
9月13日(土)から21日(日)の9日間、国立競技場を舞台に20回目の世界選手権「東京2025世界陸上競技選手権大会(東京2025世界陸上)」が開催される。
日本での開催は、1991年(第3回)の東京(国立)、2007年(第11回)の大阪(長居)に続き3回目。国単位での開催回数では、最多である(2位は、フィンランドとドイツの2回)。
日本からは、全49種目のうちの38種目に80名(男子49名・女子31名)の代表選手がエントリーし、世界のライバル達と競い合う。
現地のスタンドあるいはテレビで観戦する方の「お供」に日本人選手が出場する全38種目と世界新記録や好勝負が期待される種目に関して、「記録と数字で楽しむ2025東京世界選手権」をお届けする。
なお、これまでにこの日本陸連HPで各種競技会の「記録と数字で楽しむ……」をお届けしてきたが、過去に紹介したことがある同じ内容のデータや文章もかなり含むが、可能な限りで最新のものに更新した。また、記事の中ではオリンピックについても「世界大会」ということで、そのデータも紹介している。
記録は原則として、世界選手権参加標準記録の有効期限であった25年8月24日現在のものによった。
現役選手の敬称は略させていただいた。
日本人選手の記録や数字に関する内容が中心で、優勝やメダルを争いそうな外国人選手についての展望的な内容には一部を除いてあまりふれていない。日本人の出場しない各種目の展望などは、陸上専門誌の観戦ガイドや今後ネットにアップされるであろう各種メディアの展望記事などをご覧頂きたい。
大会期間中は、日本陸連のX(https://x.com/jaaf_official)を中心に、記録や各種のデータを可能な範囲で随時発信する予定なので、そちらも「観戦のお供」にしていただければ幸いである。
▼「記録と数字で楽しむ東京2025世界陸上」記事一覧
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女子やり投
・予選 9月19日(金)A組19:30 B組21:00・決勝 9月20日(土)21:05
ブダペスト・パリに続き北口が「一番良い色のメダル」を目指す
23年ブダペストと24年パリ五輪で世界の頂点に立った北口榛花(JAL/エントリー記録66m13=24年・自己ベスト67m38=23年=日本記録)が3年連続での一番高い表彰台を目指す。世界選手権は、19年ドーハ(予選落)・22年オレゴン(3位)・23年ブダペスト(1位)に続き4大会連続出場。2度の五輪(21年12位・24年1位)を含め7度目の世界の大舞台である。今回は、前回優勝者の「ワイルドカード枠」での出場だ。北口の他には参加標準記録の64m00はクリアできなかったが、ワールドランキング(Road to Tokyo)15位の上田百寧(ゼンリン/エントリー記録&自己ベスト62m20=25年)と同26位の武本紗栄(オリコ/エントリー記録61m09=24年・自己ベスト62m39=21年)がターゲットナンバーの「36位以内」に余裕でランクインし出場権を獲得。
上田は、世界選手権には22年・23年に続き3大会連続、24年パリ五輪を含めて4年連続の世界大会だ。
武本は、22年オレゴンに続いて2度目の世界選手権だ。
この種目での3人のエントリーは、17年ロンドン、22年オレゴン、23年ブダペストに続き4回目。五輪での3人のエントリーは24年パリが唯一。これで、22年から4大会連続での世界大会への3人のエントリーとなり、北口を筆頭とした日本のレベルの充実ぶりを示している。
今回の世界選手権に3人がエントリーしているのは、日本のみ。2名は、ランキングの高い順にノルウェー・中国・オーストラリア・セルビア・ブラジル・アメリカ・ポーランド・コロンビア・ラトビアの9カ国だ。
今シーズンの北口は、6月下旬に右肘に炎症を起こし7月の日本選手権を回避。その後は回復につとめて8月20日の復帰第一戦は50m93。3連覇のかかった同28日のダイヤモンドリーグファイナルは60m72で6位。
自己ベストに6m66、シーズンベストにも3m91及ばなかったが、北口自身は、
「大きな一歩。普通に投げられる状態にもってこられた」と一安心し、「腕以外のコンディションは、パリ五輪よりも仕上がっている」とも。
「しっかりと投げられる状態で臨めれば自信はある」と世界大会3連覇に向けて前向きだ。
上田と武本も自己ベストを上回るようなアーチをかけられれば、入賞の可能性はある。
◆五輪&世界選手権での入賞者と日本人最高記録◆
1932年 五輪 4位 39.08 真保正子(泉尾高女教)1936年 五輪 5位 41.45 山本定子(中京高女出)
2011年 8位 59.08 海老原有希(スズキ浜松AC)=1位がドーピングで失格
2022年 3位 63.27 北口榛花(JAL)
2023年 1位 66.73 北口榛花(JAL)
2024年 五輪 1位 65.80 北口榛花(JAL)
世界選手権で日本人初入賞の海老原さんは、当初は9位だったが、トップの選手がドーピングで失格し、8位に繰り上がった。
