2025.07.31(木)その他

【100周年企画】「RIKUJO JAPAN」が目指すもの―誕生の経緯と、これから実現したいこと



2025年3月8日に“満100歳の誕生日”を迎えた日本陸連は、これまで築き上げた歴史を礎に、日本の未来を、よりワクワクするものに、より豊かに、より輝かしいものにしていくことを目指しています。「RIKUJO JAPAN」プロジェクトは、そんな熱い想いで、100周年を契機とすべく立ち上げられ、そして動きはじめました。
コンセプトは「陸上でスポーツ界、ニッポンを変えていく」。
ここでは、「RIKUJO JAPAN」誕生の経緯と、「RIKUJO JAPAN」で実現したいこと、すでにスタートさせているアクションをご紹介しましょう。


◎ウェルネス陸上の実現に向けて

~すべての人が、すべてのライフステージで陸上を楽しめる世界を~



日本陸連は、2017年にJAAFビジョン(https://www.jaaf.or.jp/pdf/about/jaaf-vision-2017.pdf)を公表し、国際競技力の向上(トップアスリートが活躍し、国民に夢と希望を与える)とウェルネス陸上の実現(すべての人がすべてのライフステージにおいて陸上競技を楽しめる環境をつくる)の2つをミッションに据えました。そして、2040年までに達成したい目標として、国際競技力においてプレイシングテーブル(国際競技会等で8位までの選手を8~1点で集計する国別ランキング )で世界3位以内を目指すこと、ウェルネス陸上の実現に向けては「陸上にかかわる人」という意味でのアスレティックファミリーを300万人に、「陸上を楽しむ人」という意味では2000万人に増やしていくという数値をビジョンとして掲げています。さらに、2022年には、これらを具体化していくための中長期計画「JAAF REFORM」(https://www.jaaf.or.jp/pdf/about/reform_jp.pdf)を発表。ここでは「陸上競技」を「陸上」と表現し、他者と競う「競技的な」側面の魅力だけでなく、「誰もが、いつでも、どこでも、身近に」かかわっていける魅力も備える「陸上」の価値を、さらに輝かせていくための道すじを明文化しました。
国際競技力の向上については、女子やり投の北口榛花選手(JAL、ダイヤモンドアスリート修了生)をはじめ、多くの選手がオリンピックや世界選手権で新たな歴史を刻む成績を収めたり、ダイヤモンドリーグなど世界最高峰の競技会で活躍したりするようになったほか、各種目において層の拡充やレベルアップが進むなど、さまざまな形で着実な成果がみられるようになってきました。100周年という記念すべき年に、東京・国立競技場で開催されることになった本年9月に控える世界陸上競技選手権大会では、その流れがより大きなものになるものと期待されています。

並行して、ここでご紹介するもう一つのミッション、「ウェルネス陸上の実現」についても、JAAF REFORMで掲げた3つのコンテンツ「参加機会の提供」「ファン拡大」「(アスレティック)ファミリーサービス」を具現化すべく、さまざまな施策を進めてきました。
「参加機会の提供」の一例として、まず挙げることができるのは日本陸連の子ども向けプログラム「キッズデカスロンチャレンジ」です。名前の由来は、十種競技(デカスロン)から。子どもたちが、気軽に、楽しく取り組めることを意識してつくられた種目は非常に多岐にわたり、場面に応じてアレンジすることで、どんなシチュエーションでも、さまざまなタイプの「走る、跳ぶ、投げる」を体験できるようになっています。日本選手権や日本グランプリシリーズでは以前からサブイベントとして実施され、「デカチャレ」の通称で人気を集めてきましたが、2023年度には、日本陸連オフィシャルスポンサーと開催した「目指せ、陸上スペシャリストの道!~レジェントたちによる子ども走り方教室~」や、地域活性化への寄与を目指して日本陸連が展開したHome Track Town Project(HTTP)とのコラボレーション企画として行われた「HTTP×デカチャレin 横浜」など、イベントのメインコンテンツにも活用されるようになりました。
また、2022年度に誕生した「みんなでつなごうリレーフェスティバル」も、中核をなすイベントと言ってよいでしょう。オリンピックや世界選手権会場となる国立競技場を会場に、さまざまな種類のリレー種目を設定。「誰でも、気軽に、あのコクリツ(国立競技場)で、リレーを体験できる」ことで人気を博し、「リレフェス」の愛称で親しまれるようになっています。


