2025.07.01(火)大会

【第109回日本選手権展望】大会2日目:サニブラウンの貫禄勝ちか、栁田の初戴冠か、大注目の男子100m!! 男子110mハードルは東京2025世界陸上の残る「2枠」を巡って、世界レベルの激戦必至!!



第109回日本選手権が7月4~6日、9月に日本で開催される東京2025世界陸上競技選手権大会(以下、東京世界選手権)の日本代表選手選考競技会を兼ねて、東京世界選手権と同じ東京・国立競技場で開始される。日本選手権は近年、U20日本選手権と併催して4日間会期で行われてきたが、今回は、日本選手権のみでの実施で、会期も3日間となる。国立競技場での開催は、2005年6月上旬に行われた第89回大会以来20年ぶり。東京オリンピックに向けて改築された現スタジアムになってからは初めての開催だ。
この日本選手権で実施されるのは、すでに別開催で行われた男女10000m、7月12~13日に行われる男女混成競技(十種競技、七種競技)を除くトラック&フィールド全34種目(男女各17種目)。2025年度日本一の座とともに、自国開催の世界陸上出場を懸けてのバトルが繰り広げられる。
東京世界選手権の出場資格は、ワールドアスレティックス(WA)が設定する参加標準記録の突破者と、1カ国3名上限で順位をつけるWAワールドランキング「Road to Tokyo」(以下、ワールドランキング)において各種目のターゲットナンバー(出場枠)内に入った競技者に与えられる。日本代表選手の選考は、日本陸連が定めた代表選考要項( https://www.jaaf.or.jp/files/upload/202412/10_171138.pdf )に則って行われるが、日本選手権で代表に即時内定するためには、本大会決勝終了時点までに参加標準記録を突破し、3位以内(すでに内定者が出ている場合を除く)の成績を収めることが条件。また、ワールドランキングによる出場を目指す場合や開催国枠エントリー(自国開催ながら出場者がいない場合に1名の出場が認められる仕組み。日本陸連では、独自に開催国枠エントリー設定記録を決め、この記録のクリアを条件としている)での対象となる場合など、その後に行われる選考において日本選手権での順位が優先されるため、この大会の結果が、大きな鍵を握ることになる。
今大会で実施される種目において、すでに世界選手権代表に内定しているのは、前回ブダペスト大会を制してワイルドカードで出場権を獲得した女子やり投の北口榛花(JAL、ダイヤモンドアスリート修了生)のほか、4月に代表に内定した男子110mハードルの村竹ラシッド(JAL)、男子3000m障害物の三浦龍司(SUBARU)のわずか3名。参加標準記録の水準は高く、決して簡単にクリアできる記録ではないが、果たして大会期間中に、何人の選手が代表切符を手に入れることができるか。また、日本新記録の誕生や、歴史に残るようなハイレベルな戦いを見ることができるのか?
今年は、1日ごとに大会を展望。注目の選手や見逃したくないパフォーマンスをご紹介していくことにしよう。

※エントリー状況、記録・競技結果、ワールドランキング等の情報は6月27日時点の情報に基づき構成。同日以降に変動が生じている場合もある。

文:児玉育美(JAAFメディアチーム)
写真:アフロスポーツ


DAY 2:7月5日(土)

週末となる大会2日目は、トラックで7種目、フィールドでは6種目の決勝が行われる。国立競技場の開場時間は、10時30分(RIKUJO ファンクラブの皆さんは、10時10分から先行入場可能)。2日目のみ午前からの会場だ。今大会では、来場した皆さんが、「競技以外」でも楽しめるように、さまざまなコンテンツが用意されている。また、先着順で応援グッズも無料配布も行われるので、ぜひ、ゲットしてほしい。これら「日本選手権満喫」企画は、特設サイトや公式SNSでご案内している。


