2025.08.25(月)大会

第109回日本選手権大会・男子400m決勝の競技結果の訂正について

2025年7月6日に実施した、第109回日本陸上競技選手権大会男子400m決勝において、競技規則TR17.2.3により失格と裁定されていた佐藤風雅選手(ミズノ)の失格が、ジュリーによる再審議の結果、取り消しされたことをご報告いたします。


1.競技結果
佐藤風雅選手の失格を取り消し、決勝の順位と記録を以下の通りとする。
https://www.jaaf.or.jp/files/upload/202508/25_115800.pdf

2.審判長及びジュリーによる再審議の理由 
大会終了後に、佐藤風雅選手が所属するミズノから日本陸上競技連盟(以下、本連盟)事務局に大会当日の抗議及び上訴に関する問い合わせを受け、本連盟事務局及び東京陸上競技協会(以下、東京陸協)で、本件に関する大会当日の抗議ならびに上訴の手続きに関して確認・再検証を行った。本来、抗議・上訴の手続きは競技会の中で行われるものであるが、大会当日の抗議におけるルールの解釈、ジュリーへの資料の提出に関して十分な手続きが講じられていなかったと判断し、TR8.9に基づき、8月19日(火)、本連盟はジュリーに再考する場を設けた。

3. 審判長及びジュリーによる再審議の経緯
1) 7月6日(日)、男子400m決勝レースにおいて、監察員より「第2曲走路出口付近で2歩ライ
ンを踏んだ」と審判長への報告を受ける。該当する付近の映像・画像を審判長が確認したところ、監察員から報告があった「2歩ラインを踏んだ」よ  
り、更に明確な「1歩完全に踏み越えた」画像が存在したため、TR17.2.3に基づき失格と判断。
2) ミズノから抗議を受けたが、審判長は「失格」と裁定。
3) 抗議における審判長の裁定を受け、ミズノは不服とし上訴。ジュリーへの審判長からの説明および画像やミズノからの提出資料をもとに、ジュリーも
 審判長の失格の裁定を支持。
4) 大会終了後、ミズノからの問い合わせを受けて、本連盟は主管の東京陸協・本連盟競技運営委会とともに事実確認を行った。
また世界陸連(以下、WA)に対してTR17.2.3の解釈の確認を行った。
ルールの解釈とジュリーへの全ての資料提示がなされたか等の確認が必要と判断し、TR8.9に基づき、8月19日(火)、本連盟はジュリーに再考する場を設けた。
5) ジュリーは、再審議当日まで資料・画像・動画、さらに審判長への口頭確認などをもとに総合的に検討し、「1歩完全に踏み越えた」との判定を取り消すことを決定。
6) ただし、審判長は、大会当日の監察報告にも記されていた「2歩ラインを踏んだ」事実について、画像および動画を精査した結果、失格の裁定自体は維持されるべきと判断。これによって失格理由は「1歩完全に踏み越えた」から「2歩ラインを踏んだ」に変更。
もっとも、この「2歩ラインを踏んだ」という失格理由については、大会当日の抗議手続きにおいても触れられていなかったことから、ミズノに改めて抗議を受け付けることを8月20日(水)にミズノへ通告。
7) 8月21日(木)、ミズノから新たに示された失格理由に対する抗議を受理し、抗議の場を設けた。審議の結果、審判長は「2歩ラインを踏んだ」ことを理由とする失格裁定を改めて維持する決定を下した。
8) 審判長の裁定に対し、ミズノは8月21日(木)のうちに上訴申立書を提出。
9) 8月22日(金)、ジュリーは審議の結果、「2歩ラインを踏んだことによる失格」の裁定を棄却。
10) ジュリーの裁定に伴う競技結果の変更を受け、日本選手権男子400m決勝に出場していた選手及び選手関係者に競技結果の訂正の通知と抗議を受け付けることを通告。
11) 選手及び選手関係者から抗議があったことから、8月23日(土)に審判長に対する抗議の場を設けた。
抗議を受けた後、審判長は、改めて裁定結果(佐藤風雅選手の失格の取り消し)を変更しないこととした。
12) 抗議対象者に、審判長の裁定結果を伝えるとともに、上訴を受け付けることを通告。
13) 上訴申立書の提出をうけ、ジュリーによる審議の結果、審判長の裁定を支持。
14) ジュリーによる裁定を受け、8月23日(土)にWAへ日本選手権男子400m決勝のリザルトの変更について提出。
15) 8月24日(日)、WAサイトの日本選手権男子400m決勝のリザルトが更新されていることを 確認。


