2025.06.30(月)大会

【第109回日本選手権展望】大会1日目:フィールド種目の決勝が多い大会初日、日本新記録に期待!



第109回日本選手権が7月4~6日、9月に日本で開催される東京2025世界陸上競技選手権大会(以下、東京世界選手権)の日本代表選手選考競技会を兼ねて、東京世界選手権と同じ東京・国立競技場で開始される。日本選手権は近年、U20日本選手権と併催して4日間会期で行われてきたが、今回は、日本選手権のみでの実施で、会期も3日間となる。国立競技場での開催は、2005年6月上旬に行われた第89回大会以来20年ぶり。東京オリンピックに向けて改築された現スタジアムになってからは初めての開催だ。
この日本選手権で実施されるのは、すでに別開催で行われた男女10000m、7月12~13日に行われる男女混成競技(十種競技、七種競技)を除くトラック&フィールド全34種目(男女各17種目)。2025年度日本一の座とともに、自国開催の世界陸上出場を懸けてのバトルが繰り広げられる。
東京世界選手権の出場資格は、ワールドアスレティックス(WA)が設定する参加標準記録の突破者と、1カ国3名上限で順位をつけるWAワールドランキング「Road to Tokyo」(以下、ワールドランキング)において各種目のターゲットナンバー(出場枠)内に入った競技者に与えられる。日本代表選手の選考は、日本陸連が定めた代表選考要項( https://www.jaaf.or.jp/files/upload/202412/10_171138.pdf )に則って行われるが、日本選手権で代表に即時内定するためには、本大会決勝終了時点までに参加標準記録を突破し、3位以内(すでに内定者が出ている場合を除く)の成績を収めることが条件。また、ワールドランキングによる出場を目指す場合や開催国枠エントリー(自国開催ながら出場者がいない場合に1名の出場が認められる仕組み。日本陸連では、独自に開催国枠エントリー設定記録を決め、この記録のクリアを条件としている)での対象となる場合など、その後に行われる選考において日本選手権での順位が優先されるため、この大会の結果が、大きな鍵を握ることになる。
今大会で実施される種目において、すでに世界選手権代表に内定しているのは、前回ブダペスト大会を制してワイルドカードで出場権を獲得した女子やり投の北口榛花(JAL、ダイヤモンドアスリート修了生)のほか、4月に代表に内定した男子110mハードルの村竹ラシッド(JAL)、男子3000m障害物の三浦龍司(SUBARU)のわずか3名。参加標準記録の水準は高く、決して簡単にクリアできる記録ではないが、果たして大会期間中に、何人の選手が代表切符を手に入れることができるか。また、日本新記録の誕生や、歴史に残るようなハイレベルな戦いを見ることができるのか?
今年は、1日ごとに大会を展望。注目の選手や見逃したくないパフォーマンスをご紹介していくことにしよう。

※エントリー状況、記録・競技結果、ワールドランキング等の情報は6月27日時点の情報に基づき構成。同日以降に変動が生じている場合もある。

文:児玉育美(JAAFメディアチーム)
写真:アフロスポーツ


DAY 1:7月4日(金)

8種目の決勝が行われる大会初日は、トラックは2種目を除いては、2日目、あるいは3日目に決勝が予定されている種目の予選ラウンドが続き、フィールド種目の決勝が多いタイムテーブルとなっている。


◎郡vs.齋藤、60m台の競演なるか?



競技は、13時45分から女子棒高跳と女子円盤投が同時に開始されるが、競技時間を考えると、大会最初の日本チャンピオンが決まることになるのは女子円盤投。近年、この種目を牽引している郡菜々佳(サトウ食品新潟アルビレックスRC)と齋藤真希(太平電業)によるハイレベルな戦いが期待できる状況で、もしかすると第109回大会は日本新記録誕生で開幕することになるかもしれない。
一歩リードを奪っているのは郡。昨年は、日本人女子として初めて60m台に乗せる60m72を投げ、自身が2019年に樹立していた日本記録(59m03)を更新した。勝負が懸かる場面でパフォーマンスに波が生じる長年の課題を少しずつ克服し、安定した結果を残せるようになってきている。64m50の参加標準記録にはまだ大きな開きがあるものの、ワールドランキングは32番目でターゲットナンバー(36)内に位置している。日本陸連が決めている開催国枠エントリー設定記録(60m73=日本新)をクリアして、世界選手権代表の座をぐんと近づける形で、2年連続3回目の優勝を手に入れたい。
日本選手権での対戦成績で郡を上回るのは齋藤だ。山形・鶴岡工業高3年の2018年に高校生ながら初優勝。東京女子体育大時代に2回、東海大大学院時代に1回。すでに4回タイトルを獲得している。社会人1年目の今季は兵庫リレーで投げた57m65がシーズンベスト。この記録は、昨年マークしている58m47に次ぐセカンドベストで、状態は決して悪くない。郡との投げ合いから60mラインに迫る投てきが飛び出すようだと、勝負はより白熱したものとなるだろう。