◎マッカーサー、70m台に迫る投てきなるか



大会2日目も、まずフィールドから決勝種目がスタートする。11時30分に競技開始となるのが女子ハンマー投。日本記録保持者(70m51)のマッカーサージョイアイリス(在外個人登録)と学生記録保持者(66m82)の村上来花(九州共立大)を中心とする戦いとなりそうだ。
2023年・2024年大会は、昨年、日本人で初めて70mオーバーを果たしたマッカーサーが連覇。今季は4月にマークした67m37がベスト。村上とともに出場したアジア選手権は、63m61で4位の成績を残している。世界選手権参加標準記録(74m00)も、ワールドランキングのターゲットナンバー(36)内も、目指すには少し距離がある状況だが、まずは自己ベストに近い記録を数多く残していきたい。日本陸連が決めている開催国枠エントリー設定記録は70m40。70mラインにより近い場所、さらには70mラインを越える場所に、ハンマーの痕跡をいくつ残すことができるか。
青森・弘前実業高2年の2020年日本選手権で60m台に迫る59m51を投げ、5位入賞を果たして以降、次代のエースとして注目されてきた村上も、今年で大学4先生。じっくりと地力を高め、昨年、66m82まで自己記録を伸ばしてきた。今季は、5月の九州インカレでセカンドベストの66m18を投げたほか、2大会で65m台、3大会で64m台後半をスロー。2大会連続での代表となったアジア選手権は、前回(3位)に続くメダル獲得はならなかったものの63m60で5位を確保した。まだ出ていない“一発”も時間の問題という印象だ。前半の試技で自己記録に迫る投てきができるようだと、自身の学生記録更新はもちろんのこと、初優勝の可能性も大きくなってくる。
もう一人、注目したいのは、前回、村上を抑え、最終投てきでトップに立っていたマッカーサーの記録(優勝記録)に3cmまで迫る65m63の自己新記録をマークして、5大会ぶりに2位の成績を残した小舘充華(染めQ)。今季は、静岡国際をセカンドベストの64m64で優勝している。日本選手権で前回のような自己記録更新投てきができると、優勝争いはよりシビアなものになるはずだ。


◎男子三段跳は、連覇狙う安立が筆頭候補



女子ハンマー投が始まった30分後には、バックストレート側では男子三段跳決勝が、さらにその30分後にはフィールドB(第3~4コーナー側)で男子棒高跳決勝が、それぞれスタートする。トラック種目はないものの、フィールドAで行われる女子ハンマー投(第2コーナー付近)を含めて、この時間帯は、3箇所で行われる競技の進行を、忙しくチェックする必要が出てきそうだ。
男子三段跳は、世界選手権参加標準記録は日本記録(17m15、1985年)を上回る17m22。近年、日本勢は苦戦が続いていて、アジア選手権への派遣も見送られている。世界選手権出場に向けては、開催国枠エントリー設定記録(16m67)のクリアと日本選手権での勝負が照準となってくる。優勝候補の筆頭となるのは、前回大会で勝利が確定した最終6回目で、大きく自己記録を更新する16m70を跳んで初優勝を果たした安立雄斗(福岡大)となりそうだ。今季は、6月の日本インカレを制した際にセカンドベストの16m57をマークしている。16m30前後の記録は安定しているが、それを16m台後半に引き上げたい。
3月に16m39を跳んで、今季日本リストで安立に続くのは、福岡大で安立の先輩となる小田大雅(XSPO SEAGULLS)。昨年、16m台に突入し、記録を伸ばしてきている選手だ。U20日本記録である16m38(2023年)の自己記録を持つ宮尾真仁(東洋大)も含めて、まずは16m50台に乗せていく跳躍を見せたい。日本選手権で複数回の優勝実績を持ち、日本代表も経験している池畠旭佳瑠(駿大AC、自己記録16m75)や山本凌雅(JAL、自己記録16m87)は苦戦が続いている。好調時の状態を取り戻すことができるか。国内で長年「トップ8の常連」と呼べる結果を残している山下祐樹(富士防)は、前回、2021年にタイトルを獲得して以来の最高成績となる2位に食い込んだ。16m40前後での上位争いとなった場合は、その一角に絡んでくるだろう。


◎ベテラン山本の連覇か、新たな若手の台頭か



男子棒高跳も、現状では5m59に定められた開催国枠エントリー設定記録を意識しながらの戦いとなりそうだ。実力・実績的に群を抜く存在ということができるのは、前回5回目の優勝を果たしたベテラン山本聖途(トヨタ自動車)。日本歴代2位となる5m77の自己記録を持ち、2012から2022年までのオリンピック、世界選手権に出場して戦ってきた選手。世界選手権では2013年モスクワ大会で6位入賞を果たしている。近年はフランスを拠点として活動してきたが、跳躍失敗により落下したアクシデントの影響で、恐怖心のコントロールに苦しむ状況に。前回は、それも乗り越えての6年ぶりのVだった。今年に入ってからは2月にフランスの室内大会で5m55を跳んでいるものの、屋外シーズンに入ってからは、水戸国際が記録なし、木南記念は5m30、アジア選手権も5m42で7位にとどまるなど、会心の跳躍には至っていない。2大会ぶり6回目の世界選手権出場を叶えるためにも、まずは5m60台での連覇が欲しい。
現段階で、今季日本リストトップに立っているのは原口篤志(東大阪大)。4月20日に5m57の自己新をマーク。5日後の日本学生個人選手権もセカンドベストの5m50を跳んで優勝している。このほか、関東インカレでは松井楓雅(日本体育大)が5m52、北田琉偉(日本体育大、ダイヤモンドアスリート修了生)が5m42をクリアと、学生陣に勢いがある。山本のほか、5m60~70台の自己記録を持つ柄澤智哉(東京陸協、5m62)、澤慎吾(きらぼし銀行、5m61)、江島雅紀(富士通、5m71)、来間弘樹(ストライダーズAC、5m60)、竹川倖生(丸元産業、5m70)、石川拓磨(東京海上日動CS、5m70)らの記録が伸び悩むなか、若手が躍進する可能性もありそう。年長者の奮起に期待したい。