なお、「6位まで入賞」だった時代の五輪で下記の2人は現在なら入賞の8位以内に入っていた。
1932年 五輪 8位 30.81 石津光恵(山中高女)
1964年 五輪 7位 52.48 佐藤弘子(リッカー)
最高記録は、
<世界選手権>
66.73 北口榛花(JAL)2023年 1位
<五輪>
65.80 北口榛花(JAL)2024年 1位
日本国内でマークされた最高記録は、
67.12 劉 詩穎(中国)2018.05.20 長居
◆1999年以降の世界選手権&五輪での「67m38=日本記録」の相当順位、1・3・8位、決勝に進めなかった最高記録◆
・やりの規格が現在のものになった1999年以降。・「◎」は、各項目の最高記録。
年 | 相当順位 | 1位 | 3位 | 8位 | 予選落最高 | |
---|---|---|---|---|---|---|
1999 | 2位 | 67.09 | 66.06 | 62.67 | 59.5 | |
2000五輪 | 3位 | 68.19 | 66.18◎ | 62.1 | 59.21 | |
2001 | 2位 | 69.53 | 64.69 | 61.01 | 58.26 | |
2003 | 1位 | 66.52 | 62.7 | 59.6 | 58.5 | |
2004五輪 | 2位 | 71.53 | 64.29 | 61.75 | 60.8 | |
2005 | 3位 | 71.70◎ | 65.96 | 57.99 | 58.74 | |
2007 | 2位 | 67.07 | 64.42 | 61.03 | 59.52 | |
2008五輪 | 2位 | 71.42 | 65.13 | 58.13 | 59.63 | (2位70.78 ドーピングで失格) |
2009 | 2位 | 67.3 | 64.51 | 58.25 | 58.98 | (3位66.06 ドーピングで失格) |
2011 | 3位 | 71.58 | 65.24 | 59.08 | 59.15 | (1位71.99 ドーピングで失格) |
2012五輪 | 2位 | 69.55 | 64.91 | 59.46 | 59.91 | (7位61.62 ドーピングで失格) |
2013 | 2位 | 69.05 | 65.09 | 61.3 | 60.32 | |
2015 | 2位 | 67.69 | 65.79 | 60.88 | 62.17 | |
2016五輪 | 1位 | 66.18 | 64.8 | 62.92◎ | 61.02 | |
2017 | 1位 | 66.76 | 65.26 | 62.84 | 62.26◎ | |
2019 | 1位 | 66.56 | 65.49 | 61.12 | 60.84 | |
2021五輪 | 1位 | 66.34 | 64.56 | 59.96 | 60.78 | |
2022 | 1位 | 66.91 | 63.27 | 60.18 | 58.61 | |
2023 | 1位 | 66.73 | 63.38 | 60.34 | 59.59 | |
2024五輪 | 1位 | 65.8 | 63.68 | 62.44 | 60.49 | |
最高記録 | 71.70(05) | 66.18(00) | 62.92(16) | 62.26(17) | ||
世選最高 | 71.70(05) | 66.06(99) | 62.84(17) | 62.26(17) | ||
五輪最高 | 71.53(11) | 66.18(00) | 62.92(16) | 61.02(16) |
上田の62m20と武本の62m39なら入賞率80.0%である。
本番では、予選も決勝も「3投目まで」に確実に「63m以上」を投げておきたいところだ。五輪を含め15年以降の8大会では「予選通過標準記録」が15・17・19年世界選手権が「63m50」、22年が「62m50」、23年が「61m50」。五輪は、16年リオも21年東京も「63m00」で24年パリが「62m00」だった。
ただ、8大会ともこれをクリアした選手が12名に満たなかったのでそれ以下から拾われている。
12番目での決勝進出者は、15年62m21、16年61m63、17年62m29、19年60m90、21年60m94、22年59m06、23年59m66、24年61m08。
13番目で落選した選手は、15年62m17、16年61m02、17年62m26、19年60m84、21年59m96、22年58m61、23年59m59、24年60m49。
なお、19年の落選者トップの60m84は北口の記録で「ファイナル」に「あと6cm」届かなかった。
◆北口の年別トップ5記録の比較◆
この5年あまりの日本選手権やゴールデングランプリ、あるいは世界大会前のこの「記録と数字で楽しむ……」で毎回のように北口の各種データを紹介してきている。よって以下の内容は、これまでに紹介したものとほとんど同じものだ。ただし、データは最新のものに更新しているので「またか……」と思わずにご覧いただければ幸いである。北口がやり投を始めた2013年の高校1年生の時からの各年の上位5試合を記録順に並べて比較している。
