋をたどっていくように思える。
1)競技を始めた当初や若い頃は面白いように自己ベストがどんどん出る。
2)が、ある程度の時間が過ぎるとベスト記録の向上がストップしたり伸び幅が一気に落ちてしまう。
3)ただ、そこで我慢して日々の努力を積み重ねていると、自己記録は出なくてもある一定レベル以上の記録がコンスタントに出せるようになってくる。
4)すると、近いうちに大爆発が起こり、久々にワンランク上の自己記録が出て次の新たな段階へ昇る。
そして再び「2」に戻って、「3」「4」へ……というふうな道筋だ。

北口も上述の、「1」→「2」→「3」→「4」→「2」→「3」→「4」を描いている。24~25年の北口は、19年と23年に続く次の大爆発を待つ「3」の段階にあるのであろうか? あるいは、25年が大爆発の年になるのかもしれない。

下表は、北口のシーズン初戦の記録と各年の最終的なシーズンベストを調査し、初戦からどのくらい記録を伸ばしているのかをまとめたものである。

<北口榛花のシーズン初戦とその年の最高記録>
年月日初戦->年最高月日記録の伸び(m)
2013.05.0534.13->49.3110.1815.18
2014.04.2953.08->53.1510.210.07
2015.05.1055.99->58.9010.162.91
2016.04.2956.75->61.3805.084.63
2017.04.2954.64->61.0710.086.43
2018.04.2958.62->60.4809.081.86
2019.04.0657.87->66.0010.278.13
2020.08.2359.38->63.4509.194.07
2021.05.0257.18->62.0608.034.88
2022.04.2359.63->65.6810.086.05
2023.04.2964.50->67.3809.082.88
2024.04.2762.97->66.1309.143.16
2025.05.0360.88->(64.6306.123.75)
・2025年は、8月28日までの記録

初めてやりを投げたのは、旭川東高校1年生だった2013年5月5日の北海道道北地区記録会での「34m13」。これが初の公認記録である。
シーズン初戦から15m以上も記録を伸ばした1年目のデータは除外するが、2年目以降の初戦とシーズンベストとの差である「記録の伸び」は、最小で「7cm」、最大で「8m13」。
14年から24年までの11年間の平均値は、「4m097」だ。
22年以前の北口の「シーズン初戦の最高記録」は、22年の59m63だったが、23年と24年は初戦から60mラインを大きくオーバーしその勢いでブダペスト世界選手権とパリ五輪も制した。
25年5月3日の初戦は中国・紹興でのダイヤモンドリーグでは60m88の4位、次の5月18日の東京でのゴールデングランプリが64m16で優勝、6月12日のオスロでのビスレットゲームも64m63で優勝、6月24日のオストラバでは1投目に63m88を投げてリードしたが5投目に99cm逆転されての2位となっている。


★「6投目の北口」をデータで検証★

24年のゴールデングランプリでは北口が6投目で逆転優勝したが、それ以前から「6投目の北口」は、よく話題になってきていた。
古くは、高校3年生の15年日本ジュニアでの高校新&U18日本新(58m90)が6投目。
大学2年生の17年に日本インカレで初優勝した時も6投目での逆転優勝。
22年オレゴン世界選手権で銅メダルを獲得した時も、23年ブダペスト世界選手権で金メダルを獲得した時も、6投目での大逆転だった。22年は6投目の試技に入る前の順位は5位からの銅メダル、23年は4位の位置からの逆転金メダルだった。

また、23年7月16日の67m04、同9月8日の67m38の日本新の時も6投目だった。
直近の24年パリ五輪では、1投目の65m80がウィニングスローとなった。

高校時代からのすべてを調べる訳にはいかないので、ここでは世界大会でメダルを獲得した22年以降からの試技内容を調べた。
22年の17試合(うち予選が1試合)、23年の16試合(うち予選が1試合)、24年の11試合(うち予選が1試合)のシリーズで、何投目にその日のベストを出したのかを示した。結果は、以下のとおり。
・【 】内は、3投目までの最高記録を示す。