◎中川・福田が開催国枠エントリー設定記録と勝利に挑む



トラック種目の予選が始まった直後に競技開始となる男子ハンマー投は、アジア選手権でメダリスト(銀・銅)コンビの中川達斗(サトウ食品新潟アルビレックスRC)と福田翔大(住友電工)が軸となって、73m88の開催国枠エントリー設定記録を狙いながら優勝争いを繰り広げていくことになりそうだ。
73m88を上回る自己記録を持っているのは福田。昨年6月に日本歴代4位の73m91をマークしていたが、2年連続3回目の優勝を狙った日本選手権は70m90で3位に終わった。今季は、3位となったアジア選手権を終えた足ですぐにケニアへ飛び、3日後の競技会でサードベストの72m77をマーク。地力は確実に高まっている。前回、所属するサトウ食品新潟アルビレックスRCのお膝元で開催された日本選手権で72m71の自己新をマークして初優勝を飾った中川は、昨年は秋に73m35まで記録を更新。今季は、初の日本代表として出場したアジア選手権では銀メダルを獲得し、その翌週の田島記念を72m32のシーズンベストで優勝と、さらなるレベルアップを印象づけた。連覇とともに、実現可能な距離感となった開催国枠エントリー設定記録をクリアしたい。
この2選手を制しての復権に挑むのは33歳のベテラン柏村亮太(ヤマダホールディングス)。2016年の初優勝を含めて4回のタイトル獲得実績を誇る。今年のシーズンベストは静岡国際(2位)でマークした71m46。2023年に出している72m92の自己記録更新も十分に狙える状況にある。


◎秦、5年連続6回目のタイトルに挑む



トラックの実施種目が、予選から決勝へと変わるタイミングで、バックストレートで実施されるのが女子走幅跳。一番の見どころとなるのは、6m97の日本記録を持つ秦澄美鈴(住友電工)が、どんなジャンプを披露するかという点だろう。2023年のバンコク・アジア選手権で、このビッグジャンプをマークして金メダルを獲得した秦は、その後、2大会連続となる世界選手権(ブダペスト大会)出場を果たすと、翌2024年にはパリオリンピックに出場した。日本選手権は、2019年に初優勝。2021年からは4連勝して合計5回のタイトルを獲得している。
昨年のシーズンベストは6m72で、今年は木南記念を制した際の6m47(-0.7)が最高記録。7m以上の跳躍を実現させるために助走の改良に取り組み、スピードは高まったものの踏み切りの安定にまだ苦慮している状況で、連覇を狙ったアジア選手権は6m20で4位と悔しさを残す結果となった。この種目の世界選手権参加標準記録は6m86。秦は現在、ワールドランキングにおいて28番目と、ターゲットナンバー(36)圏内にはいる状態だが、大きなポイントアップを狙ったアジア選手権が不発であっただけに、日本選手権では勝利とともに、記録のほうもしっかりと残しておきたい。
前回・前々回と2位の成績を残している竹内真弥(ミズノ)は、昨年の秋に6m49まで記録を伸ばしてきたが、今季は苦戦が続いている状況だ。シニアで初の代表入りとなったアジア選手権は6m05で8位にとどまった。ここからどこまで調子を上げてくるか。
一方、好調を示しているのは前回3位の木村美海(四国大)。日本インカレでは、6m42の自己新記録で優勝している。陸上競技は大学までと決めており、今回が最後の日本選手権となる。6m50台に乗せる跳躍ができるようだと、優勝争いに絡むことも可能になりそうだ。