◎諸田の不出場により、勝負の行方は混沌



女子棒高跳は、女子円盤投終了後も、トラック種目の予選と並行して行われることになる。この種目では、日本記録保持者(4m48、2023年)で大会2連覇中の諸田実咲(アットホーム)が万全であれば優勝候補の筆頭に挙げられるところだったが、強い雨と風のなかでの試技となった5月末のアジア選手権で、銅メダル確定後に強風にあおられ着地の際に両手首を骨折するアクシデントに見舞われてしまった。この影響で、いったんはエントリーしていたものの、その後、出場を見送ることが報告された。世界選手権に向けてはワールドランキングで出場できる可能性がある状況。1日も早い回復を祈りたい。
諸田が不在となったことで、勝負の行方は予想がつかない状況となっている。勢いがあるのは、諸田とともにアジア選手権に出場(6位)した大坂谷明里(愛媛競技力本部)か。今季4m20の自己新記録を2回クリアと、経験・記録ともに充実を見せている。また、田中伶奈(吉田石油店)も2023年以来の自己タイとなる4m20を跳んで好調を示している。
この2選手のほか、4m33の自己記録を持ち、2019・2020年と連覇を果たしている那須眞由(KAGOTANI)や日本選手権3回の優勝実績を持つ竜田夏苗(ニッパツ、自己記録4m30)らベテランに、前回3位の村田蒼空(筑波大)、同4位の小林美月(日本体育大)ら若手も交じり、誰もが優勝の可能性を秘める状況となった。1回の試技が明暗を分けるシビアな戦いとなりそうだ。


◎好調・湯上に日本新の期待



女子円盤投に続いて行われる男子円盤投も、日本記録更新のアナウンスが大いに期待できる種目だ。好調な滑りだしを見せているのが湯上剛輝(トヨタ自動車)。今季4戦目となった4月17日のアメリカの競技会で62m52をマーク。2018年日本選手権で初優勝を果たした際に樹立した前日本記録であった自己記録(62m16)を7年ぶりに更新すると、その9日後には64m48の大投てきで日本記録を奪還している。62m60の開催国枠エントリー設定記録をクリアしたことで、世界選手権代表入りの可能性が立体的になってきた。5月末のアジア選手権では銀メダル(60m38)を獲得。そこからの1カ月で、次のピークをつくって日本選手権に挑むことになる。湯上は、11月末に東京で開催されるデフリンピックの日本代表にも選出済み。“充実の秋”を期しての戦いとなりそうだ。
前日本記録保持者(62m59)にはなってしまったが、ガチで勝負したときの堤雄司(ALSOK群馬)の強さには侮れないものがある。現在日本選手権は6連覇中で、2018年に湯上に敗れるまでの4連覇を含めて、全部で11回の優勝実績を誇る選手だ。今季は2月に61m76と好投しているが、アジア選手権は56m84で7位。ここからどう調子を上げてくるか。3番手に位置する幸長慎一(四国大AC)は、5月に徳島県選手権で60m16を投げている。2023年に投げた自己記録62m52を上回る1投が飛び出すようだと、ベテラン2選手を制しての初戴冠も見えてくる。