◎「RIKUJO JAPAN」誕生の背景



こうして「ウェルネス陸上の実現」に向けて、まずアクションを起こした日本陸連ですが、それらの検証を進めていくなかで、「ビジョンとして掲げている数値目標を達成したときに、どういう世界が広がっているのかのイメージが、具体的に共有できていないのではないか」「数値目標の達成はゴールではなく、その先にある“陸上を通じて広がる豊かな社会”をつくるための通過点であるべき」という課題が浮かび上がってきました。
そうした議論を深化させた上で、2024年に立ち上げられたのが「RIKUJO JAPAN」プロジェクトです。

スポーツのなかでも、陸上は、
  • 子ども時代のかけっこや運動会なども陸上。「陸上競技」の経験がなくても、「走る、跳ぶ、投げる、歩く」のすべてを「陸上」ととらえれば、経験者は格段に増える、
  • 「走・跳・投・歩」は、すべてのスポーツの基盤となる。つまり、陸上はマザー・オブ・スポーツ。将来的にどんなスポーツをやるにしても、陸上の経験は必ず生きてくる、
という点が強みです。
また、「競技として他者と競う」だけでなく、「自己の記録を伸ばしていく」ことに面白さがあることも大きな醍醐味。むしろ「ウェルネス陸上」の観点では、「過去の自分を超えていく楽しさ、自分の成長を実感する喜び」を味わえることこそが、陸上の本質的な魅力となってきます。
この陸上のポテンシャルを、もっともっと多くの人に知ってもらい、シンプルなスポーツである特性を生かして、さまざまな場面で幅広く活用してもらえるようにできないか。そして、陸上が、スポーツ界や日本の社会により良い影響を及ぼすことで、ビジョンで掲げている2040年に向かって、みんなでワクワクする未来をつくっていきたい…。「2040年に実現したい未来」をより明確に描き、その未来に少しでも近づいていける仕組みの構築に向けて、「RIKUJO JAPAN」は、その旗印として誕生しました。

◎最初の一歩は「場と機会を増やす」こと



「ワクワクする未来」実現の道すじとして、日本陸連では、
  • 陸上競技ではなく、運動会やかけっこイベントなど競技以外も含めた「走る・跳ぶ・投げる・歩く」にかかわるアクションを、「陸上」として広く浸透させていく、
  • 「RIKUJO JAPAN」で成し遂げたいことを、日本陸連のビジョンではなく、陸上やスポーツを愛する人のすべての共通ビジョンとする。「RIKUJO JAPAN」という共通言語を用いて、陸上を活用した社会課題の解決を目的とした行政や企業との連携を目指す、
  • 日本陸連のあらゆる活動を紐づけ、陸上界全体の価値向上に寄与する、
ことを基本線に、「する」「みる」「ささえる」、「つなぐ、つながる」すべての人の気持ちを「RIKUJO JAPAN」というプロジェクト名に集約し、さまざまなアクションを掛け合わせることで、より大きなムーブメントを創り上げていこうとしています。
この大きなムーブメントを起動させるために、まずは日本陸連が取り組んだのが「場と機会を増やすこと」でした。
場と機会を増やすことが、陸上の楽しさや価値が多くの人に伝わり、競技人口や賛同者が増える→トップアスリートの候補が増える、競技レベルが向上する、応援する人が増える→スター選手が誕生する、マーケットが拡大する→陸上をやりたい人が増える、スポンサーが集まる→さらに多くの、あるいは規模の大きな場や機会が増える。というように、陸上競技場や陸上競技会だけでなく、日常的に陸上を体験できたり、触れられたりする場や機会を増やすことができれば、弾み車は回転し始めます。そのためにもまずはビジョンを共有し、賛同者・主体者を増やしていくことからスタートしました。
最初の2024年は、100周年となる2025年にこのプロジェクトを大きく動かしていくために、「RIKUJO JAPAN」という言葉をつくり出し、いいよねと言ってくれる仲間、一緒に動いてくれる仲間を探し、つなげていく、陸上でいえばウォーミングアップの1年となりました。