<2022年・23年・24年・25年の北口の試技内容>
・2022年(17試合/うち予選1試合)
4月23日1)59m631投目/59m63-54m97-56m56【59m63】-×-53m76-×
5月1日1)61m201投目/61m20-59m55-58m22【61m20】-×-60m47-×
5月8日1)63m931投目/63m93-59m51-60m82【63m93】-58m82-62m96-60m91
5月28日1)62m80???/試技内容不明
6月11日1)62m253投目/59m13-57m07-62m25【62m25】-57m36-×-×
6月14日1)61m971投目/61m97-59m53-58m15【61m97】-57m97-60m68-61m97
6月18日1)63m133投目/61m91-59m84-63m13【63m13】-×-57m76-61m33
7月8日1)60m426投目/58m02-59m25-×【59m25】-55m30-59m53-60m42
7月20日予)64m321投目/64m32=通過/全体1位【64m32】
7月22日3)63m276投目/62m07-×-55m78【62m07】-61m27-×-63m27
8月6日1)65m106投目/60m13-61m37-×【61m37】-61m76-58m68-65m10
8月10日2)62m374投目/54m28-59m97-58m44【59m97】-62m37-60m16-59m13
9月2日2)63m456投目/60m49-61m58-×【61m58】-×-63m13-63m45
9月8日3)63m566投目/57m03-60m51-63m35【63m35】-59m14-56m77-63m56
9月17日1)59m231投目/59m23-57m30-56m88【59m23】-×-57m92-×
10月2日1)62m573投目/62m02-60m99-62m57【62m57】-59m55-59m16-×
10月8日1)65m683投目/61m23-62m71-65m68【65m68】-62m00-×-62m10
決勝に限ると1・3・6投目にその日のベストを投げることが多く、1投目が5回、3投目が4回、6投目が5回。
ということは、試技内容が判明している決勝での15試合中9回は3投目までにベストをマークしているということで、世界大会での勝負を考えるといい内容だ。
世界大会の決勝進出と決勝でのトップ8入りが確実な「3投目までに63m以上」は予選を含めて16試合中の5回(31.3%)。決勝進出やトップ8入りの可能性がかなり高そうな「3投目までに62m以上」は8回(50.0%)だ。

・2023年(16試合/うち予選1試合)
4月29日1)64m505投目/59m01-×-63m45【63m45】-60m37-64m50-61m58
5月6日1)64m432投目/63m72-64m43-61m25【64m43】-×-×-61m66
5月21日4)61m346投目/58m87-×-59m02【59m02】-×-×-61m34
6月2日2)59m921投目/59m92-58m25-×【59m92】-×-×-×
6月9日1)65m093投目/58m25-60m87-65m09【65m09】-59m72-58m39-57m80
6月13日2)59m692投目/57m17-59m69-55m81【59m69】-×-57m69-58m92
6月27日1)63m722投目/60m27-63m72-×【63m72】-×-×-×
6月30日2)63m341投目/63m34-×-60m60【63m34】-58m69-60m78-58m95
7月16日1)67m046投目/64m12-61m49-62m76【64m12】-×-65m82-67m04
7月20日1)62m526投目/59m78-57m40-57m90【59m78】-58m64-61m24-62m52
8月6日1)61m886投目/57m74-57m13-×【57m74】-56m54-58m82-61m88
8月23日予)63m272投目/59m04-63m27=通過/全体3位【63m27】
8月25日1)66m736投目/61m78-61m99-63m00【63m00】-62m36-62m68-66m73
9月3日1)60m063投目/55m32-59m93-60m06【60m06】-×-P-P
9月8日1)67m386投目/59m56-65m20-62m89【65m20】-60m12-62m69-67m38
9月16日1)63m782投目/59m36-63m78-×【63m78】-58m50-59m06-62m76
3投目までにベストを投げたのが決勝の15試合中8回(53.3%)。5・6投目がベストだった7試合もうち4回(57.1%)は3投目までに63m以上の記録を残している。
「3投目までに63m以上」は、予選を含む16試合中10回(62.5%)で、22年の「31.3%」の倍になっている。
世界大会の決勝進出やトップ8入りの可能性がかなり高そうな「3投目までに62m以上」も「63m以上」と同じ10回(62.5%)だ。