◎なるか、髙島&森本による14mジャンプの応酬



女子三段跳も、「記録も、勝負も」が期待できる種目。日本記録保持者(14m16、2023年)で大会6連覇中の女王・森本麻里子(オリコ)と今季好調髙島真織子(九電工)が激戦を繰り広げそうだ。この種目の参加標準記録は14m55と日本記録を上回っているが、ターゲットナンバー36のワールドランキングにおいて髙島は22番目に位置し、森本も圏内まで3ポイント差の39番目と、ワールドランキングでの出場も見える位置にいる。開催国枠エントリー設定記録は13m97と、これもクリア可能な水準だが、両選手が目指しているのは、参加標準記録を突破しての出場権獲得。ともに実現可能なトレーニングが積めた状態で、今季を迎えていると自信を見せる。
好スタートを切ったのは髙島。3月末の初戦を13m87(+2.5)でスタートすると、織田記念(13m96、+2.3)、ゴールデングランプリ(13m66、+0.8)をともに優勝。昨年は、織田記念で肉離れに見舞われ、オリンピック出場を含むシーズン離脱を余儀なくされたが、上半身の強化に取り組んだオフシーズンの肉体改良と、跳躍フォームの変更がぴたりとハマり、高いレベルで安定した跳躍を残せるようになった。一方の森本は、織田記念3位(13m34、-0.7)、ゴールデングランプリ5位(13m41、-0.3)と滑りだしは精彩を欠いたが、アジア選手権では向かい風1.4mの条件下で13m65をマークして髙島(13m64、+0.2)を1cm差で抑え、銅メダルを獲得。6月にはカナダの競技会で13m62(+1.8、優勝)と着実に調子を上げてきている。ともに、長身と長い手足を生かしたダイナミックな跳躍が持ち味。日本記録を更新し合うシーソーゲームから、参加標準記録に近づく展開を期待したい。
髙島・森本に続くのは、武庫川女子大時代の2022年に13m81の学生記録を樹立している船田茜理(ニコニコのり)。社会人1年目の今季は、6月8日の田島記念でマークした13m51(+0.5)がシーズンベストでトップ2に続いている。十分に14m台は狙える力を持っているだけに、ややパフォーマンスに波がある点を、どう克服するかが課題となりそうだ。


◎ターゲットナンバー圏内に6選手。大バトルの予感



男子走高跳は、“世界選手権代表3枠”を巡って、激しい空中合戦が繰り広げられるだろう。現時点で、2m33の参加標準記録突破者は出ていないが、パリオリンピック5位、2023年ブダペスト世界選手権8位の赤松諒一(SEIBU PRINCE)、2022年ブダペスト世界選手権8位の真野友博(九電工)、3月の南京世界室内7位入賞の長谷川直人(サトウ食品新潟アルビレックスRC)と、至近の世界大会入賞者に加えて、東京オリンピックファイナリストで日本記録保持者(2m35、2019年)の戸邉直人(JAL)、東京オリンピック代表で昨シーズン、本格的に最前線復帰を果たした衛藤昂(KDL)と実績のある顔ぶれがずらりと並ぶ。ワールドランキングでは、赤松(9番目)、真野(11番目)、長谷川(23番目)がトップ3を占めるが、原口颯太(順天堂大)、瀬古優斗(FAAS)、そして衛藤もターゲットナンバー(36)内に位置しているだけに、代表切符を手に入れるためには、まずは日本選手権でのメダル(3位以内)獲得が必須。試技内容が明暗を分ける可能性もある。
優勝候補の筆頭は2連覇中の赤松だろう。昨年、パリオリンピック決勝で2m31の自己新を成功させて5位に入賞した。今季は、踏切足に不安も抱えつつも、5月に2m26のシーズンベストをマーク。2m25台は安定してクリアしており、ドーハダイヤモンドリーグでも2位タイ(2m23)の成績を残している。
調子を上げてきている印象があるのは真野。取り組んできた助走の改善がハマってきたようで、5月の静岡国際、ゴールデングランプリをともに2m27で快勝。アジア選手権も世界舞台で活躍するウサンヒョク(韓国)に次ぎ、2m26で銀メダルを獲得した。このとき2m29の試技では非常に惜しい跳躍も見せており、日本選手権で参加標準記録に挑む場面も期待できそうだ。
真野とともに今季日本最高となる2m27を静岡国際でマークしている衛藤も、東京オリンピック以来の世界舞台を虎視眈々と狙っている。ベテランならではのパフォーマンスを見せられるか。また、昨年、2m27まで記録を伸ばす急成長を見せて3月の世界室内に出場した原口、2m27の自己記録(2021年)を持ち、2m24~25前後では高い安定性を持つ瀬古も、「もう一つ上」の水準にステップアップしたいはずだ。2022年日本選手権の練習でのアキレス腱断裂から競技復帰を果たした戸邉は、今季は2m16を2回跳んでいる。復帰後の最高記録2m17(2024年)を更新し、2m20台に挑んでいく姿を見たい。