◎RIKUJO JAPAN 2024年の取り組み



2024年に取り組んだのは、「RIKUJO JAPAN」の目的を徐々に広げていくための発信です。陸上界には、すでに陸上の魅力や可能性を信じて、主体者として実際に行動を起こしているケースが全国各地に点在。また、RIKUJO JAPANが描く未来に賛同してくれる人々、協力したいと思ってくれる人々も数多く存在していました。1年目はまず、そうした人々と接点を持ち、RIKUJO JAPANの考えやビジョンを伝え、共有し、「RIKUJO JAPAN」という言葉でつながっていくことを目指しました。そして、日本陸連公式サイト内に特設ページ(https://www.jaaf.or.jp/rikujo-japan/)をつくり、対談やインタビュー企画を掲載。さらに、すでに実現させている素晴らしい取り組みをレポートし、紹介していくことに取り組んだのです。以下、その一部を挙げておきましょう。

対談企画

現在、世界を舞台に活躍する北口榛花(JAL、やり投)、サニブラウンアブデルハキーム(東レ、100m)、橋岡優輝(富士通、走幅跳)の3選手による対談企画。陸上の持つ魅力や可能性、未来への思いなどが、世界を肌で知る現役アスリートならではの視点で語られました。
「陸上現場をつくる」立場にいる有森裕子日本陸連副会長(当時)と田﨑博道同専務理事、オフィシャルスポンサーとして「陸上現場を支える」立場にいる株式会社アシックス常務執行役員の甲田知子氏による対談。「RIKUJO JAPAN」の考え方が明瞭に紹介されるとともに、目指す未来の実現に向けての課題や進めていくべき取り組みの指針となる事柄が示されました。

イベントレポート掲載例

男子走高跳の衛藤昂選手(神戸デジタル・ラボ)らが運営する一般社団法人Jump Festivalが、神戸で開催している街中走高跳のイベントレポート。地道な努力で地域や行政、商店街、スポンサーなどと信頼関係を築き、多くの賛同者や協力者を得て、走高跳の魅力を伝える場がつくり上げられている様子が紹介されました。
JR東日本が開発したホテル、オフィス、店舗などの複合施設「ウォーターズ竹芝」が定期開催するマーケットで行われた「キッズデカスロンチャレンジ」のイベントレポート。七種競技のヘンプヒル恵選手(アトレ)、100mの栁田大輝選手(東洋大)をゲストに招き、走・跳・投の3種目を展開。商業施設と陸上のコラボレーションが、RIKUJO JAPANの目指す「誰でも、気軽に、陸上を楽しむ」機会となることが示されました。
プロ野球で活躍する筒香嘉智選手が設立した公益財団法人筒香青少年育成スポーツ財団運営の「TUSUTSUGO SPORTS ACADEMY」がRIKUJO JAPANとタッグを組み、同財団の少年野球チーム所属の小学生球児を対象に実施した陸上教室のレポート。陸上が、マザー・オブ・スポーツとして、他のスポーツでも大いに生かされているケースが紹介されました。


◎取り組みの加速を目指す2025年

「SPEED STAR(スピードスター)」を起爆剤に



日本陸連100周年という記念すべき1年となる2025年は、RIKUJO JAPANの活動をさらに加速させていくことを目指しています。RIKUJO JAPANを共通のキーワード、合言葉として、さらに多くの賛同者を得ることで、将来的には、日本陸連が主体でなくても発信され、現段階で陸上にかかわりの薄い人たちにもイベントなどの情報が届き、「面白そうだな、やってみようかな」と足を運んでもらえるような状態にしていくことが理想です。
そのためにも、まずは「陸上との接点となる場・機会を圧倒的に増やす」必要があるとして、特にトラック&フィールド種目との接点を、増やしていこうとしています。意識しているのは「場所×機会×リピート」。陸上競技場を飛び出して、公園や校庭、空き地やさまざまな施設などを場所として活用することができれば、より日常に近いところで陸上を楽しめるようになります。また、公認の陸上競技大会だけにとらわれることなく、運動会、かけっこ教室、地域イベントなど、誰もがもっと気軽に陸上に触れる機会を数多く設定すること。さらに記録証明や目標設定アプリ、ログなど、結果が残る仕組みをつくって、“過去の自分を超える”ためのリピートが実現すること。これらの3つが掛けかけ合わさることによって、「陸上を楽しむ」機会を増やすことを考えています。