・2024年(11試合/うち予選1試合)
4月27日1)62m976投目/55m97-56m43-58m93【58m93】-56m57-61m44-62m97
5月5日1)61m836投目/60m98-60m53-60m15【60m98】-×-59m86-61m83
5月19日1)63m456投目/60m20-60m19-58m30【60m20】-×-62m02-63m45
5月28日1)60m473投目/×-57m63-60m47【60m47】-×-59m47-×
6月22日2)64m286投目/57m64-×-64m08【64m08】-×-×-64m28
6月28日1)62m872投目/61m10-62m87-×【62m87】-×-×-59m87
7月12日1)65m216投目/64m63-60m96-×【64m63】-61m46-62m38-65m21
7月20日4)62m692投目/60m50-62m69-58m43【62m69】-×-62m07/6投目に進めず
8月7日予)62m581投目/62m58=通過/全体7位【62m58】
8月10日1)65m801投目/65m80-62m39-×【65m80】-61m68-64m73-×
9月14日1)66m136投目/61m28-65m08-61m72【65m08】-59m88-×-66m13
3投目までにベストをマークしたのは、決勝の10試合中4回(40.0%)。
世界大会の決勝進出と決勝でのトップ8入りが確実な「3投目までに63m以上」は予選を含めて11試合中の4回(36.4%)。決勝進出やトップ8入りの可能性がかなり高そうな「3投目までに62m以上」は7回(63.6%)。4~5月は3投目までにエンジンがかからないことが多かったが、6月以降の予選を含む7試合はすべて3投目までに62m以上を投げている。
23年7月16日から続いていた決勝での連勝記録は、24年6月22日にトップと43cm差で敗れたことによって24年5月28日までの「11連勝」でストップした。その後の日本選手権、7月12日のモナコで連勝。パリ五輪前の最終戦となった7月20日のロンドンでは1年2カ月ぶりの4位だったが、3週間後8月10日のパリ五輪では2位に1m87の差をつけて快勝した。

・2025年(6試合)/8月28日まで
5月3日4)60m883投目/55m54-51m61-60m88【60m88】-58m73-58m53/6投目に進めず
5月18日1)64m165投目/61m41-58m48-59m23【59m28】-×-64m16-61m37
6月12日1)64m635投目/57m28-×-60m74【60m74】-60m86-64m63-×
6月24日2)63m881投目/63m88-×-62m77【63m88】-60m02-62m75-61m65
8月20日10)50m932投目/×-50m93-49m65【50m93】
8月28日6)60m726投目/56m62-59m18-56m25【59m18】-59m72-58m34-60m72
2022~24年に北口が決勝でその日のベスト記録を投げた試技の回数別の内訳をまとめると以下のとおりで、「6投目」がトータル4割になる。
25年は8月27日までに6試合で、1投目・2投目・3投目・6投目が1回ずつ、5投目が2回だ。

<北口がその日の最高記録を出した試技回数別の内訳(決勝に限る)>
回数2022年=15試合2023年=15試合2024年=10試合2025年=6試合22~25年の合計=46試合
1投目5回(33.3%)2回(13.3%)1回(10.0%)1回(16.7%)9回(19.6%)
2投目4回(26.7%)2回(20.0%)1回(16.7%)7回(15.2%)
3投目4回(26.7%)2回(13.3%)1回(10.0%)1回(16.7%)8回(17.4%)
4投目1回( 6.7%)1回( 2.2%)
5投目2回(13.3%)2回(33.3%)4回( 8.7%)
6投目5回(33.3%)5回(33.3%)6回(60.0%)1回(16.7%)17回(37.0%)
試技内容が判明している3年間の決勝40試合中16回(40.0%)は6投目にその日のベストをマークしている。特に24年の10試合中6回(60.0%)というのは、「驚き」の数字である。