◎三浦不在のなか、青木と新家が「残り2枠」を狙う



男子走高跳が佳境を迎える19時10分から、トラック最初の決勝種目となる男子3000m障害物がスタートする。日本記録保持者(8分09秒91、2023年)でパリオリンピック8位の三浦龍司(SUBARU)は、4月に世界選手権代表内定を決めており、昨年同様に今大会もエントリーしていない。このため、世界選手権に向けては、残り2枚のチケットを巡っての戦いとなる。
昨年からの好調に拍車がかかった印象を受けるのが新家裕太郎(愛三工業)だ。昨年の日本選手権で大幅な自己新記録となる8分25秒45で3位に食い込むと、9月のヨギボーチャレンジで8分20秒36まで更新。今季は、金栗記念(8分26秒69)、織田記念(8分25秒43)に連勝して、アジア選手権の日本代表に選出。そのアジア選手権ではセカンドベストの8分24秒41で銀メダルを獲得。ワールドランキングでターゲットナンバー(36)圏内となる30番目に浮上した。日本選手権では初優勝とともに、ランキング順位をさらに上げるタイムを狙っていくことになるだろう。
ブダペスト世界選手権ファイナリストで、前回の日本選手権を制した青木涼真(Honda)は、アジア選手権での好成績を狙っていたが、金栗記念の際、前日練習で転倒して肩を痛めた影響で4位に留まり、アジア選手権出場を逃した。これによりランキングのポイントアップに想定外が生じたことで、現段階ではターゲットナンバー(36)まで3ポイント差で圏外に位置しており、日本選手権では記録も、順位も狙っていくことが必要になる。しかし、ゴールデングランプリではブダペスト世界選手権以来となる8分20秒台(8分20秒99)をマークしており、8分20秒09(2022年)の自己記録更新は射程圏内。新家との競り合いで、8分20秒を切るタイムも期待できる。
この上位争いに絡むとしたら小原響(GMOインターネットGrp)か。ゴールデングランプリで8分24秒36をマーク(6位)し、昨年出した自己記録(8分25秒07)を更新、6月14日にはアメリカで8分22秒64へと塗り替えている。躍進が目を引く大学1年生の佐々木哲(早稲田大)は、長野・佐久長聖高の出身で、昨年のインターハイチャンピオン。金栗記念ではU20日本歴代2位の8分29秒05をマークしてアジア選手権代表に選出された。4位でフィニッシュしたクミでは、序盤から攻めるレースを展開。今大会でも果敢な走りを見せてくれそうだ。


◎田中と廣中、火花を散らす競り合いが見られるか!?