こうしたアクションに拍車をかけるべく、今年から、新たな一手として始動したのが、30mの全力疾走を誰でもチャレンジできる「SPEED STAR 30m Dash Challenge」というイベントです。今後、RIKUJO JAPANフラッグシップイベントとして、全国規模で広げていくことを計画しています。子どもから大人まで年齢に関係なく誰もが気軽に、また、スポーツジャンルの垣根を越えて、みんなで一緒に「陸上」を楽しめるツールとして選ばれたのが、シンプルな30mタイムトライアル。原点となっているのは、誰もが一度は経験したであろう「かけっこ」で、「陸上競技」という従来の枠を超えて、多くの人に、風を切って思いきり走る爽快感を楽しんでもらおうと立案されました。
その第1回大会は、5月11日に、東京駅前の行幸通りで開催。会場には、全天候型ウレタン走路が敷かれたAフィールドと、青色の人工芝走路が敷かれたBフィールドの2つのフィールドが用意され、メインとなったAフィールドでは、15社17チームによって行われた「企業別タイムトライアル」、小学生が低学年の部と高学年の部に分かれて挑戦した「一般タイムトライアル」、そして、アイスホッケー、アメリカンフットボール、ゴルフ、サッカー、スポーツクライミング、チアリーダーズ、3×3バスケットボール、ハンドボール、7人制ラグビー、野球、陸上競技の11競技で、単独・混合含めて全17チームがエントリーして火花を散らした「スポーツ別タイムトライアル」が行われました。
また、Bフィールドでは、オリンピックメダリストの朝原宣治さん、塚原直貴さんら豪華ゲストによるかけっこクリニックが小学生対象に行われたあとは、「30mダッシュ体験コーナー」に早変わり。誰でも、その場で参加ができるとあって、観覧に訪れた人だけでなく、たまたま通りかかった人など、274人もの人々が30mタイムトライアルを経験。Aフィールドで行われたタイムトライアルの出走者を含めると、実に509名もの人々が30mダッシュにチャレンジした1日となりました(https://www.jaaf.or.jp/rikujo-japan/event/16/)。

◎「RIKUJO JAPAN」という共通言語でつながり
みんなで「ワクワクする未来」をつくる



「SPEED STAR 30m Dash Challenge」は、本年11月に大阪・梅田で第2回大会を開催することを予定しています。日本陸連では、主催者や規模の大小に関係なく、このイベントが今後、多くの地域に波及していくことを意識しており、競技者だけでなく、誰もが「自分のスピード」に挑戦できる30mタイムトライアルをツールに、全国のイベントや行政や企業とコラボレーションしていくことを通じて、あらゆる年代の、さまざまなバックグラウンドを持つ人たちが触れ合い、つながりを持つ場が各地で育つことを期待しています。
さらに、11月29日には、東京・国立競技場において、100周年を記念するセレモニーイベントも開催。ここでは、アスリートも、観客も、会場に集まるすべての人々がつながり、ともにつくっていく体験型プログラムの展開を多数計画していて、陸上界が一つになり、過去・現在・未来をつなぐ1日にすることを目指しています。
「陸上でスポーツ界、ニッポンを変えていく」。
「RIKUJO JAPAN」という言葉を通じて、ワクワクする未来の世界観を共有し、その実現に向かって、陸上を介して多くの人がつながり、そこにかかわる一人一人が主体者となって、陸上で、未来のスポーツ界や日本を、より良いものに変えていけるようでありたい。
それが、RIKUJO JAPANに込められた強い想いなのです。

文:児玉育美(日本陸連メディアチーム)


「RIKUJO JAPAN」特設サイト

https://www.jaaf.or.jp/rikujo-japan/


SPEED STAR 30m Dash Challenge

>>https://www.jaaf.or.jp/rikujo-japan/speedstar/



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>>https://www.jaaf.or.jp/pdf/about/jaaf-vision-2017.pdf

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