「6投目の北口」ではあるが、どの試合でも結果を残すには、3投目までに世界大会の予選を通過したり、決勝でトップ8に残れる記録を残す必要がある。 15年以降の至近8回の世界大会で予選を通過するためのレベルが最も高かったのは「62m29=17年」。8位入賞がもっともハイレベルだったのは「62m92=16年」だ。
22年以降の試合で北口が3投目までに投げた「60m00以上の1m00毎」と「予選通過最高ラインの62m29以上」「8位入賞最高ラインの62m92以上」を投げた割合を調べてみた。

<北口の3投目までの「60m00以上の1m00毎」と「62m29以上」と「62m92以上」の割合>
 2022年2023年2024年2025年22~24年合計
60m00以上12/16(75.0%)11/16(68.8%)10/11(90.9%)3/6(50.0%)36/49(73.5%)
61m00以上12/16(75.0%)10/16(62.5%)7/11(63.6%)1/6(16.7%)30/49(61.2%)
62m00以上8/16(50.0%)10/16(62.5%)7/11(63.6%)1/6(16.7%)26/49(53.1%)
      
62m29以上6/16(37.5%)10/16(62.5%)7/11(63.6%)1/6(16.7%)24/49(49.0%)
62m92以上5/16(31.3%)10/16(62.5%)4/11(36.4%)1/6(16.7%)20/49(40.8%)
      
63m00以上4/16(25.0%)9/16(56.3%)4/11(36.4%)1/6(16.7%)18/49(36.7%)
64m00以上2/16(12.5%)4/16(25.0%)4/11(36.4%)0/6( 0.0%)10/49(20.4%)
65m00以上1/16( 6.3%)2/16(12.5%)2/11(18.2%)0/6( 0.0%)5/49(10.2%)
これまでの最もハイレベルな「予選通過」と「トップ8」の記録を「北口が3投目までに投げた記録のデータ」にあてはめると、22~25年のトータルでは、「予選通過」「トップ8」もほぼ4~5割くらいの数字になる。

世界チャンピオンの北口といえども、世界選手権や五輪の舞台は予選から勝負の場となる。


◆2025年世界リスト上位者と北口の対戦成績は?◆

25年の北口のシーズンベストは、6月12日のオスロダイヤモンドリーグを制した時の64m63。今季の世界6位である。
北口より上位に位置する5人との対戦成績を調べた。

1)67.76 V・ハドソン(オーストリア)6.28 =自己ベスト
<北口 vs V・ハドソンの対戦成績>
2019.07.102)60.15○●7)56.80ナポリユニバーシアード
2019.08.031)60.25○●3)54.80アンドルフ
2021.05.196)57.49●○5)58.06オストラバ
2021.05.195)54.69●○2)57.21レーリンゲン
2023.06.302)63.34○●5)61.24ローザンヌ
2023.08.251)66.73○●5)62.92ブダペスト世界選手権
2023.09.081)67.38○●2)64.65イヴォ・ヴァンダム記念
2023.09.161)63.78○●6)57.99プレフォンティン記念
2024.06.222)64.28●○1)64.71モトネットGP
2024.07.121)65.21○●4)59.35モナコ
2024.07.204)62.69○●6)60.35ロンドン
2024.09.141)66.13○●4)62.30DLファイナル
2025.05.034)60.88○●10)55.88紹興
2025.08.2010)50.93●○8)53.92ローザンヌ

