【記録と数字で楽しむ東京2025世界陸上】男子走高跳：瀬古・真野・赤松のトリオが歴代最高順位を目指す：日本陸上競技連盟公式サイト

2025.09.09（火）選手

【記録と数字で楽しむ東京2025世界陸上】男子走高跳：瀬古・真野・赤松のトリオが歴代最高順位を目指す

９月13日（土）から21日（日）の９日間、国立競技場を舞台に20回目の世界選手権「東京2025世界陸上競技選手権大会（東京2025世界陸上）」が開催される。
日本での開催は、1991年（第３回）の東京（国立）、2007年（第11回）の大阪（長居）に続き３回目。国単位での開催回数では、最多である（２位は、フィンランドとドイツの２回）。

日本からは、全49種目のうちの38種目に80名（男子49名・女子31名）の代表選手がエントリーし、世界のライバル達と競い合う。

現地のスタンドあるいはテレビで観戦する方の「お供」に日本人選手が出場する全38種目と世界新記録や好勝負が期待される種目に関して、「記録と数字で楽しむ2025東京世界選手権」をお届けする。

なお、これまでにこの日本陸連ＨＰで各種競技会の「記録と数字で楽しむ……」をお届けしてきたが、過去に紹介したことがある同じ内容のデータや文章もかなり含むが、可能な限りで最新のものに更新した。また、記事の中ではオリンピックについても「世界大会」ということで、そのデータも紹介している。

記録は原則として、世界選手権参加標準記録の有効期限であった25年８月24日現在のものによった。
現役選手の敬称は略させていただいた。

日本人選手の記録や数字に関する内容が中心で、優勝やメダルを争いそうな外国人選手についての展望的な内容には一部を除いてあまりふれていない。日本人の出場しない各種目の展望などは、陸上専門誌の観戦ガイドや今後ネットにアップされるであろう各種メディアの展望記事などをご覧頂きたい。

大会期間中は、日本陸連のX（https://x.com/jaaf_official）を中心に、記録や各種のデータを可能な範囲で随時発信する予定なので、そちらも「観戦のお供」にしていただければ幸いである。

▼「記録と数字で楽しむ東京2025世界陸上」記事一覧
こちらから＞＞

男子走高跳

・予選　９月14日（土）18:40
・決勝　９月16日（日）20:35

瀬古・真野・赤松のトリオが歴代最高順位を目指す

日本選手権は２ｍ15で５位タイだった瀬古優斗（ＦＡＡＳ）が参加標準記録２ｍ33を８月15日にクリアする大ジャンプで一気に名乗りを上げた。従来の自己ベストは４年前の２ｍ27（21年）だったので６cmの大幅更新し初出場。

22年オレゴンと23年ブダペストでともに８位入賞を果たした真野友博（九電工／エントリー記録２ｍ29＝25年・自己ベスト２ｍ31＝20年）と赤松諒一（SEIBU PRINCE／エントリー記録＆自己ベスト２ｍ3１＝24年）がワールドランキング（Road to Tokyo）13位と11位でともに３大会連続３回目の世界選手権に挑む。五輪もともにパリの舞台を経験している。

この種目に３人がフルエントリーするのは、2015年北京、19年ドーハ、23年ブダペストに続き２大会連続４回目。五輪では、1936年ベルリンの１回のみだ。

参加標準記録の２ｍ33以上をクリアした選手は、世界で９名（出場しないロシアの選手を除く）。残る27名は、ワールドランキングによる出場だ。
ターゲットナンバー36位以内には、長谷川直人（サトウ食品新潟アルビレックスＲＣ）が20位相当、原口颯太（順大・３年）が36位相当に名を連ねたが日本のレベルが高く涙を呑んだ。これは、６名のアメリカにつぐ人数で、同じ５名のイタリアと並んだ。ただし、イタリアは前回優勝者枠で４人が出場できる。

決勝で２ｍ30前後をクリアできれば22年オレゴン、23年ブダペスト、24年パリ五輪に続いての世界大会での入賞の可能性がかなり高そうだ。
日本のトリオには、世界選手権でのこれまでの最高順位「８位」を大きくアップさせてもらいたい。

◆五輪＆世界選手権での日本人最高成績と最高記録◆

＜世界選手権＞
最高成績　８位　2.27　真野友博（九電工）2022年
〃　　　８位　2.25　赤松諒一（アワーズ）2023年
最高記録　2.28　真野友博（九電工）　2022年　予選Ａ組５位
〃　　　2.28　赤松諒一（アワーズ）2023年　予選Ａ組１位

世界選手権での歴代入賞者は、真野と赤松しかいない。

＜五輪＞
最高成績　５位　1.97　矢田喜美雄（早大）1936年
〃　　　５位　2.31　赤松　諒一（SEIBU PRINCE）2024年
最高記録　2.31　赤松　諒一（SEIBU PRINCE）2024年　５位

五輪での歴代の入賞者は、

1928年	６位	1.88	木村一夫（早大）
1932年	６位	1.94	木村一夫（早大）
1936年	５位	1.97	矢田喜美雄（早大）
〃	６位	1.94	朝隈善郎（明大）
〃	６位	1.94	田中弘（早大）
2024年	５位	2.31	赤松諒一（SEIBU PRINCE）