◎第一人者ディーンの勝利か、躍進著しい﨑山の初Vか



この日、16時30分から始まるテレビ放映時間内に実施される男子やり投も、女子に劣らず世界選手権代表の座を巡って激しい戦いとなることが見込まれる種目だ。世界選手権参加標準記録の85m50をクリアしている選手は不在だが、ワールドランキングでは、ディーン元気(ミズノ、16番目)、﨑山雄太(愛媛競技力本部、20番目)、鈴木凜(九州共立大、28番目)の3選手に加えて、日本人4番手の小椋健司(エイジェック)までが36のターゲットナンバー圏内に位置。日本人5番手の長沼元(スズキ)も、36番目にわずか2ポイント差の位置にいる状況なのだ。参加標準記録突破者が出ず、ワールドランキングによる出場となった場合に、日本選手権の順位が選考に大きく影響してくるだけに、1つでも上の順位を狙っての勝負が繰り広げられることになる。
ワールドランキングで最上位につけるディーンは、今季はダイヤモンドリーグドーハ大会(76m49・10位)でシーズンイン。6月21日に、フィンランドで80m20のシーズンベストをマークしている。日本選手権は2012年・2022年・2023年を制しているが、昨年は3位にとどまった。2年ぶり4回目のタイトルを手に入れて、自国開催の世界選手権に向かいたいところだろう。ディーンと同学年の新井涼平(スズキ)は、アジア選手権(9位)の予選でマークした77m85がシーズンベスト。体調をうまく整え、記録の波をコントロールできるかが鍵となりそうだ。
今季躍進を見せているのは﨑山雄太(愛媛競技力本部)。右脚の脛骨に疲労骨折を抱えつつも、アジア選手権では83m75の自己新をマークして銅メダルを獲得。3選手が80mラインを越えた織田記念でも82m96と、頭一つ抜けた投てきを見せて優勝した。初の日本選手権獲得が狙える状況に仕上がっている。今年、81m23を筆頭に80mスローを2回果たしている22歳の鈴木は、自国開催の世界選手権を、世界へのファーストステップにすることができるか。百選連覇のベテランに囲まれるが、思いきりのいい投てきで、絶好のチャンスをものにしたい。


◎予選・準決勝も、見どころ満載!

14時からスタートするトラック種目は、16時35分から行われる女子800m決勝までは、最終日に行われる種目の予選が組まれている。もちろん、どの種目も各選手の状況を把握するうえでは見逃したくないところだが、ここでは時にチェックしておきたい種目を上げておこう。
まず、14時45分から行われる女子1500mには、田中希実(New Balance)が登場する。1日目の5000mを終えて、2種目めの挑戦だ。2組で行われる予選が、各組上位6着までに入ることが決勝の進出条件。完全省エネで走るのか、それとも何かポイントを持ったレースを展開するのかなど、走りを見ながら推測すると面白い。
また、女200mの予選には、この日の最後に実施される100m決勝にも出場する選手がエントリーしている可能性がある。各選手がどういう判断でレースに臨むのか。
このほか、今大会トラック最終種目に決勝が行われる女子100mハードルは、2日目に予選・準決勝が行われる。全体のレベルが高くなっていることもあり、8人に絞られる準決勝は史上最高レベルとなるだろう。気象条件によっては、13秒1台で走っても決勝進出を逃すような水準になる可能性がある。