21年以前と比較して22年から24年の3年間で北口の力が一段とアップしてきていることが、このデータからよくわかる。
<北口の年別の上位5位記録の比較>
・予選も1試合としてカウントしている。
・「1位」~「5位」の記録の右横の「◎」は前年までの自己ベストを、「○」はその時点でのその順位での自己最高を上回ったことを示す。
学齢 | 年 | 試合数 | 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | 60m以上回数(率) | 63m以上回数(率) |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
高1 | 2013 | 11 | 49.31 | 45.49 | 45.37 | 45.25 | 45.10 | ||
高2 | 2014 | 19 | 53.15◎ | 53.08◎ | 52.16◎ | 52.16◎ | 51.93◎ | ||
高3 | 2015 | 12 | 58.90◎ | 57.02◎ | 56.63◎ | 55.99◎ | 54.44◎ | ||
大1 | 2016 | 7 | 61.38◎ | 60.84◎ | 57.23○ | 56.75○ | 56.16○ | 2(28.6%) | |
大2 | 2017 | 10 | 61.07 | 60.49 | 59.59○ | 59.08○ | 57.96○ | 2(20.0%) | |
大3 | 2018 | 9 | 60.48 | 58.83 | 58.62 | 58.38 | 56.99 | 1(11.1%) | |
大4 | 2019 | 14 | 66.00◎ | 64.36◎ | 63.68◎ | 61.94◎ | 60.84○ | 10(71.4%) | 3(21.4%) |
社1 | 2020 | 4 | 63.45 | 59.38 | 59.30 | 58.36 | ― | 1(25.0%) | 1(25.0%) |
社2 | 2021 | 8 | 62.06 | 61.49 | 59.11 | 57.19 | 57.18 | 2(25.0%) | 0 |
社3 | 2022 | 17 | 65.68 | 65.10○ | 64.32○ | 63.93○ | 63.56○ | 15(88.2%) | 8(47.1%) |
社4 | 2023 | 16 | 67.38◎ | 67.04◎ | 66.73◎ | 65.09○ | 64.50○ | 14(87.5%) | 10(62.5%) |
社5 | 2024 | 11 | 66.13 | 65.80 | 65.21 | 64.28 | 63.45 | 11(100.0%) | 5(45.5%) |
社6 | 2025 | 6 | 64.63 | 64.16 | 63.88 | 60.88 | 60.88 | 5(83.3%) | 3(50.0%) |
13年から16年は、毎年どんどん自己ベストを伸ばしてきた。
17・18年は自己ベストは停滞したが、その年の3~5番目の記録が自己ベストをマークした16年よりもアップして、次のステップへのエネルギーを蓄えていた時期。
そして、そのエネルギーが19年に大爆発。世界で戦えるレベルの66m00に日本記録を引き上げた。
コロナの影響もあって20・21年はやや後退したが、次のステップアップに向けての試行錯誤や軌道修正、今後に向けての計画立案の時期であったのだろう。
22年には19年以来2度目の大爆発。自己ベストこそ19年のままだったが、その年の2番目以下の記録が19年とは比べものにならないくらい飛躍的にアップ。60m以上や63m以上の回数や率も19年のレベルを大きく上回り、大きな土台が築かれたようだ。
それらしっかりした土台をもとに、次の新たなステップで自己ベストが大きくアップする前兆が23年初戦の4月29日の織田記念(64m50)と次の5月6日の木南記念(64m43)での64m台連発で、それがブダペスト世界選手権での金メダルと67m04(7月16日)→67m38(9月8日)の日本新記録につながった格好だ。
24年も初戦(4月27日)の62m97から、5月19日・63m45、6月22日・64m28、7月12日・65m21と次第に記録を上げ、8月10日のパリ五輪では1投目の65m80で結果的には勝負を決めた。そして、9月14日のダイヤモンドリーグファイナルを66m13の優勝で締めくくったのだった。
年によって出場した試合数に違いはあるが、自己ベストの進歩の状況、2番目以下の各順位の記録の年ごとの上昇具合、あるいは自己ベストが60mを越えた16年以降の表右横に示した「60m以上回数」やその「率」の数字の変化などをご覧いただきたい。これらを見ていくとまさに世界の「メダリストの常連」や「一番良い色のメダル」に向かって、着実に進歩してきた様子がよくわかる。特に、「60m以上の回数(率)」や「63m以上の回数(率)」のデータは、22年から23年の2年間で北口の力が一段とアップしたことを示している。