以上の５名で６回。赤松は、88年ぶりの入賞を果たした。
なお、1980年までは「６位まで入賞」だったが、現在と同じ「８位以内」には、上記以外に、

1928年	７位	1.88	織田幹雄（早大）
1932年	７位	1.90	小野操（慶大）

がいる。

日本国内でマークされた最高記録は、
2.41　Ｉ・パクリン（ソ連）1985.09.04　神戸
40年前のユニバーシアードでのもので、当時の世界新記録だった。

◆1983年以降の世界選手権＆五輪での１・３・８位と予選通過標準記録・通過者の最低記録・落選者の最高記録◆

・「◎」は、各項目の最高記録を示す。
・「＞」「＝」は、予選通過標準記録と比較して実際の通過者や落選者の記録がどうであったのかを示す。

年	１位	３位	８位	予選標準	通過最低	落選最高
1983	2.32	2.29	2.26	2.24	＞2.21	＞2.18
1984五輪	2.35	2.31	2.27	2.24	＝2.24	＞2.21
1987	2.38	2.38◎	2.29	2.29	＞2.27	＞2.24
1988五輪	2.38	2.36	2.31◎	2.28	＞2.22	＝2.22
1991	2.38	2.36	2.28	2.30	＞2.27	＞2.24
1992五輪	2.34	2.34	2.28	2.29	＞2.26	＞2.23
1993	2.40	2.37	2.31◎	2.31	＞2.25	＝2.25
1995	2.37	2.35	2.25	2.29	＞2.27	＝2.27
1996五輪	2.39	2.35	2.29	2.28	＝2.28	＞2.26
1997	2.37	2.35	2.29	2.28	＝2.28	＞2.26
1999	2.37	2.32	2.29	2.29	＞2.26	＝2.26
2000五輪	2.35	2.32	2.29	2.30	＞2.27	＝2.24
2001	2.36	2.33	2.25	2.29	＞2.25	＝2.25	（４位2.33 ドーピングで失格）
2003	2.35	2.32	2.29	2.29	＞2.27	＝2.27
2004五輪	2.36	2.34	2.29	2.28	＝2.28	＞2.25
2005	2.32	2.29	2.29	2.29	＞2.24	＝2.24
2007	2.35	2.35	2.26	2.29	＝2.29◎	＞2.26
2008五輪	2.36	2.33	2.29	2.32◎	＞2.25	＝2.25
2009	2.32	2.32	2.23	2.30	＞2.27	＝2.27
2011	2.35	2.32	2.29	2.31	＞2.28	＝2.28
2012五輪	2.33	2.29	2.25	2.32◎	＞2.26	＝2.26	（１位2.38 ドーピングで失格）
2013	2.41◎	2.38◎	2.29	2.31	＞2.26	＝2.26	（４位2.35 ドーピングで失格）
2015	2.34	2.33	2.25	2.31	＞2.29◎	＝2.29◎
2016五輪	2.38	2.33	2.29	2.31	＞2.26	＝2.26
2017	2.35	2.29	2.25	2.31	＞2.29◎	＝2.29◎
2019 2.37	2.35	2.27	2.31	＞2.26	＝2.26
2021五輪	2.37	2.37	2.30	2.30	＞2.28	＞2.25
2022	2.37	2.33	2.27	2.30	＞2.25	＝2.25
2023	2.36	2.33	2.25	2.30	＞2.28	＞2.25
2024五輪	2.36	2.34	2.27	2.29	＞2.24	＝2.24

最高記録	2.41	2.38	2.31	2.32	2.29	2.29
世選最高	2.41(13)	2.38(87他)	2.31(93)	2.31(93他)	2.29(07他)	2.29(15他)
五輪最高	2.39(96)	2.37(21)	2.31(88)	2.32(08他)	2.28(96他)	2.26(96他)

近年では、13年モスクワ世界選手権と21年東京五輪こそ表彰台のレベルは２ｍ38と２ｍ37で高かったが、それ以外は1980年代と比較しても１・３・８位とも記録の水準はほとんど変わっていない。

11年以降、予選通過標準記録は２ｍ29～31の設定だが、実際には２ｍ29か２ｍ28、19年から22年の３大会は２ｍ25か２ｍ26をそれまでノーミスで１回目に跳べば決勝に進出できている。ただし、23年は２ｍ28を跳んだ13名が決勝に進み、２ｍ25までノーミスでも落選した。
そして、予選でクリアした高さを決勝で跳ぶことができれば、あるいは予選よりも低い記録でも入賞というケースがかなりたくさんある。

25年の２ｍ33以上は、室内を含めても６名。２ｍ31以上も９名。２ｍ30以上でようやく12名だ。なお、ここでは後述の90年との比較から今回は出場しないロシアの選手も含めた人数である。
シーズン途中とはいえ、層の厚さは90年頃（90年は２ｍ32以上が26名）よりも遥かに薄くなっている。

２ｍ29～31に設定されるであろう予選通過標準記録をクリアできなくともそれよりも一つ低い高さまでをノーミスで跳べば決勝進出はほぼ間違いないだろう。

決勝で２ｍ30をクリアできれば入賞の確率はほぼ100％に近い。
五輪では、88年ソウル大会（８位２ｍ31）以来のハイレベルな争いとなったのが21年の東京で、８・９・10位が２ｍ30。30までをノーミスだった選手が８位、30を２回目に跳んだ選手が９位、３回目にクリアした選手が10位だった。
世界選手権で入賞ラインが２ｍ31以上だったのは、32年前の93年シュツットガルト大会まで遡らなければならない。

野口純正（国際陸上競技統計者協会［ATFS］会員）
写真提供：アフロスポーツ

【東京2025世界陸上】9月13日～21日国立競技場開催

>>https://www.jaaf.or.jp/wch/tokyo2025/

◆期日：2025年9月13日（土）～21日（日）
◆会場：国立競技場（東京）
◆チケット情報：https://tokyo25-lp.pia.jp/　

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