Day10:8月10日(土)
パリオリンピック陸上競技のトラック&フィールド種目は、大会10日目のイブニングセッションが最終日。会場のスタット・ド・フランスでは8種目の決勝が行われ、男子4×400mリレー決勝に日本が出場。初のメダル獲得に挑みました。
予選で2分59秒48の日本新記録を樹立して、全体4番目のタイムで駒を進めてきた日本は、予選と同様に、中島佑気ジョセフ選手(富士通)、川端魁人選手(中京大クラブ)、佐藤風雅選手(ミズノ)、佐藤拳太郎選手(富士通)の走順で、3レーンに入ってスタート。1走の中島選手は7番手でバトンをつなぐと、2走・川端選手はバックストレートで6位争いを、ホームストレートでは7位を追う位置でレースを進めます。3走の佐藤風選手も7位争いしながらバトンはアンカーの佐藤拳選手へ。佐藤選手はバックストレートで7位に浮上すると、転倒した1チームをかわして6位でホームストレートへ。5位を猛追しながら、6位でフィニッシュラインを迎えました。優勝したアメリカは2分54秒43のオリンピック新記録で、メダルラインは2分55秒台という高速レース。上位チームが軒並みエリアレコードやナショナルレコードで続いたなか、日本も6位ながら2分58秒33をマーク。予選で樹立した日本記録を大きく更新するとともに、昨年のブダペスト世界選手権でインドによって更新されていたアジア記録も奪還しました。
日本チーム各選手のコメントは、以下の通りです。
男子4×400mリレー 決勝
日本(中島佑気ジョセフ、川端魁人、佐藤風雅、佐藤拳太郎)
6位 2分58秒33 =アジア新記録、日本新記録1走:中島佑気ジョセフ(富士通)
個人(400m)での予選敗退という悔しい結果を踏まえて、個人での課題を修正して、自分の本来の力を、世界の舞台でぶつけることを目標にしていた。予選はかなりいい形でレースを進めることができ、決勝も今できる最善は尽くせたかなと思う。しかし、その一方で、相手となる世界のトップは想像以上に速かった。チームの戦略として、アジア記録の更新と2分58秒前半を出せばメダルを狙えると考えていたが、世界のトップは僕らより一枚二枚上手で、そこに関してはすごく悔しく感じる。ただ、自分が今までやってきたことのすべてぶつけるつもりで走った。努力してきて、それでもまだ追いつかないのかという思いはあるけれど、こういった世界最高の舞台で、たくさんの観客の方が集まってボルテージの高いなかでいい走りができたのは、よかったと思う。
2走:川端魁人(中京大クラブ)
嬉しい半面、やはり悔しいという思いが大きい。僕の仕事としては、200m通過時点で、メダル圏内に食らいついて次につなぐというところだったが、世界の2走というのは、前半200mを19秒台近くで入っていくスピードだし、それでもラップとしては43秒台で必ずまとめてくる。そうでないとメダルというところには到底対応できなかったのかなと思うので、次にまた、この役割が与えられたら、次こそは、自分が今回課題に感じたところを果たせるように、もっと強くなりたいなと思う。
3走:佐藤風雅(ミズノ)
3走として、抜かれずに前との差を詰めるという仕事をしたかったのだが、1・2走の時点で後方での争いになってしまった。僕のところでしっかり(順位を)上げたいという思いはあったが、やはり世界のレベルには追いつかず、順位が変わらない状態で4走にバトンを渡す展開になった。
<タイムが出ている感覚はあったのでは? の問いに対して>
感覚はあったが、僕たちが目指していたのはメダル争い。6~7番手で争っている時点で、メダル獲得という意味で、世界との差を痛感した。
4走:佐藤拳太郎(富士通)
まだまだ世界との差があるなという気持ち。このチームを結成するとき、予選から2分58秒50以内というところを目標にしていた。そのタイムをクリアしても、メダル争いすらできないということで、見通しが甘かったというか、私たち4人が400m選手としてまだまだ弱いことを痛感している。
ただ、アジア記録をマークしたことは、一つ誇りにしたい。日本のマイルチームは、ここからまだまだ成長していきたいと思っているし、その足がかりになれたのかなと思う。まずは来年、東京世界陸上があるので、そこでは必ずメダルが取れるチームを結成する。これからも応援していただきたい。
文:児玉育美(JAAFメディアチーム)
写真:アフロスポーツ