どんな種目のどんなレベルの選手であっても、似たような向上の道筋をたどっていくように思える。
1)競技を始めた当初や若い頃は面白いように自己ベストがどんどん出る。
2)が、ある程度の時間が過ぎるとベスト記録の向上がストップしたり伸び幅が一気に落ちてしまう。
3)ただ、そこで我慢して日々の努力を積み重ねていると、自己記録は出なくてもある一定レベル以上の記録がコンスタントに出せるようになってくる。
4)すると、近いうちに大爆発が起こり、久々にワンランク上の自己記録が出て次の新たな段階へ昇る。
そして再び「2」に戻って、「3」「4」へ……というふうな道筋だ。
北口も上述の、「1」→「2」→「3」→「4」→「2」→「3」→「4」を描いている。24~25年の北口は、19年と23年に続く次の大爆発を待つ「3」の段階にあるのであろうか? あるいは、25年が大爆発の年になるのかもしれない。
下表は、北口のシーズン初戦の記録と各年の最終的なシーズンベストを調査し、初戦からどのくらい記録を伸ばしているのかをまとめたものである。
<北口榛花のシーズン初戦とその年の最高記録>
年月日 | 初戦 | -> | 年最高 | 月日 | 記録の伸び(m) |
---|---|---|---|---|---|
2013.05.05 | 34.13 | -> | 49.31 | 10.18 | 15.18 |
2014.04.29 | 53.08 | -> | 53.15 | 10.21 | 0.07 |
2015.05.10 | 55.99 | -> | 58.90 | 10.16 | 2.91 |
2016.04.29 | 56.75 | -> | 61.38 | 05.08 | 4.63 |
2017.04.29 | 54.64 | -> | 61.07 | 10.08 | 6.43 |
2018.04.29 | 58.62 | -> | 60.48 | 09.08 | 1.86 |
2019.04.06 | 57.87 | -> | 66.00 | 10.27 | 8.13 |
2020.08.23 | 59.38 | -> | 63.45 | 09.19 | 4.07 |
2021.05.02 | 57.18 | -> | 62.06 | 08.03 | 4.88 |
2022.04.23 | 59.63 | -> | 65.68 | 10.08 | 6.05 |
2023.04.29 | 64.50 | -> | 67.38 | 09.08 | 2.88 |
2024.04.27 | 62.97 | -> | 66.13 | 09.14 | 3.16 |
2025.05.03 | 60.88 | -> | (64.63 | 06.12 | 3.75) |
初めてやりを投げたのは、旭川東高校1年生だった2013年5月5日の北海道道北地区記録会での「34m13」。これが初の公認記録である。
シーズン初戦から15m以上も記録を伸ばした1年目のデータは除外するが、2年目以降の初戦とシーズンベストとの差である「記録の伸び」は、最小で「7cm」、最大で「8m13」。
14年から24年までの11年間の平均値は、「4m097」だ。
22年以前の北口の「シーズン初戦の最高記録」は、22年の59m63だったが、23年と24年は初戦から60mラインを大きくオーバーしその勢いでブダペスト世界選手権とパリ五輪も制した。
25年5月3日の初戦は中国・紹興でのダイヤモンドリーグでは60m88の4位、次の5月18日の東京でのゴールデングランプリが64m16で優勝、6月12日のオスロでのビスレットゲームも64m63で優勝、6月24日のオストラバでは1投目に63m88を投げてリードしたが5投目に99cm逆転されての2位となっている。
★「6投目の北口」をデータで検証★
24年のゴールデングランプリでは北口が6投目で逆転優勝したが、それ以前から「6投目の北口」は、よく話題になってきていた。古くは、高校3年生の15年日本ジュニアでの高校新&U18日本新(58m90)が6投目。
大学2年生の17年に日本インカレで初優勝した時も6投目での逆転優勝。
22年オレゴン世界選手権で銅メダルを獲得した時も、23年ブダペスト世界選手権で金メダルを獲得した時も、6投目での大逆転だった。22年は6投目の試技に入る前の順位は5位からの銅メダル、23年は4位の位置からの逆転金メダルだった。
また、23年7月16日の67m04、同9月8日の67m38の日本新の時も6投目だった。
直近の24年パリ五輪では、1投目の65m80がウィニングスローとなった。
高校時代からのすべてを調べる訳にはいかないので、ここでは世界大会でメダルを獲得した22年以降からの試技内容を調べた。
22年の17試合(うち予選が1試合)、23年の16試合(うち予選が1試合)、24年の11試合(うち予選が1試合)のシリーズで、何投目にその日のベストを出したのかを示した。結果は、以下のとおり。