・北口の10勝4敗。

2)67.22 A・ヴィラゴシュ(セルビア)4.26 =自己ベスト
<北口榛花 vs A・ヴィラゴシュの対戦成績>
 北口榛花vsヴィラゴシュ 
2022.09.022)63.45○●3)63.00イヴォ・ヴァンダム記念
2023.06.271)63.72○●2)61.22オストラバ
2023.06.302)63.34○●4)61.87ローザンヌ
2023.07.161)67.04○●8)56.88スコリモウスカ記念
2024.05.281)60.47○●3)60.21オストラバ
2024.07.121)65.21○●5)58.04モナコ
2024.07.204)62.69●○2)65.58ロンドン
2024.09.141)66.13○●2)65.23DLファイナル
2025.06.121)64.63○●2)63.78オスロ
2025.06.242)63.88●○1)64.87オストラバ
2025.08.2010)50.93●○1)63.02ローザンヌ
2025.08.286)60.72●○2)62.96DLファイナル
・北口の8勝4敗。

3)65.89 厳子怡(中国)8.03 =自己ベスト
<北口榛花 vs 厳子怡の対戦成績>
 北口榛花vs厳子怡 
2025.05.034)60.88○●5)60.54紹興
2025.06.242)63.88○●5)57.08オストラバ
・北口の2勝0敗。

4)65.66 S・ボルゲ(ノルウェー)6.28 /自己ベスト66.50=23年
<北口榛花 vs S・ボルゲの対戦成績>
 北口榛花vsS・ボルゲ 
2023.06.091)65.09○●11)52.49パリ
2023.06.302)63.34○●8)59.20ローザンヌ
2023.07.161)67.04○●6)60.31シレジア
2023.07.201)62.52○●9)56.70ルツェルン
2025.06.121)64.63○●6)59.09オスロ
2025.08.2010)50.93●○4)58.10ローザンヌ
・北口の5勝1敗。

5)64.90 E・ツェンゴ(ギリシャ)5.03 /自己ベスト65.81=22年
<北口榛花 vs E・ツェンゴの対戦成績>
 北口榛花vsE・ツェンゴ 
2022.06.141)61.97○●10)50.58クラドノ
2022.06.181)63.13○●7)58.16パリ
2022.08.061)65.10○●5)61.72スコリモウスカ記念
2022.09.022)63.45○●6)59.98イヴォ・ヴァンダム記念
2023.06.091)65.09○●10)55.02パリ
2023.06.271)63.72○●4)58.83オストラバ
2023.06.302)63.34○●9)57.71ローザンヌ
2024.04.271)62.97○●6)59.73蘇州
2024.08.101)65.80○●9)61.85パリ五輪
2025.05.034)60.88●○1)64.90紹興
2025.06.121)64.63○●4)62.61オスロ
2025.08.2010)50.93●○3)58.82ローザンヌ
2025.08.286)60.72●○1)64.57DLファイナル
・北口の10勝3敗。

以上、5人全員に勝ち越していて、トータルでは「35勝12敗」。
なお、北口が6月下旬に右肘を痛めた25年は復帰後の2戦での「0勝5敗」もあって、トータルで「6勝7敗」だが、故障前の4戦では「6勝2敗」だったことになる。

8月31日に行われた所属するJALの壮行会には、合宿先のトルコからリモートで参加。
投げられない期間は、課題だった下半身や体幹の強化などに励んだ。
「それはプラスになっている」と語り「腕以外はパリ五輪前よりも良い」との感覚もある。
「ケガをしても目標は変わらず金メダル。シーズンベスト(64m63)以上投げないと届かないと思っているのでしっかり準備していきたい」
「これから下がることはないと思うので、上を見て頑張っていきたい」
「しっかり投げられる状態で臨めれば、自信はある」
「やっぱり一番が好き」
と決意を語った。


野口純正(国際陸上競技統計者協会[ATFS]会員)
写真提供:フォート・キシモト、アフロスポーツ


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