20時にスタートする女子5000m決勝には、田中希実(New Balance)と廣中璃梨佳(JP日本郵政G)の2選手が、久しぶりに顔を揃える。日本選手権でのこの種目の対決は、2022年大会以来。自国開催の世界選手権に向けて、田中は1500mとの2種目出場を、廣中は10000mとの2種目出場を懸けてのレースとなる。
有利な状況にいるのは日本記録保持者(14分29秒18、2023年)で、大会3連覇中の田中といえるだろう。参加標準記録(14分50秒00)も、昨年9月のダイヤモンドリーグファイナルで突破済み(14分31秒88)で、3位以内でフィニッシュすれば世界選手権代表に即時内定と、王手がかかった状態だ。今季も海外転戦を重ねるなかで5月上旬に15分06分78をマークしている。
東京オリンピック決勝で前日本記録である14分52秒84を樹立して9位の成績を残した廣中は、2022年オレゴン、2023年ブダペストと2大会連続で5000mと10000mに出場してきたが、昨年は膝を痛めて日本選手権出場もならず、雌伏のときを過ごす苦しい1年となった。復活を果たした今季は、4月に開催された日本選手権10000mに優勝。その後も、織田記念(15分19秒23)、ゴールデングランプリ(15分05秒69)と着実にタイムを縮めてきている。10000mで出場したアジア選手権では、激しい雷雨の影響で、決勝レースの中盤も過ぎたところで急きょ中止となるアクシデント。翌日再レースを行う事態となったにもかかわらず、30分56秒02できっちりと走りきり、銀メダルを獲得。完全復活を印象づけた。気象状況にもよるだろうが、コンディションに恵まれれば、高いレベルでの激しいマッチレースが繰り広げられることになるかもしれない。廣中の場合は、ワールドランキングで出場するためには、ターゲットナンバー(42)内に入るためにはポイントを上げていく必要がある。参加標準記録は廣中の自己ベストを上回っていることを考えると、日本選手権後に参加標準記録を目指すことも視野に入れつつ、日本選手権もランキング順位を上げることのできる成績を見据えながらの勝負となりそうだ。
ワールドランキングにおいて、廣中より上位となる27番目に収まっているのが昨年のパリオリンピックにも出場した山本有真(積水化学)だ。金栗記念では15分12秒97の自己新記録をマーク。3000mに出場したゴールデングランプリでも8分50秒64と自己記録を更新。アジア選手権では 15分16秒86で銅メダルを獲得と安定した結果を残せている。自国開催の東京世界選手権で、世界大会3連続出場を果たすためにも、優勝争いに絡むレースを展開したい。
この4選手に続く層は記録が接近している。入賞(8位)ラインを巡る戦いは厳しいものになるだろう。6月に入って、ホクレンディスタンスチャレンジで伊澤菜々花(スターツ)が15分16秒70の自己新をマーク。本番で上位にどこまで食い下がれるか。また、女子マラソンで世界選手権代表に内定している佐藤早也伽(積水化学)もエントリー。スピードを磨いて、この後、本格的なマラソントレーニングに入っていくはずだけに、ぜひ、その走りをチェックしておきたい。


◎北口は不出場ながら、代表入りを巡り熾烈な上位争いの予感



タイムテーブル通りに競技が進行した場合、1日目最後に日本チャンピオンが決まるのは、女子やり投となるはずだ。当初、この種目には、2023年ブダペスト世界選手権、2024年パリオリンピックと世界大会連覇中で、名実ともに世界女王の座に就いている北口榛花(JAL、ダイヤモンドアスリート修了生)がエントリーしていたが、日本選手権直前の試合となったゴールデンスパイク(チェコ・オストラヴァ)出場後、右肘に違和感が生じたため、メディカルチェックを行ったところ、炎症が起きていること判明。大事をとって日本選手権の出場は見送ることが発表された。
東京世界選手権の出場資格は、前回のブダペスト大会を制したことで、金メダリストに与えられるワイルドカードにより確保済み。まずは、治療・回復を優先させ、ホスト国のエースとして迎えることになる東京世界選手権に向けて、万全の準備を進めていくことになる。
北口が出場資格をワイルドカードで得たことで、日本勢の出場枠は4つに増えた。つまり、北口のほかに、あと3人が自国開催の世界選手権に出場できる状況となっている。ワールドランキングでは、ランキングトップの北口のほかに、上田百寧(ゼンリン、15番目)、武本紗栄(オリコ、22番目)、斉藤真理菜(スズキ、28番目)に加えて、日本人5番手となる山元祐季(高田工業所)までがターゲットナンバー(36)圏内に位置。日本のレベルの高さと層の厚さがよく分かる。
そのなかで、今季、最も安定した結果を残しているのはパリオリンピックで決勝進出を果たした上田だろう。ゴールデングランプリは60m66で北口に次ぎ2位を占め、武本と臨んだアジア選手権では銀メダルを獲得した。昨年の日本選手権で、この上田を抑えて2位を占めた武本は、2月にニュージーランドで60m51と好スタートを切ったが、その後は“一発”に欠く状態が続いている。アジア選手権では銅メダルを獲得したものの、記録は2025年度に入ってからは58m台にとどまっている。ともに、まずは61m64(上田)、62m39(武本)の自己記録更新がターゲットになってきそうだ。
2023年日本選手権で、オレゴン世界選手権銅メダリストとして臨んでいた北口に土をつけている斉藤真理菜(スズキ)は、本来であれば上位候補の一角に挙がるべき実力者。しかし、昨秋、見舞われたケガの影響で今季は55m62が最高記録と苦戦が続いている。日本選手権までにどこまで復調してくるか。斉藤の状態次第では、ワールドランキングで北口を除いて4番目にいる山元、さらには、今年初めて60m台に突入(60m57)した倉田紗優加(慶應義塾大)が浮上してくる可能性もある。トラックでも注目種目が進行している時間帯だが、ピット内の動向も、しっかり目を光らせておく必要がありそうだ。


◎予選・準決勝でも見逃せない場面が続々!