・【 】内は、3投目までの最高記録を示す。
<2022年・23年・24年・25年の北口の試技内容>
・2022年(17試合/うち予選1試合)
4月23日 | 1)59m63 | 1投目/59m63-54m97-56m56【59m63】-×-53m76-× |
---|---|---|
5月1日 | 1)61m20 | 1投目/61m20-59m55-58m22【61m20】-×-60m47-× |
5月8日 | 1)63m93 | 1投目/63m93-59m51-60m82【63m93】-58m82-62m96-60m91 |
5月28日 | 1)62m80 | ???/試技内容不明 |
6月11日 | 1)62m25 | 3投目/59m13-57m07-62m25【62m25】-57m36-×-× |
6月14日 | 1)61m97 | 1投目/61m97-59m53-58m15【61m97】-57m97-60m68-61m97 |
6月18日 | 1)63m13 | 3投目/61m91-59m84-63m13【63m13】-×-57m76-61m33 |
7月8日 | 1)60m42 | 6投目/58m02-59m25-×【59m25】-55m30-59m53-60m42 |
7月20日 | 予)64m32 | 1投目/64m32=通過/全体1位【64m32】 |
7月22日 | 3)63m27 | 6投目/62m07-×-55m78【62m07】-61m27-×-63m27 |
8月6日 | 1)65m10 | 6投目/60m13-61m37-×【61m37】-61m76-58m68-65m10 |
8月10日 | 2)62m37 | 4投目/54m28-59m97-58m44【59m97】-62m37-60m16-59m13 |
9月2日 | 2)63m45 | 6投目/60m49-61m58-×【61m58】-×-63m13-63m45 |
9月8日 | 3)63m56 | 6投目/57m03-60m51-63m35【63m35】-59m14-56m77-63m56 |
9月17日 | 1)59m23 | 1投目/59m23-57m30-56m88【59m23】-×-57m92-× |
10月2日 | 1)62m57 | 3投目/62m02-60m99-62m57【62m57】-59m55-59m16-× |
10月8日 | 1)65m68 | 3投目/61m23-62m71-65m68【65m68】-62m00-×-62m10 |
ということは、試技内容が判明している決勝での15試合中9回は3投目までにベストをマークしているということで、世界大会での勝負を考えるといい内容だ。
世界大会の決勝進出と決勝でのトップ8入りが確実な「3投目までに63m以上」は予選を含めて16試合中の5回(31.3%)。決勝進出やトップ8入りの可能性がかなり高そうな「3投目までに62m以上」は8回(50.0%)だ。
・2023年(16試合/うち予選1試合)
4月29日 | 1)64m50 | 5投目/59m01-×-63m45【63m45】-60m37-64m50-61m58 |
---|---|---|
5月6日 | 1)64m43 | 2投目/63m72-64m43-61m25【64m43】-×-×-61m66 |
5月21日 | 4)61m34 | 6投目/58m87-×-59m02【59m02】-×-×-61m34 |
6月2日 | 2)59m92 | 1投目/59m92-58m25-×【59m92】-×-×-× |
6月9日 | 1)65m09 | 3投目/58m25-60m87-65m09【65m09】-59m72-58m39-57m80 |
6月13日 | 2)59m69 | 2投目/57m17-59m69-55m81【59m69】-×-57m69-58m92 |
6月27日 | 1)63m72 | 2投目/60m27-63m72-×【63m72】-×-×-× |
6月30日 | 2)63m34 | 1投目/63m34-×-60m60【63m34】-58m69-60m78-58m95 |
7月16日 | 1)67m04 | 6投目/64m12-61m49-62m76【64m12】-×-65m82-67m04 |
7月20日 | 1)62m52 | 6投目/59m78-57m40-57m90【59m78】-58m64-61m24-62m52 |
8月6日 | 1)61m88 | 6投目/57m74-57m13-×【57m74】-56m54-58m82-61m88 |
8月23日 | 予)63m27 | 2投目/59m04-63m27=通過/全体3位【63m27】 |
8月25日 | 1)66m73 | 6投目/61m78-61m99-63m00【63m00】-62m36-62m68-66m73 |
9月3日 | 1)60m06 | 3投目/55m32-59m93-60m06【60m06】-×-P-P |