◎久保と落合、「日本新&2連覇&世界選手権代表内定」に挑戦



トラック最初の決勝種目として行われるのは800m。女子・男子の順番に行われる。この種目は前回、どちらも高校生の久保凜(東大阪大敬愛高)と落合晃(当時滋賀学園高、現駒澤大)が優勝。2人は、その後、ともに日本記録を樹立し、日本のエースと呼べる存在となっている。
男女800mは、両日本記録保持者が、連覇を達成するのか、そして自身の日本記録を更新して、世界選手権参加標準記録(男子1分44秒50、女子1分59秒00)を突破し、世界選手権代表の座を即時内定させるかが、最大の見どころだ。
昨年、日本女子初の1分台突入を果たす1分59秒93の日本記録を樹立した久保は、高校3年生となった今年も、向かうところ敵なしの状態が続いている。静岡国際ではセカンドベストの2分00秒28をマーク。初のシニア日本代表となり最年少で臨んだアジア選手権でも、堂々の走りを披露。サードベストとなる2分00秒42で銀メダルを獲得した。ワールドランキングでもターゲットナンバー(56)圏内となる41番目に浮上している状況だが、本人が目指すのは、あくまで参加標準記録を突破しての出場権獲得。気象状況等によるが、日本選手権決勝では、ここまでに経験した2分0秒台のレースの反省を踏まえた走りを披露するだろう。
久保を追う一番手は塩見綾乃(岩谷産業)。昨年には、高校3年時の2017年インターハイで記録した自己記録(2分02秒57、当時高校記録)を、7年ぶりに更新する2分01秒93をマークした。久保に突き放されてしまう2周目を、最後まで食らいつきたい。
男子に目を向けてみよう。長距離の名門・駒澤大に進んでルーキーイヤーを送る落合も、日本学生個人選手権を1分45秒88で優勝すると、静岡国際では1分45秒01の学生新記録を樹立と、スムーズな移行を果たしている。シニアとして初めて日本代表に選出されたアジア選手権は1分48秒91で5位の成績を収めた。アジア選手権の結果により、ワールドランキングでは49番目と、ターゲットナンバー内(56)に浮上しているが、久保と同様に、参加標準記録を突破しての世界選手権出場を目標に掲げており、日本選手権での実現を期している。
記録面で落合に続くのは、1分46秒15まで自己記録を縮めてきた前田陽向(環太平洋大)、1分46秒29をマークしている岡村颯太(鹿屋体育大)、さらにアジア選手権決勝で落合に先着(4位)している石井優吉(Penn State)あたり。このほか、高校3年時に2019年大会を制したクレイアーロン竜波(Penn State、ダイヤモンドアスリート修了生)が、6月に1分46秒31をマークし、6年ぶりに自己記録を更新。日本選手権での走りが注目される。7回の優勝実績を持つ前日本記録保持者(1分45秒75)の川元奨(スズキ)、川元とともに日本記録を保持していた源裕貴(NTN)もエントリー。歴戦の強者ならではの戦略で、レースを支配するかもしれない。


◎山本の5連覇か、新たなチャンピオンの誕生か



女子・男子800m決勝のあとは、男子400mハードル予選を挟んで、女子400mハードル決勝、女子400m決勝と続く。
女子400mハードルには、現役選手では最高となる56秒06の自己記録(2023年)を持ち、大会4連覇中の山本亜美(富士通)がエントリー。万全であれば頭一つ抜けた状態となる。しかし、この冬は、長らく不安材料だったアキレス腱の治療を最優先。その影響で、社会人1年目となる今季は、様子を見ながらの滑りだしとなった。400mハードルの初戦は木南記念で迎えて58秒28。アジア選手権は58秒40で予選敗退にとどまった。そこからの1カ月で、どこまで仕上げてくるか。練習を積むことができれば、抜群の“終盤”が見られるはずだ。
今季、勢いが感じられるのは、社会人2年目の青木穂花(ゼンリン)。木南記念を初の56秒台となる56秒93で優勝した。日本選手権で自己記録を更新できるようだと、1994年に優勝を果たしている母(城土早穂子、福岡大)に続く“日本一”の座が近づいてくる。2016年に56秒79の自己記録を出しているベテラン梅原紗月(住友電工)も、木南記念でセカンドベストタイの57秒02 をマークするなど上り調子にある。31歳となった今年、初優勝を手にすることができるかもしれない。
新鋭の注目株は山本の高校・大学の後輩に当たる瀧野未来(立命館大)だ。高校3年の2023年に56秒90の高校記録を樹立している選手で、昨年は、自己記録を56秒81へと更新した。今季は、シニアとして初めて選出されアジア選手権に出場。直後の日本インカレでは、複数種目に出場するなか57秒22のシーズンベストで日本インカレ優勝を果たしている。山本同様にレース終盤の強さが武器。初出場となる日本選手権で、得意の展開に持ち込みたい。


◎フロレスと松本が再び対決。日本新記録誕生の可能性も



トラック種目で、日本新記録誕生の可能性が最も高いと言ってもよいのが女子400mといえるだろう。フロレス・アリエ(日本体育大)と松本奈菜子(東邦銀行)がフィニッシュラインまで激しい競り合いを繰り広げた末に、ともに日本新という名勝負が見られるかもしれない。
両選手は、今季、ともに出身地の静岡県で開催された静岡国際で、すでにこれに近いバトルを繰り広げている。このときは、フロレスが終盤で松本を突き放し、日本記録(51秒75、丹野麻美、2008年)を上回る51秒71で先着、松本も自己新の52秒14で続いた。フロレスの記録は、その時点でペルー国籍からの帰化申請中であったため、残念ながら日本記録にはならなかったものの、手続きは無事6月に完了。初出場となる日本選手権で、再びの記録更新に挑戦する。
一方、高校時代の2014年に初優勝を遂げたのち、前回も含めて3度の選手権獲得を果たしている松本も、いわばバージョンアップした状態で、再対決の場を迎えようとしている。5月末のアジア選手権で予選・決勝ともに強さを感じさせるレースを展開して、今大会日本女子唯一の金メダルを獲得。優勝記録は52秒17で、自己記録更新は叶わなかったものの、この2レースで、これまで模索してきた“自身が目指すレースの走り方”がわかってきたと声を弾ませた。日本選手権は、それをぶつける場となる。
400mでの世界選手権出場という観点では、アジア選手権での活躍が功を奏し、松本がワールドランキングで、ターゲットナンバー(48)内に収まる42番手に浮上して優位に立っている。また、松本とフロレスの好走は、陸連強化委員会において「戦略的な観点で、開催国枠を用いてエントリーしたいが、実現するか否かは、女子次第」の状況にあった男女混合4×400mリレーの出場に向けても大きな前進材料となる。
フロレス、松本に続くのは、今年7年ぶりの自己記録更新となる53秒20をマークしている岩田優奈(スズキ)。中央大時代の2017年に、すでに一度優勝を果たしている実力者。日本選手権では52秒台に突入する走りが見られるかもしれない。


