Day11:8月11日(日)
パリオリンピック陸上競技の最終種目として行われた女子マラソン決勝は、大会第11日の8月11日、現地時間の午前8時にスタートしました。
日本は、鈴木優花(第一生命グループ)、一山麻緒(資生堂)、前田穂南(天満屋)の3選手がエントリーしていましたが、前田選手はレース2日前の8月9日に右大腿骨疲労骨折の診断が出たことにより8月10日に欠場を発表。鈴木選手と一山選手の2人で戦うことになりました。
スローな展開で入ったレースは、序盤は多くの有力選手が揃ったまま大集団で進みましたが、屈指の難コースと呼ばれるアップダウンが始まっていく15km付近では15人前後へと絞られます。この15kmを過ぎたあたりで先頭集団に追いついたのが鈴木選手。その後は、一人、二人が飛び出すなか、有力選手で形成するコア集団ともいえるグループのなかに身を潜め、淡々と歩を進めていきました。最も急な上り坂で先頭集団につき、上りきった29km付近でいったん離される場面もありましたが、その後の下り坂を使って一気に差を詰めて、再び先頭集団に追いつきます。33km付近で先頭争いから後れ、その後は徐々に離されてしまいましたが、最後まで力強い動きで走りきり、2時間24分07秒の自己新記録で6位入賞を果たしました。
中盤にさしかかるあたりで後れをとった一山選手は、後方での苦しいレースとなりました。25km付近では60位台まで後退していましたが、粘りの走りでその後じりじりと順位を上げ、51位(2時間34分13秒)でフィニッシュしています。
両選手のコメントは、以下の通りです。
女子マラソン 決勝
鈴木優花(第一生命グループ)
6位 2時間24分07秒 =自己新記録初めてケニア人選手、エチオピア人選手たちのペース変動を、身をもって体感することができた。これらの選手につくときには不安もよぎったが、「つかないと入賞はできない」と思っていたので、「自分の行けるところまで行こう」と(覚悟を)決めて、必死についていった。ここまでアップダウンのあるコースはそうないが、これに対応できたのは、アメリカ合宿で、山下さん(山下佐知子第一生命グループアドバイザー)と相談しながら、アップダウンを想定したコースをつくって何回も取り組めたことが一番の要因だと思う。
このアップダウンのあるなか、わずかながらではあるが自己ベストを更新できたことは、これから国内のより平坦に近いコースや、海外のタイムの出やすいコースに挑んだときに、「自分はどこまで行けるか」というような(期待する)ところが、ちょっと見えたかなと思う。
<これからどんなランナーを目指したいか、の問いに>
まずは、第一生命に入ったからには、こういったところ(世界大会)でも、入賞だけでなく、メダルを獲得できるところまで、なんとしても行きたい。
<初めてのオリンピック、どうでしたか? の問いに>
とても楽しかったです。
一山麻緒(資生堂)
51位 2時間34分13秒レースの前は、すごく怖くて仕方がなかったのだが、今日、実際に走ってみて、日本の方はもちろんだが、世界中の方に(沿道から)「JAPAN」を本当にたくさん応援してもらったことで、「日本って、すごく世界中から愛されているんだな」と思った。順位(51位)を見ると惨敗だが、そんな日本を背負って走れたことが本当に嬉しかった。(その様子は、無観客で行われた)東京オリンピックとは全然違っていて、「これが本当のオリンピックなんだ」と走っていて肌で感じた。皆さんの応援が本当に嬉しかったし、応援に背中を押してもらった。
(6位入賞を果たした前回東京大会から、ここまでを)振り返ると、悔しいことのほうが多くて、悶々とした3年間だったが、今日、無事にスタートラインに立つことができたし、走っているときは本当に苦しいのだが、それ以上に本当にたくさんの方に応援してもらったことで、「苦しい」じゃなくて、「嬉しい」気持ちで笑って走ることができた。最後までありがたいなという気持ちで(走り)ゴールした。
文:児玉育美(JAAFメディアチーム)
写真:アフロスポーツ