9月8日 | 1)67m38 | 6投目/59m56-65m20-62m89【65m20】-60m12-62m69-67m38 |
9月16日 | 1)63m78 | 2投目/59m36-63m78-×【63m78】-58m50-59m06-62m76 |
「3投目までに63m以上」は、予選を含む16試合中10回(62.5%)で、22年の「31.3%」の倍になっている。
世界大会の決勝進出やトップ8入りの可能性がかなり高そうな「3投目までに62m以上」も「63m以上」と同じ10回(62.5%)だ。
・2024年(11試合/うち予選1試合)
4月27日 | 1)62m97 | 6投目/55m97-56m43-58m93【58m93】-56m57-61m44-62m97 |
---|---|---|
5月5日 | 1)61m83 | 6投目/60m98-60m53-60m15【60m98】-×-59m86-61m83 |
5月19日 | 1)63m45 | 6投目/60m20-60m19-58m30【60m20】-×-62m02-63m45 |
5月28日 | 1)60m47 | 3投目/×-57m63-60m47【60m47】-×-59m47-× |
6月22日 | 2)64m28 | 6投目/57m64-×-64m08【64m08】-×-×-64m28 |
6月28日 | 1)62m87 | 2投目/61m10-62m87-×【62m87】-×-×-59m87 |
7月12日 | 1)65m21 | 6投目/64m63-60m96-×【64m63】-61m46-62m38-65m21 |
7月20日 | 4)62m69 | 2投目/60m50-62m69-58m43【62m69】-×-62m07/6投目に進めず |
8月7日 | 予)62m58 | 1投目/62m58=通過/全体7位【62m58】 |
8月10日 | 1)65m80 | 1投目/65m80-62m39-×【65m80】-61m68-64m73-× |
9月14日 | 1)66m13 | 6投目/61m28-65m08-61m72【65m08】-59m88-×-66m13 |
世界大会の決勝進出と決勝でのトップ8入りが確実な「3投目までに63m以上」は予選を含めて11試合中の4回(36.4%)。決勝進出やトップ8入りの可能性がかなり高そうな「3投目までに62m以上」は7回(63.6%)。4~5月は3投目までにエンジンがかからないことが多かったが、6月以降の予選を含む7試合はすべて3投目までに62m以上を投げている。
23年7月16日から続いていた決勝での連勝記録は、24年6月22日にトップと43cm差で敗れたことによって24年5月28日までの「11連勝」でストップした。その後の日本選手権、7月12日のモナコで連勝。パリ五輪前の最終戦となった7月20日のロンドンでは1年2カ月ぶりの4位だったが、3週間後8月10日のパリ五輪では2位に1m87の差をつけて快勝した。
・2025年(6試合)/8月28日まで
5月3日 | 4)60m88 | 3投目/55m54-51m61-60m88【60m88】-58m73-58m53/6投目に進めず |
---|---|---|
5月18日 | 1)64m16 | 5投目/61m41-58m48-59m23【59m28】-×-64m16-61m37 |
6月12日 | 1)64m63 | 5投目/57m28-×-60m74【60m74】-60m86-64m63-× |
6月24日 | 2)63m88 | 1投目/63m88-×-62m77【63m88】-60m02-62m75-61m65 |
8月20日 | 10)50m93 | 2投目/×-50m93-49m65【50m93】 |
8月28日 | 6)60m72 | 6投目/56m62-59m18-56m25【59m18】-59m72-58m34-60m72 |
25年は8月27日までに6試合で、1投目・2投目・3投目・6投目が1回ずつ、5投目が2回だ。
<北口がその日の最高記録を出した試技回数別の内訳(決勝に限る)>
回数 | 2022年=15試合 | 2023年=15試合 | 2024年=10試合 | 2025年=6試合 | 22~25年の合計=46試合 |
---|---|---|---|---|---|
1投目 | 5回(33.3%) | 2回(13.3%) | 1回(10.0%) | 1回(16.7%) | 9回(19.6%) |
2投目 | 0 | 4回(26.7%) | 2回(20.0%) | 1回(16.7%) | 7回(15.2%) |
3投目 | 4回(26.7%) | 2回(13.3%) | 1回(10.0%) | 1回(16.7%) | 8回(17.4%) |
4投目 | 1回( 6.7%) | 0 | 0 | 0 | 1回( 2.2%) |
5投目 | 0 | 2回(13.3%) | 0 | 2回(33.3%) | 4回( 8.7%) |
6投目 | 5回(33.3%) | 5回(33.3%) | 6回(60.0%) | 1回(16.7%) | 17回(37.0%) |