【ルールの解釈の正誤】
<誤>
接地の一連の動作の中で踵がラインを踏んでいる場合があったとしても、接地面となる足がすべてラインを超えていた瞬間がある場合は失格となる。

<正>
接地面となる足(つま先部分)がラインを完全に超えていたとしても、一連の接地の動作の中で踵がラインを踏んでいる場合は、踏み越えているとはならない。

4.日本選手権における再発予防策
1) ルール理解の徹底
日本陸連として審判員・役員が競技規則を正確に理解できるよう、定期な研修・勉強会をし、国際基準に基づく最新の解釈を共有する。理解が不十分な点、疑問点はWAに逐次確認し全国競技運営責任者会議および通知文等で周知徹底する。
2) 複数の失格理由の提示について
失格原因が複数考えられる場合には、そのすべてを対象者に伝え、それぞれについて抗議できるように取り扱うことを運用の中で取り入れる。失格事由が複数ある場合は事前に全てを通知し、それぞれに(全てに)抗議の機会があることを保証する。

 

【競技規則 関連条文(ルールブック抜粋)】
・TR17.2.3
レーンで行うレース(一部をレーンで行う場合も含む)では、各競技者はスタートからフィニッシュまで自分に割り当てられたレーンを走らなければならない。カーブを走る部分では、左側(内側)のライン上またはその内側(最も内側のレーンでは走路の境界を示す内側の縁石または線)を踏んだり走ったりしてはならない。

・TR17.3
全てのレースにおいて、競技者が TR17.2.3 または 17.2.4 に違反し、審判長が審判員か監察員の報告に同意した場合は、その競技者または当該レースのリレーチームは失格となる。
但し、以下の場合は失格とはならない。

・TR17.3.3
レーンで行う(一部をレーンで行う場合も含む)全てのレース(TR17.2.4 参照)の曲走路で、レーンの左側のラインや走路の境界を示す内側の縁石またはラインに 1 回(1歩)だけ触れた場合。

・TR8.9 (抗議と上訴)
ジュリーは新たに決定的な証拠が提示された場合、新たな決定に変更可能な状況であれば決定を再考しても良い。決定の再考は通常その種目の表彰の前までに行われるものとする。
但し、競技会統括団体がその後であっても状況が許されると判断する場合は、その限りではない。

・CR18.6 (審判長)
もし、審判長が新たな裁定を行うことができる状況にあるなら、入手可能な証拠に基づいて、先に出された裁定(最初になされたものでも、抗議を検討してなされたものでも)を再考することができる。通常そのような再考は、当該種目の表彰式が実施される前、あるいはジュリーの裁定が下される前までに行われる。
この規則はジュリー(TR8.9参照)と同様に、審判長は決定を再考することができ、最初の自らによる決定であろうと、審判長に対しなされた抗議の検討による決定であろうと、どちらのケースでも同様に再考してよいと解釈される。このオプションは新たな証拠となる情報が迅速に提出された時に、特に考慮することができる。ジュリーにとってはより複雑で難しい上訴となる必要性を避けることができるからである。しかし、そのような再考をするにあたっては現実的な時間の制約に注意すべきである。

・CR19.2 (審判員)
審判員は一度下した判定に間違いがある場合には、再考して新たな判定を下すことができる。その後、審判員の判定に対して抗議や上訴により審判長やジュリーが判断を下す場合には、審判員は全ての情報を提供しなければならない。

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