◎残る「2枠」を巡って、世界レベルの激戦必至



内定済みの村竹ラシッド(JAL)を含めて、現時点で13秒27の世界選手権参加標準記録を上回っている選手が4名。しかも、その4名が、ターゲットナンバー(40)のワールドランキングにおいて20番目以内に収まっていて、層の厚さはアメリカ、ジャマイカに次ぐレベル。まさに、世界トップレベルの水準にあるのが男子110mハードルだ。
パリオリンピックで5位入賞を果たした村竹は、4月の段階で条件を満たして代表に内定。ゴールデングランプリは向かい風1.1mの条件下で13秒16をマークして快勝し、アジア選手権では金メダルを獲得した。6月のパリダイヤモンドリーグでは、予選・決勝ともに13秒08のシーズンベストをマークして4位の成績を収めている。今後は世界選手権本番に向けたステップに入っていく計画で、このため日本選手権はエントリー自体を見送った。村竹の姿がないのは惜しまれるが、それでも「残り2枚」となったプラチナチケットを巡るこの種目の戦いは、記録・勝負ともに今大会で最も熾烈なものといえる。
すでに参加標準記録をクリアしているのは泉谷駿介(住友電工)、阿部竜希(順天堂大)、野本周成(愛媛競技力本部)の3選手。決勝を2位以内でフィニッシュすれば、代表に即時内定する。
万全であれば優勝候補の筆頭となってくるのは、3連覇を達成した2023年に、13秒04の日本記録を樹立している泉谷駿介(住友電工)だ。2023年ブダペスト世界選手権では5位に入賞、同年にはダイヤモンドリーグファイナルにも出場を果たし、4位の成績を収めている。さらなる高みを目指した昨年は、スピードの向上に伴いインターバルランニングのコントロールに苦慮、パリオリンピックでは決勝進出を逃す悔しさを味わった。その後、以前から取り組んでいた走幅跳に本格的な挑戦を始め、3月の世界室内では8m21の4位に入賞。東京世界選手権では、2種目での出場と活躍を目指している。今大会の走幅跳は最終日に行われるため、まずは110mハードルに集中できる状況だが、今季のハードルレースは2本のみ。シーズンベストは初戦のダイヤモンドリーグでマークした13秒39(+0.3)にとどまっている。初日に行われる予選・準決勝で、ハイスピードでのレース感を取り戻せるかどうかが鍵になるだろう。
泉谷のエンジンがかからない場合は、阿部あるいは野本が初の栄冠をつかむ可能性もある。勢いがあるのは泉谷・村竹の後輩で、山崎一彦コーチ門下の阿部。昨年、急成長を遂げた選手だが、今年はさらに拍車がかかった。4月の日本学生個人選手権で13秒26をマークして参加標準記録を突破すると、ゴールデングランプリでは向かい風1.1mのなか13秒27を叩きだして村竹に続いてフィニッシュ。6月の日本インカレでは、3回目の標準記録突破となる13秒25(+0.8)の自己新で連覇を達成している。
5月の木南記念で13秒25をマークして参加標準記録をクリアした野本の自己記録は2023年に出した13秒20。その後、ケガに苦しむ時期を経て、今季、復調してきた。横一線での競り合いとなったときに、自身のレースをできるかが鍵となりそうだ。
ほかにも、13秒10の自己記録を持ち、日本選手権では3回優勝している高山峻野(ゼンリン)のほか、横地大雅(Digverse)や石川周平(富士通)など、日本代表経験者も複数エントリー。勢いのある上位候補にどこまで迫っていけるか。そして、もう一人、注目したいのが、高校生で唯一エントリーしている古賀ジェレミー(東京高、ダイヤモンドアスリートNextage)の動向だ。5月に自身が昨年樹立した13秒59の高校タイ記録をマークすると、6月の南関東インターハイでは準決勝で13秒58(-0.1)、決勝で13秒45(+0.1)と、立て続けに高校記録を塗り替えた。記録水準でみると準決勝の突破が関門となりそうだが、もし決勝に進出してきた場合は、準決勝で高校記録を更新している可能性も。破竹の勢いで、シニア勢を脅かすかもしれない。