「6投目の北口」ではあるが、どの試合でも結果を残すには、3投目までに世界大会の予選を通過したり、決勝でトップ8に残れる記録を残す必要がある。 15年以降の至近8回の世界大会で予選を通過するためのレベルが最も高かったのは「62m29=17年」。8位入賞がもっともハイレベルだったのは「62m92=16年」だ。
22年以降の試合で北口が3投目までに投げた「60m00以上の1m00毎」と「予選通過最高ラインの62m29以上」「8位入賞最高ラインの62m92以上」を投げた割合を調べてみた。
<北口の3投目までの「60m00以上の1m00毎」と「62m29以上」と「62m92以上」の割合>
2022年 | 2023年 | 2024年 | 2025年 | 22~24年合計 | |
---|---|---|---|---|---|
60m00以上 | 12/16(75.0%) | 11/16(68.8%) | 10/11(90.9%) | 3/6(50.0%) | 36/49(73.5%) |
61m00以上 | 12/16(75.0%) | 10/16(62.5%) | 7/11(63.6%) | 1/6(16.7%) | 30/49(61.2%) |
62m00以上 | 8/16(50.0%) | 10/16(62.5%) | 7/11(63.6%) | 1/6(16.7%) | 26/49(53.1%) |
62m29以上 | 6/16(37.5%) | 10/16(62.5%) | 7/11(63.6%) | 1/6(16.7%) | 24/49(49.0%) |
62m92以上 | 5/16(31.3%) | 10/16(62.5%) | 4/11(36.4%) | 1/6(16.7%) | 20/49(40.8%) |
63m00以上 | 4/16(25.0%) | 9/16(56.3%) | 4/11(36.4%) | 1/6(16.7%) | 18/49(36.7%) |
64m00以上 | 2/16(12.5%) | 4/16(25.0%) | 4/11(36.4%) | 0/6( 0.0%) | 10/49(20.4%) |
65m00以上 | 1/16( 6.3%) | 2/16(12.5%) | 2/11(18.2%) | 0/6( 0.0%) | 5/49(10.2%) |
世界チャンピオンの北口といえども、世界選手権や五輪の舞台は予選から勝負の場となる。
◆2025年世界リスト上位者と北口の対戦成績は?◆
25年の北口のシーズンベストは、6月12日のオスロダイヤモンドリーグを制した時の64m63。今季の世界6位である。北口より上位に位置する5人との対戦成績を調べた。
1)67.76 V・ハドソン(オーストリア)6.28 =自己ベスト
<北口 vs V・ハドソンの対戦成績>
2019.07.10 | 2)60.15 | ○● | 7)56.80 | ナポリユニバーシアード |
---|---|---|---|---|
2019.08.03 | 1)60.25 | ○● | 3)54.80 | アンドルフ |
2021.05.19 | 6)57.49 | ●○ | 5)58.06 | オストラバ |
2021.05.19 | 5)54.69 | ●○ | 2)57.21 | レーリンゲン |
2023.06.30 | 2)63.34 | ○● | 5)61.24 | ローザンヌ |
2023.08.25 | 1)66.73 | ○● | 5)62.92 | ブダペスト世界選手権 |
2023.09.08 | 1)67.38 | ○● | 2)64.65 | イヴォ・ヴァンダム記念 |
2023.09.16 | 1)63.78 | ○● | 6)57.99 | プレフォンティン記念 |
2024.06.22 | 2)64.28 | ●○ | 1)64.71 | モトネットGP |
2024.07.12 | 1)65.21 | ○● | 4)59.35 | モナコ |
2024.07.20 | 4)62.69 | ○● | 6)60.35 | ロンドン |
2024.09.14 | 1)66.13 | ○● | 4)62.30 | DLファイナル |
2025.05.03 | 4)60.88 | ○● | 10)55.88 | 紹興 |
2025.08.20 | 10)50.93 | ●○ | 8)53.92 | ローザンヌ |
・北口の10勝4敗。
2)67.22 A・ヴィラゴシュ(セルビア)4.26 =自己ベスト
<北口榛花 vs A・ヴィラゴシュの対戦成績>
北口榛花 | vs | ヴィラゴシュ | ||
---|---|---|---|---|
2022.09.02 | 2)63.45 | ○● | 3)63.00 | イヴォ・ヴァンダム記念 |
2023.06.27 | 1)63.72 | ○● | 2)61.22 | オストラバ |
2023.06.30 | 2)63.34 | ○● | 4)61.87 | ローザンヌ |