1日目のトラック種目は、予選・準決勝が続く日程となっているが、2日目以降に組まれている決勝に向けて、実は、絶対に見ておきたいラウンドが目白押しといえる状況だ。女子400mハードル、女子400mは、ここでの結果によって次のラウンドで良いレーンに入れるかが決まってくることを考えながら、レースを進めていくことになるだろう。
また、ターゲットナンバー制をとらなかったことで92名ものエントリーとなった男子5000mは、3組上位6着までが決勝に進出できる条件で予選が行われる。スタート時刻は17時10分と、夕刻に設定されたものの、6月時点から気温の高い状態が続いているだけに、当日の暑さが大いに懸念されるところ。決勝まで中1日空くとはいえ、確実に6着内に入るためには、かなりタフな走りが必要となるだろう。予選で思いがけない番狂わせが起きる可能性もある。
準決勝まで行われる種目のなかでも、男子110mハードルや男子100mは、出場選手の力が、非常に高いレベルで拮抗している状況だ。このため、特に準決勝は、決勝に劣らない顔ぶれでの対決になる可能性もある。気象条件にもよるが、110mハードルでは13秒2~3台で、また、100mでは10秒1~2台で走らないと決勝進出が叶わないという事態も考えられるだけに、ミスが許されないレースとならうだろう。決勝に向けて、どんな戦略で自身の状態を研ぎ澄ませていこうとしているのかを推測しながら、各選手の一挙手一投足に注意を払うと、より面白く観戦できるはずだ。
なお、今大会では、初めての試みとして、各種目別の表彰式は行わず、1日ごとの競技終了後に、「ウィナーズパレード」という名称のメダリストセレモニーが実施されることなった。各日のメダリストが一斉に登場し、メダリスト全員での写真撮影や、活躍した選手へのインタビューを行うほか、終了時には、最後まで観戦してくださったファンに向けて、グッズの投げ込みなども予定しているという。1日目は、20時50分から実施の見込み。会場へ足を運んだ方々は、ぜひ、最後まで残って、メダリストたちとの時間を楽しんでいただきたい。


【チケット販売中】第109回日本選手権

日程:7月4日(金)~6日(日)
会場:国立競技場(東京)
種目:男子17種目、女子17種目
時間:https://www.jaaf.or.jp/jch/109/timetable/
・1日目(7月4日):競技開始 14時頃/競技終了21時頃
・2日目(7月5日):競技開始 11時30分頃/競技終了19時頃
・3日目(7月6日):競技開始 14時頃/競技終了19時頃

▼チケット詳細はこちら
 https://www.jaaf.or.jp/jch/109/ticket/
▼大会情報はこちら
 https://www.jaaf.or.jp/jch/109/


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・ホスピタリティ:5枚以上(3日間合算)※ホスピタリティ7/4(金)および7/5(土)は完売※
・S席/A席:各日13枚以上から
※申込は6月26日(木)12:00まで
申込方法:https://www.jaaf.or.jp/jch/109/ticket/


国立満員プロジェクト



2025年、日本選手権は国立競技場で開催されます。
このプロジェクトは、その会場を“満員”にし、
選手と観客が一体となって熱く盛り上がる空間をつくるためのキャンペーンです。

現地で応援できる方は、ぜひ国立競技場へ!
来場が難しい方も、キャンペーンに参加登録することで“気持ちで”参加可能です。

★特設サイト (https://www.jaaf.or.jp/2025/ns/) では★
➀「国立満員リレー」:選手・関係者・ファンのX(旧Twitter)投稿がつながる応援企画
➁「みんなの一歩」:賛同者数が可視化されるカウンター
(※回答いただいたGoogleフォームで人数がカウントされます!)

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