◎三浦・山形に初優勝の可能性。君嶋の4連覇は復調しだいか



女子100mは、世界選手権参加標準記録が11秒07、日本陸連で決めている開催国枠エントリー設定記録でも11秒24と、現状の日本では条件を満たすのは至難というのが正直なところ。日本選手権では、ここまで君嶋愛梨沙(土木管理総合)が3連覇中で、200mを合わせると2年連続で2冠を達成している。2月に海外でシーズンをスタートさせた今季は、4月末の織田記念100mを11秒42で優勝するなど、上々の滑りだしを見せていたが、静岡国際(200m、24秒32)を走って以降、レースから遠ざかり、代表に選ばれていたアジア選手権(200m)も、ケガを理由に出場を辞退した。日本選手権は100mに絞ってエントリー。その後の回復状況が気になるところだ。
今季、安定した結果を残しているのは三浦愛華(愛媛競技力本部)。4月までは振るわなかったが、5月に入ると木南記念を自己タイ記録の11秒45 (-0.1)で優勝、ゴールデングランプリでも11秒56(-0.9)で日本人トップの座を占めた。6月には韓国で、1.5mの向かい風のなか11秒44の自己新記録をマーク。11秒3台突入は確実といえる力がついている印象がある。
もう一人、躍進を予感させるのが山形愛羽(福岡大)。大学1年の昨年、100mで11秒41(U20日本新)、200mで23秒53(U20日本歴代4位)と好記録をマークしていたが、直後に迎えた日本選手権で肉離れに見舞われて、戦線離脱の悔しさを味わった。今季は、4月の日本学生個人選手権100mを11秒57(+2.4)で連覇を果たすと、静岡国際200mで23秒53の自己タイ。個人でのシニア初代表となったアジア選手権では、予選で11秒53のシーズンベストをマークすると、決勝は4位(11秒66)でフィニッシュした。直後の日本インカレでは、100mと4×100mリレーで2冠を果たしている。当人は11秒3台の手応えをつかんでいるとコメントしており、日本選手権で実現すると三浦と同様に初の戴冠が見えてくる。
昨シーズン、初めて11秒4を切る11秒37の自己新記録で2回走り、夏以降の日本グランプリシリーズをすべて勝利する好調を見せた御家瀬緑(住友電工)は、今季は、5位となったアジア選手権の予選でマークした11秒57(-0.4)がシーズンベストで、エンジンのかかり具合が今ひとつ。恵庭北高3年の2019年に獲得済みの日本タイトルを再び手にするためには、昨年の状態まで調子を引き上げる必要がありそうだ。