2023.07.16 | 1)67.04 | ○● | 8)56.88 | スコリモウスカ記念 |
2024.05.28 | 1)60.47 | ○● | 3)60.21 | オストラバ |
2024.07.12 | 1)65.21 | ○● | 5)58.04 | モナコ |
2024.07.20 | 4)62.69 | ●○ | 2)65.58 | ロンドン |
2024.09.14 | 1)66.13 | ○● | 2)65.23 | DLファイナル |
2025.06.12 | 1)64.63 | ○● | 2)63.78 | オスロ |
2025.06.24 | 2)63.88 | ●○ | 1)64.87 | オストラバ |
2025.08.20 | 10)50.93 | ●○ | 1)63.02 | ローザンヌ |
2025.08.28 | 6)60.72 | ●○ | 2)62.96 | DLファイナル |
3)65.89 厳子怡(中国)8.03 =自己ベスト
<北口榛花 vs 厳子怡の対戦成績>
北口榛花 | vs | 厳子怡 | ||
---|---|---|---|---|
2025.05.03 | 4)60.88 | ○● | 5)60.54 | 紹興 |
2025.06.24 | 2)63.88 | ○● | 5)57.08 | オストラバ |
4)65.66 S・ボルゲ(ノルウェー)6.28 /自己ベスト66.50=23年
<北口榛花 vs S・ボルゲの対戦成績>
北口榛花 | vs | S・ボルゲ | ||
---|---|---|---|---|
2023.06.09 | 1)65.09 | ○● | 11)52.49 | パリ |
2023.06.30 | 2)63.34 | ○● | 8)59.20 | ローザンヌ |
2023.07.16 | 1)67.04 | ○● | 6)60.31 | シレジア |
2023.07.20 | 1)62.52 | ○● | 9)56.70 | ルツェルン |
2025.06.12 | 1)64.63 | ○● | 6)59.09 | オスロ |
2025.08.20 | 10)50.93 | ●○ | 4)58.10 | ローザンヌ |
5)64.90 E・ツェンゴ(ギリシャ)5.03 /自己ベスト65.81=22年
<北口榛花 vs E・ツェンゴの対戦成績>
北口榛花 | vs | E・ツェンゴ | ||
---|---|---|---|---|
2022.06.14 | 1)61.97 | ○● | 10)50.58 | クラドノ |
2022.06.18 | 1)63.13 | ○● | 7)58.16 | パリ |
2022.08.06 | 1)65.10 | ○● | 5)61.72 | スコリモウスカ記念 |
2022.09.02 | 2)63.45 | ○● | 6)59.98 | イヴォ・ヴァンダム記念 |
2023.06.09 | 1)65.09 | ○● | 10)55.02 | パリ |
2023.06.27 | 1)63.72 | ○● | 4)58.83 | オストラバ |
2023.06.30 | 2)63.34 | ○● | 9)57.71 | ローザンヌ |
2024.04.27 | 1)62.97 | ○● | 6)59.73 | 蘇州 |
2024.08.10 | 1)65.80 | ○● | 9)61.85 | パリ五輪 |
2025.05.03 | 4)60.88 | ●○ | 1)64.90 | 紹興 |
2025.06.12 | 1)64.63 | ○● | 4)62.61 | オスロ |
2025.08.20 | 10)50.93 | ●○ | 3)58.82 | ローザンヌ |
2025.08.28 | 6)60.72 | ●○ | 1)64.57 | DLファイナル |
以上、5人全員に勝ち越していて、トータルでは「35勝12敗」。
なお、北口が6月下旬に右肘を痛めた25年は復帰後の2戦での「0勝5敗」もあって、トータルで「6勝7敗」だが、故障前の4戦では「6勝2敗」だったことになる。
8月31日に行われた所属するJALの壮行会には、合宿先のトルコからリモートで参加。
投げられない期間は、課題だった下半身や体幹の強化などに励んだ。
「それはプラスになっている」と語り「腕以外はパリ五輪前よりも良い」との感覚もある。
「ケガをしても目標は変わらず金メダル。シーズンベスト(64m63)以上投げないと届かないと思っているのでしっかり準備していきたい」
「これから下がることはないと思うので、上を見て頑張っていきたい」
「しっかり投げられる状態で臨めれば、自信はある」
「やっぱり一番が好き」
と決意を語った。
野口純正(国際陸上競技統計者協会[ATFS]会員)
写真提供:フォート・キシモト、アフロスポーツ
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