◎サニブラウンの貫禄勝ちか、栁田の初戴冠か



大会2日目の最終種目に据えられたのは、男子100m決勝。57選手がエントリーしており、1日目の予選・準決勝をクリアした8名(最大で9名)のスプリンターが顔を揃える。
優勝候補の筆頭には、やはりこの人、サニブラウンアブデルハキーム(東レ、ダイヤモンドアスリート修了生)を挙げるべきか。昨年のパリオリンピックは準決勝で9秒96の自己新をマークしながら、準決勝に駒を進めることはできなかったものの、世界選手権は2022年オレゴン、2023年ブダペストと2大会連続で決勝進出を果たすなど、実力はピカイチだ。すでに参加標準記録(10秒00)は突破。それもあって今季は世界選手権に照準を合わせた戦略を立てている。
シーズンベストは6月6日のダイヤモンドリーグローマ大会でマークした10秒31(+1.1)。6月にはその後、2戦しているが10秒44、10秒34にとどまっており、これを余裕とみるか、調子が上がってこないとみるかは意見が分かれるところかもしれない。日本選手権では3位以内でフィニッシュすれば即時代表に内定するが、できることなら2022年以来となる日本選手権4回目の優勝で、代表切符を手に入れる光景を見たい。
サニブラウンの調子が上がってこない場合は、栁田大輝(東洋大、ダイヤモンドアスリート修了生)の勝機がぐんと上がってくる。むしろ記録や勝負の推移を考えると、優勝候補の筆頭に挙げるべきかもしれない。今季は、クリスチャン・コールマン(アメリカ)を抑えて優勝を果たしたゴールデングランプリでマークした今季日本最高の10秒06を含めて、10秒0台を2回。また、関東インカレ決勝では追い風参考記録(+4.5)ながら9秒95をマーク。アジア選手権でも大接戦をきっちりと勝ちきり、2023年バンコク大会に続く連覇を達成している。
昨年、優勝候補の一角にいながら3位に終わり、100mでのパリオリンピック出場を逃した悔しさを、自国開催の世界選手権代表を決めるこのレースで晴らしたい。ワールドランキングではサニブラウン(17番目)に続いて、ターゲットナンバー(48)圏内となる30番目に位置しているため、代表入りには非常に近い位置にいるが、本番で戦うことを考えている当人は、参加標準記録を突破しての出場に、強い意欲を見せている。もしかすると日本選手権史上最初に9秒台をマークする選手になるかもしれない。
この2人に続く層は、ベテラン、中堅、若手が入り乱れる状況だ。ベテランでは、ともに9秒98の自己記録を持つ桐生祥秀(日本生命)と小池祐貴(住友電工)が調子を上げてきている。3月から積極的にレースに出場している桐生は、織田記念の予選で追い風参考(+2.7)ながら10秒06をマークしたほか、出雲陸上、静岡国際で優勝。4レースを10秒1台で走っている。小池も木南記念で10秒09(+1.1)をマークして優勝。この記録は、栁田に次ぎ今季日本リスト2位となるものだ。
中堅と呼べる年代では、鈴木涼太(スズキ)が10秒12、デーデーブルーノ(セイコー)、樋口陸人(スズキ)、宮城辰郎(日星電気)が10秒14と、それぞれ自己記録を更新。若手では、世界リレーでも好走を見せた井上直紀(早稲田大、10秒12)や愛宕頼(東海大、10秒14)、関東インカレで追い風参考ながら9秒97(+3.9)をマークしている守祐陽(大東文化大、10秒13)など、今季成長著しい選手がずらりと並ぶ。2連覇中でパリオリンピック代表の坂井隆一郎(大阪ガス)は、出雲陸上でのケガが、どこまで回復するか。パリオリンピック代表の東田旺洋(関彰商事)もレースには出場しているが、今季は精彩を欠く。優勝経験を持ちながらも苦戦が続いている多田修平(住友電工)や日本記録保持者(9秒95)の山縣亮太(セイコー)も含めて、決勝に駒を進めることが目標になりそうだ。
優勝争いは9秒台、上位争いは10秒0台、下位入賞者もすべて10秒1台…。そんなレースが展開されるようだと、会場の熱気は最高潮となるはずだ。


◆第109回日本選手権展望バックナンバー
大会1日目:フィールド種目の決勝が多い大会初日、日本新記録に期待!


【チケット販売中】第109回日本選手権

日程:7月4日(金)~6日(日)
会場:国立競技場(東京)
種目:男子17種目、女子17種目
時間:https://www.jaaf.or.jp/jch/109/timetable/
・1日目(7月4日):競技開始 14時頃/競技終了21時頃
・2日目(7月5日):競技開始 11時30分頃/競技終了19時頃
・3日目(7月6日):競技開始 14時頃/競技終了19時頃

▼チケット詳細はこちら
 https://www.jaaf.or.jp/jch/109/ticket/
▼大会情報はこちら
 https://www.jaaf.or.jp/jch/109/


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・ホスピタリティ:5枚以上(3日間合算)※ホスピタリティ7/4(金)および7/5(土)は完売※
・S席/A席:各日13枚以上から
※申込は6月26日(木)12:00まで
申込方法:https://www.jaaf.or.jp/jch/109/ticket/


国立満員プロジェクト



2025年、日本選手権は国立競技場で開催されます。
このプロジェクトは、その会場を“満員”にし、
選手と観客が一体となって熱く盛り上がる空間をつくるためのキャンペーンです。

現地で応援できる方は、ぜひ国立競技場へ!
来場が難しい方も、キャンペーンに参加登録することで“気持ちで”参加可能です。

★特設サイト (https://www.jaaf.or.jp/2025/ns/) では★
➀「国立満員リレー」:選手・関係者・ファンのX(旧Twitter)投稿がつながる応援企画
➁「みんなの一歩」:賛同者数が可視化されるカウンター
(※回答いただいたGoogleフォームで人数がカウントされます!)

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